腹部 大動脈 瘤 初期 症状。 大動脈瘤と大動脈解離

腰痛の原因となる『腹部大動脈瘤』とは/特徴・症状・治療

腹部 大動脈 瘤 初期 症状

腹部大動脈瘤と 瘤が大きいほど血管の壁は引き伸ばされた状態になり、破裂しやすくなります。 腹部大動脈瘤が破裂した場合、することもあります。 なお、胸部に位置する大動脈に瘤ができた場合は、胸部大動脈瘤といいます。 腹部大動脈瘤の種類 腹部大動脈瘤の形には、大きく 紡錘状瘤 ぼうすいじょうりゅう と 嚢状瘤 のうじょうりゅう の2種類があります。 下の図のように、紡錘状瘤とは大動脈が紡錘状の瘤になったものです。 嚢状瘤とはの一部が飛び出すように瘤になったものです。 正常な大動脈と紡錘状瘤と嚢状瘤 嚢状瘤は紡錘状瘤よりも局所的に圧力がかかっているため、破裂しやすいといわれています。 しかし、破裂する確率は形だけでなく直径も大きく関係しています。 たとえば、瘤の直径が5㎝を超えると破裂する確率が高くなります。 その場合、瘤の形状に関わらず、早急に治療を受けることをおすすめします。 腹部大動脈瘤の原因と発症しやすい方の特徴 を発症する主な原因として、が挙げられます。 その他にも、遺伝や慢性呼吸器疾患、なども関係することがわかっています。 腹部大動脈瘤の主な原因は動脈硬化 腹部大動脈瘤の主な原因は動脈硬化です。 動脈硬化によって血管の内側の壁がもろくなることによって発症します。 そのため、発症しやすい年齢は60歳から70歳台で、なかでも動脈硬化の原因となる病気(など)を多く持っている方の場合に腹部大動脈瘤を発症しやすいといわれています。 女性よりも男性のほうが腹部大動脈瘤を発症しやすい 性別でみると、女性ホルモンであるエストロゲンには動脈硬化の進行を抑えるはたらきがあることにより、女性に比べ男性は動脈硬化が進行しやすいといえます。 結果的に、男性のほうが腹部大動脈瘤を発症しやすく、実際に欧米の調査では、男性は女性の3倍から4倍の確率で腹部大動脈瘤を発症するという結果もでています。 感染が原因で発症する感染性腹部大動脈瘤 発症する確率はまれですが、感染性腹部大動脈瘤といい、感染によって発症するものもなかにはあります。 血管の壁に潰瘍 *などの異常を起こしている場所が細菌感染を起こし、その細菌が繁殖することで感染性腹部大動脈瘤を発症します。 潰瘍…粘膜や皮膚の表面が炎症を起こしてくずれることでできた傷が、深くえぐれたようになった状態。 腹部大動脈瘤の症状 は破裂しない限り患者さんに自覚症状はほぼなく、また破裂の前触れもほぼないと思われます。 まれに、瘤が腸管や十二指腸を圧迫することで、食べたものがうまく腸を通らないといった症状が現れることはあります。 一方、腹部大動脈瘤が破裂すると、激しい腹痛や腰痛などが現れます。 なかには意識を喪失する患者さんもいらっしゃいます。 そのため、なんとなく腹部や腰が痛むというような場合であれば、腹部大動脈瘤破裂である可能性は低いといえます。 なお、腹部大動脈瘤が破裂した際の症状と似ている病気としては、 *が挙げられます。 尿路結石…尿管に結石が発生する病気。 症状としては、腹部や腰の強い痛みが挙げられる。 腹部大動脈瘤の検査 ステントグラフト治療後(提供:安達先生) 先に述べたように、破裂していないの場合、患者さんの自覚症状はほぼありません。 そのため、腹部大動脈瘤は、違う病気を調べるための超音波検査やCT *検査、MRI *検査、もしくは健康診断や人間ドックなどでみつかることが多いです。 たとえば、心臓の超音波検査を受けた際や整形外科でMRI検査を受けた際などに腹部大動脈瘤がみつかり、当院を訪れる患者さんもいらっしゃいます。 CT検査…エックス線を使って身体の断面を撮影する検査。 MRI検査…磁気を使い、体の断面を写す検査。 腹部大動脈瘤の治療 血管は常に内側から圧力がかかっている状態です。 そのため、は治療をしない限り、大きくなることはあっても、小さくなることはありません。 そして、腹部大動脈瘤の直径が5㎝以上になった場合には、破裂予防のための治療が必要です。 腹部大動脈瘤の破裂を予防する治療法は、ステントグラフト挿入術と人工血管置換術の2種類があります。 また、血圧が高い患者さんは食生活などを変え血圧を下げたり、者の方はしたりするなど生活習慣を改善することも大切です。 ステントグラフト挿入術とは ステントグラフト挿入術後のイメージ ステントグラフトとは人工血管にステントという金属でできたバネを取り付けたもので、腹部大動脈瘤のなかにこのステントグラフトを挿入し留置することで瘤のなかに血液が流入することを防ぐ治療法をステントグラフト挿入術といいます。 まず、カテーテル(医療用の管)を血管のなかに挿入するため、脚の付け根にある大腿動脈を3㎝から4㎝の皮膚切開で露出します。 その後、大腿動脈からカテーテルを腹部大動脈瘤まで進めていき、ステントグラフトを瘤の内部に留置します。 ステントグラフト挿入術の適応となる患者さん 開腹歴のある患者さんは、過去に手術を行った部分に癒着がみられることがあります。 再度回復手術をするとなると癒着を剥がす必要がありリスクが高いため、ステントグラフト挿入術が適しているといえます。 しかし、ステントグラフト挿入術の適応となるかどうかは、患者さんの血管の形状に左右されます。 たとえば、血管の屈曲が強い方や細い方はカテーテルを上手く進めることができない可能性があります。 また、年齢が若い患者さんほど加齢と共に血管の形が変化し、ステントグラフトと合わなくなってしまうことがあるため、余命がある程度長い患者さんにはお勧めしないこともあります。 なお、ステントグラフト挿入術は造影剤を血管に注入し、透視をしながら行います。 腎臓が悪い患者さんには負担になることがあります。 人工血管置換術とは 人工血管置換術後のイメージ 人工血管置換術とは、腹部大動脈瘤を切除して人工血管を縫い付ける治療法で、ステントグラフト挿入術よりも古い歴史があります。 患者さんの腹部を切開し、の上と下で血液の流れを一次的に遮断して、瘤を切開し、瘤の部分を人工血管と置換することで、腹部大動脈瘤の破裂を予防します。 人工血管置換術の適応となる患者さん 人工血管置換術は、ステントグラフト挿入術では対応できない形の血管を持っている患者さんにも対応できます。 また、造影剤を使用しないため、腎臓が悪い患者さんは人工血管置換術の適応となります。 それぞれの治療法のメリットとデメリット ステントグラフト挿入術のメリットとデメリット ステントグラフト挿入術の場合、術後の傷跡は小さく、4㎝から5㎝ほどの傷が2箇所です。 そのため、目立ちにくく術後の回復も早くなります。 また、傷跡から感染を起こすリスクが低いといえます。 ステントグラフト挿入術の傷跡は2箇所 一方、ステントグラフトの隙間から血液が漏れて再び内に血液が入ってしまったり(エンドリーク)、ステントグラフトが血圧に負けてずれてしまったり(マイグレーション)する点がデメリットとして挙げられます。 人工血管置換術のメリットとデメリット 人工血管置換術の場合、人工血管がはずれるといった可能性は低いと考えられます。 ステントグラフト挿入術で懸念されるような、エンドリークやマイグレーションを起こす心配はありません。 また、手術時に造影剤を使用しないため、腎機能に課題がある患者さんでも受けられる点がメリットといえます。 しかし、腹部を15㎝ほど切開する必要があるため、ステントグラフト挿入術に比べ手術時の出血量が多くなり、術後の回復にも時間がかかります。 また、などの感染症を発症するリスクも高くなります。 腹部大動脈瘤の治療後の注意点 ステントグラフト挿入術の場合、ステントグラフトという異物を血管のなかに入れるため、術後に高熱がでる患者さんがいます。 しかし、ほとんどの患者さんの場合、熱は自然と下がります。 また、体内に挿入したステントグラフトや人工血管が感染を起こすことがあります。 感染を起こした場合は、ステントグラフトや人工血管を入れ替える治療が必要です。 は破裂すると、最悪の場合、命にかかわることがある病気です。 できれば定期的に検査を受け、また破裂するリスクが高いと判断された場合には早急に治療を受けることをおすすめします。 腹部大動脈瘤の治療では、治療法それぞれのメリットとデメリットを考慮しながら、患者さんお一人おひとりの状態に適した治療法を選択することが大切です。

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【医師監修】腹部大動脈瘤の症状の特徴と予防のためにできることとは?

腹部 大動脈 瘤 初期 症状

腹部大動脈瘤とは? 大動脈は、心臓から送り出された血液が通る人体の中で最も太い血管です。 下図のように心臓から出てまず上に向かい(上行大動脈)、弓状に曲がって背中側に回りながら脳や腕に栄養を運ぶ3本の血管が枝別れし(弓部大動脈)、下に向かいます(下行大動脈)。 ここまでが胸部大動脈で、横隔膜を貫くと腹部大動脈と名前を変えます。 肝臓・胃・脾臓といった内臓、腸、腎臓への4本の血管が枝分かれした後、臍のあたりで左右に分かれて骨盤から足に向かいます。 腹部大動脈瘤とは、腹部大動脈が部分的に大きくなる病気で、通常は20mm程度の大動脈が30mm以上に膨らんだ状態です。 多くの場合、腎臓に向かう血管から左右に分かれる大動脈分岐部までにできることが多く、さらに骨盤に向かう腸骨動脈が連続して瘤になることも多くみられます。 体表からみると、腹部大動脈瘤の場所はみぞおちから臍の周りになります。 図1 腹部大動脈瘤は、最も頻度が高い大動脈瘤です。 原因の90%以上は動脈硬化、いわゆる「血管の老化」で、動脈硬化の危険因子としては、喫煙、高血圧、脂質異常症、糖尿病などが広く知られています。 中でも、喫煙が最も大きな原因といわれており、禁煙を強く指導しています。 また、感染症(梅毒、サルモネラ菌など)のほか、血管に炎症を引き起こす病気(高安動脈炎、ベーチェット病など)、外傷、先天性の病気(マルファン症候群、エーラス・ダンロス症候群など)も原因になります。 腹部大動脈瘤は、年をとるほど発生頻度が上昇することが知られています。 手術を受けられる方の平均年齢は75歳で、40歳代から50歳代の方は稀であり、男性、女性ともに70歳代の方が最多です。 また、ご家族に腹部大動脈瘤の人がいる場合には、発症する可能性が高くなりますので、スクリーニング(ふるい分け)検査を受けられることをお勧めしています。 腹部大動脈瘤は無症状のまま破裂することがあります! 腹部大動脈瘤は胸部大動脈瘤と同じく自覚症状はほとんどありません。 痩せている方が腹部の拍動性("ドクドクする")の腫瘤として気づくこともありますが、ほとんどの方は、健康診断や他の病気の検査や治療中に、偶然、腹部大動脈瘤が見つかっています。 大動脈瘤はゆっくり大きくなりますが、風船を膨らませる時に最初は膨らみにくいのに、だんだん息を吹き込みやすくなるのと同じく、大きくなればなるほど早く大きくなります。 これは、物理のラプラスの法則に当てはまります。 腹部大動脈瘤の直径が大きくなればなるほど、破裂する危険性が高まります。 (Brewsterら、2003) 破裂すると、堤防の決壊と同じで、一気に症状が進みます。 血圧が低下して突然ショック状態になり、「運転中に突然意識を失った」とか、「突然苦しみながら倒れて死んでしまった」という状態になることもあります。 破裂する部位によっては、吐血や、血便といった症状が出ることもあります。 完全に破裂していない場合に、劇痛を伴うこともあります。 腹部大動脈瘤の治療のタイミングは? 腹部大動脈瘤が破裂した場合には、すぐに手術を受けるしかありません。 脈のあるうちに手術室にたどり着くことが必要になります。 手術の目的は救命であり、救命されたとしても、入院期間が長くなり、破裂する前のような日常生活をおくれなくなる可能性が高くなります。 腹部大動脈瘤は、破裂する前、多くの人で無症状の間に手術を受けることが重要であり、破裂する危険性と手術の危険性を比べて、破裂する危険性が手術の危険性よりも高くなれば、手術を勧めています。 なお、腹部大動脈瘤の形も重要な判断材料で、紡錘状に膨らんでいる場合には直径を参考にしますが、大動脈の一部が突出するような形("嚢状"といいます)で大動脈瘤になっている場合には、大きさに関わらず手術を勧めています。 腹部大動脈瘤の治療法は? 腹部大動脈瘤を治すための薬はありません。 多くの方が高血圧も伴っているので、高血圧の薬物治療によって腹部大動脈瘤が大きくなるのを遅らせることができる可能性はありますが、根本的な腹部大動脈瘤の治療は手術に限られ、人工血管置換術とステントグラフト内挿術の二つの手術方法があります。 人工血管置換術 腹部大動脈瘤を人工血管に置き換える手術です。 人工血管はポリエステル繊維やフッ化エチレン膜などによって作られており、異物反応を示すことはありません。 腹部大動脈瘤の手術には、直径14~22mmのストレート型または半分ぐらいの2本の脚に枝分かれしたY字型の人工血管を使用します。 (図2)比較的太いといえる人工血管ですので、中を流れる血液が固まる危険性が低く、信頼のおける人工臓器の一つです。 ちなみに、人工血管は開発されてから50年以上が経過しています。 図2 人工血管置換術は腹部大動脈瘤の標準的な手術方法で、臍の上下を15~25cm程度切開し開腹して行います。 大動脈瘤の上下の太くなっていない大動脈や腸骨動脈を鉗子で遮断してから、腹部大動脈瘤を切開し、瘤の上下で切断してから人工血管を上下の大動脈や腸骨動脈と吻合し(縫い合わせ)ます。 (図3)全ての吻合が終了した後、人工血管を大動脈瘤や腹膜で覆い、腸などの周囲の内臓と癒着しないようにしておきます。 図3 腹部大動脈瘤の大きさや場所にもよりますが、3~4時間程度で手術が終了します。 2~3日で歩行や食事ができるようになり、1週間から10日後に退院できます。 大きな創の痛みがあり、脊椎麻酔や局所麻酔のほか、鎮痛剤を用いる必要があります。 大動脈遮断により心臓に負担がかかるため、手術前に十分に検査をしておく必要があります。 腹部大動脈瘤の患者さんでは心臓、特に冠動脈の病気を合併していることがあり、腹部大動脈瘤よりも心臓の治療を優先することもあります。 ステントグラフト内挿術 ステントグラフトとはステントといわれるバネ状の金属を取り付けた人工血管で、カテーテルの中に収納して大動脈内に挿入し、大動脈瘤の前後を含めた大動脈内に展開します。 展開されたステントグラフトは、ステントの拡張する力と血圧により、大動脈瘤の上下の血管に内側から張り付きます。 血液はステントグラフトの中を通りますが、ステントグラフトの外側の大動脈瘤には血液が流れなくなって血圧が及ばなくなり、大動脈瘤が縮小することもあります。 大動脈瘤が縮小しなくても、拡大が防止されるので、破裂する危険性はほとんどなくなります。 (図4) 人工血管置換術と比べて歴史が浅く、日本では、2006年に薬事承認されて本格的に行われるようになりました。 現在、日本では5つの機種を使うことができます(図5)各々特性があり、瘤の形や場所、腸骨動脈の太さによって、最も適した機種を選択することができます。 図4 図5 ステントグラフトは足の付け根を3~5cm程度切開して、大腿動脈から大動脈内に挿入することができるので開腹する必要がなく、血流を遮断する必要もありません。 2時間程度の手術時間で、翌日には歩行や食事が可能です。 創が小さいので、痛みの少ない手術です。 数日後に退院することも可能ですが、創が治って、術後の検査を受けると、1週間から10日後に退院することになります。 ステントグラフト内挿術はもともと血液が流れていた大動脈瘤の中に、血液が流れるステントグラフトを挿入し、その周りには血液が流れないようにする手術ですが、血液が流れないはずのステントグラフトの周りに血液が流れることをエンドリーク(内側の漏れ)と言います。 追加治療はカテーテルで行うことが多いですが、開腹手術を行わざるを得ないことも有ります。 二つの手術方法のうちどちらを選ぶのでしょうか? ステントグラフト内挿術は患者さんの体の負担が少ない治療ですが、大動脈瘤の形や場所などがステントグラフト内挿術に適さない場合もあります。 一方、脳や心臓の病気があったり、開腹手術を受けたことがあると人工血管置換術を行うのが難しいこともあります。 人工血管置換術は歴史が長く、その治療成績は安定しており、手術後の合併症についてもよくわかっています。 一方、ステントグラフト内挿術は歴史が浅く、エンドリークのように追加治療を必要とすることが比較的多くあります。 国立循環器病研究センターでは、2007年からステントグラフト内挿術を本格的に導入しましたが、現在は腹部大動脈瘤の患者さんの半分を人工血管置換術で、半分をステントグラフト内挿術で治療しています。 大動脈瘤の場所や形だけでなく、全身の状態や開腹手術の既往などを、慎重に検討して、ひとりひとりの患者さんに最も適した治療方法を選んで、勧めています。 術後の注意点は? 大動脈瘤は、血管の老化の一つの現れですので、他の場所に大動脈瘤ができる可能性があります。 人工血管置換術もステントグラフト内挿術も、術後は定期的にCTや超音波の検査を行っています。 また、大動脈瘤の原因となった動脈硬化を悪化させないようにライフスタイルを改善しましょう。 特に禁煙は重要です。 最終更新日 2018年04月23日.

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自覚症状がない!?破裂すると命の危険もある大動脈瘤(だいどうみゃくりゅう)とは

腹部 大動脈 瘤 初期 症状

胸部大動脈瘤とは、身体の中で一番太い血管である胸の中の大動脈がなんらかの原因で膨らんだ状態をいいます。 一般的には大動脈の太さ(直径)が正常の1. 5倍を超えた場合を大動脈瘤といい、胸部大動脈の正常の太さはおよそ3cmと言われていますので、4. 5cmを超えて膨らんだ場合を胸部大動脈瘤と呼びます。 真性大動脈瘤は、その形から壁の一部が膨らんで瘤になった場合(嚢状大動脈瘤;イラスト)と、大動脈の壁が全周にわたって膨らんだ場合(紡錘状大動脈瘤;イラスト)に分けられます。 その他に、動脈の壁が完全に裂けてしまって通常なら大出血するところを周りの臓器によって押さえ込まれ、あたかも瘤のように見えるものもあります(仮性大動脈瘤)。 胸部大動脈瘤の原因としては動脈硬化が最も多く、その他に、感染症(梅毒など)、炎症を引き起こす病気(各種血管炎)、ケガ(交通事故など)や、生まれつき(遺伝性)血管の壁が弱い場合なども原因として知られています。 仮性大動脈瘤はケガで生じることが多いとされています。 太くなった血管を人工血管に置き換える方法(外科手術)と、大動脈瘤の中に人工血管を入れて破裂を予防する方法(ステントグラフト治療)があります。 外科手術では心臓を一時的に停止し、血液の流れをー部、一時的に停止させる必要があるため、多くの場合、人工心肺装置を用いて行われます。 そのため、手術後に脳梗塞や脊髄麻痺(下半身麻痺)などの合併症を引き起こすリスクが避けられず、手術の死亡率は手術する血管の場所により1. 2%~8. 8%とされています。 破裂が起こってからの緊急手術では、死亡率が19. 4%~50%と非常に高くなります。 ステントグラフト治療 () 危険性の低い治療法として最近注目されていますが、外科手術と同様に脳梗塞や脊髄麻痺などの合併症リスクに加え、外科手術に比べて大動脈瘤の再発の確率が高いことや、耐久性で劣る可能性があるなどの問題点があります。 現在のところ外科手術が困難な患者さんにのみ行われています。

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