ジェイド フロイド。 【ツイステ】キャラクターの出身地まとめ、出身国の情報など

【MMDツイステ】リーチ兄弟寮服モデル出来ました(一応配布) ジェイド・リーチ ニコニコ動画のニコッター

ジェイド フロイド

『ねえ、アズール。 ぜんぶ君の仕業なんでしょう?』 懐かしい声に飛び起きる。 汗で額に髪が張り付いて鬱陶しい。 ガンガンと痛む頭は寝不足と肩こりのせいだろう。 積み上がった資料は肘の下で少しだけシワがよっていて、急に脱力する。 僕は、いつも追い詰められると昔の夢を見る。 悪夢、と言うよりは無意識に自分がしてきた沢山の努力や契約を思い出して自分を鼓舞しているに近い夢。 苦しかった、悔しかった、惨めな日々から這い上がる執念を忘れるな。 そう言う様に、深層心理がそう訴える様に、僕は何度も夢を見た。 そして最後はいつも決まって、同じ言葉に飛び起きる。 ゆったりと口角が持ち上がる見慣れた微笑はあの日の僕の脳裏に焼き付くように残っていた。 莫大な資料の山を見て頭痛が酷くなるが仕方ないと溜息をつく。 ラウンジの仕事のみならず、未だに契約の担保を魔法にすることを禁じられてからも学園内外で大声では言えない仕事をしているのは、自分の性分なのかもしれない。 もしくは性格の破綻した最低最悪の双子を海から陸に放ってしまった者としての無けなしの善意かもしれない。 放り出されたペンを取り、ペンの頭を噛む。 手を噛むのは良くない。 陸では幼い子供の癇癪に見えると入学してすぐの頃にクルーウェル先生に手の甲を叩かれた。 くすくすと湧き上がった嘲笑に僕は奥歯を噛み締めたのが懐かしい。 とにかく陸に住む以上、陸の習慣を身に叩き込み誰にも文句は言わせまいとした。 テーブルマナー講座にペン字の講習、フォーマルスーツの着こなしにビジネスマナーまでとにかく何でも勉強した。 予習復習は何よりも大事だ。 知らない、では許されない。 当たり前のこと、と鼻で笑われるのが関の山だ。 今や誰にも文句は言わせないレベルに陸の教養を叩き込んだ頭は寮長として後輩指導にも生かされている。 思考が散漫になっていると気付いて伸びをするとバキバキと背骨が鳴る。 深夜2時を指す時計に目を向けて頭を搔くと丈の長いガウンを羽織ったジェイドがドアの前に居て思わず肩を揺らす。 「おま、え、何時から?」 ジェイドはくすくす笑って黒いガウンを翻し「つい先程」と首を傾げた。 「こんなに遅くまでVIPルームで何をしているかと思えばラウンジの衛生管理の資料の見直しですか?流石はアズール、タイムマネジメントがお上手ですね。 それに明日は一限から飛行術では?アズールの箒さばき、僕も近くで拝見したいです。 寝不足のアズールはきっと面白いことになるでしょうから」 一言も二言も余計なジェイドを睨んでも何処吹く風と言った顔をされるからうんざりする。 さらり、と一房の黒髪を耳にかけたジェイドの左耳に揺れたピアスがちかちかと眩しい。 「お前こそこんな時間にラウンジに何の御用です?レジの鍵なら生憎ですが僕のポケットですよ」 早く部屋に戻ろうと書類をまとめて椅子から立とうとしたとき、ジェイドが執務机にゆったりと座る。 長い足はガウンに隠され、今は懐かしさすらある海の底で揺れる尾鰭を彷彿とさせた。 白い、長い指が僕の唇をそうっと撫でる。 冷えた指にいつもの黒革の手袋が無いのに気付くとジェイドは穏やかに、甘く笑った。 「アズール。 あまり無理をなさらないで。 オーバーブロットの件もありますし、貴方はもう少し自分自身の身を案じるべきですよ。 僕は貴方が心配なんです。 努力家は美徳ですが生き急いではいけません。 大事なことを見落としてしまいます。 例えば、消費期限とか」 僕はジェイドの手を叩き落とす。 ジェイドは堰を切ったようにあはは、と声を上げて笑いだすから苛立ちが沸き上がったが、返す言葉を探しても結局ジェイドの思うままになると気づいて沈黙を貫く。 「怒らないで。 ジョークです。 ふふ、営業停止とはまた大変ですね。 まあ、貴方にもいい機会では?金の亡者より学友と親睦を深める方が健全ですし」 「早く部屋に戻れ。 お前とくだらないお喋りをしてる暇なんかない」 睨み付けると金色の目が綻ぶ。 この瞬間のぞわりとする寒気に未だに慣れない。 「運が悪かったですね。 お出しした相手がサバナクロー生でなければこんなに大事にならなかったかもしれないのに。 僕達が1週間程ラウンジを空けたのもタイミングが悪かったです。 中途半端な3年生に現場指揮など荷が重かった、という訳ですからアズールは悪くありませんよ」 ジェイドは悪意と享楽を綯い交ぜにした言葉遊びを楽しむように朗々と語るが僕は頭の中の冷静な部分で荒ぶりそうになる自分を無理矢理押さえつける。 駄目だ、今、ジェイドに怒っている場合じゃない。 そもそも奴は僕を怒らせようとしている。 なら、僕はそれに乗ってはいけない。 「鍵を閉めます。 ジェイド・リーチ副寮長。 早く自室に戻りなさい」 ジェイドはにこりと笑った。 悪魔め、と言いかけた言葉は必死に飲み込んで漸く動き出した背中を見送る。 「あれ、アズールいる。 ジェイドはあ?」 2枚のプレートを器用に片手に持ったフロイドがひょっこりと顔を出す。 僕はなんだかどっと疲れてもう一度椅子に座った。 今はむしろフロイドの顔を見ると安心する。 疲れている時に腹の探り合いなんてするもんじゃない。 「夜食かよ…」 「夜食だよ。 アズールのねぇけど。 てかジェイドは?せっかくのパスタ冷めちゃうんだけど」 部屋に帰しました、と言うとフロイドは露骨に嫌そうな顔をする。 幼さすら感じる露骨な感情表現をさっきの読めない男と同じ顔がしているのはいつも奇妙な気分になるが、僕はもうそんな話をする気も湧かない。 「はあ〜、2人で水槽見ながら食おうって言ったのに。 どうせ2週間休みなんでしょ?オープンとか気にしないでラウンジ2人で使いたかったあ」 渋々、と言った具合でドアに向かうフロイドに僕はかける言葉を探して、結局見つからない。 フロイドがドアを閉める前にくるりと振り返って、にんまりと笑った。 「アズール、頑張ってね。 オレもジェイドも頑張るアズールがだあいすき、だから」 前言撤回。 フロイドの顔を見て安心なんか一生しない。 腹立たしい双子の端正な笑顔が今はこの世で1番不愉快だった。 [newpage] 事の発端はとある依頼だった。 以前から取引のある某要人で、魔法薬の注文。 材料の工面に、レシピの開発、そして錬成。 とにかく手間がかかるがリターンも大きい。 暫くラウンジは上級生に管理を任せ、僕達3人はそちらの依頼にかかりきりだった。 魔法薬の納品が済み、一段落といった日に事件は起きた。 寮の自室で休んでいたところに半泣きの下級生が飛び込んできて、提供したシーフードサラダの魚介類の一部が傷んでいたとクレームが入ったと言われた時、僕は目眩がしたくらいだ。 たかが1週間程度の管理も出来ない寮生への失望と顧客の信頼やクチコミに影響する事案にとにかく対策を、と思った頃には1歩遅く学園長直々にラウンジの休業と衛生管理の見直しを命じられ泣く泣く臨時休業に至る。 ラウンジの衛生管理の見直しは以前から考えていたからあっという間に片付いたがマジカメや噂話による悪評への対応や先生達の心象を損ねた事へのフォローに頭を抱えた。 「アズール、顔色が悪いよ。 あまり体調が優れないなら今日の会議は休むといい」 寮長会議のレジュメを配っているとリドルさんにそう言われた。 彼の他意の無い善意に適当に笑顔を返す。 中途半端な妥協は後に大きな綻びになる。 信用問題の話になると体調云々で休む暇も惜しい。 「いえ、結構です。 お気遣いありがとうございます。 」 寮長としての責務、ラウンジの管理人としての監督責任、優等生としての成績維持。 とにかく手に余るタスクに翻弄されてはいるが妥協は許されない。 「駄目だ。 本当に酷い顔色だ。 君は休んだ方がいい。 倒れでもしたらどうするの。 オーバーブロットのあとは思っているより身体に負担が残ってるんだ。 不名誉な教訓だけれど、君も無茶はしない方がいい。 先生や他寮の寮長には伝えておくから君は帰りなさい」 リドルさんは真摯に告げた。 同じオーバーブロットの経験者として、あまりにも真っ直ぐに見詰められると流石の僕も頷くしかない。 渋々荷物を纏めて廊下に出るとジェイドがにこりと笑って立っていた。 「良いご学友をお持ちのようで」 柔和な声音と金色の眼差し。 夕日が廊下を染めていく。 「つまらないでしょう。 顔に書いてあります」 僕がそう吐き捨てるとジェイドは笑みを深めた。 「いいえ?別に。 アズールにも身を案じてくださるご友人が出来て良かったなあ、としみじみしていただけです。 ひとりぼっちのいじめられっ子の見る影もありません」 パライバトルマリンの青色をした髪が揺れる。 ジェイドの微笑は曖昧に僕を苛む。 「どこにでも居るつまらない人間に成り果てるなよと、貴方の顔に書いてあるんですよ。 貴方、思ってるよりわかりやすいですから。 誰だって予想出来るつまらない展開に飽き飽きしてるようですが今はジェイドの変態的趣味に付き合う暇はありません」 笑ったままジェイドの口が開く。 ぎらりとした歯が覗く度、背が冷える。 「変態的なんて、酷い言われようです。 僕はただ、アズールが心配なだけなのに」 じとりと睨みつけてもニヤニヤとした眼差しと絡み合うだけでなんの結果も得られない。 オレンジ色に侵されていく廊下で2人睨み合っても中庭の木々のざわめきしか聞こえない。 「僕は貴方に出会って、悪魔と契約した気分だ」 端正な顔に、上品な身のこなし、ミステリアスだが有能な男。 ジェイド・リーチの対外的な印象なんてその程度だろう。 変態的享楽主義者の本性を包み隠した化けの皮。 ジェイドはとにかく「愉快」であることに固執する。 こいつの双子が酷く気まぐれであるように、こいつにも理解し難い酷い気質として享楽主義者の面がある。 正しさや倫理、情なんかよりもとにかく予想外の展開に慌てふためく人々を見るのが好きなような奴だった。 だから、こいつは僕を選ぶ。 「悪魔だなんて。 僕はただ貴方が頑張ってる姿が好きなんです。 アズール、貴方はいつだって僕の予想を超える。 グズでノロマなタコに人生を翻弄される雑魚を見るのが堪らなく楽しい。 数多の人魚に嘲笑われ踏み躙られ侮られたタコが、人間を滅茶苦茶にするなんてB級スプラッタの様に荒唐無稽な話が貴方1人の努力なんかで実現してしまうのがたまらない。 ねえ、アズール。 貴方に助っ人なんか要らないんですよ。 問題を起こして、友達が出来て、友情で問題解決なんて吐き気がするほどつまらない。 そんな当たり前の展開、何も笑えない」 長い足でジェイドはゆったりと僕との距離を詰める。 黒革の手袋を纏った長い指が僕の首筋を撫でる。 命を手玉に取るように、色っぽい戯れのように、頸動脈を指でなぞられ背筋が震えた。 「アズール、貴方は血反吐を吐いて、這いずって、そうして玉座に上り詰めてください。 ありふれた友情ごっこなんか見ていて飽き飽きします。 同じ寮長に気遣われ、下級生に慕われ、部活動仲間と余暇を楽しむなんて、ただの学生に成り果ててしまわないで。 僕は貴方に賭けたんですから。 グズでノロマないじめられっ子が世界をひっくり返す方に賭けたんです。 その為にならば身を粉にするのも厭わないのに」 ジェイドはにこりと笑った。 僕の首を柔らかく締めながら、窓から吹き込む風に髪が揺れる。 「ジェイド、あの日の現場監督だった3年生にしっかり指導してください。 二度とこんな杜撰なことを出来ないように」 声が掠れかけるがジェイドは漸く手を離した。 金色の瞳が楽しそうに歪んで頷く。 「ええ、勿論。 アズールが仰るならば、謹んでお仕事させていただきますよ」 悪魔だ。 悪魔と契約したんだ、僕は。 [newpage] 蛸壺の中で夢を見ていた。 魔導書を書き取り、勉強しながら、頭の片隅には子供らしい甘い空想が広がっていた。 友達が欲しいとか、褒められたいとか、そういう当たり前の欲求が踏み躙られ続けた結果、僕は大それた空想に耽ける。 例えばスクールに巨大サメが乗り込んできて生徒を食い散らかす。 そこに僕が現れて魔法でサメを倒すのだ。 いじめっ子は皆死に、生き残ったクラスメイトから英雄扱いされる。 そんな空想に耽った。 特別な力が、大それた運命が欲しい。 狭い蛸壺で泣きながら勉強し、知恵という武器を得て、それでもどこか空虚がある。 ひとりぼっちの蛸壺でどんなに力をつけたって、僕は結局ひとりぼっち。 だから、本当はあの日、僕は運命を掴んだと思った。 エメラルド色の煌めきがふたつ、蛸壺の前を揺らめいた日。 獰猛な異端者である双子が僕を見つけた日。 『ねえ、アズール。 ぜんぶ君の仕業なんでしょう?』 そう言われた時、僕の空虚に甘い蜜が湧く。 承認欲求は甘美だ。 誰にも御せない悪辣な双子が僕に気付く。 僕の努力が力となり、理不尽な暴力の化身の様な双子を射止めた。 双子はニコニコと僕の周りを泳ぐ。 でも僕は拒絶した。 双子を簡単に歓迎してはいけない。 奴らの予想通りになってはいけないと本能でわかった。 だから、僕はいつまでも双子の予想に反していなければいけない。 フロイドを飽きさせず、ジェイドを退屈させない。 そのふたつをクリアすれば僕は大きな力を得る。 悪魔と契約した気分だった。 あのふたりを陸に誘ったとき、僕は一世一代の賭けに出たようなものだ。 降りられない賭け、一生駆けずり回って生きなければいけない賭けだった。 だとしても僕は選んだ。 グズでノロマなタコと嘲笑われた人生を僕は僕の力で覆す。 その為になら命だって賭ける。 そのついでに凶悪な双子の手網を握れるならば安い。 「アズール。 はい」 急に部屋にやってきたフロイドが床に何かを投げた。 からん、ころん、と微かな音がして床を見ると白い粒が数個落ちている。 「は?」 「うん。 歯」 フロイドがニコニコと笑うから僕はやっぱり頭を抱える。 「やりすぎでは?暴力沙汰はごめんですよ」 「ゴウイノウエ、でーす。 ジェイドが張り切ってたよ。 だからやりすぎちゃった」 白い粒を見下ろして僕は長い溜息をつく。 「フロイド。 週明けからラウンジの再開に向けて広報を兼ね、食堂でのキッチン研修をします。 貴方も参加しなさい。 ジェイドは倉庫と冷蔵庫の在庫のナンバリングのシステムについての会議の為に僕とイグニハイド寮へ行かせますからスタッフの監視は頼みますよ」 要点を纏めた資料を渡すとフロイドは愉快そうに笑った。 そういう顔はジェイドとよく似ている。 よく似ているも何も同じ顔ではあるんだけれど。 「え〜、アズール、学園に来てからトモダチいっぱい出来たねえ。 イグニハイドってアレでしょ?クソつまんないゲーム部のセンパイにお願いしたんだ?」 ベッドに無断で腰掛けたフロイドは渡した資料を早速紙飛行機にして投げた。 目を通して覚えたんだろう。 奴はそういう奴だ。 「ボードゲーム部です。 貴方もジェイドも何やら僕が他者と関わるのがお嫌いな様で。 熱烈なアピールどうも。 僕は僕のやり方でやります。 放っておいてください」 フロイドはいよいよ笑い転げた。 嘲笑に似た笑い声には慣れたが未だに癪に障る。 「あはっ、別にオレはどーでもいいよ。 アズールが誰とつるんでも興味なーい。 でもジェイドは違うかもね。 アズールが独りで頑張ってるのが好きなんだもん。 トモダチと協力プレイされたらクソつまんないんじゃね?ジェイドはさあ、グズでノロマなタコちゃんの下克上ストーリーが見たいんだよ。 アズールが好かれちゃ意味が無い。 慕われちゃつまんない。 嫌われ者の泣き虫タコちゃんのサクセスストーリーに賭けてんだよ。 ジェイドは博打は大穴狙いが好きだから」 分かってる。 そんなこと言われなくてもわかっている。 ジェイドは僕が独りで状況を打破するのを見ていたいのだ。 ありえないこと、予想外の展開、そういうことを何よりも好むのを知っている。 ジェイドが僕を選ぶのは僕が圧倒的敗者で弱者だからだ。 嫌われ者のグズでノロマなタコの起死回生を見ていたいだけだ。 「お前達しか使えない縛りのゲームなんか勝てる気がしない」 気分屋と享楽主義者。 誰にも御せない悪辣な双子。 それでもあの日、僕は確かにチャンスを掴んだ。 双子は僕の運命のキーだ。 だから、僕は永久に「頑張り」続けなければいけない。 悪魔の契約の担保はきっと永久の努力だ。 「だろーね。 無理ゲーをどうクリアするか見たいんだからしょうがないんじゃね。 オレはジェイドが楽しいなら良いし、アズールも頭使うの得意でしょ」 フロイドはベッドから降りて部屋を出て行った。 [newpage] 「タコ1匹の泣き顔より、雑魚100匹の泣き顔の方が見応えがあると思っただけです」 きのこのパスタを食べながらジェイドは脈絡無くそう言った。 ラウンジは明後日再開となり、最終調整はもう済んだ。 束の間の休息の様に穏やかな昼休み、ジェイドは見た目に似合わない大盛りのパスタを淡々と口に運ぶ。 「貴方に賭けた理由。 ただそれだけです。 意外に見えるかもしれませんが僕には正義感はありませんし、弱者に同情する共感性はありません。 いじめられっ子の貴方に対して同情するようなことも一切ありません。 事実、グズでノロマなタコでしたし」 ブルーフォグの右目しか見えない横顔が美しいことに嫌気がさす。 「意外じゃありません。 お前は澄ました顔をした下衆です」 そう吐き捨ててやるとジェイドは笑った。 いつもの貼り付けた笑みより幾分か気安い笑い方。 「努力だけで運命を変えるなんて、並大抵の精神力では出来ません。 貴方が蛸壺に引きこもって、社会性と引き換えに手にした英智の数々。 僕は実は結構貴方をリスペクトしています」 山盛りのパスタをあっという間に平らげ、ジェイドは僕を見て微笑む。 「でも友達なんて便利アイテムを使う貴方はつまらなくて見ていられない。 早く嫌われ者のタコに戻ってしまえばいいのに」 ブルーフォグの右目、ゴールドの左目、トルマリンの髪。 海の宝の色を寄せ集めたみたいな容姿に浮かべたわざとらしい憂いに僕はいよいようんざりする。 ジェイドは酔狂だ。 番狂わせをいつだって期待している。 停滞を好まないのは双子の悪癖であり、残酷な性質だ。 「学友なんて所詮小魚の群れようなもの。 卒業すればあっという間に散り散りになりますよ。 それまでの間、使えるものは使うべきだ。 何よりこの学園には良家の子息も少なくない。 僕はこの学園生活を無為に過ごすつもりはありません。 ジェイド、貴方が目先の状況程度で機嫌を損ねるなんて、貴方の方が学園生活を満喫しているようですね」 陸には「飼い犬に手を噛まれる」という言葉があるという。 その言葉になぞらえるならば僕は飼い鱓に手を噛まれ続けているようなものだ。 だが、果たして双子は僕に飼われているなんて思っているか、と問われたらNOと答える。 僕達は正しく「主従ごっこ」の関係にあるだけ。 双子は飼い犬のフリをする。 僕の手足の振りをして僕の一挙一動を爛々と見張り、無様も偉業もエンターテインメントのように楽しむだけ。 無様なタコの快進撃も、無様なタコに踏み躙られる雑魚も、双子からしたら映画を見るような客観視で楽しむ娯楽に過ぎない。 僕は時折、この主従の本質は逆なのではないかと錯覚する。 悪辣で獰猛、狡猾で隙の無い双子の鱓は僕の夢を叶える悪魔だ。 僕は双子に娯楽という対価を払い続けなければいけない。 そうすることで僕は有能な下僕のフリをした悪魔を飼い慣らす。 だから、ジェイドから見れば僕が飼い犬かもしれない。 噛み付いて、手網を奪うのは僕だ。 今はまだ互いの首についたリードを握りあっているようなもの。 「今に見ていなさい。 お前達双子は永久に僕のバトラーとして使えるように卒業までにはきっちりしつけますから。 精々その嫌味ったらしい笑顔で学園生活を楽しみなさい」 ジェイドの空き皿を重ねて2人分のトレーを持って席を立つとジェイドはけたけたと笑った。 悪魔の双子はその実、笑い方がよく似ている。 「ええ、ご忠告痛み入ります。 貴方こそ精々頑張って、小さな学園の便利屋さんを全うしてくださいね」 じっと睨み合うと真ん中に居たフロイドが大欠伸をする。 放り出されていたサンドイッチの包み紙をジェイドがまとめて僕の持つトレーに乗せた。 「なかよくしなさーい」 そう気の抜けた声で言ったフロイドに2人して笑う。 「仲良くしなさい」そう、飽きるほど言われて育った僕達は「仲良く」の在り方なんか知らない。 凶暴と享楽の双子。 踏み躙られた僕。 他者との関わりなんて破綻してきた僕達は今日も3人並んで食堂を出た。 「さて、午後も精々頑張りますか」 そう声をかけると双子は揃って返事した。

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【ツイステ】キャラクターの出身地まとめ、出身国の情報など

ジェイド フロイド

フロイドがつけたあだ名一覧 フロイドは他のキャラクターのことを 水の生き物のあだ名で呼びます。 あだ名は魚や海の生き物限定という訳ではなく、 基本的に水中で生きていればOKのようです。 監督生:小エビちゃん• グリム:アザラシちゃん• リドル:金魚ちゃん• エース:カニちゃん• デュース:サバちゃん• ケイト:• トレイ:• レオナ:• ジャック:ウニちゃん• ラギー:コバンザメちゃん• アズール:アズール• ジェイド:ジェイド• カリム:ラッコちゃん• ジャミル:ウミヘビくん• ヴィル:ベタちゃん先輩• エペル:• ルーク:• イデア:• オルト:• マレウス:• リリア:• シルバー:• セベク:• クルーウェル:イシダイせんせい ルークがつけたあだ名一覧 フロイドほどではないにしろ 特徴的な呼び方をするのがルーク。 リドル:薔薇の君(ロア・ドゥ・ローズ)• エース:ムシュー・ハート• デュース:ムシュー・スペード• ケイト:ムシュー・マジカメ• トレイ:薔薇の騎士(シュヴァリェ)• レオナ:獅子の君(ロア・ドゥ・レオン)• ジャック:• ラギー:ムシュー・タンポポ• アズール:努力の君(ロア・ディ・フォート)• ジェイド:ムシュー・計画犯• フロイド:ムシュー・愉快犯• カリム:• ジャミル:• ヴィル:毒の君(ロア・ドゥ・ポアゾン)• エペル:ムシュー・姫林檎• イデア:自室の君(ロア・ディ・テションブ)• オルト:• マレウス:竜の君(ロア・ドゥ・ドラゴン)• リリア:リリアくん• シルバー:• セベク:• グリム:ムシュー・毛むくじゃら• 各キャラクターの呼び方をまとめました。 トレイ:呼び捨て• カリム:呼び捨て• ヴィル:呼び捨て• マレウス:呼び捨て• リリア:呼び捨て•

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「リトル・ミックス」ジェイド・サールウォール、ある有名メディアを名指しして激怒!「無知だし、失礼」

ジェイド フロイド

このことに対しジェイドは「こんなくだらないことは、私とリー・アンのあいだでよく起こっていること。 もうジョークになっているわ」とコメント。 記者がよくインタビュー中にふたりを頻繁に間違えることも指摘した。 「『ごめんなさい、ふたりは似ているので』本当に!? もう笑い飛ばすしかないわ」「怠惰なジャーナリズム。 それは無知で、失礼だよ」と付け加えた。 また、メンバーで白人のペリー・エドワーズとジェシー・ネルソンは間違えられることがないことも指摘。 ジェイドはイエメンとエジプトをルーツに持ち、リー・アンはバルバドスとジャマイカのルーツを持っている。 有色人種ということで何度も間違われ、さらに今回のMSNのニュースで、怒りが沸点を突破してしまったのかもしれない。 現在、黒人のジョージ・フロイドさんが白人警官に殺害された事件を発端に、抗議デモが毎日のように行われており、これまでもあった「人種差別問題」の実態が浮き彫りになってきている。 そんな最中でのジェイドの今回の投稿。 リトル・ミックスのファンは「ニュースで名前を間違えるなんてありえない。 掲載する前に顔と名前が一致しているのを確認するのにそんな時間はかからないでしょ」などのコメントをしている。

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