フェルディナンドは有言実行。 出来ない事は言わないし、勝てない勝負はそもそも仕掛けない。 神々という例外もあるから基本的には。 だけど。 そんな訳で、『季節に一度か二度』とされる、下町の家族の元へ行ける二回目のチャンスは、一度目から季節が変わる事なくわたしの元へと訪れたのだ。 「ローゼマイン、急で悪いのだが、今回、私は同行を控えておきたい。 そして下町での衣服の扱いについて、エーファとトゥーリ、二人にもう一度よくよく相談をしてきて貰えないだろうか?できればあちらの君の部屋に置く方向で調整して欲しい」 「……えっ?フェルディナンド様っ?!」 とても真面目な顔で懇願してきたフェルディナンドに、わたしはひどく困惑した。 なぜならば、わたしたちはもう図書館の隠し部屋の中にいて、なんならわたしは平民のマインとして着替えも終わっているのだ。 「まさか、それほどにディーノとなる事が嫌なのですかっ!?」 「ディーノ?」 「わたくしが付けたフェルディナンド様の下町での偽名です!」 「そ、そうなのか。 ……ああ、いや、君と下町に行く事が問題なのではないのだ。 そこは勘違いをしないで欲しい。 私は君の家族を好ましく思っているのだから」 「わたくしだけの……ではありません!わたくしの婚約者であるフェルディナンド様にとっても家族にあたるのですよっ」 「ああ、そうだな、私の言い方が悪かった。 だからそのように感情を高ぶらせるものではない」 ハンカチを取り出して目元を拭ってくれたフェルディナンドが、お土産に持って行こうとしていたお菓子とお酒の入った籠と、なぜか私の貴族服を平民服がかかっていたハンガーに掛け替えて持ってくる。 「ローゼマイン。 君一人に大荷物を持たせる事になるのは心苦しいが、私は君が戻るまでここにいる。 だから、君は五の鐘が鳴ったらマインの部屋でエーファとトゥーリに着替えを手伝ってもらい、六の鐘には転移陣に乗って戻ってくるのだ。 よいな?」 「本当にフェルディナンド様はご一緒してくださらないのですか?」 「……ローゼマイン、こればかりはどうか聞き入れて欲しい。 急ぎ対策を練らねばなくなった事ができたのだ」 「フェルディナンド様……」 フェルディナンドがそこまで言う以上、本当に緊急的に思い至った事があったのだろう。 わたしは渋々頷くと、両手いっぱいに荷物を抱え、当初の喜びの半分のテンションで転移陣に乗り込んだのだ。 ……二回目にしてフェルディナンド様が一緒じゃないなんて、しょんぼりへにょんだよ。 「お帰りなさい、マイン」 「マイン、お帰りーっ、ってあれ?フェルディナンド様は一緒じゃないの?」 「……母さん、トゥーリぃぃっ」 優しい笑顔で出迎えてくれた下町の家族は、わたしの後ろにフェルディナンドがいない事を不思議がってくれて、ちゃんとわたしたちを受け入れてくれている家族にわたしは半泣きで抱きついて言い募った。 「急にやらないといけない事が入ったから、君だけで行ってきなさいって……うううっ」 「そうなの?やっぱりフェルディナンド様はお忙しいんだね」 「でも、転移陣のある隠し部屋には一緒に来てたんだよっ、今日はとっておきのお酒だって持ってきてたんだから一緒に来るつもりだったはずなのにぃーっ」 「うわっ。 フレーベルタークの五十年物っ!こんなの世の中に本当にあるもんなのか……さすがフェルディナンド様だな……」 籠の中を確認した母さんの隣でベンノさんが驚愕の声を上げている。 「フェルディナンド様の事だから、マインだけはどうにか行かせてやろうって気を遣った結果なんじゃないか?」 「ルッツ……」 みんなよっぽどの事があったんだろうと言いながらフェルディナンドを養護する。 でも、わたしには本当に分からないのだ。 なんの情報も入って来ないはずの隠し部屋で、フェルディナンドの予定をひっくり返すほどのおおごとだなんて一体なにが起こるというのだろう。 「……っと、そうそう、フェルディナンド様から伝言があってね」 「伝言?」 人からの頼まれ事はうっかり忘れてしまう前に済ませてしまうに限る。 父さんをはじめ、みんなが瞬いてわたしに注目した。 「母さんとトゥーリには五の鐘が鳴ったら転移陣のあるわたしの部屋で着替えを手伝って貰って、六の鐘には帰って来なさいって言われてるんだけど、今回は服の扱いについて二人にもう少し詳しく相談しておきなさい。 できたらこっちのマインの部屋に服を置いておいてもらえるように……だって」 そこでトゥーリがなにかに気付いたのだろう。 「あっ!?」と声を上げた。 「ねっ、ねぇ、マイン?」 「んー?」 「今回の着替えって、どうやったの……?」 「どうって、フェルディナンド様に後ろの紐を解いて貰って、あとはわたしがガバーッと!」 「「「「「「あー……」」」」」」 「えっ!?なになに!?なにか問題あった!?」 分からないわたしだけを置いて、父さん、母さん、トゥーリ、ルッツ、ベンノさん、マルクさんがそれぞれ天井を仰いだり、額に手を当てたりと明らかになにかの問題に気付いている。 「な、なんだよ、みんなだけで分かった顔して」 「あっ、カミルも分かんないんだね!?良かった、わたしだけじゃなかった!」 カミルにぎゅうを仕掛けながらみんなばっかり分かりあっててズルいと言うと、呆れ顔のみんなにじとぉと見返された。 あれ?わたしが悪いの?? 「ねぇ、マイン」 「なあに、トゥーリ」 「お着替えをフェルディナンド様に手伝ってもらったって事は、他に側仕えの人はいないって事なんだよね?」 「そうだね、ここに来る事は二人だけの秘密だもん。 でも着替えを手伝ってもらったって言っても、コルセットの紐を解いて貰っただけだよ?」 「……だけ……かぁ……」 トゥーリがすっごい微妙な顔でわたしを見てる。 母さんも困った子を見る目でわたしを見てる。 えっ?えっ??なんで!!? 「なぁ、マイン」 「はい?どうかしましたか?ベンノさん」 「言いづらいんだが、お前が着替えをしている間、フェルディナンド様はどうしてたんだ?」 「んー、耳を赤くして壁を向いていたような気がします」 「……分かってやれよ、そこで」 「なにをですか!?」 ベンノさんまで分かっている。 むしろこれは呆れている顔だ。 解せぬ。 「惚れた女にコルセット解かされて、目の前で着替えをおっぱじめられるなんざ、どんな拷問だよ!!フェルディナンド様が可哀想すぎて言葉にならんわ!!!」 「ふへえぇっ!!!!?」 言われて初めて、わたしって結構非常識だったのかしらと冷や汗が出た。 「惚れた女って……いや、紐だけですよ?背中だけですよ?そんな大袈裟な」 「男の欲情甘くみるな阿呆。 お前の中身がどれだけ残念だろうと、お前の背中だけで男にとっちゃ十分すぎる凶器なんだよ。 フェルディナンド様に襲わせたいのか!?理性のこよりを鉄製に鍛える試練を与えてるんだぞ!?実は試練の女神の化身なのかお前は!!!」 「わたしグリュックリテートになりたい訳じゃ……」 「…………さすがにフェルディナンド様が気の毒すぎる」 「父さんまでっ!!!?」 まさか父さんまでがそんな風に言っちゃうなんて! 慌てるわたしをよそに、母さんがトゥーリと相談を始めた。 「トゥーリ、出来そう?」 「母さんと二人がかりならなんとか形にはなると思うけど、完璧かどうかは怪しいなぁ……」 「おそらく、フェルディナンド様はその辺の根回しを考えているんだろう。 マインはトゥーリに頑張ってもらうとして、次からフェルディナンド様のお着替えはどうする?そっちもトゥーリに出来るのか?」 「わたしもさすがに男性服の現場に入った事がないから」 出来るとは明言できないとトゥーリが顔を曇らせた。 「ちょっ、待って下さいベンノさん!!フェルディナンド様のお着替えをトゥーリにさせるなんてダメですよ!?トゥーリは女の子なんですよ!!」 「その女の子のお着替えを男のフェルディナンド様にやらせた自分の行いを反省してろ、この阿呆!」 「あうっ!」 ベンノさんのつっこみが痛い。 ……久しぶりだから気持ちいいけど。 あれ?わたしなんか変態っぽくない? 「アレキサンドリアに来ているギルベルタ商会の人員はドレスと髪飾りに特化した人材ですからね……」 マルクさんも難しい顔で考え込む。 「男性服は仮縫いでも側仕えの人が間に入るって聞くしなぁ……」 「じゃあマルクやルッツがフォローに入るか?」 「私も一人では不安ですね。 書類仕事ならいくらでもお任せ頂けますが……」 「俺も出張で不在になる可能性を考えると、どうでしょうか」 「不味いな……俺やギュンター、カミルじゃまず無理だろうし」 「…………ユストクスを巻き込みます、というかもう巻き込んでると思います」 フェルディナンド様が。 と、しょんぼり顔でわたしが言うと、ホッとした空気がみんなを包んだ。 「じゃああとは、お前の部屋の設備だな。 衝立と衣装掛けが二か所分ってとこか」 「ベンノさん、仮縫いの時と同じ設備を整えるべきだと思いますから、椅子と姿見もあった方が良いです」 「払いはマイン貯金からだな。 早急に揃えておこう、ルッツ」 「明日の朝一番でグーテンベルクに発注します」 すると、わたしたちの後ろから「それは大変結構」と声がしてわたしたちはバっと振り返った。 「フェルディナンド様っ!……とユストクス!?」 平民服に着替えたフェルディナンド様が、やはり君達は仕事が早いなと微笑んで立っていた。 「常々鍛えられていますから」 ベンノさんがニッと笑う。 「フェルディナンド様、マインが色々とやらかしたようで、申し訳ありません」 父さんが謝ると、フェルディナンドも神妙な顔つきになる。 「いや、私の計画の見通しも甘かったのだ。 私達が貴族である以上、其方らには余計な苦労を背負わせる。 私こそ申し訳ない」 すると、フェルディナンド様は伴ってきたユストクスをみんなに改めて紹介した。 「これは私に忠誠を誓った一の側近だ。 情報にも精通している。 少々癖は強いが、信用してくれて良い」 「ユストクスです。 よろしくお願い致します」 ユストクスがみんなと挨拶をしている中、フェルディナンドの元へスルスルスルっと近付いていった。 平民服の動きやすさは本当に凄い。 パニエがないから距離感もいつもより近づけるよ!感動するね。 「フェルディナンド様、追いかけてきて下さったんですね」 「ユストクスが思いのほかスムーズに釣れたのでな」 そんな風に言ってはいるが、わたしを心配してくれたから駆けつけてくれたのだろうなんて事、わたしにはちゃんとお見通しなのだ。 ああ、もう、幸せすぎて最高だ、この気持ちをわたしは何と言えばいいのだろう。 頬が緩み、まるで意識しないままに祝福が溢れる時と同じように。 わたしの中から自然と一つの言葉が生まれた。 「うふふん、フェルディナンド様、大好きですよ」 「なっ!!?」 こうしてわたしは、いや、わたしたちは、口元を覆って耳どころか、顔面を赤くするという貴族にあるまじき姿を披露してしまうフェルディナンド様という、幻の珍獣にも等しいような光景を目撃してしまったのであった。 *** 一の側近と言われて内診でひゃっほーいしているのはユストクス。
次のTV ONAIR• ABCテレビ 4月4日より毎週土曜日26:10~• TOKYO MX 4月8日より毎週水曜日22:00~• STREAMING• 第一部も引き続き絶賛配信中!• 【独占先行配信】2020年4月4日より毎週土曜日26:40~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• 2020年4月11日より毎週土曜日26:00~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• ニコニコチャンネル:2020年4月11日より毎週土曜日24:00~ ニコニコ生放送:2020年4月12日より毎週日曜日23:30~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• 2020年4月11日より毎週土曜日24:00~• 2020年5月10日より毎週日曜日24:00~• 2020年4月12日より毎週日曜日22:00~• 2020年4月13日より毎週月曜日12:00~• 2020年4月14日より毎週火曜日12:00~•
次の2017年上期のラノベ人気投票「」で、圧倒的1位だったので購入。 1冊1,000円を超えるので、まずは1巻だけ、と思っていたのだけど、あまりにおもしろいため、気がつけば、第二部まで揃えてたorz。 既刊揃えると軽く1万円を超えるんだよな。 しばらく寝不足が続きそうです……。 物語は、本のない世界に転生した読書狂が本を読むために紙やインク作りから始める異世界ファンタジー。 作中でも突っ込まれてるけれど、TOKIOかっ。 <をい 「」発なのだけど、ステレオタイプな なろう系というよりも、少女小説系の異世界ファンタジーに近い印象。 逆境に放り込まれても、前向きな性格で頑張る女の子のストーリー。 技術がなにもない世界で本を中心にいろいろなモノを生み出していくのも面白いのだけど、やはり、主人公マインのキャラが愉快すぎる。 病弱で成長が遅く見た目が三歳児。 可愛い見た目と小狡い印象さえする中身とのギャップが楽しい。 セリフ回し、単語のチョイスが秀逸で、キャラ毎の特徴や魅力を非常にうまく表現しているのんな。 このマイン、読者視点ではあきらかに幼児としては異常なのだけど、そういう読者の違和感に対するエクスキューズもうまく用意していて、クオリティは非常に高い。 クオリティといえば、中世ヨーロッパを下敷きにしている衛生環境や子供に対する風習、平民の暮らしぶりなどの見せ方も、うまいんだよなぁ。 ただ、紙を作ったりする知識が、読書狂の設定なのに、脳内にある10万3000冊の本の知識とかではなく、飽きっぽい母親に突き合わされたカルチャースクール的な知識なのはどうよ?と思わなくはなかったり。 あとは、章タイトルが直截的すぎて、「今度はパピルスに失敗するのか」と読む前に次の展開がわかるのも、まあ、そこは好みの問題か。 ……ともかく、非常におもしろく先が気になって仕方ない。 [ ] 異世界で読書狂が本づくりを目指すシリーズ第二巻。 今回は、近所の男の子ルッツと商人ベンノの協力を受け、本格的な紙づくりを始める話。 マイン、転生前は大学生だったという設定なのだけど、ベンノとのやり取りを見てると普通に優秀な社会人という感じなのですがっ。 マイン、マジ有能。 それにしても、7歳になると見習いとして働き始めるような世界とはいえ小学校に上がるか上がらないかという歳の子が、大人とやりとりしたり ちまちま作業したりしてるのは、絵面を想像するとすごく微笑ましいよなぁん。 そして、巻末に収録されている短編「洗濯中の井戸端会議」が、家族からマインがどのように見られているかを愛情豊かに語られている短編に仕立てってあって、素晴らしい。 や、本編があんな大変なところで終わっていているのに、ここでこの短編かよっ。 マジ素晴らしすぎるなっ!! [ ] グ〇コっっっっっっ!! その大事な場面でなぜグ〇コっ!! だはははははっ。 いや、洗礼式以降の展開が大笑いすぎて、なんだこれ!? 異世界で本づくりを始めるシリーズ三巻目で第一部完結。 ようやく紙づくりがうまくいったものの異世界特有の病気で倒れるマイン。 フリーダの助力で生命を永らえるものの、同時に次がないことを知らされ……。 と、不治の病で残り短い寿命を家族と静かに生きる感動的でシリアスな展開だったのに、洗礼式の一発ネタですべてを返された 爆笑。 いろいろと酷すぎる 誉め言葉。 シリーズが続いているので助かることはわかるのだけど、ほんとマジかよ、その展開。 正直、貴族に隷属するか諦めるのかの二択で、安易に第三の道を示すのは多少気にならないではないけど、いきなり凄い展開で笑った笑った。 終盤も感動的だったような気がするのだけど、グ〇コの印象しかない 笑。 ……第二部ではいろいろと大きく変わりそうだけど、さてどうなる!? [ ] 読書狂が異世界で本を作るシリーズの5冊目。 いよいよ、本が完成。 感動 T-T。 紙すらなかったスタート時点から、紆余曲折を重ね、とうとう本づくりに成功。 ただただ感慨深い。 パピルスや粘土板づくりを始めた時にはどうなるのかと思ったのだけど、まさか、ほんとうに一冊の本を作るまで来るとはっ!! 1巻の頃から考えると、すごく遠くまで来たなぁ……。 物語のほうは、平民から巫女見習いとなり、異なる常識に戸惑いながら周りを振り回していく展開。 振り回されているものの、神官長はじめ、周りの人々も温かく見守っている感じがするのも良いな。 ……ただ、そういえば、同じ身食いで同世代唯一の女友達で命の恩人でもあるフリーダがまったく登場しなくなったのだけど、立場が変わったとはいえ、えっと。 本文に書かれていないところでもしかしたら交流してるのかもしれないけれど、フリーダ、ものすごく心配してると思うのですけど……。 [ ] 読書狂が異世界でどうにか本を作りゆくゆくは司書を目指すシリーズ6冊目。 ようやく第二部ラストに向けて、悪役の神殿長が本気を出してきたっ。 次回で第二部完結なので大きく動き出そうな雰囲気を出しつつも、物語は、本格的な印刷技術を整えたりしながら、まだまだ平常運転。 ただ、シキコーザの処罰の件は、ちょっと重くてビックリ。 いや、もっとえげつない展開にしようと思えばいくらでもできるのにそうしていないので、全体に緩い感じの作風・世界観かと思ってたよ……。 そういえば、第二部になってから巻頭の地図が隣国含めた国の地図になってるのだけど、にもかかわらず、終盤になっても第一部同様に街から出る気配がまったくなくて、これはいったいどういうこと? [ ] えぐえぐ号泣。 感動の最高傑作級。 第二部完結。 エピローグ前の「決別」で、めちゃくちゃ泣けた。 ひたすら号泣 T-T。 いや、トゥーリや父さんとのやり取りがもうね。 後半はずっと涙を流しながら読んでました。 「家族を思って、溢れた魔力だから、家族のために使わなきゃダメなんだよ」。 もう、感動しかない。 ……しかし、ダームエルすら祝福されているのに、フリーダは祝福されてない件。 物語は、神殿に捨てられた子供をきっかけに、神殿長がマイン排除に動き出す展開。 大筋はオーソドックスなのだけど、デリアの扱いにはちとビックリ。 基本的に優しい世界観だと思うのだけど、たまに、シンドイ設定を入れてくるよなぁ。 ジル様の正体に関しては、バレバレすぎて「ですよねー」という感じしかないのだけど、そのせいで、大きく状況が変わる第三部もめちゃくちゃ楽しみですっ!! [ ] 本好きシリーズ8冊目、第三部スタート。 家族を守るためにそれまでの人生を捨て領主の養女となったマイン改めローゼマインは、新しい生活に戸惑いつつも本づくりに邁進する……。 と、領主のジル様を見る限り、そう悪いことにはならないだろうとは思っていたのだけど、新しい家族も含め、みんないいひとなんだよな。 そして、あそこまで感動的な別れを演出したので下町の人々との付き合い方も大きく変わるのかと思ってたら、おいっ 笑。 もうちょっとマインを追い込んでもいいと思うのだけど、ほんと優しい世界なんだよなぁ。 こうして始まった第三部だけど、印刷業も貴族生活も順調で、敵や問題が感じられない。 そのため、いままでと比べて物語の向かう先が今一つわからないなー。 あとがきによると、病気治療の名目でファンタジーっぽいクエストを始めそうな感じだけど。 [ ] 本好きシリーズ9冊目。 隣町ハッセの孤児を助けたローゼマイン。 しかし、それが領主の権力をかさにハッセを窮地に追い込む行為と知り……。 平民から貴族になった変化を、貴族社会での苦労ではなく大きな権力を持ってしまったことの戸惑いとして描くのは、なかなか面白いな。 ただ、それにしても、中世ヨーロッパ風世界なので貴族と平民の階級社会があるぐらいに考えてたのだけど、魔力に起因する貴族と平民、上級と下級貴族の力の差は圧倒的で、なるほど、魔力の量が強さと階級に直結する『聖闘士星矢』的な階級制度だったのか。 最強の領主に匹敵する魔力を持つローゼマイン。 そりゃローゼマインに敵対する勢力なんていないよ。 <をい 薬の材料を探すためのクエストも始まったけれど、ファンタジー的なクエストは、正直、私の求めるものと違う感じ。 どうせなら、ローゼマインが コスモ魔力を燃やして他の貴族と闘う展開が読みたいです。 <ちげー [ ] 本好きシリーズ10冊目。 貴族の子供たちが集まる子供部屋で、ローゼマインの教育改革がはじまる……。 中身が大人とはいえ、いちばん小さくて教育を受ける立場なのに、完全に先生の立ち位置なのが笑う。 いや、孤児院改革から対ヴィルフリートもそうなんだけど、本を流行らせるために識字率を高めるという個人的な野望があるとはいえ、どう見てもおかしくて笑えるよなぁん。 そういえば、この作品の特筆すべきは、これだけ長いシリーズなのに、場当たり的な設定がなく、基本的な設定もラストまでのおおまかなプロットも、おそらく最初に考えて物語が綴られているように見えるのが凄い。 いや、紙づくりから始めた序盤は、どうみてもタイトル詐欺かと思っていたのだけど、今や、文官になれば司書になれることが明示されてるし。 ハッセの罰は、……領主一族が領民の生殺与奪の権利を完全に握っている世界というのは、めちゃくちゃ凄いな。 そりゃ、逆らったら町丸ごと処分という発想になるのもわかる。 [ ] シリーズ11冊目、ゲオルギーネ来訪。 ジル様の姉で元領主候補、現在は格上領地の第一夫人。 ゲオルギーネ以外はクエストや印刷業も順調で平常運転。 そいえば、ローゼマインの側近の中では、いまいち影が薄いと思っていたアンゲリカが、成績上げ隊以降、一気にキャラが立ってきたな。 もともと、イラスト付きだと見た目と中身のギャップが大きくて楽しいのに、文章だとその魅力がいまいち発揮できてなかったのだけど、ポンコツなエピソードが増えてきて、かなり愉快なキャラになってきてるなー。 あとは、ダームエルとブリギッテは、障害に挫けない恋愛模様が楽しい。 でも、魔力が釣り合わないと恋愛対象にならないという世界観は、いろいろ凄いよな。 例えば、あれだけ仲良いマインとルッツは身分を乗り越えても結婚できないんだぜ。 しかし、マインって中身は大人のはずなのに、ルッツとのやり取りが物凄くお子様なのはいったい……。 [ ] 二年って、まさかそんな飛ばし方するとは。 そゆわけで、第三部完結。 妹シャルロッテが登場、はじめての妹に大喜びするローゼマインだが……。 と、第三部のメインストーリーだった薬を作るためのクエストも終了し、いよいよ物語はクライマックス。 いやー、姉を神聖視するシャルロッテが可愛い可愛い。 特に、短編のほうでどんどん加速する神聖化が好きだわ。 そして、おじい様ってこんなキャラでしたっけ!? 巻末漫画と合わせて愉快すぎるっ!! あとは、ダームエル……。 クライマックスに向けての、派閥に関するあれこれや、ヴィルフリートの扱いに関しては、ちょっと描かれ方が微妙な感じもするのだけど、それにしても、ローゼマインは愛されてるな。 ……なにはともあれ、次は、第四部、貴族院か。 ローゼマインの聖女伝説に期待するしかないっ!! [ ] この世界に、まさか司書が実在しているとは……。 第一部で紙を自作してたことを考えると、隔絶の感があるな。 ビックリだ。 第四部スタート。 この第四部は、ローゼマインが貴族の子弟が学ぶ学校で活躍する話か。 眠っていた二年間の出来事を振り返りつつ短期間で入学準備を進める前半も興味深かったけれど、なんといっても、進学先の貴族院の設定がいろいろと面白い。 領地ごとに順位がついていて、その順位で上下関係が変わるとか、どういう設定だ 笑。 図書館と司書の存在も興味深い。 そして、その中で無双しまくるローゼマイン。 二年眠っていたにもかかわらずの天才ぶりは、ほかの生徒からしたら化け物以外の何物でもないよな。 第四部になって、他領がいろいろ出てきたり、なんといっても王子が登場したりして、いきなり世界が広がった感じもして、今後の展開も非常に楽しみ。 や、王子とか、ローゼマインに巻き込まれ振り回されまくる予感しかしない 笑。 [ ] 引き続き、貴族院での学園生活。 マイペースに図書館通いをしようとするローゼマインに、周りの学生たちが振り回される展開。 予想通りの内容で、おもしろいおもしろい。 特に、トラウゴットのエピソードとか、ローゼマインの性格がよく表現されていておもしろいよね。 また、この貴族院、現代日本にあるような学校ではなく、貴族政治の前哨戦としての性格を強く打ち出した設定は上手いよね。 いや、なろう系異世界ファンタジーって、何故か学園モノをやりたがる傾向があるように思うのだけど、大体つまらないのよ。 それが、この作品では、ありがちな学園生活ではなく、政治力による戦争のような形になっていて素晴らしい。 ただ、予想通りは予想通りの展開なので、微妙に物足りなさも感じるかしらん。 や、いったんエーレンフェストに戻ってきたりのするので、今後は、もちょっといろいろな展開があるのかしらん? [ ] 号泣 T-T。 ルッツとのやり取りがもう泣ける。 感動しかないっっっ!! さて、読書狂が異世界転生する本シリーズ。 主人公ローゼマインの貴族院での生活を描いた第四部も今回で1年目が終了。 学校生活は、入学した第四部開始当時に比べると、いまひとつ波乱も少なく面白みに欠ける印象は否めないかな。 いや、ハンネローレ様との絡みは面白かったりするんだけど。 ……それよりも、うわぁ、やっぱり戻ってきてからのルッツとのやり取りが泣けた。 もう、ひたすら号泣ですよ。 大号泣です。 しかし、ローゼマインの恋人役はてっきりルッツかと思っていたのだけど、ここでヴィルフリートの参戦にちょっとビックリ。 あと、アンゲリカは本文の様子と挿絵の綺麗さのギャップにいつまでも慣れない 笑。 本文でも美少女となってはいるんだけど、やっぱ、こういう内面と外面のギャップは挿絵があるとめちゃくちゃ破壊力高まるよなぁ。 [ ] 祝アニメ化! この巻の発売と同時にアニメ化が発表されたのだけど、物語世界でだいぶ月日が流れたこの最新刊でも、せいぜい小学生低学年程度の外見であるマインのちまちま頑張る姿が、今から楽しみでたまりません。 小説以上にビジュアルと中身のギャップが凄くて楽しいと思うのですよっ!! それはともかく今回は、貴族院二年目、ローゼマイン無双再び。 一年目と同様、ちょっとした行動で騒動を巻き起こすローゼマインが楽しすぎるっ!! ……いや正確には、ローゼマインの騒動よりも、ローゼマインたちの報告をうけて右往左往する大人たちがマジ最高っっっ!! この1冊はエピローグのためだけにあるといっても過言ではないよなぁ。 とにかく、エピローグの大人たちがめちゃくちゃ楽しすぎるっっっ!! あと、何気に印象的だったのは、巻末短編「旧ベルケシュトック寮の探索」。 フェルディナンドの在学時代のエピソードも含め、ヒルシュール先生がなかなか重いよなぁ。 さすがにこのまま何年も貴族院編をやるのはバランス悪いと思うのだけど、アーレンスバッハも仕掛けてきたようだし、そろそろなにか動きがあるのかしらん? [ ] 貴族院の二年目も後半。 ここにきて政争に発展しそうなフラグが立ちまくりで、いよいよキナ臭くなってきたなー。 ローゼマインの周辺はコミカルな展開が多いので忘れがちだけど、この世界って、王位をめぐる派閥争いで大量の粛正が繰り広げられるような血生臭い世界なんだよなぁ。 いやぁ、王族に嫁ぐエグランティーヌ様も巻き込んで、血みどろの凄惨な争いが起きても不思議じゃない。 せっかく、派閥争いを回避するために一歩引いたのに、エグランティーヌ様。 がくがくぶるぶる。 ……しかし、ローゼマインは、司書になるつもりだったのが、フラグ的には、なんだか王様を目指すことになりそうなんですけど 笑。 とにかく、今回はフラグ立てまくりという感じだけど、第四部はまだまだ続くのか。 次は、三年生? [ ] 第四部完。 フェルディナンドとの別れ T-T。 突然持ち上がったフェルディナンドとディートリンデとの縁組で、フェルディナンドが敵地・アーレンスバッハへ旅立っていくという展開なのですが、いやぁ、フェルディナンドは、完全にローゼマインの家族になってたんだなぁ。 ルッツとの距離感と比べて、今のフェルディナンドとの親密さに、今更ながらビックリでした。 そのフェルディナンドが去り、ここからいよいよ最終章へ突入していくのか。 一方で、今までの家族との別離と比べるとそこまでの悲しさを感じなかったりするんだけど、ローゼマインも、今では側近はじめ多くの人に支えられているんだよな、とそんなことを思ったりも。 収録されてるリヒャルダ視点の短編「息子の出立準備」を読むと、ラスボスに見えるゲオルギーネも、必ずしも悪役というわけではなさそうだけど、うーん、やっぱ、アーレンスバッハでフェルディナンドが幸せになる未来は見えねーよな。 ただ、ゲオルギーネはともかく、ディートリンデは頭が弱いので、フェルディナンドの敵としてはどーよって気はしてならないんだけどなぁー。 女神の化身になって無双しまくるローゼマインに第五部も大期待です。 [ ] シリーズ最終章「女神の化身」編、スタート。 最終章ではあるけれど、この第一巻は、特に波乱もなく貴族院の続き。 三年生になったローゼマインは、相変わらず騒動を巻き起こしながら、貴族院の様子をふつーにフェルディナンドに報告したりしていて、いやー、前巻でまるで今生の別れのような雰囲気を強調していたのに、フェルディナンドの関係がそんなに変ったように見えないぞ 笑。 ……『本好きの下剋上』って、わりと権謀術数あふれる情が薄い世界観なので、ローゼマインが家族扱いしてる一方で、フェルディナンドがすでに敵側についていないか、ハラハラする。 そもそも、フェルディナンドが本気になったら、アーレンスバッハの実権を握るぐらいできるんじゃね? ユルゲンシュミットの政体って、本来は、実力次第で簡単に権力を握りやすい構造なんだし。 フェルディナンドはともかく物語のほうは、当分はローゼマインの争奪戦みたいな展開かしらん? 早く、「女神の化身」として覚醒するローゼマインが見たいですっ!! [ ].
次の