休業補償 増額。 経営者・会社役員の休業損害~算出方法に注意!役員報酬をふまえた補償額の考え方

交通事故の「休業損害」と「休業補償」の違いとは何か?

休業補償 増額

「雇用されている方が直接申請することができ、そして直接お金を受け取れる新たな制度を創設いたします」。 安倍首相は、14日の記者会見でこのように述べ、事業主から休業手当を受け取れなかった労働者に対して直接給付金を支給する制度を新たに創設する考えを表明した。 長引く休業によって収入が激減し、生活に不安を抱える人々にとって、希望の光ともいえる制度であり、速やかな実行が期待される。 ただ、政府への不信感から、本当に実効性のある制度ができるのかを疑問視する声もある。 一体どのような制度が検討されているのだろうか。 想定される新たな給付金制度の仕組み 報道されている内容をもとに、想定される新たな給付金制度の仕組みについて述べていきたい(現時点で報道されている情報をもとに想定される内容であり、政策決定過程において大幅な変更が生じる可能性があることにご留意いただきたい)。 まず、対象となるのは、雇用調整助成金を申請していない中小企業の従業員である。 休業を余儀なくされたにもかかわらず、事業主から休業手当の支払いを受けていない人々を救済することが新たな制度の目的だ。 中小企業に焦点が当てられているのは、申請に必要な書類を用意できなかったり、助成金を受け取る前に休業手当を支払う余裕がなかったりして、雇用調整助成金の申請に至っていないケースが多いからだろう。 あくまでも雇用調整助成金を通じた所得保障にプライオリティーがあり、それによってカバーできていない層を給付金の支給によって支えるという考え方がとられているものと推測される。 次に、給付金の額は、月33万円程度を上限に、月額賃金の8割程度を給付する方向で調整が進んでいる。 労働者ごとの直近の平均的な賃金をもとに計算されるようだ。 参考までに、失業手当の額と比較してみよう。 失業手当の日額は、直近6ヶ月の賃金から算出された賃金日額の50~80%(60歳未満の場合)で、その上限額は8,330円である。 新設される給付金の具体的な算出方法はわからないが、失業手当を上回る水準にはなりそうだ。 そして最も重要なのが、給付金の支給方法だ。 これについては、事業主を介さず、労働者個人が直接ハローワークとやりとりする仕組みが想定されている。 日経新聞の報道によれば、休業した労働者が事業主から「休業証明」を受け取り、自らハローワークに申請することによって、直接本人に給付金が支給される仕組みになるようだ。 手続きに必要な「休業証明」は、退職時に事業主から交付される離職票に似た様式だと予想される。 この様式に、事業主が直近の賃金や休業した日数などを記載し、それをもとにハローワークにおいて給付金の額が算出され、支給される仕組みが想定される。 雇用調整助成金と比較して、かなり簡素な手続きになるだろう。 新たな仕組みができた理由は? なぜこのような仕組みが作られたのだろうか? 背景には、世間から「補償なき休業要請」と批判されてきた現行制度の欠陥がある。 休業中の労働者の生活を支える施策として政府がこれまで重視してきたのは、雇用調整助成金制度のたび重なる拡充であった。 しかし、助成金の申請や支給は思うように進んでいない。 申請手続が煩雑、支給まで時間がかかるといった事情から、申請をしない(できない)事業主が多いためだ。 助成金を活用して休業手当を支払うように労働者が求めても、事業主がこれに応じなければ、休業補償の枠組みから漏れてしまう。 こうして、職場で弱い立場に置かれやすい非正規労働者をはじめ、多くの労働者に施策の効果が行き届いていなかった。 実際、筆者が代表を務めるには、「非正規には休業手当が支払われない」、「会社が助成金を申請してくれず、解雇されそう」という労働相談が非常に多く寄せられている( 末尾に労働相談窓口)。 例えば、都内の大手百貨店のアクセサリーショップで働いていた契約社員の女性は、緊急事態宣言の発令に伴う百貨店の臨時休業により休業を余儀なくされた。 その際、社長から「休業手当は支払えない。 自宅待機でいいなら好きにしてもらってかまわないけど、給料は出ないよ。 嫌なら他で働いて」などと告げられてしまったという。 雇用調整助成金の申請を求めたが、「書類がいっぱいで大変だから無理。 そんな暇はない」と言われ、応じてもらえなかった。 「困ります」と抗議したが、「休業手当を支払うためのお金がない。 会社を潰す気か」と言われてしまい、仕方なく退職届を書いてしまったのだという。 こうした問題は社会全体に蔓しており、特に緊急事態宣言の発令以降、無給の休業を強いられたり、職を失ったりする労働者が増えていた。 このため、より簡単で確実な休業補償の仕組みが求められていた。 そこで、現場の実態を知る支援団体などが要望してきたのが「労働者側から休業補償を請求する仕組み」だ。 筆者も参加する「生存のためのコロナ対策ネットワーク」も、において、その必要性を訴えてきた。 新たな給付金の創設によって何が変わるか 次に、新たな給付金制度がもたらす効果について考えてみよう。 上に述べたように、今回検討されている給付金制度については、事業主を介さずに労働者に直接支給される仕組みが想定されている。 制度が創設されれば、この数ヶ月に渡って労働者たちを悩ませ続けてきた、「事業主が申請しない限り制度を利用できない」という問題に一定の改善がもたらされる形になる。 また、新たな給付金制度では、迅速な支給が可能となる見込みだ。 簡易な手続きで申請できるため、審査にも時間を要さず、申請から1週間程度で支給できる可能性があると報じられている。 この制度ができれば、長期間の休業を余儀なくされている多くの労働者に速やかな給付を行い、その生活を支えることができるだろう。 事業主からすれば、金銭的な負担を負うことなく、従業員の雇用を維持することができる。 このため、整理解雇を抑制し、失業者の増加を防止する効果も生じる。 さらに、新たな給付金制度は、深刻化する学生の生活困窮の解決策ともなり得る。 飲食店など、アルバイト先で「戦力化」され、基幹的な労働力として働いている学生が多いにもかかわらず、その法的権利は軽視され、当たり前のように休業手当が支払われていないことが多い。 コロナ禍で学生が生活困窮に陥る要因は、実態としては「労働者」のように働きながら、弱い立場に置かれ、労働者としての権利を行使できないという矛盾にある(このことはほとんど指摘されていない。 新たな給付金制度では、雇用保険に加入していない学生アルバイトなども対象になる見込みだ。 困窮する学生に対する救済策としても有効に機能するものと思われる。 「みなし失業」との違いは? 今回検討されている給付金制度は、災害時などに適用されてきた「みなし失業」の仕組みを参考にしている。 「みなし失業」とは、休業を余儀なくされ、給与を受け取ることができなくなってしまった人について、実際には離職していなくても、失業しているとみなして、失業給付を受給できるようにする雇用保険の特例措置である。 政府は、当初、この「みなし失業」をコロナ禍に適用することを検討していたが、結果的には給付金方式を選択した。 では、「みなし失業」と給付金方式とでは何が違うのだろうか。 結論からいえば、 給付金方式は、「みなし失業」よりも、さらに「進んだ」施策だといえる。 「みなし失業」の場合、あくまでも雇用保険を特例的に休業労働者に適用するものであるから、雇用保険に加入していない学生アルバイトなどは対象外になる可能性があった。 また、失業手当を受給するためには、雇用保険への一定の加入期間が必要となるため、就労期間が短い労働者も、原則からいえば対象外となってしまう。 さらに、これも原則からいえば、「みなし失業」による失業手当を受給すると、それまでの被保険者期間がリセットされてしまう。 そうすると、コロナの影響が長期化し、本当の「失業」をした場合には失業手当を受けられなくなってしまう可能性があった。 要するに、雇用保険という社会保険制度(保険料負担の見返りに給付を受ける仕組み)の枠組みでは、一定の要件を満たさない者は保護の対象から漏れてしまう。 それに比して、今回の制度はより福祉的要素が強く、普遍的に生活を保障することができる給付金方式が選択されたとみることができる。 政府が給付金方式に切り替えた背景にはこのような事情があったのではないだろうか。 今後の検討次第では、「コロナの影響による休業によって収入を失った」という事実さえあれば誰でも救済するという普遍性の高い制度となる可能性がある。 今回の制度は、緊急時の福祉政策に新しい前例を作る、画期的なものとなる可能性を持っているのだ。 引き続き、雇用調整助成金の活用は重要 一方で、課題も残る。 新たな給付金制度の対象は中小企業に限られ、大企業に雇用される労働者は対象とならない見込みだ。 大企業だからといって休業手当を支払うとは限らない。 例えば、フィットネスクラブ・スポーツジム業界最大手のコナミスポーツ株式会社は、アルバイトのインストラクターに休業手当を支払っていない。 今後も、休業を余儀なくされ、十分な生活収入を得られていない大企業の労働者は、会社に対して雇用調整助成金の活用によるできるだけ多くの休業手当の支払いを求めていくしかない。 また、今回の給付金のニュースを知り、「国から給付金が出るなら、会社が休業手当を負担する必要はない」と考え、雇用調整助成金の申請を見合わせたり、休業手当を支払わなくなったりする事業主が出てくることも懸念される。 新たな給付金制度は、あくまでも政府が創設の意向を示した段階に過ぎず、正式に決定したものではない。 具体的な内容は決まっていないから、このことをもって「会社から休業手当を支払ってもらわなくても大丈夫だ」と考えるのは危険だ。 法律の施行前に遡って適用されるのか否かも現時点ではわからない。 労働者としては、むしろ、「給付金が支給されるまでの間だけでもいいから、休業手当を支払ってほしい」と事業主に求めるほうがよいだろう。 労働組合の力を活用するなどし、会社と交渉していくことは、今後も引き続き重要になってくると思われる。 無料労働相談窓口 03-6699-9359 soudan npoposse. jp *筆者が代表を務めるNPO法人。 訓練を受けたスタッフが法律や専門機関の「使い方」をサポートします。 03-6804-7650 info sougou-u. jp *個別の労働事件に対応している労働組合。 労働組合法上の権利を用いることで紛争解決に当たっています。 022-796-3894(平日17時~21時 土日祝13時~17時 水曜日定休) sendai sougou-u. jp *仙台圏の労働問題に取り組んでいる個人加盟労働組合です。 03-3288-0112 *「労働側」の専門的弁護士の団体です。 022-263-3191 *仙台圏で活動する「労働側」の専門的弁護士の団体です。

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休業補償とは?交通事故で休んだ場合の5つのポイント

休業補償 増額

休業補償とは?交通事故で休んだ場合の5つのポイント• 1 交通事故・休業補償とは? 休業補償とは、交通事故で仕事を休んだ分の補償です。 言い換えれば交通事故のせいで、収入が減ってしまったという損害(休業損害)に対する補償です。 交通事故によるケガで入院、通院となり、休んだ分給与が減らされてしまった、ボーナスが減額されたなど、収入の減収分、賞与、諸手当、昇給が休業損害です。 2 休業補償はどうやって計算するの? 休業補償は、原則的には実際に休んだ分の補償です。 休業補償の具体的金額の計算は、1日あたりの収入に休業日数をかけて計算するという方法が一般的です。 ただし、必ずしも休んだ日数のすべてが休業日数になるとは限りません。 このように、休業補償は 仕事をして収入があることが原則です。 実際に仕事をしている方のさらに詳しい計算などはこちらから御覧ください。 3 アルバイト・主婦・無職は休業補償をもらえないの? 専業主婦・学生・無職など、自営業者や正社員でない方も休業補償がもらえる場合があります。 こちらをご覧ください。 4 休業補償はどこまでもらえるの? 休業補償は必ずしも全額請求できるわけではありません。 通勤中や勤務中に交通事故に遭った場合は、労災を申請することができます。 労災で6割の休業補償給付があった場合には、残りの4割のみ請求することができます。 また、もし通院や入院期間中に勤務先から給与が支払われていた場合には請求できません。 5 有給休暇を使って通院したら、休業補償の対象となりますか? 前述の通り、休業中に勤務先から給与が支払われる場合には休業補償は請求できません。 しかし有給休暇を使って治療を行った場合は、休業補償の対象として休業日数に加えることができます。 有給休暇の場合は給与対象の休暇です。 しかし本来なら自由に使える有給休暇を、やむをえず交通事故による怪我の治療のために使わなくてはいけなかったのですから、休業補償に該当するのです。 このように、仕事を休んだ分の補償は支払われますが、問題は細かい書き方や会社がきちんと休暇を認めてくれない時などの対応です。 また、休業補償は症状固定前の補償ですが、症状固定後の後遺症に対する逸失利益というものがかなりの額になります。 症状固定・・・治療を終えた状態(リハビリは含まず) 逸失利益・・・将来の減収分 休業補償よりも逸失利益のほうがはるかに額が高いのが通常です。 こういった後遺症に関しては3つの基準というものがあります。 示談する前には、こういった金額の大きい部分にも力を入れて交渉していくことが大切です。 迷われた場合、交通事故専門弁護士にご相談ください。 あなたの正当な保険金獲得のため、われわれも最大限お手伝いをいたします。 弁護士の中原敏雄です。 私も以前交通事故にあって苦しんだことがあります。 どうしてよいのか、昔はインターネットもない時代でちゃんとした知識も得ることができませんでした。 今はインターネットで様々な知識が得られます。 このサイトも、交通事故の被害者の方々に、こんな事実があります、こんな方法がありますということをお知らせしたくて作りました。 交通事故にあって、どうしたらよいか、何かよい方法はないか、と悩んでいる方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。 また、本来もらうべき金額を受け取ることなく苦しむ方もいらっしゃるのではないでしょうか。 何も知らないまま保険会社から迫られて示談してしまう、そういうことは絶対あってはいけないとの思いがあります。 このサイトは、保険会社に立ち向かい、正当な賠償・慰謝料を勝ち取れるようにたくさんの情報をのせています。 ぜひお役立て下さい。 また、このサイトをご覧になり、後遺障害等級や保険金増額を弁護士に依頼してみたい、と思われた方はアズールまでご相談下さい。 後遺障害等級を獲得された方・ご家族が交通事故で亡くなった方については、ほとんどの方(当事務所の実績では99. 長期治療・等級が取れた・重傷事故・死亡事故・弁護士特約 ひとつでもあてはまる方は 今すぐご相談ください 0120-940-902 平日9:30-19:00/土日祝日も事前予約で対応します 運営:アズール法律事務所 東京都新宿区新宿2-16-9 新宿五城ビル7F 北海道 札幌・函館・旭川・帯広) 青森・岩手・秋田・宮城 仙台)・山形・福島 東京・神奈川(横浜)・埼玉・千葉・茨城(水戸)・栃木(宇都宮)・群馬(前橋) 山梨(甲府)・長野・新潟・静岡・愛知(名古屋)・三重・岐阜 大阪・京都・兵庫(神戸)・滋賀(大津)・奈良・和歌山 岡山・広島・鳥取・島根(松江)・山口 香川(高松)・徳島・愛媛(松山)・高知 福岡・佐賀・長崎・大分・熊本・宮崎・鹿児島•

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雇用調整助成金の上限増額でどう変わる?わかりにくいところは厚生労働省に聞きました。

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役員報酬の特色 役員報酬の場合に何が問題になるのかを見る前に,まず役員報酬の特色について見ておきましょう。 役員の場合と一般的な給与所得者を比較すると,給与所得者の場合,給料が労働の対価であることに疑いはないのに対し,役員の場合,法人税負担の軽減のために役員報酬を増額し利益を圧縮していること,実質的には何ら役員として稼働していないにもかかわらず親族等に報酬を支払っていること,利益配当的な要素を含んでいることや,役員が休業していてもそれまで通り報酬を支払っていたりするということがあります。 さらに,被害者が役員を務めている会社は小規模であることも少なくなく,被害者個人の休業損害ということを超えて,会社の売上が減少するという大きな損害が発生することもあります。 こうした違いから,役員が休業した場合の損害賠償請求においては,給与所得者の場合と異なる配慮が必要となりますので,以下で詳しく見ていきます。 労務対価部分と利益配当等の部分の区別 上記のように,一口に役員報酬といっても,その中身は様々です。 ここで,交通事故の損害賠償という観点から見ると,加害者が賠償の責任を負うのは,交通事故によって負った怪我などの影響で仕事ができなくなり,それによって損害が発生した部分ということになります。 つまり,賠償金額として算定の基礎となるのは,実際に役員としての仕事を休業せざるを得なくなった場合で,その間の役員報酬の内,労働の対価部分に限られるということになります。 したがって,すでに述べたように,そもそも役員として全く稼働していなかったような人の場合,交通事故によって役員の仕事に影響が出ることはありませんので,役員としての休業損害は発生しないこととなります。 また,役員として稼働していたとしても,既に述べたように,100%が労働の対価と言えるのかについては,検討する必要がありますので,1月当たりの報酬額が100万円の人が1か月休業した場合に,100万円を休業損害として請求するためには,役員報酬が100%労働の対価といえることを証明しなければなりません。 証明の方法 役員報酬の内,どの程度が労働の対価部分といえるのかは,会社の規模,利益状況,役員の地位,職務内容,役員報酬の額,他の役員・従業員の職務内容と報酬・給料の額,事故後の役員報酬の額,類似の会社の役員報酬の額などによって判断していくことになります。 そして,これらを証明するためには,法人の事業概況説明書や損益計算書といった会社の確定申告の際に提出する書類や,賃金センサス,実際にどのような仕事をしていたのかについての業務記録などを用いることになります。 役員報酬が,自分が働いた分の対価として適正であることを説明していくわけです。 誰が請求するのか? 休業によって役員報酬が支払われていなかった場合,役員本人に損害が発生していますので,役員本人が請求を行うことになります。 これに対し,役員が休業していたにもかかわらず,会社がそれまで通り役員報酬を支払っていた場合,役員には基本的に損害は発生していないとも考えられます(税務上の手続の問題から,敢えて減額しないということもあるようです。 しかし,その場合でも,会社には働いていない役員に報酬を支払ったことになり,損害が発生しているといえますので,会社から加害者に対する損害賠償請求が認められることになります(反射損害の請求)。 また,この場合の役員本人からの請求についても,会社からの請求がされないことが明らかで,加害者に2重払いの可能性がなければ認められる余地があります(大阪地裁平成26年4月22日判決,同平成25年6月11日判決等参照)。 会社の売上減少に関する請求 役員が,会社の中で重要な役割を占めており,役員報酬としての損害以上に,会社に大きな損害が生じることがあります(会社固有の損害)。 この場合に,会社の売上減少に関する請求を相手方に行うことはできるのでしょうか? この点については,基本的には,会社は,事故によって直接損害を被ったのではなく,間接的に損害を被ったに過ぎないので(間接損害・企業損害),請求は認められないと考えられます。 もっとも,以下のような例外的な場合には,請求が認められると考えられます。 注意点 上記のような点について立証に成功すれば,役員でも休業損害の請求を行うことは可能です。 ただ,会社の代表取締役のような役員の場合に気を付けなければならないのは,役員は,会社から勤務時間等について厳格に管理されておらず,出退勤についてある程度自由に行うことができることもあるため,休業の必要性が争われることがあるということです。 休業が必要であったかどうかは,基本的に怪我の状況と業務内容によって判断されることになりますので,一般常識に照らし,仕事に復帰できる状態であれば,速やかに復帰した方が良いでしょう。 仮に,自己判断で休業していたとしても,客観的に見て仕事に復帰できたと判断された場合,その分の支払いを相手方に求めることはできませんので注意してください。 弁護士による役員報酬請求(休業損害)の示談交渉・増額のポイント 役員報酬の上記のような特色を踏まえ,役員報酬の休業補償を求めるときは,まず,誰にどの程度の損害が発生したのかを確認し,請求の主体を確定します。 次に,発生した損害のうち,どの程度を交通事故の加害者に請求できるのかを検討します。 その際,会社の規模や被害者の役員としての業務内容等様々な事情について,裁判例を参考にして見ていくことになります。 最後に,それらの事情を元に,請求の骨子を構成し,根拠となる資料を示して相手方に請求を行うことになります。 適切に請求の理由付けを行うことができなければ,相手方や裁判所が請求を認めることはありませんので,事前に事案を把握し,準備を怠らないことが重要となります。 まとめ 役員報酬の請求を巡っては,誰が請求するのか,請求できる金額はどうなるか(労務対価部分はどの程度か),休業の必要性はどうかといった問題が存在し,給与所得者の休業損害の請求よりも難しいといえます。 役員をされていて,交通事故に遭われた場合には,早めに弁護士にご相談されることをおすすめします。 (参考文献 2005年版 赤い本・下巻).

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