センター地理2017。 センター試験地理で9割を取るための最短対策・勉強法と参考書

【参考書】センター地理Bを0から8割にするための勉強法

センター地理2017

2017年度地理B追試験解説第1問 例年通り、自然環境をテーマとした問題。 問1と問2の気候は理論中心の出題であり、問3の大地形は「火山」の位置がテーマになるなど、傾向はいずれもオーソドックス。 問4は、見慣れない図に苦戦するかもしれないが、考えれば何とかなる。 問5と問6は近年増加してきた「災害」ジャンルからの出題だが、別に災害に関する知識を必要とするわけではなく、簡単に解けると思う(唯一、問5の外れ選択肢に含まれている「液状化」がほとんど初登場のキーワードなのだが)。 あれっ、この大問ってかなり難易度低いんじゃない? [1] [ファーストインプレッション] なるほど、おもしろいですね。 かつて北半球における大気の移動を取り上げた問題があったけれど、その南半球バージョン。 「ありがち」な問題であるということは、「センターの傾向に最も沿った」問題でもあるわけですね。 [解法] 地球の風系に関する問題。 気候はこうして理論を問うてくることが多い。 抽象的な図を理解する能力も重要。 さらに、「正文」判定問題である。 3つの文章が「誤り」であることを指摘しないといけないのだが、それだけに確実な知識が必要とされる。 ただ、ポイントを絞るのは容易だと思う。 それぞれの選択肢において、「上昇気流」と「下降気流」、「同程度」と「少ない」という「反対語」の組み合わせに注目すればいい。 とはいえ、気候(風系)について理論を理解しておかないといけない。 太陽からの受熱量の大きな赤道周辺(A)では、大気が膨張し低気圧となる。 熱帯収束帯が形成され、「軽く」なった空気は上空へと昇っていく。 この空気は上空を高緯度方向へと移動し、やがて緯度25〜30度付近(B)で下降し、この緯度帯に高気圧の帯をつくる。 これが亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)である。 高気圧からは風が吹き出し、低緯度方向に向かう風は貿易風(北半球では北東風、南半球では南東風)、高緯度方向に向かう風は偏西風(北半球では南西風、南半球では北西風)である。 一方、太陽からの受熱量の小さい両極周辺では大気は収縮し、高気圧となる(極高気圧)。 周囲へと風が吹き出し、極風(極東風)と呼ばれるこの風は北半球では北東風、南半球では南東風である。 貿易風と極風が会合する、緯度50〜60度付近(C)には寒帯前線が形成され、これは低気圧である。 寒気と暖気がぶつかり、その境界に薄い雲が生じる。 簡単に地球の風系(気圧帯と惑星風)について説明してみました。 文章だけじゃわからないって?いやいや、文章だけで理解できるレベルにまで学習を深めてください。 この程度の説明、軽く読み流せるぐらいにならないと解答はおぼつかないぞ! さて、以上のことをふまえて、それぞれの選択肢を分析していこう。 Aは熱帯収束帯。 「上昇気流」が発生する。 上昇気流は降水と結びつき(空気が上空で冷やされ、雲ができるのです。 熱帯収束帯のもとではスコールが降る)、降水量は多い。 気温が高いので蒸発量も多いが、それでもバランス的には「降水量>蒸発量」であり、「湿潤」となる。 Bは「亜熱帯高圧帯」。 「下降気流」が発生する。 下降気流により上昇気流が抑えられるので、雲は生じにくく、降水量は少ない。 気温は高く、蒸発量が多くなる。 「降水量<蒸発量」となる。 これが正しいんじゃない?正解。 Cは「寒帯前線」。 (密度の低い)暖気が、(密度の高い)寒気の上に押し上げられ、その境界に前線とよばれる薄い雲ができる。 空気が上方に向かうので、「上昇気流」と考えてよく、文章の最初の部分は正しい。 しかし、問題は後半。 前線はやや降水がみられる。 これに対し、この緯度帯は太陽からの受熱量が少なく寒冷であるため蒸発量は少ない。 「同程度」とはいいにくく、誤りとなる。 「降水量>蒸発量」の「湿潤」である。 極高気圧が形成され、「下降気流」が発生するのは間違いない。 ただし、降水量と蒸発量のバランスはどうか。 たしかに降水量は極めて少ないと思っていい。 北極や南極など極端な寒冷地域では雲は生じず、降水量はゼロである(みんなが北極や南極でイメージする「降雪」は「吹雪」であるので勘違いしないように。 山岳部の氷が、激しい風によって巻き上げられ、風下側の地域へと襲いかかる)。 しかし、それだからといって「降水量が蒸発量より少ない」と言っていいのだろうか。 明らかに「少ない」とは言いにくく、誤りと判定する。 [アフターアクション] 地球の風系の問題であるが、気候に関してはこうした理論を問うものが中心であるので注意が必要。 形式的にも内容的にも、2013年度地理B本試験第1問問1と類似しているので、チェックしておこう。 いずれも「湿潤」と「乾燥」という概念が重要となっている。 降水量が蒸発量より大きいのが「湿潤」、降水量が蒸発量より小さいのが「乾燥」。 地球全体で考えれば、降水量と蒸発量は同じなので、日本のように湿潤な地域があるのならば、同じ分だけ乾燥地域も存在することになる。 蒸発量は気温と比例するので、原則として緯度との関係が大きい。 緯度によって太陽からの受熱量が変化するからである。 降水量も気温と比例する傾向があるが(飽和水蒸気量を考えた場合、高温の空気はより多くの水分を含み、大きな雲をつくることになる。 低温はその反対)、しかし決して蒸発量と一致しないのは、緯度によって形成される気圧帯が異なっているからである。 赤道周辺は低圧帯(低気圧)で降水量が多くなるのに対し、緯度20〜30度付近は高圧帯(高気圧)で降水量は少なくなる。 こうした地球の風系を科学的に理解することが何より大切なのだ。 気候は「暗記」より「思考」が重要! [2] [ファーストインプレッション] 「災害」という言葉が用いられているが、メインテーマは「自然」そのものだろう。 文章正誤問題だが、下線部が施されているので、ターゲットは絞りやすいと思われる。 梅雨前線とは、寒帯前線の一種で、日本を中心とした東アジアを初夏に覆うもの。 つまり固有名詞と考えるべきで、インド洋に「梅雨前線」は明らかおかしい。 誤りである。 そもそも前線とは寒気団と暖気団の間に形成されるもの。 インド洋付近のような低緯度地域において、寒気団の存在は考えにくい。 文章全体の正誤はよくわからないが(つまり、干ばつの原因が果たしてエルニーニョ現象であるのか否か、ということ)、本問は下線部のみの判定なので、そこにはこだわらない。 「太平洋西部の海水温が異常に上昇する」のがエルニーニョ現象であるかどうかが問われている。 ポイントは2カ所。 一つは「太平洋西部」、一つは「上昇」。 エルニーニョ現象は、南アメリカ太平洋岸の低緯度近海(エクアドル〜ペルー)で生じる。 この海域は、通常時は寒流であるペルー海流の影響によって海水面の温度は極めて低い。 足元が低温であると上昇気流が生じず(これを大気が安定する、という)降水量が少なくなる。 「降水量<蒸発量」のバランスより、エクアドルからペルー、そしてチリ北部(*)に砂漠が生まれるのだ。 これに対し、エルニーニョ現象という異常な状況がしばしば生じるのだが、通常時が「低温」であるので、この現象については、水温の「上昇」と解釈して欲しい。 水温が上昇し、多くの水分が空気中に蒸発し、また足元の空気が温められ膨張することで気圧が下がり、上昇気流も生じる。 局地的な集中豪雨も生じることがあり、これがエルニーニョ現象なのである。 「上昇」は正しい。 そして、もちろん「太平洋西部」が誤っていることに気づいたかな。 南アメリカ大陸の「西」側の海域の水温上昇がエルニーニョ現象だが、太平洋全体からみれば、ここは「東部」だね。 誤文です。 Lは日本列島だが、「豪雪」とあるので、日本海沿岸地域だろう。 ここで雪が降る原因は、北西季節風の影響。 シベリアに発生する巨大高気圧から風が吹き出し(季節風・モンスーン)、この風が日本海上空で水分を十分に含み、日本列島にぶつかる。 地形性降雨によって雪雲を生じ、日本海側の山間地域を中心に激しい雪をもたらす。 「太平洋からユーラシア大陸」では方向が逆である。 熱帯低気圧の中でとくに巨大なものを、台風(太平洋北西部)、サイクロン(インド洋やオーストラリア近海)、ハリケーン(北アメリカ大陸)という。 寒気と暖気が混じり、前線をともなうのが温帯低気圧だが、熱帯低気圧は低緯度の高温地域にて発生したものであるため、前線をともなわない。 渦の方向は決まっていて、北半球では中心に対し周囲を反時計回りに空気が流動し、南半球では反対となる(コマを想像するといいかもしれないね。 北半球では反時計回りのコマ、南半球では時計回りのコマ)。 Mは「低緯度海域」の条件は満たし、熱帯低気圧は発生し、さらに北アメリカ周辺であるので「ハリケーン」は適切。 正文である。 (*)チリ北部の砂漠については、寒流の影響に加え、亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)の作用も強い。 世界で最も乾燥する大地である。 (**)地球の自転の作用によって生じる見かけ上の力のことで、空気や水のように摩擦力の少ない状態で動いているものはその影響を受ける。 北半球では、進行方向に対し右向きの力となり、南半球では同じく左向きの力となる。 たとえば、遊園地のメリーゴーラウンドのように回転している物体を考え、外側から円の中心へと真っ直ぐ歩いてみよう。 自分は真っ直ぐ歩いたつもりでも、君の軌跡は必ず曲がってしまうはずだ。 このように、地球が回転しているため、その表面を移動するものもその影響を受けてしまうことがわかるだろう。 巨大な低気圧が発生するためには、この転向力の作用が必須となる。 [発展]さらに熱帯低気圧。 低気圧に向かって風が吹き込み、その風が捻じ曲げられることによって中心部を集会する渦がうまれる。 この渦が大きければ大きいほど低気圧は巨大化し、台風やサイクロン、そしてハリケーンとなる。 低気圧の成長のためには転向力が必要となるのだが、しかし、実は赤道直下の地域では転向力は作用しないのだ。 「北半球は右向きの力、南半球は左向きの力、赤道直下では無し」が転向力。 そのため、いくら熱帯地域であろうと、赤道直下では熱帯低気圧は発生しない。 {発展2}さらに熱帯低気圧。 上では「赤道直下以外の低緯度海域」において熱帯低気圧は生じると言ったが、実はこれも不正確。 海流の流れを考えて欲しいのだが、低緯度海域においては大洋の西部(大陸東岸)を暖流が、大洋の東部(大陸西岸)を寒流が流れる。 いくら低緯度海域であっても、寒流の影響により水温が低い場合は熱帯低気圧は生じない。 太平洋の北半球においては、フィリピンから日本における海域では発生するが(日本海流)、カリフォルニア州かメキシコの沿岸では発生しない(カリフォルニア海流)。 太平洋の南半球においては、オーストラリアの北東岸(東オーストラリア海流)、南アメリカ大陸の沿岸では発生しない(ペルー海流)。 大西洋の北半球では、カリブ海やメキシコ湾では発生するが(メキシコ湾流)、ポルトガルやアフリカ大陸北東岸では発生しない(カナリア海流)。 大西洋の南半球では、ブラジル沿岸では発生する可能性はあるが(ブラジル海流)、アフリカ大陸南西岸では発生しない(ベンゲラ海流)。 [アフターアクション] 「解法」でいろいろと細かく語ってしまったけれど、そこまで深くは覚えなくていいです。 たしかに熱帯低気圧に関する出題は多いけれど、本問の選択肢4にみられるように、難しい内容を問うているわけではない、 他の選択肢についても、注意深く読んでいけば、決して判定は難しくないと思う。 とくに選択肢2や選択肢3はたいへん参考になる。 選択肢2は「西部:、「上昇」という反対語を持つ言葉(西部は東部、上昇は下降が反対語になるね)が用いられ、誤文を作りやすい文脈となる(なお、「エルニーニョ現象」といったカタカナの固有名詞が誤りである可能性は限りなく低いので、この言葉については正誤判定するまでもない)。 同じく、選択肢3には「太平洋からユーラシア大陸」というひっくり返したら誤文にできる部分が含まれているね。 こうした「誤文」を作りやすい文章をみつけるのも、とても大切なのです。 [3] [ファーストインプレッション] 世界地図レベルで「砂丘」や「三角州」など比較的規模の小さな地形を取り上げているのが珍しい、っていうか、判定が難しい。 でもポイントはそこじゃないから問題ないかな。 いわゆる内的営力が重要なのです。 [解法] 火山に関する問題。 とにかくセンター地理で火山が登場したら要注意!火山の存在する場所は限られているのだ。 ヨーロッパでの火山の分布は限定されている。 アイスランド島、そしてイタリア半島など地中海沿岸の一部の地域だ。 しばしば「新期造山帯=火山」と勘違いしている人がいるが、それは改めて欲しい。 アルプス山脈など新期造山帯の多くの山脈は褶曲山脈といい、激しい地殻変動によりプレートがねじ曲がることによって生じたものであり、こうした地形では火山は生じない。 火山が存在する地域を一つ一つ個別に覚えていった方がいい。 「カルデラ」の有無を問うまでもなく、スカンディナヴィア山脈には火山は存在しないのだから、これが誤りとなる。 「砂丘」とは文字通り「砂の丘」。 日本の鳥取砂丘のように、砂浜海岸となる沿岸部によくみられるものだが、単なる砂の丘と考えた場合には、世界中のいかなる場所にでも存在する可能性はある。 イは中央アジアの乾燥地域であり、砂漠が広がっている。 砂漠の多くは、岩石砂漠であるが、一部では岩石が風や雨の影響によって風化する(粉々となる)ことで、砂となることがある。 砂砂漠である。 こうした地形ならば、砂丘が生じるとみて誤りではないだろう。 正文である。 なお、「砂丘」と「砂漠」を混用している人はいないだろうか。 砂丘とは何度も繰り返すようだが「砂の丘」のことであり、例えば子どものころに公園の砂場などで砂の山をつくったことを思い出して欲しい。 あれが砂丘のイメージ。 これに対し、砂漠とは乾燥(蒸発量の方が降水量より多い状態)の度合いが高く、植生が失われた状態。 例えば、植木鉢で植物を栽培している時に、水を与えるのを忘れてしまい、干からびてしまったりする。 植物が枯れてしまった、その状態を砂漠という。 砂丘は地形用語であり、砂漠は植生用語である点に注意してほしい。 ウの地域は環太平洋造山帯に含まれる険しい山脈が連なる。 地殻変動によって形成されたものである。 なお、この地域には火山が分布する。 「三角州」は沖積平野に含まれる地形で、河口付近に土砂がたまり、陸地となったもの。 淀川の運んだ土砂により形成された大阪平野などが典型例。 こうした小規模な地形(小地形)が世界地図上で問われることは稀だが、エは重要なのでぜひ知っておいて欲しい。 五大湖方面からメキシコ湾へと注ぐ、アメリカ合衆国を北から南に流れるのがミシシッピ川。 河口の三角州は、鳥し(ちょうし。 「し」は鳥の足)状三角州となっている。 沿岸に開かれた河港を中心に発展した都市がニューオーリンズであり、かつて黒人奴隷が運び込まれ、現在でもアフリカ系の住民が多くなっている。 2006年には巨大なハリケーン「カトリーナ」の襲来を受け、大きな被害を受けた。 [アフターアクション] 火山の場所は頻出なので、必ずチェックしておこう。 意外に「新期造山帯=火山」って覚えている人が多いんじゃないかな。 でも、新期造山帯であっても内陸部に形成された褶曲山脈(アルプス山脈やヒマラヤ山脈、チベット高原)には火山は形成されないなど、例外が多すぎるので、直接場所を覚えてしまった方がいい。 火山がみられる地域は以下の通り。 1)オーストラリアを除いた環太平洋地域 そのものスバリ環太平洋造山帯と考えていい。 シベリア東部、日本、フィリピン、インドネシア、ニュージーランド、アンデス山脈、北アメリカ大陸の太平洋岸。 ただし、太平洋岸であってもオーストラリアには火山はないので注意。 2)カリブ海の島々 カリブ海には日本列島と同じように弧状に並んだ小さな島々がみられる。 これは火山島。 カリブ海の島々も、環太平洋火山帯から派生した火山帯の上に成り立っているのだ。 3)アイスランド島 アイスランド島は、プレートのひろ大西洋中央海嶺の上に形成された火山島である。 4)イタリア半島 ヨーロッパは北部で古期造山帯、南部に新期造山帯の地形が広がるものの、火山は少ない。 イタリア半島など地中海沿岸地域にいくつか見られる程度。 5)キリマンジャロ山 アフリカ東部の赤道付近に位置する成層火山。 プレートの広がる境界であるアフリカ大地溝帯に沿って形成。 6)ハワイ プレート中央部のホットスポットに形成。 他の火山と違って、プレート境界に形成されたものでないことに注意して欲しい。 [4] [ファーストインプレッション] 今までに見たことのないグラフだが、その意味がわかるかどうかが合否の境目じゃないかな。 10万年っていえば、人類の歴史からすればはるかな昔。 そこから何回か気温が大きく低下した時期があり、その中でも最も現在に近いものがP。 気温低下の時期あ氷河期であり、Pは今から数万年前の「最終氷期」なのだ。 [解法] 見慣れないグラフ。 横軸は年代。 「10万年前」っていったら、今の人類が生まれたぐらいの遥か古代。 縦軸が気温。 地球の温度は年代によって大きく変動してきたのだ。 グラフから判読するに、大きいものだけでも3回の気温低下期つまり氷河期があったようであり、その中でもつい数万年前のPの時期は最終氷期に当たる。 地球全体の平均気温が下がり、高緯度の広い範囲を大陸氷河が覆っていた。 その分、海水面は低下し(陸上の氷が増えたので、海水は減ったってことだからね)、日本列島と朝鮮半島が陸続きになっていた。 さて、基礎的な知識を確認して、選択肢の文章を確認していこう。 海岸線が現在より沖合に存在していたということは、陸地の面積が広かったってことだよね。 海水面が低下していたのだから、当然こうしたことは言えるはず。 これは正文でしょう。 高山における森林限界って意味がわかるかな?例えば、ほぼ赤道直下であるアフリカのキリマンジャロ山を例にとって説明してみよう。 この山においては、標高の低い山麓部は「熱帯」気候がみられ、ジャングルに覆われている。 それがやや標高が高くなると気温が低下し、「温帯」気候となるのだから、温帯林が広がる。 さらに高所では寒冷な気候、つまり「冷帯」となり、この気候に適した樹木である針葉樹林がみられる。 そして、さらに標高が上がると極めて寒冷となり、森林すら生育できない荒れ地となる。 標高6000メートルを越えるような山頂付近は、氷の世界となり、山岳氷河や万年雪に年間を通じて閉ざされている。 現在のこの状態よりさらに気温が低い時代のことを考えてみよう。 山麓付近ですでに温帯であるかもしれない。 針葉樹の高度隊も低くなるはず。 山頂付近の「氷の世界」もその範囲を広げ、標高4000〜5000メートル付近まで山岳氷河や万年雪が拡大していたとも考えられる。 どうだろうか?森林が生育できる範囲が狭ばり、つまり森林がみられる限界の高度は下がっている。 森林が「現在より標高の高い地域に分布していた」とは思えないのだ。 これが誤りでいいと思う。 現在の大陸氷河やグリーンランド内陸部(沿岸部の氷は夏には融けるのだ)と南極大陸。 最終氷期にはヨーロッパ北部や北アメリカ大陸北部、ニュージーランド南部や南アメリカ大陸南部に及んでいたことを考えると、「大陸氷河が現在より低緯度側に広がっていた」のは確かだろう。 なお、「大陸氷河」と「大陸氷床」は同じもの。 分厚い氷が大陸の上に乗り上げているのだ。 ツンドラというのは北極海周辺にみられる荒れ地のことで、短い夏の間のみ表面の雪氷が融解し、一面にコケ(地衣・蘚苔)が繁茂する。 氷河の周辺にみられ、氷河が低緯度方面にまで拡大すれば、ツンドラの範囲もそれに引きずられて広がる。 [アフターアクション] グラフがちょっと読み取りにくいんだよね。 ただ、本問についてはグラフの読解は問題とされず、文章をしっかりと読むことが大切となる。 「森林が少なくなるなんてヤバいじゃないか」なんていう直感だけで解くのではなく、「地球全体の気温が下がることで、もしかしたら湿潤地域が増えるんじゃないか」っていう冷静な判断もして欲しいのだ。 決して難しいことではないと思うよ。 [5] [ファーストインプレッション] 災害に関する問題かぁ、最近のトレンドですね。 とはいえ、災害に特化した問題というより、地形や気候がメインの内容になっているんじゃないかな、過去の出題例を考えると。 本問はどうなんでしょう。 [解法] 災害に関する問題であるが、自然環境との関係を考えないといけない。 「液状化」は地盤が水分を含んだ、湿った地質であることが重要。 「旧河道」はかつて河川であった低地であるので、この条件は満たす。 正文とみていい。 「断層」仁杏する事例が問われている。 「震源が浅い」ことが絶対的ではないが、「ずれが現れる」ことは間違いない。 正文とみていい。 「沖積平野」と「台地」が比較されている。 このような『比較の構造』を含む文章は誤文となりやすい。 重点的にチェックしていこう。 「地盤が強固」とある。 沖積平野とは、主に河川の堆積によって形成された平坦な地形であり、扇状地、氾濫原、三角州が含まれる。 このうちとくに氾濫原や三角州は低湿地であり、地盤に水分を多量に含む。 台地は高燥であり、こちらは水分が少ない。 たしかに、地震による土砂崩れなどの災害はみられるかもしれないが、「地盤が強固であるか否か」を問う場合には、台地が強固、沖積平野が軟弱(強固の反対語は軟弱)であることは間違いないだろう。 これが誤文となり、正解となる。 こちらも沖積平野と台地との比較。 沖積平野は先にも述べたように、扇状地、氾濫原、三角州を含むものだが、氾濫原以下の低湿な地形を考えるのが普通。 とくに三角州は沿岸部に位置し(そもそも、元々浅い海底だった部分に土砂が溜まって形成された低湿地が三角州なのだ)、津波に限らず、水による被害は受けやすいのである。 これに対し、台地は標高が高く、水害は及びにくく、津波の際もその被害からは免れるだろう。 正文である。 [アフターアクション] なるほど、最近模試をつくった際に「洪積台地」という言葉を入れたら、最近の教科書では洪積台地という言葉は使われず、全て単なる「台地」と言いかえられていますよと指摘を受けたんだか、たしかにそうなんだろうね。 こちらも「台地」という言葉が用いられている。 「沖積平野」の反対語としては「洪積台地」の方がピッタリくるけれど、その言葉が使われなくなった以上、本問のように「台地」という言葉に特別な意味を持たせないといけない。 もっとも、沖積平野も厳密には扇状地も含まれるので、その全てがそうというわけではないけれど、一般的な傾向として「沖積平野=低湿」と考えないといけない。 それに対し、洪積台地すなわち「台地」は「高燥」と考えるべき。 高燥とは低湿の反対の概念で、周囲の地形に比べ標高が高く、地盤も水分を含んでいない。 水が得にくいため、土地利用としては「田」より「畑」や「樹林」が一般的となる。 [6] [ファーストインプレッション] 簡略化した地形図を用いた災害に関する問題。 最近このパターンが多いね。 定番化した印象。 例年、難問は出題されていないが、今年はどうか。 [解法] 図の読解を正しくしないといけない。 まず「平野」であることは絶対的な事実であるが、図中に示された等高線より、やや傾斜のついた地形であることがわかる。 北で「20」メートル、南で「4」メートル。 点線で描かれた等高線の間隔は、高度差2メートルごとである。 平野のほぼ中央を河川が流れている。 一見すると道路のように見えるからややこしいね(笑)。 両岸を堤防によって囲まれている。 北から南に向かって流れ、等高線が上流側に向かって凸となっていることから、やや低い谷状の地形に沿って河川が流れていることがわかる(つまり天井川ではないってことね)。 激しい洪水が生じ、カの地点で堤防が決壊する。 カは標高10メートルの地点である。 これより標高が低いところに水が溢れ出し、浸水に見舞われるのだが、Xは標高12メートルに位置し、洪水被害は免れる。 これに対し、YとZは流れ出る河川水の被害を受けることになるのだが、とくに深い浸水となるのは、より低地に位置するZであろう。 Yは斜面上に位置し、河川水はすぐに流れ落ちる。 これに対し、Zは水浸しとなり、洪水の被害は大きい。 今までになかった内容の問題だが、図の読み取り、「堤防が決壊」、「浸水する可能性」といった言葉に注意すれば、解けない問題ではなかったんじゃないかな。 [アフターアクション] 地形図問題の一種ととらえるべきだろうね。 知識ではなく、図の読み取りが重要。 数字を読み取り、土地の傾きを想像する。 立体視が重要であるのは、他の地形図問題と変わらない。 [間違えました!] いや、これ難しいでしょ。 なるほど、言われてみれば、Yってすごく危ないところにあるわけよ。 等高線から判定するに(等高線が上方に向かって出っ張っているよね)、ここは「谷」であり、周りから水が集まってくる。 もしかしたら、図には示されていないけれど、そもそもYには川が流れているのかも知れない。 カて堤防が決壊すれば、濁流な谷に沿って流れ、Yを猛烈な勢いで水流が流れ落ちることになる。 たしかに最も「浸水する可能性の高い」のはYで間違いないのだろう。 Zは等高線の様子からみて、単なる緩やかな斜面といった感じ。 「尾根」ではないが、決して「谷」というほどの地形ではない。 Yでは谷に沿って水が集まるのに対し、こちらは周辺に比較的広く水が分散し、さほど浸水の被害は大きくならないだろう。 カより標高の高いXが浸水被害から免れるのは間違いないとして、「浸水する可能性」は。 Y>Z>Xの順番になると考えて妥当だろう。 [言い訳] 「浸水する可能性」っていう言葉があいまいすぎるんだわ。 過去問で、浸水した際の水の深さを問う問題があって、その類似問題と思って解いてしまったというわけなのです。 でも、それでは端に土地の高低(つまり標高)だけを見ればよく。 問題として単純すぎるもんね。 もっと深読みしなあかんかったってことなのかなぁ。 いやぁ、難しいっす。

次の

2017年度大学入試センター試験 問題・解答速報 | 中日進学ナビ

センター地理2017

あの、本当困ってるんです。 お願いしま 仕方ない!教えてやろう!!!(唐突) 「地理ってどの参考書使えばいいんだ・・・」 そう言いたくなる気持ち、チョーわかります。 ・山岡の地理B教室 ・村瀬のはじめからていねいに ・瀬川の面白いほど などなど、この参考書いいよ!って言われる参考書は多いんですよね。 「結局どれ使えばいいんだよ!」って結局迷っちゃう。 そこで今回は、名だたる地理の参考書を全て比較検討していきます。 紹介する参考書の良いところ、悪いところを上げ、最終的にはレベル別にどの教材を使ってよいか、まで紹介していくつもりです。 ちなみに、今回この記事で紹介する参考書は全て目を通してあります。 目を通していない参考書は一切紹介しないので、悪しからず!それではいくぞ!!! 定番中の定番。 地理の参考書だったら、まぁこれ読んどけって言われてくらい定番です。 この本を一言で説明するならば、「面白い授業の書き起こし」です。 これから紹介する参考書の多くは、大体、知識を羅列している教科書とほとんど変わらないというイメージですが、この地理B教室だけ全然テイストが違います。 後ほど紹介する、瀬川の実況中継の「実況中継シリーズ」も実は授業の書き起こしみたいなものなんですが、この山岡の地理B教室も実況中継シリーズのようなテイストです。 ちなみに、僕(筆者)もこの本を読んで、地理が好きになりました。 高3の夏休み明けくらいから、読み始めて、こちらの勉強法のように勉強を進めていき、なんとかセンター地理を8割まで持っていくことができたのです。 まさに僕にとっては救世主的な一冊です。 使い方はこちらの記事で解説している。 【2017年版】0からセンター地理を3ヶ月で8割まで伸ばす勉強法の5つの手順! 山岡の地理B教室のメリット・デメリット メリット1:読みやすすぎる。 楽しく学べる。 これは非常に重要な点。 参考書を読むことが面白いか面白くないかってだけで、その科目が得意になるかどうかが決まるといっても過言ではない。 参考書が面白いから、地理が好きになる。 地理が好きになるから、勉強する。 勉強するから点数アップが見込める。 こういう好循環を生むことができる。 メリット2:読むだけで地理的思考力が身についてくる。 後に紹介する他の参考書と全く違う点は、この参考書は教科書っぽい知識の説明だけをしている参考書と毛色が全然違うのだ。 著者の山岡先生もこう言ってます。 センター地理は、「基本の知識を使ってその場で考えさせる問題」を多く出します。 「地理的思考力」のテストなのです。 基本の知識をベースを理解して暗記することはもちろんのこと、その知識をどのように問題に当てはめて使えば良いのか?どうやって考えればいいのか?ということを山岡先生はこの本の中で教えてくれます。 まさに神本! メリット3:まとめのページがあるので暗記しやすい! ただ、面白いだけじゃない!各章の終わりに知識のまとめのページがあって、そこでちゃんと暗記事項を暗記することが出来る。 これが中々デカイ! メリット4:手書きの図やイラストが多様に使われてる このおかげで読んでて飽きない。 カラーの参考書などもたくさんあるが、単純にカラーってだけで、読みやすいかどうか、読んでて楽しいかは別なのである。 デメリット1:全ての知識が網羅されているわけではない。 (全体像把握にはちょうどよい文量) この本は最初に全体像を把握するのには適しているが、知識を全てまんべんなく身につけていくのには向いていない。 例えば、センター8割の人が9割、満点を目指していくときに山岡地理Bは適切な教材じゃない。 教科書やもっと細かい情報が載っている教材と、過去問をしっかり読みながら学習を進めていくのがよい。 なんだこれは・・・読みやすい参考書もあるじゃないか・・・ そう思いながら、ふと誰が書いたのか?を見たら、 「山岡」 と書いてるじゃないか!山岡の先生が作る、教科書型の参考書。 これは神本です。 メリット1:教科書的なまとめ本だけど、かなり読みやすい! 内容的には、面白いほど、はじめからていねいに、みんなの、と似ていますが、 こっちのほうがレイアウトや文体がとにかく読みやすい。 文体もかなりいいです。 余白もあっていい感じです。 メリット2:演習問題の配置も絶妙 問題の配置も絶妙で、かなり勉強しやすい形になっています。 メリット3:覚えるべきキーワードチェックリストまである 地理は暗記だけじゃないといっても、暗記するべきところは暗記しなければいけない。 その暗記するポイントをまとめた、山岡先生特製のチェックリストまである。 メリット4:図がわかり易すぎる! そのまま地図帳に書き込んでもいいと思えるくらいわかりやすい図。 デメリット1:分厚いから一見とっつきにくい 他のまとめ本系の参考書と同様、「この本マスターできるの?」という気になってしまう。 だが、別にこの参考書はマスターする必要はない。 教科書の代わりに、センター地理の演習をしながら、知識が足りないところをこの参考書を読みながら補填するくらいの活用方法でよいからだ。 しかも、分厚い割に内容は読みやすいので、読んでみるととっつきにくさは消える。 デメリット2:意外にこの参考書をオススメしている人がいない。 知名度が低い。 まだ新しい参考書ということもあるが、この参考書の知名度はあまりに低い。 3位:村瀬の地理Bをはじめからていねいに 色んなサイトを見ていると、山岡地理Bとこの村瀬のはじめからていねいにで悩んでいる人が多いようだ。 、には系統地理編と地誌編の2冊があり、この点は確かに山岡の地理B教室とも似ている。 だが、この参考書はかなり山岡の地理B教室とはだいぶ毛色が違う。 この参考書は、ほとんど教科書に近い構成をしている。 「読ませる」山岡の地理B教室だとしたら 「まとめ」の村瀬の地理Bをはじめからていねいに、という感じだ。 カラーの絵の説明や、図を使った説明、地図上の説明もあるが、書き口は教科書的。 正直僕は、ワクワクしながら勉強するのは難しいんじゃないかと思っている。 メリット1:図や写真を多様されており、カラーだからビジュアルで理解しやすい。 詳しくいくぞ! 教科書に書かれている内容を少し平易に、しかもわかりやすく書いてあるので、これから学習するという人は教科書「より」は取り組みやすい。 ちなみに、山岡の地理B教室と比べると、山岡の方が取り組みやすそうに思える。 メリット2:知識がある程度網羅されている。 完全に網羅されているわけではないが、地理B教室よりかは情報量が多い。 その点では地理B教室を上回っている。 だが、それなら教科書でもいいかも・・・?と私は思ってしまう。 デメリット1:文体が教科書と変わらない・・・? 初学者にとって大切なのは、とっつきやすさ。 勉強をすることが嫌になってしまったらそもそも点数を伸ばす勉強なんて出来ない。 そういう意味でこの参考書がとっつきやすいかというと・・・うーん?となってしまう。 まぁもちろん、合う合わないはあるけどね。 ただこの参考書を読むなら、山岡の地理Bで全体像を把握しながら、細かい部分は教科書を読めばいいのでは・・・?と僕は言いたい。 デメリット2:文字が詰まりすぎ説 参考書のとっつきやすさ、勉強のしやすさの要素の一つとして 「レイアウト」 というのがある。 例えば、このブログも全く改行がなければこんな感じになる。 今日は地理の参考書について解説していこうと思います。 オススメの参考書は山ほどあるけど、その中からいくつか絞って紹介していきます。 初めから勉強する人にとっても、後もう少し点数を伸ばしたい人にとってもためになる解説をしていこうと思っているので、最後までぜひ読んで下さい。 ちなみに、僕は高校生の頃センター地理が最初は嫌いでしたが、・・・ 行数が短いが詰まっている感じがして読みにくくなるのが分かるでしょう。 自分が「これは勉強しやすいな!」と思うようなレイアウトであれば、いいんですが、そうじゃないなら、その教材はやらない方がいいでしょう。 は山岡の地理B教室と同様に、授業を実際に文字起こししたような内容。 ただ、山岡の地理B教室と読み比べてみると分かるが、そのテイストは結構違う。 メリット1:語り口調で読みやすい。 実況中継シリーズの最も大きな特徴だが、授業の実況中継なので、その先生の語り口調で書かれている。 当然、教科書的な文章よりかは読みやすい。 メリット2:山岡地理Bより、知識量は多く感じる。 情報量は、山岡の地理B教室よりも多く感じる。 メリット3:問題形式も混ざっているので、演習に繋げやすい 実際のセンター試験で登場した問題を、参考書の中で使っているので、実際に「知識をどう使うのか?」を学びながら学習を進めることができる。 デメリット1:語り口調が若干無理やり感 (瀬川先生)も同様なのだが、瀬川先生の話口調が少しだけ「無理矢理感」は感じる。 言ってみたら、教科書の文章を無理やり話し言葉に変えた・・・みたいな。 山岡の地理B教室は山岡先生の経験談や、センター試験でちゃんと覚えておかないといけないツボなどを抑えながら「山岡先生の口調」で書かれていることを感じるが、この本は少しそれを感じにくい。 デメリット2:やっぱり情報量が多い 瀬川先生は魂を込めすぎて、情報量が多くなりすぎてしまっている。 (この記事もそうだが。 笑) 理系の受験生はそもそも社会にそんなに時間を割くことはできない。 なら、山岡ぐらいの全体像を把握できる文量のものでザクッと勉強し、その後、過去問を使いながら、学習をドンドン進めていく方が効率がいい。 問題に関しても色々とたくさん組み込まれているので、参考書+問題集としてかなりの情報量が詰まっている。 内容も濃く、たしかにこの一冊をマスターすればセンター地理の点数はアップするだろうなという気にはなる。 メリット1:情報量がヤバイ 教科書に書いてある内容を出来る限り詰め込み、さらにセンター地理の解説も詰め込み、よくある質問も詰め込んだりと、とにかく「詰め込んでやる!」という気持ちが感じられる。 メリット2:話し口調なので、教科書より読み進めやすい 読んでみたら分かるが、本書は瀬川先生の勢いある文体で構成されている。 瀬川先生の勢いある雰囲気が好きな人にはツボだろうと思う。 メリット3:よくある質問のようなコーナーがある 参考書において、こういうコーナーは結構大切。 痒いところに手が届くような情報が載っている教材は個人的に評価が高い。 (ただ、この参考書の場合(そこ疑問に思うかな・・・?)という点がよくある質問になっていたりするので、本当によくある質問か?と疑ってしまう) デメリット1:ちょっと詰め込みすぎ。 レイアウトもキツイ 以上に、レイアウトがキッツキツ。 文字が詰まりすぎていて、ちょっと読みにくい。 話口調であるとは言え、いくらなんでも・・・感はある。 読んでみたら分かるが、所狭しと文字で埋まっており、その間に図がちょこんとおいてあったり、生徒からのよくある質問が載っている感じ。 ザーッと見た感想として、読み進めやすいものではない。 デメリット2:厚いので、「マスターできるかな?」という気になる。 効率的な勉強法で大切なのは、薄い参考書でも簡単な参考書でもいいから、 マスターしていくこと。 この参考書はマスターした!!! という自信が次の学習や、テストの点数に繋がっていく。 そういう意味でこの参考書は1冊が分厚すぎてマスターできるかどうか、少し不安になってしまう一冊。 僕は文量が多すぎてやる気が失せている。 笑 このまとめ方なら教科書の方がいいだろうなと感じさせる一冊。 6位:みんなのセンター教科書 地理B 教科書的な参考書。 構成は、村瀬のはじめからていねいにと似ている。 村瀬のはじめからていねいにと比べて違うところは、情報量が違うところか。 村瀬は系統地理編と地誌編の2冊に分けているのに対し、みんなのセンター教科書 地理Bは1冊でまとまっている。 だが、そこまで分厚い本ではない。 メリット1:文字が大きく読みやすい。 他の参考書と比べても文字が大きめで読みやすい。 レイアウト的にも、村瀬のはじていや、瀬川先生の面白いほど、実況中継と比べて詰め込みすぎていなく余裕があって読みやすい。 メリット2:カラーで、図も多様されているのでとっつきにくくはない。 初学者が最初に読む本としては読みやすい。 が、最初に読む本としては山岡推しにはなってしまう。 笑 デメリット1:結局、教科書でよくね・・・?感がある 教科書以外にこういうまとめ本を買いたいなら、次に紹介する「きめる!センター地理」の方をオススメする。 登録は完全無料です。 ) ID: hmu2310k.

次の

センター試験【地理B】 出題傾向分析&“2018年”攻略対策|大学受験パスナビ:旺文社

センター地理2017

2017年度地理B追試験第5問解説 一昨年よりスタートした、比較地誌。 でも、問題に無理がありすぎて、やめたらいいと思う。 今回もニュージーランドとフィリピンという、比較する必要すらない無関係な2か国が取り上げられているのだが、何か意味があるのだろうか。 問題も、難しすぎるし、悪問だらけ。 無理やりこのジャンルにテーマを押し込めているだけの印象。 せめて簡単な問題にしてくれたら、まだマシやねんけどね。 [24] [ファーストインプレッション] かなり変わった出題パターン。 センターっぽくないし、出来の悪い模試みたい???問われている内容も、かなり判定に困る。 [解法] 気温と降水量に関する問題だが、こうした問題の場合はグラフや表を使って欲しいと思うわけだ。 さらに、降水量はともかく、気温に関しては判定が微妙すぎる。 どうしたもんか。 とりあえず簡単な降水量の判定から。 ニュージーランドは年間を通じ偏西風の影響を受け、変化の少ない気候がみられる。 降水量も季節を問わず安定している。 それに対し、東南アジアのフィリピンはモンスーン(季節風)の影響が強く、季節ごとの降水量の違いが大きい。 大陸からの季節風が卓越する冬(そもそもフィリピンは熱帯なので冬という概念はないが、北半球の冬に該当する1月を中心とした時期ということ)には降水量が少なく乾季となり、海洋からの季節風が卓越する夏(同じく7月を中心とした時期)には多雨となり雨季を迎える。 東アジアから東南アジアの広い範囲におけるモンスーンの影響を考えれば、降水量の判定は容易だろう。 「最多雨月と最少雨月の降水量の差」については、フィリピンのマニラの方がニュージーランドのクライストチャーチの方が大きくなる。 一応、ニュージーランドの降水について補足を。 とにかく「偏西風」の影響が強いことが絶対的。 風上側の斜面となる国土の西部においてとくに降水量が多く(年間1000ミリ以上)、風下側の斜面となる東岸においてやや降水量が少なくなる(年間1000ミリ未満。 ただ、極端な少なさではないので、乾燥気候となるわけではない)といったように、地域による「年間の降水量」の違いは大きい。 しかし、本問で問われているような「季節による降水量の差」は小さく、安定していると捉えていい。 要するに、西岸の地域は一年中かなりの雨が降るし、東岸の地域は年間を通じとくに降水量が多くなる時期がないということ。 クライストチャーチも実はあまり雨は多くない。 しかし、やや雨が少ないぐらいの方が小麦栽培には適しているのだ。 クライストチャーチの位置するカンタベリー平原は国内最大の小麦農業地域であるので、知っておいてもいいだろう。 また、この地域は肉羊の飼育もさかんに行われている。 穀物(小麦)栽培と家畜(羊)飼育を組み合わせた混合農業地帯なのだ。 では、ここからは気温について考えていこう。 実はこれがかなり難しい。 っていうか、正直なところ、あまり自信がないし、そもそも問題の意図がわからない。 こんなことを答えさせて何の意味があるというのか。 上でも述べたようにニュージーランドは偏西風の影響が強い島なのだが、偏西風は低緯度方向から吹く(南半球の場合は北寄り)暖かい風であり、そのためニュージーランドは冬はかなり温暖。 イメージとしては「雪の降らない北海道」といった感じ。 さらに周囲は広く海に囲まれた「絶海の孤島」であり(地図で確かめてみるといいよ。 オーストラリアとニュージーランドって、実はかなり離れているから。 日本とユーラシア大陸のような「近さ」を想像してはいけない)。 典型的な海洋性気候がみられ、「冷涼な夏、温暖な冬」が特徴である。 気温年較差は、この緯度としてはかなり小さいと考えていいだろう。 本来、緯度と気温年較差は比例する(緯度が高いところは季節による太陽からの受熱量が大きいので、夏と冬の温度差が大きい)のだが、ニュージーランドはその例外となる。 ただ、ここからが難しいんだわ。 これだけの手がかりから「ニュージーランドの方がフィリピンより気温年較差が小さい」と断言していいのだろうか。 ニュージーランドが緯度のわりに気温年較差が小さいのはわかった。 では、フィリピンはどうなんだ?フィリピンは緯度10〜20度に位置する低緯度国。 年間を通じての太陽からの日射量の変化が小さいのだから、気温年較差も当然小さくなる。 フィリピンとニュージーランド、どちらが季節差が大きいんだ?この判定って実に難しい。 気温年較差の考え方について、ヒントを提示するので、みなさんも考えてください。 こうした日本の気候については数字でぜひ覚えておいてくださいね。 「常夏」の熱帯ならば、そんなもんなんじゃないかな。 一年を通じて、気温の変化は極小である。 例えば低緯度であっても内陸部ならば寒暖差は大きくなるだろうが、フィリピンは周囲を海で囲まれている。 気温は安定しているとみていいだろう。 以上から、フィリピンとニュージーランドの気温年較差を考えてみよう。 どうだろうか。 全くのカンになってしまうのだが、ニュージーランドの方がフィリピンより気温年較差が大きいと考えてみていいんじゃないか。 さすがにこれはないんじゃないか。 涼しいというか、寒すぎる。 さらに緯度の高い(北緯50度ほど。 [アフターアクション] 力ずくで問いてしまったけれど、これが適切だったのだろうか。 「解法」でも説明したように、できるだけ理論的には考えているのだけれども、最終的にはカンに頼ってしまっている。 いや、これは難しいよ(涙)。 ただ、いわゆる「ケッペンの気候区分」が通用しないことはわかる。 ケッペンの気候区分によるとニュージーランドは「西岸海洋性気候」であり、一年を通じて安定した気候がみられる。 でも、そのことから「ニュージーランドの方が気温年較差が小さい」と判断してしまうのは早計なのだ。 フィリピンが低緯度に位置することは絶対的なことなのだ。 いずれにせよ、本問は難しい。 不正解でも仕方なかったんじゃないかな。 この第5問全体に言えることだが、受験生に得点を取らせようという問題じゃない。 間違ってこそ当たり前の問題になってしまっている。 これはセンター試験としてはダメなんじゃないかと思うんだが。。。 [25] [ファーストインプレッション] 土地利用の問題というのは基本的に難問が多いのだが、これはとくに難しい!ニュージーランドは「牧場・牧草地」が広いことはイメージどおりとは思う。 しかし、そこからの判定が困難すぎるのだ。 最後はカンでやらんとどうしようも無いんちゃう??? [解法] 土地利用に関する問題だが、最も大切なのは「牧場・牧草地」。 いわゆる草原のことで、やや乾燥したステップ気候の国で広い割合を占めるのだが、他の主な牧草国にはケニア、イギリス、アイルランド、アルゼンチン、そしてニュージーランドがある。 その一報で、降水に恵まれた湿潤地域では一般的に牧場/牧草地の割合は低く、例えば日本でも牧場・牧草地はほとんどない。 放っておいたら樹木が生えてしまうので、草原にならないんだよね。 フィリピンも同じような状況と考えていいと思う。 ニュージーランドの値が最大で、フィリピンがわずかであるAが「牧場・牧草地」である。 ただし、ここからが難しいのだ。 「耕地」と「森林」はわからない(涙)。 フィリピンの値は25.9と36.0であまり差がない。 31.4と2.1で大きく異るニュージーランドで考えるしかないよ。 ここでポイントとなるのが、実はニュージーランドは森林国でもあるということ。 問5の貿易品目に「木製品・コルク製品」があることに注目しよう。 比較的林業がさかんで、木材やその加工品が日本にも輸出されているのだ。 このことからBを「森林」とし、残ったCを「耕地」とする。 でも、ちょっと待てよ。 2.1%とはさすがに少なすぎるんじゃないか! 僕も正直、これには困った。 農業がさかんでない日本ですら、耕地率って国土の10%を占めているんだわ。 ニュージーランドでそんなに耕地が少ないなんて!? ただ、これには無理やり納得するしかないと思うよ。 ニュージーランドの人口はわずか500万人で、1億人に達するフィリピンの20分の1。 ニュージーランドとフィリピンの面積はそんなに変わらないから(図より。 人口が20分の1で、耕地面積も20分の1ならば、それはそれでおかしくないんじゃないか。 もちろん、土地生産性(1ヘクタール当たりの収量)も違うだろうし、そもそもニュージーランドは穀物の輸出もしているから単純に人口と結びつけるわけにもいかない。 それでも、この数値は許容範囲とは思うんだわ。 一般に農地といえば、「牧場/牧草地」と「耕地」の両方を指すのだが、農業国ニュージーランドは畜産業こそさかんであって、国内の広い範囲が牧場として利用される反面、実は小麦畑の面積って限られているんじゃないか。 無理やり「納得」することはできると思うよ。 いや、これ難しいわ。 [アフターアクション] 土地利用の問題については。 牧場・牧草地面積割合の高い国を絶対に知っておくべき。 これは丸覚え。 以下に列挙する。 1)ステップ気候がみられる半乾燥国 とくに割合が高い(70%)のがモンゴル。 他にはカザフスタン、オーストラリアなど。 2)ケニア ケニアは赤道直下に位置するが、標高が高く気温が低い(常春)。 熱帯雨林とはならず、草原が広がる。 サバンナの国。 3)イギリス・アイルランド イギリスとアイルランドは大陸氷河によって大きく土壌を削られてしまった国。 岩石がゴロゴロしている荒れ地が広がり、ところどころ草が生えている程度。 それを「牧場・牧草地」というのだ。 4)アルゼンチン・ウルグアイ 日本と同じ降水量の豊富な温帯国であるが、国土の広い範囲をパンパと呼ばれる草原が覆っており、そのため「牧場・牧草地」の割愛が高い。 5)ニュージーランド 温帯国であり、かつては国土のほとんどが森林だった。 しかし、年間を通じ牧草が生育できる気候環境を有していたため、イギリス人によって森林が伐採され、広く牧草地が開発された。 土地利用の問題は「牧場・牧草地」がポイントとなることが多いので、上の国を覚えておいて、問題を解く際に利用しよう。 ただ、本問の場合はここからさらに「森林」と「耕地」を考えないといけないのだ。 それが難しいんだけどなぁ。。。 [26] [ファーストインプレッション] ちょっとホッとした。 これは簡単だわ。 得点調整用の問題なのかな。 とはいえ、重要知識も含まれているので、軽視してはいけません。 東南アジア各地に中国からの移民(華僑)やその子孫である中国系の人々(華人)は多いものの、さすがに彼らが多数派になっているのはミニ国家であるシンガポールのみ。 フィリピンで大半を占めるのは先住系の人々。 フィリピンはスペインの植民地時代にキリスト教カトリックが布教された。 イギリス人によって迫害された歴史があるが、現在は保護され、彼らの伝統文化は尊重されている。 マオリ語も公用語の一つ。 下にまとめておくので、絶対に知っておこう。 ・カトリック・・・フィリピン・東ティモール フィリピンはスペイン、東ティモールはポルトガルと、カトリックを信仰するラテン国家によって植民地支配され、カトリックが布教された。 ・仏教・・・ベトナム・カンボジア・ラオス・タイ・ミャンマー ベトナム・カンボジア・ラオスはメコン川に沿い、タイはチャオプラヤ川、ミャンマーはエーヤワディー川が国内を貫く。 河川沿いに開けた低地では米作がさかんで、豊かな農業基盤を背景に仏教が広まった。 仏教は「托鉢」の習慣があるため、農業地域でこそ成立する。 いずれもインドシナ半島の国々。 かつて香料交易のため、アラブ商人たちが訪れ、イスラム教が広められた。 [27] [ファーストインプレッション] いや、解けない問題ではないのだが、かなり難しい部類に入ると思うよ。 人口規模に関する感覺がないといけないのだが、フィリピンやチリは知っとけっていうのが無理なんじゃないか。 [解法] 「最大の都市圏(*)人口」に注目。 それぞれの国の総人口を考えることがヒントとなる。 ニューヨークを中心とした巨大都市圏の規模は、東京のそれに匹敵するのはないか。 ニュージーランドとアメリカ合衆国のいずれかと考えてみていいだろう。 両国の人口を知っておけば簡単なんだが、それも無茶な話と思うんだよなぁ。 結果から言えば、フィリピンの人口は1億人規模であり、それに対しチリは2000万人程度。 マニラを中心とした大都市圏は1000万人規模で極めて巨大。 なお、老年人口率については、チリもフィリピンも低い。 いずれも人口増加率の高い国であり、出生率が高いことから幼年人高率が高く、相対的に老人の数は少ない。 両国とも、離婚と中絶の禁じられたカトリック国であり、出生率が高い一つの要因となっている。 (*)都市圏というのは都市の影響範囲ことで、いわゆる通勤圏と一致する。 東京都特別区部を一つの「都市」とした場合、都市そのものの人口は900万人程度であるが、都市圏人口は数千万人規模に達する。 [アフターアクション] 「解法」では国の人口で考えてしまったけれど、フィリピンはともかくとして(人口が大きい国として覚えておくことは可能)、チリの人口を知っておくというのはさすがに無理。 もちろん「フィリピン>チリ」という知識だけあれば解答は可能なんだが、それでも受験生の負担が大きいことには変わりない。 ここは、むしろ「人口1000万人規模に達する都市」を覚えてしまった方がいいのかもしれない。 有名な都市が多いので、さほど困難ではないと思うがどうだろうか。 以下に(知っておくべき)「1000万都市」を挙げておくので、ぜひとも確認しておこう。 (アジア)東京・ソウル・マニラ(都市圏)・ジャカルタ・ダッカ・カラチ・イスタンブール (アフリカ)ラゴス (ヨーロッパ)ロンドン・パリ(都市圏)・モスクワ (新大陸)ニューヨーク・メキシコシティ・サンパウロ なお、中国とインドの都市は除外してある。 いずれも莫大な人口を有する国であり、そもそも中国やインドの都市名が登場した瞬間に「1000万都市」と決めつけていい。 なお、おまけで「500〜1000万」の都市も挙げておきますね。 アジアでは、ホーチミン、バンコク。 テヘラン。 アフリカではカイロ。 ヨーロッパは無し。 新大陸では、リマ・サンティアゴ(本問で取り上げられていますね)、リオデジャネイロ・ブエノスアイレス。 [28] [ファーストインプレッション] オーソドックスな貿易統計。 さらにニュージーランドとフィリピンはいずれも輸出品目に特徴がある国。 確実にゲット! [解法] 酪製品の判定は容易。 世界広しといえど、これが主な輸出品目となっている国はニュージーランドのみ。 ニュージーランドは本当に変わっている国で、工業も無ければ資源もない。 かといってプランテーション作物の生産がさかんな国でもなく、比較的自給的要素の高い農畜産物が輸出品目の上位にある。 要するに、自分たちが食べるために農業や畜産を行うのだが、余った分を輸出しているということ。 もちろん「新大陸」であり、農牧業そのものは商業的な側面が強いのだが、国内の自給を満たした上での輸出であるので、アフリカの国々(こちらは商品作物の生産に特化し、穀物など自給作物については輸入に依存している)とは異なっている。 ニュージーランドにしか存在しないYを「酪製品」とする。 さて、ここからがポイント。 機械類はそれ自体の価格が高く、少量であっても輸出「額」においては高くなる傾向がある。 それに比べて、野菜や果実は第1次産業の生産物であり、価格はさほど高くない。 Xはニュージーランドとフィリピンにあり、Zはフィリピンのみ。 これだけみて、「なるほど、両国に含まれているXが機械類だ」と判断しがちなんだが。。。 実はそこは落とし穴なのだ! とにかくニュージーランドに注意して欲しい。 上でも述べたように、この国は「工業」、「鉱業」、「プランテーション作物」が存在しない国なのだ。 酪農と企業的放牧、さらに混合農業が一部で行われ、その生産物である酪製品や肉類など第1次産業による品目が輸出品となっている。 そういった国において、第2次産業の品目である「機械類」が輸出されているのだろうか。 別の言い方をすれば、ニュージーランドで機械工業が成り立っているのだろうか。 一般的に先進国(1人当たりGNIの高い)で工業化が進んでいる。 日本やアメリカ、ドイツは世界的な工業国であり、韓国もこれに加えていいだろう。 しかし、君たちもよく知っているように、近年は1人当たりGNIの低い低賃金国(つまり発展途上国ですね)の工業化が著しい。 中国や東南アジア、インド、東ヨーロッパ、メキシコなどいずれも機械類が主要輸出品目となっている。 これってどういうことなのだろう?昔は「垂直貿易」や「水平貿易」なんて言って、「先進国が発展途上国へ工業製品を輸出する」とか、「工業製品を先進国同士でやり取りする」なんていうのがスタンダードだったわけだが、これも過去の話だよね。 「安価で豊富な労働力」を求めて、繊維工業や機械組立工業などは発展途上国へと進出しているし、または中国のようにマーケット(市場)の大きい国(GNIが大きいということ)では自動車の現地生産も行われている。 輸出加工区では日本の衣料メーカーや電気機械メーカーが工場を設け、完成品を日本へと「逆輸入」している。 あるいは日本の自動車メーカーが中国国内に日系企業を設立し、中国向けの自動車生産を行っている。 そりゃ、中国が世界最大の(ダントツの!)工業国になるわけだよね。 さて、こういった状況をふまえた場合、果たして「ニュージーランドで工業が発達する」可能性があるだろうか。 ニュージーランドは1人当たりGNIの高い先進国の一つであるが、人口規模は極めて小さく、GNIも当然小さい。 1人当たりGNIが高いのだから、労動賃金水準も高く、外国から工場は進出しない。 また、GNIが小さく、国内マーケットが小さいので、やはり外国から工場は進出しない。 所詮は「小国」に過ぎず、ニュージーランドを本社とする電気機械メーカーもないだろう。 この国が工業化する理由など一つもないのだ。 そんなニュージーランドで機械類が輸出の上位品目になる可能性があるだろうか。 ニュージーランドと同じ条件(1人当たりGNIが高く、GNIが小さい)の国としてシンガポールがあり、この国は例外的に機械類の輸出が多いが、それは貿易に特化した商業国だという理由があるよね。 機械類を輸入し、機械類を輸出する、シンガポール港は世界トップクラスの貿易額を誇る港湾であり、重要な中継貿易港である。 「絶海の孤島」であるニュージーランドにそうした港があるとは思えない。 以上より、XとYはその候補から外れ、Zが「機械類」となる。 フィリピンの貿易の半分近く(45.3%)を占めているわけだが、日本から多くの機会組立工場が進出している様子を考えて欲しい。 フィリピンは、1人当たりGNIが極めて低い(3000ドル/人程度)であり、しかも人口が多い(1億人)のだから、安価な労働力が豊富に得られる。 日系企業の進出により工業化が進んでいるとみて、実に妥当なのだ。 両国で高い割合となっているXは「野菜・果実」であるが、これについてはどうだろう。 フィリピンといえば、何と言ってもバナナだよね。 南部のミンダナオ島には日本の企業が経営する大農園が開かれ、バナナがさかんに栽培されている。 安価な労動賃金水準で、安いバナナが栽培される。 ニュージーランドはわかるかな。 これは「かぼちゃ」だね。 本来、痛みやすく保存が困難は野菜は、近郊農業で知られるように都市(消費地)周辺にて栽培されるのだが、固くて長期保存に適するカボチャはその限りではない。 カボチャが収穫されるのは夏だが、冬でも日本の市場には出回っている。 北半球と季節が反対になることを利用し、南半球においてカボチャがさかんに栽培され、日本へと送られているのだ。 [アフターアクション] あれっ、意外に難しかったな。 結局この第5問という大問は異常なほど難易度が高かった。 東南アジアが工業地域であることをどこまでイメージできるかって問題ではあるんだよな。 「先進国は工業、発展途上国は農業」と考えると間違う。 むしろ、「アジアは工業」って決めつけてしまっていいと思う。 中国は世界最大の工業国であり(しかもダントツ!)、インドはコンピュータ大国、そして東南アジアもほとんどの国で最大の輸出品目は機械類であり、今やタイは世界的な自動車生産国である(日系企業だけどね)。 その反対に、「オセアニアは非工業地域」という決めつけも有り。 センターに登場するオセアニアの国はオーストラリアとニュージーランドだが、オーストラリアの主な貿易品目は資源であるし、鉄鉱石や石炭を中国に大量に輸出している。 ニュージーランドについては資源すらないので、農畜産物に輸出品が偏る。 オーストラリアとニュージーランドは、いずれも1人当たりGNIが高い先進国で、人口が少ないことから、(豊富で安価な労動力を目的とした)外国からの工場進出がみられない。 また、GNI(経済規模。 1人当たりGNIと人口の積)が小さく、つまり国内マーケットが小さいため、この国で生産活動を行っても仕方ない。 とくにオーストラリアなどは経済レベル(1人当たりGNI)は日本よりも高く、シドニーやメルボルンなどの巨大都市も存在するが、工業生産力は極めて低いので、違和感はあるかもしれないが、しっかり理解してほしい。 せっかくなので、発展編としてニュージーランドの農畜産物以外の輸出品目にも注目してみよう。 本問の表では「アルミニウム」と「木製品・コルク製品」が登場している。 アルミニウムは、一般的な工業大国だけでつくられているのではなく、アイスランドやノルウェー、そしてこのニュージーランドでも製錬が行われ、これら非工業国の主要輸出品目の一つとなっている。 アイスランドは水産国であり魚介類の輸出が多いが、アルミニウムの輸出もみられる。 ノルウェーは原油や天然ガスの産出が多い資源国だが、実はヨーロッパ最大のアルミニウム生産国である。 農畜産国ニュージーランドでたった一つ存在する工業がアルミニウム製錬なのだ。 この3カ国に共通するキーワード、それはもちろん「水力発電」だよね。 ボーキサイトからアルミナを取り出し、それを電気分解することでアルミニウムが製錬される。 「電気の缶詰」とも呼ばれるアルミニウムは極めて大量の電力をその製錬の際に必要とするので、できるだけ安価で安定した電力が得られる地域において、その工業が成り立つ。 それが、アイスランドであり、ノルウェーであり、そしてニュージーランドなのだ。 なお、ニュージーランドのアルミニウム工業都市は、国土最南端のインバーカーギル。 この付近はフィヨルド海岸が広がり、かつて存在していた大陸表によって削られた急崖が連続する。 豊富な降水量(偏西風が吹き込むため、降水量が多いのだ)と険しい地形を利用して水力発電が行われ、アルミニウム工業と結びついている。 それでいて冬でも凍らない(凍ってしまったら水力発電ができないよね。 北海道は水力発電がさかんな地域ではありません)のだから、いかに偏西風や暖流がこの国の気候に大きな影響を与えているかがわかるよね。 さらに、「木製品・コルク製品」についても。 ニュージーランドは「雪の降らない北海道」のイメージ。 温暖な偏西風や暖流の影響によって冬でも温暖であり、温帯気候がみられる。 現在はイギリスの支配によって国土の広い範囲が牧草地とされてしまったが、そもそも樹林に恵まれた森林国なのだ。 木材の輸出も多く、それを利用した製品(木製品やコルク製品など)の輸出も行われている。

次の