企業ミッションに顧客までもが魅せられる まずは自己紹介と会社説明をしてくださいました。 その際に企業ミッションを教えていただいたのですが、これこそ熱狂顧客を生み出す源泉だなと感じました。 それは 「ビールに味を。 人生に幸せを。 」というもの。 何か企画を考えるときは、全てこのミッションに通じているものなのかというところを指針に持っていて、その中で我々は企画を考えています。 」 このお言葉からも分かる通り、日本のビール市場はかつて、上記にあるビールスタイルマップのたくさんの種類の中のたったひとつでしかない「ピルスナー 色の薄いビール 」というジャンルの中で大手各社が商品を出していたそうです。 今でも主はそう ヤッホーブルーイングはそんな日本にもっとたくさんの種類の美味しいビールの「味」を届けたい!としている会社なんですね。 そしてその先にあるささやかな「幸せ」をお届けしたいと。 このミッションがあるからこそ、ヤッホーブルーイングの社員の方はひとつになれ、色んな味のビールを届けられているわけですが、これ、 もうファンにも伝わっちゃっているんです。 イベントであったり、会報誌であったり、メルマガであったり、『よなよなエールの歌』っていうのがあるのですけどそこでも出てきています。 これめっちゃ好きなんで貼っておきますね! 飲む時、絶対くちずさんじゃう。 暗唱で歌えるレベル笑(ちなみにイベントでのこの時間は最高潮に楽しい) そう、 意識的に企業が顧客に対しても自分たちのミッションを伝えているんですよ。 これってすごくないですか? もう ファンと一緒に企業ごと共創しているんです。 ビール市場を一緒に作っていこうと、幸せを一緒に作っていこうと。 その結果、ファンはまるで社員さんなんじゃないかっていうくらいの動きをイベントでしていたり、SNS上で批判者に対してフォローをしてくれていたりします。 まさに究極のファン、 熱狂的推奨者を生み出しているわけです。 つまり、この 「ヤッホーブルーイングが語るストーリー」にファンが「賛同」して「応援」してくれているわけですね。 みなさんの企業ミッションはファンに伝えて伝わるものですか?賛同を得られ、応援してもらえるようなものですか? で「熱狂顧客戦略」を突き詰めると「熱狂経営」を考えなくてはならなくなるとありましたが、まさにリンクしてくる部分です。 トレードオフ ヤッホーブルーイングさんの基本的な経営戦略にマイケルポーターの「トレードオフ」があります。 マーケットに対してAかBかの道があったら、Aを取る、そしたらBを絶対に捨てると。 AとB両方欲しいよということはしないと。 その究極の選択を繰り返し繰り返し続けていきなさいと。 つまり差別化ですね。 徹底的な差別化をやっていきなさいと。 それを実直にやっている企業になります。 」 と、イベントでは例として製品でのトレードオフについて解説してくださっていましたが、僕はヤッホーブルーイングさんが『熱狂顧客戦略』を行なううえで2つの大きなトレードオフをしていると思っています。 それが• 「新規顧客」より「既存顧客」• 「売上」より「顧客を喜ばせる」 です。 「新規顧客」より「既存顧客」 これはあとからも出てきますが、ヤッホーブルーイングさんは年間契約のお客様をとっても大事にされています。 そちらの方々とより深いコミュニケーション ヤッホー的に言うと「密着プレー」 を取り、熱狂度を上げています。 かつて、CMなども行なったことがあるそうですが、今、ヤッホーのCM見ないですよね。 つまり、 「新規顧客」より「既存顧客」をとることにトレードオフしています。 「売上」より「顧客を喜ばせる」 『熱狂顧客戦略』は実はこのトレードオフに集約されていたりするのですが、ヤッホーブルーイングさんは徹底的に実践しています。 社長であるてんちょのいつの日かのお話でも仰っていたのですが、社員が売上を追おうとしているのを見て「そんなこといいから」と言っちゃうそうです。 例えば、ヤッホーさんのメルマガもそうだと思うんです。 ヤッホーさんのメルマガは毎度社員さんのまったく関係ない話からスタートします。 通常、メルマガの最初って、一番伝えたいキャンペーンだとか新商品だとか書きたいじゃないですか。 ヤッホーさんはそれしないんですよね。 お客様とその場で話しているようなコミュニケーションをとって楽しませようとしている。 もうこの僕の「お客様」もナンセンスです。 あとからこれも出てきますが、ヤッホーさんは「顧客は友人」として接するという風にしています。 もう友だちなんですね。 友だちになって顧客に「信用」されれば「売上」は後からついてくる。 「売上」より「顧客を喜ばせる」にトレードオフしているわけですね〜。 製品を飛び越えて企業のファンへ ジュンジュンさんは製品でのトレードオフの話の後、熱狂顧客の方々にインタビューして見えてきた顧客の熱狂までの全体像を図とともに説明してくれました。 「2つ軸があってですね、まず製品軸。 よなよなエールが好きです!というところから、よなよなエールを知って理解して、トライアルをして、リピートして、そして推奨していくという行動から、次に企業軸に急に興味を持ってくれるんですね。 Eコマースでもスタッフの顔を出していたりとか、対面のお客様とのコミュニケーションを心がけていて、 企業軸に興味持ってくると、なんだろうこの会社は?なんだろうこのスタッフは?となっていき、ファンになって、熱狂的なお客様になって、また新しい推奨で、新しいお客様を連れて来てくださるというような循環が出てきているというところです。 製品軸から企業軸に興味を持ってもらう架け橋として、Eコマースがあります。 」 つまり、 製品のファンになり、Eコマース で年間契約 に入ってもらって企業のファンになると熱狂が生まれていくと。 これは 新たなCRMのカタチでもあると僕は思っています。 おそらく、上記のように年間契約のお客様を優遇する概念のところまではで述べた「企業CRMの失敗」の道筋と変わらないと思うのです。 購入量が多いお客様を優遇することでロイヤリティを上げていく。 ただ、その優遇の仕方が金銭的優遇だけじゃあない。 ヤッホーブルーイングさんがCRMで失敗してきた他の企業と違うのは、年間契約の お客様の感情を無視せず、徹底的に「喜ばせること」を実行してきたことです。 お客様の感情を無視しないヤッホーブルーイング年間契約のルール ヤッホーブルーイングさんが年間契約の方々とコミュニケーションを取っていくにあたって、ルールが3つあります。 このルールこそ、お客様の感情を無視せずにCRMを失敗しなかった理由であると考えます。 「人気 ひとけ 」を出す• 「顧客は友人」として接する• 「学び・交流・共創」を通じてクラフトビールの醍醐味を楽しく伝える 「人気 ひとけ 」を出す ヤッホーブルーイングさんの サイトや会報誌などには必ず社員の顔が出ています。 これをヤッホーブルーイングでは「人気 ひとけ 」と呼ぶそうです。 もちろん、リアルイベントでも社員が自ら顔を出します。 すごいのが、そのイベントスタッフのほとんどがヤッホーブルーイングの社員さんたちなのです! もう愛しか感じない… ジュンジュンさんも超宴というリアルイベントの司会などをされているのを会場で見たことがあります。 この社員がイベントスタッフとして顧客と生で顧客の熱狂に触れるということ自体が社員の熱狂も生み出しているという側面もあるですね メールでさえも社員個人の日記みたいな文章がメールの冒頭に出てくるし… 嫌でも気になる笑 そして、メールで見ていたニックネームの人をイベントで見かけて思わず声をかける… そういうことです笑 人気 ひとけ があるとどうしても愛着が湧いてしまうのが人間。 ヤッホーブルーイングの社員が好き!という方は年間契約の方では多いと思います。 「顧客は友人」として接する 「手描きの手紙をサプライズで送ったりしている」 「お誕生日にその人だけの手作りプレゼントを差し上げた」 これは嬉しい… コトラーさんも『マーケティング4. 0』で Wow 予想外価値 は狙って作れると言ってましたけど、ジュンジュンさんの話を聞いてうなずけました。 コトラーさんが言っていた『Wow 予想外価値 の定義』的なものは• 予期せぬ驚きであること• 個人的なものであること• 伝染力があること だったけど、確かに全部満たしている…。 こういうことを考える部署は楽しいだろうなあ。 お客様が喜ぶ顔を想像してむふむふしちゃいそう。 しかもそのお客様のお顔、本当にヤッホーの人は分かりますからねイベントなどで会ってるから。 究極の1to1すぎる… これがヤッホーブルーイングの密着プレー… これがヤッホーブルーイング…! 結果、売上や推奨はどうなっているか 太っ腹にジュンジュンさんはその結果、 実際に熱狂度が高い人と低い人では売上や推奨はどうだったかについても丁寧にご教示くださいました。 神ですね…ここまで教えてくれてよいのか… 熱狂度が高い人のほうが「推奨意向」が高い人の量が多い これはヤッホーブルーイング「年間契約」のお客様の熱狂度 あなたにとって製品はどのような存在かの度合い と推奨意向 あなたはどのくらい人におすすめしたいと思うかの度合い をかけ合わせた表です。 一番右の列を見ていただきたいのですが、熱狂度が高ければ高いほど、推奨意向が高い人の量が多くなっています。 熱狂度が高い人のほうが「推奨意向」が高い人の量が多いことが見てとれます。 推奨やNPSについては下記を読むとより理解が深まります。 熱狂度が高い人の方が「売上」は高い そもそももうすでに「年間契約」の方々なので、ベースの年間売上は高いのですが、その中でもやはり 熱狂度が高い顧客のほうが単価が高い傾向にあります。 一方、総金額はどうでしょうか。 下記に簡単に先ほどの人数分布と単価をかけ合わせた表を用意しました。 熱狂度別の合計は一番右の列ですが、こちらも 熱狂度が高ければ高いほど、総売上の期待値は高いことが見てとれます。 つまりは『熱狂度』を上げるべし これは、でも書きましたが、「熱狂度が低い状態で推奨を促してもうまくいかない」です。 つまり、「売上」も「推奨」も「熱狂度」をまず上げることが重要ということですね。 さいごに 熱が入って長くなってしまった…。 ですが、実際にヤッホーブルーイングさんが『熱狂顧客戦略』で具体的にどのような施策を行なっているかがなんとなくおわかりになれたかと思います。 製品を気に入ってくれてたくさん買ってくれている顧客に密着プレーで人と人とのコミュニケーションを通じて感動を生み、企業ごと好きになってもらう。 そうしたら顧客はより買ってくれて、おすすめもしてくれて新規顧客も連れてきてくれる。 そしてその熱狂的な顧客とコミュニケーションをとった社員が感動して社員の熱狂が生まれる。 その社員の熱狂が、また顧客の熱狂を生む。 はあーきれいな方程式や… きれいすぎてこれでごはん3杯いける… いやーこんなマーケティングができる会社って、すっげえ楽しいんだろうなあ。 すごいなあ。。 最後はうらやましがって終わりとなってしまいましたが、なんだかこんな会社を目指して世の中みんなで熱狂を生み出して、ステキな未来を作りたいですね〜 本にはヤッホーブルーイングだけじゃなく、他の会社の例も出ているので、是非チェックしてみてください。
次のヤッホーブルーイング様は、通常のビールメーカーと異なり、通信販売に強みを持っています。 自社サイト以外にも複数のショッピングモールに出店し、楽天市場ではこれまでに「ショップオブザイヤー」を10年連続で受賞されています。 13年連続増収増益を続けているヤッホーブルーイング様の中核の一つを成している通販事業ですが、その裏側ではかなりのマンパワーをかけて取り組んでいました。 自社サイト、楽天市場様、Yahoo! 様などにお店を構えていたのですが、ショッピングモールごとに受注して販売するまでのフローや仕組みが違うため、それぞれに担当者を置く体制をとっていました。 他社が統合的な販売管理システムを導入して通販業務の統一化および効率化を図る中、ヤッホーブルーイング様では担当者にかかる負担がどんどん大きくなり、業績アップに合わせて人数を増やして対応していたのです。 「業務には繁忙期と閑散期があります。 当社の場合は圧倒的に『父の日』がピークで、平常時の10倍以上の売り上げを記録するほど。 多い時には1日数千件を超える注文があります。 これに対応するためには、担当する人数を増やすしかないのですが、フレキシブルに人材を増減させることは、長野という場所ではなかなか難しく、ピークにある程度合わせた人数を常時揃えている状態だったのです」(望月様)。 もともと「顧客は友人、社員は家族」という理念を持つヤッホーブルーイング様は、顧客ロイヤリティーを高めてリピート注文を増やすための施策をつねに考えてきましたが、繁忙期にはそうした本来の業務にかかることができず、受注作業で精一杯という状態でした。 大量の注文を受けた後、何か問題があればレスポンスが遅くなり、お客様にご心配をおかけしてしまう悪循環が生じていました。 また、システムや業務の仕組みもうまく整理されておらず、何か問題が発生した際に拠り所とするマニュアルや、ルールも不十分な状態でした。 そのため、どのように対処すべきか判断に時間がかかる上、経験値が組織的に蓄積されないということもありました。 こうした問題の解決はヤッホーブルーイング様にとって、急務だったのです。 選定のポイント:繁閑に合わせた体制作りと、パートナーとしての信頼性が決め手に 以前から、特定期間だけ派遣会社に依頼したり、自分たちで人材を短期採用したりと手は尽くしてきたヤッホーブルーイング様。 しかし、受注業務は複雑である上、お客様対応品質の水準も高く維持したいという希望もあり、なかなか良い結果は得られませんでした。 次の手として考えたのが、ずっと検討してきたBPOでした。 これまではOJTの一環として正式配属前の新入社員に繁忙期の受注作業を担ってもらっていましたが、今年はたまたま新入社員の採用がない年だったことから、昨年の段階から繁忙期には人手不足になることが予想されていました。 この状況をきっかけに、BPOについて再度検討を開始。 ただし、酒類の業務委託には、委託先にも酒類販売媒介業免許が必要だったため、自然と候補は限られました。 10社以上のコールセンターを手掛ける会社から話を聞いたというヤッホーブルーイング様。 まずは免許の有無と拠点の設置場所、かかる費用。 大きく波がある繁閑の受注量に対応する体制、当社専任のオペレーターを準備できるか、お客様を大切にするという理念へ共感してもらえるか、など。 さまざまな視点で評価し、ビーウィズをパートナーとして選定しました。 「決め手となったのは信頼して業務をお任せできるかどうかということ。 ビーウィズは選定中の段階から長野までお越しいただいて実際の受注業務を見ていただいたり、理念への共感も示していただいたり。 繁忙期と閑散期の受注量についても正直にお話しいたしまして、人員を調整できる体制もとっていただきました。 これまでに通販事業の委託を数多く経験されているという実績も含め、長くお付き合いできるパートナーだと判断しました」(熊谷様)。 導入の効果:受注業務が省力化でき、お客様対応の品質向上に取り組めるようになった パートナー選定後にも、ビーウィズはヤッホーブルーイング様を訪れて、受注業務を詳細に確認し、業務の流れの把握に努めました。 「社内のルール決めやマニュアル作成に関しても、受注のルールだけではなく営業販売のルールや受注と出荷の連携に関するルールまで、一緒になって作成に尽力していただきました。 他社への導入実績に基づいた改善提案などもしていただき、弊社の業務の流れもより単純化され効率的に変わったと思います」(鈴木様)。 2018年2月からセンターの稼働を開始。 委託範囲は受注業務に関する作業と、出荷データ作成、請求業務という、通販事業の中心となる部分をビーウィズに委託しています。 まだ稼働して2カ月という段階ですが、1日の注文のうち、全体の約9割をビーウィズが受けていて、そのぶんヤッホーブルーイング様の社員には余力が生まれました。 組織の体制としても以前は12~13人で対応していたところ、現在は6人で対応しています。 余力ができたことで、お客様からのメールへの返信やレビューへの返信にも時間も割けるようになるなど、これまで以上にお客様と真摯に向き合うことができています。 「両社が協力して作り上げた効率的な業務フローのおかげで、今まで問題なく受注業務の運用ができています。 決まった流れで受注業務がよどみなく進み、素晴らしいと感じます。 これまではミスを起こして慌てて対応することもありましたが、今はそうしたこともなく社員の精神的な負担も減っています。 余力ができたことでお客様への対応に時間をかけられるようになり、最近はお客様からうれしい声をいただくことが多くなりました。 これによって社員のモチベーションも上がり、良い循環ができていると思います」(望月様)。 期待通りの効果が出ていることで、社員に時間的な余裕が生まれ、お客様向けアンケートの実施やカタログの刷新、サイトFAQの充実などにも注力できているといいます。 お客様からの反響を受けて社内の各部署で話し合い、より良い対応を実施していくなどの新たな流れも生まれているようです。 業務委託により受注業務の省力化に成功し、社員がこれまで以上にお客様対応の品質向上に取り組めるようになったヤッホーブルーイング様。 今後はビーウィズへ土日祝日の一次受付を委託することも検討しています。 また、現在お客様から注文の変更があった場合は社員が電話やメールの対応をしているのですが、将来的にはこの部分もお任せしていく方針です。 そして、今後もビーウィズにはパートナー関係の継続と電話対応スキルの共有、通販業界全般の他社事例に基づいた、さらなる効率化への提案などを期待しています。
次の「よなよなエール」「水曜日のネコ」「インドの青鬼」など、個性的なクラフトビールの製造・販売で知られるヤッホーブルーイング。 1996年の設立から20年ほどでクラフトビールの業界シェアトップとなり、現在、ビール業界全体でも大手ビールメーカーなどに次いで、第6位の売上を誇ります。 同社がめざましい成長を遂げた陰には、「チーム」の力があったと語るのが、同社代表取締役社長であり、社員からは「てんちょ」の愛称で親しまれる、井手直行さん。 常に複数の社内プロジェクトが稼働し、常識にとらわれない発想で挑戦する風土があるという同社では、どのようにして社員自らが手を挙げ、アイデアが生まれやすい環境をつくっているのでしょうか。 じっくりとお話をうかがいました。 株式会社ヤッホーブルーイング 「ビールに味を!人生に幸せを!」をキャッチフレーズに、画一的だった日本のビール市場に新たな風を吹き込むべく、1996年にエールビール専門メーカーとして誕生。 ビールの味やパッケージだけではなく、社内風土も独創的で、メンバーは互いをニックネームで呼び合い、部署名も「よなよなエール広め隊(広報)」、「ヤッホー盛り上げ隊(人事総務)」、「ハッピーお届け隊(物流担当)」と遊び心が満載。 「お通夜みたい」な朝礼で感じた、チームビルディングの必要性 まずは、井手社長がヤッホーブルーイングに入社したきっかけについてお聞かせください。 高専を卒業した後、電気機器メーカーや環境アセスメント系の企業など、何社か経験したのですが、理想と現実のギャップに打ちひしがれ、しばらくバイクで旅に出ました。 旅をしながら自分の価値観について考えていたら、「人が好き」「自然が好き」というのが自分の中で大切な軸であることに気付いたんです。 それで縁もゆかりもなり軽井沢に移住して、広告代理店で営業として働き始めたのですが、その時のお客さんとして出会ったのが、現在の星野リゾートの代表で、ヤッホーブルーイングの初代社長となる、星野佳路でした。 当時の僕は生意気な若造だったのですが、本音で話すところを気に入ってくれたのか、星野に「今度うちでビール事業をやるから手伝って」と言われたのがきっかけで、97年に営業として入社しました。 二代目社長に就任されたのは、2008年ですね。 「よなよなエール」が現在のような知名度を得るまでには、さまざまな苦労があったかと思います。 そうですね。 入社したときは地ビールブームまっただ中だったので、もう大忙しで。 小売店から殺到する問い合わせに「生産が追い付かないんです、すみません!」と謝る毎日でした。 幸せな悩みですよね。 ところが、ブームが去ると、パッタリ注文がやみました。 残ったのは、大量の在庫。 たとえ売れなくても、社員で飲んだり周りに配ったりすれば酒税を回収できなくなってしまうので、自分たちが丹精込めて造ったビールを破棄するしかなかった。 ビール缶のプルタブを開け、流し続ける日々が続きました。 まさにどん底です。 創業から8年間赤字が続き、社員もどんどん辞めていきました。 残ったメンバーも、かつてはそれなりに仲が良かったのに、業績が悪くなると疑心暗鬼になり、派閥ができたり陰口が横行したり……。 会社の雰囲気は最悪でした。 変化の必要性を感じたのはいつごろでしょうか。 2004年にインターネット販売を始めると、業績が少しずつ回復していきました。 でも、回復していったのは業績「だけ」だったんです。 企画を考えたりメルマガを作ったりして売上が上がっても、誰も喜ばない。 それどころか「注文が入ると残業が増えて嫌だ」と迷惑がられ、誰も協力してくれない状態が続きました。 ある日、中途入社した社員が長野にある醸造所の朝礼を見て、「お通夜みたいですね」と言うんです。 何とかメンバーとコミュニケーションを取ろうと、朝礼で「全員一言ずつ発言しよう」と呼びかけても、「特にありません」「通常業務です」と言うだけ。 みんな、真面目に仕事をしていないわけではない。 でもチームがうまく機能していなかったんです。 「一人」+「一人」の力は、「二人」以上になるべきです。 でも、かみ合っていなければ一人で仕事をするよりも効率が悪くなり、二人合わせても一人以下の仕事しかできない。 「それなら協力せず、一人でやったほうがいい」という悪循環が生まれていました。 周りにゴミが落ちていても、誰も拾わない。 最後に帰宅する人でも、電気を消さない。 小さなことですが、周囲が見えていない、関心がない状況とはこういうことです。 物理的に見えていないのではなくて、人間は見ようと意識しないものは見えない生き物なんです。 ヤッホーブルーイングでは、「2020年にはビール市場のシェア1%を取る」という目標を掲げていました。 そのためには、個人に依存する成長では限界があります。 ビジョンをしっかり共有して、皆で成長して、皆の力で時代を解決していく、「チーム」の力が必要でした。 しかし、いくら我流でチームを団結させようとしてもうまくいきません。 そこで、まずは僕自身がチームビルディングについて勉強することにしました。 記載されている記事や回答の内容に関係のないコメントは、ご遠慮ください。 以下の内容を含んだコメントの投稿を禁止します。 『日本の人事部』事務局が禁止行為に該当すると判断した場合には、投稿者に通知することなく、コメントを削除または修正することもございます。 予めご了承ください。 ・第三者の名誉または信用を毀損するもの ・第三者を誹謗・中傷するもの ・第三者の名誉、信用、プライバシーを侵害するもの ・第三者の著作権等の知的財産権を侵害するもの ・第三者の権利または利益を侵害するもの ・公序良俗に反する内容を含んだもの ・政治活動、宗教、思想に関する記載があるもの ・法令に違反する、または違反のおそれがある記載のあるもの ・差別につながるもの ・事実に反する情報を記載するもの ・営利目的の宣伝・広告を含んだもの ・その他、内容が不適切と判断されるもの 3. 氏名・住所・電話番号などの個人情報を記載すると、トラブルに繋がる可能性があります。 絶対に記載することのないよう、ご注意ください。 掲載されたコメントにより発生したトラブルに関しては、いかなる場合も『日本の人事部』事務局では責任を負いかねますので、ご了承ください。 ご投稿いただきましたコメントは、『日本の人事部』や、当社が運営するウェブサイト、発行物 メールマガジン、印刷物 などに転載させていただく場合がございますので、ご了承下さい。
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