超過死亡 推移。 日本の「超過死」についての注意事項|Charlotte Elizabeth Diana|note

「統計上はコロナではないが…」東京の4月死亡者数は例年より1000人以上多い 累計のコロナ死者は120人なのに…

超過死亡 推移

今年4月の東京都の死亡者数は1万107人で、過去5年間の平均に比べて1058人多かった。 なぜ例年より死者が多かったのか。 統計データ分析家の本川裕氏は「新型コロナによる肺炎などの死亡だったのに、PCR検査が不十分だったため、コロナ陽性と判定されない死亡が多かったのではないか」という——。 過去5年の「4月」の東京都の死亡者数は平均9049人、2020年は1万107人 公表されている新型コロナ感染症による死亡者数は、PCR検査が十分に行われていないために、過少となっており、実際にはもっと多いという疑惑がなかなか消えない。 そこで今回は、例年より死亡者数がどれぐらい多いかを示す「超過死亡」から実態を検証してみたい。 全国の月別の死亡者数については、死亡届のカウントによる方法で人口動態統計の速報で公表される。 これは時期的には翌々月末にならないと分からないが、東京都の死亡数は、「東京都の推計人口」の発表にともなって翌月末には公表される。 そのため代表例として、東京都のデータ(4月分)で超過死亡を算出したい。 なお例年であれば、前月の死亡数は翌月末には公表されるが、今年は新型コロナの影響で遅れたようで、4月分の公表は6月11日だった。 図表1に結果数字を示した。 図表2はこれをグラフのかたちで示した。 グラフには各年のばらつきを見るため、過去5年の毎年の推移も薄い線で示した。 過去5年間の毎月の東京都の死亡者数を平均すると、3月1万271人、4月9049人だったが、2020年の死亡者数は、3月1万694人、4月1万107人となっており、超過死亡数は、それぞれ423人、1058人と算出される。 なぜ、2020年3~4月には、例年になく死亡者数が多かったのか すなわち、2020年の3~4月には、例年になく死亡者数が多かった。 例年になく死亡者数が多い場合、通常はインフルエンザの影響が疑われる。 しかし、2019/20年冬のインフルエンザの流行は例年より早く3月には収束している。 従って、この超過死亡は、新型コロナの何らかの影響と見るのが妥当だろう。 つまり新型コロナ感染症を死因とする死亡だけでなく、それが広がったことによる社会的・心理的影響による間接的な死亡、すなわち、病院の一般患者受け入れ困難、あるいは感染を恐れて病院に行かなかったことによる病死、さらに経済的・精神的な理由による自殺などが含まれるはずだ。 東京都が発表した新型コロナによる累積死亡者数は6月14日時点で314人だが、4月末の段階では120人だった。 前述した3、4月の超過死亡数を合計すると、1481人なので、実際の死亡者数は公表値の10倍以上ということになる。 今後、人口動態統計の死因別死亡者数が集計・公表されれば、この時期に肺炎など呼吸器疾患による死亡が特に多かったのか、それとも、全般的に死亡が多かったのかで、超過死亡の要因ももう少し明らかになるだろう。

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世界各国で「超過死亡」 コロナ死者、発表数より多い? [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

超過死亡 推移

〔表〕日本と海外の抗体保有率と超過死亡 新型コロナウイルスの流行が、世界の多くの国でピークを越えた。 日本の新規感染者数も4月11日の714人をピークに5月4日には174人まで減少した。 今や世界の関心は、第2波への対応だ。 その際に重要なことは、第1波の対応を総括することだ。 本稿ではそのポイントを紹介したい。 第1波ではPCR検査の陽性者数に基づき、流行状態が推定された。 ところが、感染者の多くは軽症あるいは無症状で、PCR検査を受けることなく自然に治癒した者も少なくない。 多くの感染者が見落とされ、PCR検査に基づく感染者数は過小評価された。 おおよその感染者数を推計するために用いられるのが抗体検査だ。 抗体とは、病原体が体内に入った際に形成されるタンパク質のこと。 ヒトは病原体に感染すると、その病原体を攻撃するために特異的な抗体を作り出す。 この仕組みを免疫という。 抗体を有することは感染歴があることを意味し、その有無は血液を採取すれば評価できる。 世界中の研究機関が、新型コロナウイルスに特異的な抗体を検出するための検査系を確立し、臨床応用した。 米国では、4月3~4日にカリフォルニア州サンタクララ郡の住民3330人を対象に抗体検査を実施したところ、50人が陽性と判明した。 この地域の人口は194万3411人だが、抗体保有率は1. この地域では、PCR検査で確認された感染者数は956人だった。 人口に占める割合は0. 大部分の感染者が見逃されたということだ。 注意すべきは、見逃された大部分が無症状あるいは軽症であることだ。 新型コロナウイルスの致死率や重症化率は、これまでに報告されていたよりずっと低いことになる。 つまり、新型コロナウイルスの致死率や重症化率は過大評価されていたということだ。 これはサンタクララ郡に限った話ではない。 表は5月6日現在の世界各地の抗体保有率の一覧だ。 当研究所の山下えりかが公開情報を基に作成した。 世界中から1. 0~62. 〔図1〕【COVID-19】 PCR検査数と陽性率の推移 日本からも四つのグループの調査結果が報告されている。 東京の二つのグループの陽性率が5. これは東京を中心に流行が拡大し、関西にも及んだという経緯とも一致する。 5月5日現在、東京都のPCR検査陽性者数は4712人(チャーター機帰国者、クルーズ船乗客を含まない)。 都民の人口当たりの感染率は0. 一方で、抗体保有率は5. 9~8. PCR検査で判明した感染者は、全体の174~235分の1にすぎないことになる。 これは米サンタクララ郡の6~8分の1よりはるかに低い。 日本がPCR検査を絞ったことと一致する。 表で興味深いのは、抗体保有率について国ごとに大きな差があることだ。 日本・中国などアジア諸国で低く、欧州は高い。 注目すべきは米国だ。 ニューヨークが12. 欧州・米国東海岸などの大西洋周辺地域が高く、アジア・米国西海岸などの太平洋周辺地域が低いという見方もできる。 なぜ、このような差が生じるのだろうか。 これについては十分に研究が進んでいない。 ウイルスの突然変異によるものか、民族差か、あるいは環境的要因か。 今後の検証が必要である。 ただ、これまでの研究で、欧州とアジアでは流行している新型コロナウイルスのタイプが異なることが分かっている。 もし、欧州で流行しているウイルスが強毒な場合、それがアジアの第2波となれば、第1波以上の被害が出る可能性がある。 既に日本には欧州由来の新型コロナウイルスが流入していることは判明している。 仮にそうなった場合に大切なことは、国内で流行しているウイルスの遺伝子配列をシークエンスし、変異を調べることだ。 しかし、PCR検査すら抑制してきた日本では、ウイルスのシークエンスは国立感染症研究所がクラスター対策の一環として細々と実施しているだけで、大量のサンプルは処理できない。 体制整備を急がねばならない。 抗体検査が有意義なのは、感染者数が推定できるだけではない。 流行時期の再評価にも役立つ。 5月3日、フランスのセーヌサンドニ県の医師たちは、昨年末に発熱を主訴に入院していた患者の保存血清を用いて抗体の有無をチェックしたところ、アルジェリア生まれの42歳の男性が陽性と判明した。 この男性は長年フランスに住み、中国への渡航歴や中国人との接触もなかった。 家族も同様の症状があったという。 〔図2〕インフルエンザ・肺炎死亡報告 これまで、フランスで新型コロナウイルス感染者が発見されたのは1月24日に武漢への渡航歴がある2人のケースが最初だと考えられていた。 今回の報告は、昨年末の時点で国内に感染が広がっていたことを示唆している。 フランスで感染が急拡大したのは2月に入ってからだが、昨年末の段階で既に蔓延(まんえん)していて、検査体制が整備されたために急拡大したように映ったのかもしれない。 日本でも同様のことが起こった可能性がある。 日本では東京五輪の延期が決まった3月末以降にPCR検査数が急増した。 そして、感染者数が増加し、緊急事態宣言へとつながった(図1)。 繰り返すが、感染が蔓延している状況で検査数を増やせば、感染者数は急増する。 あたかも感染の急拡大が起こったようにも見える。 果たして、実態はどうなのだろうか。 幸い、日本では日本赤十字が献血者の血清を長期間にわたり保管している。 その一部を用いて抗体検査をすれば、国内でいつから流行が始まったかの検証は可能だ。 既に厚生労働省は日赤に調査を依頼している。 一日も早い結果の開示を期待したい。 抗体検査と並ぶもう一つの指標が「超過死亡」だ。 超過死亡とは、世界保健機関(WHO)が提唱するインフルエンザ流行による死亡数を推計するための指標だ。 非流行時に発生すると考えられる死亡数(悪性腫瘍や心疾患などによる)をベースラインとし、実際の死者数と比較する。 超過死亡は予測死亡数の95%信頼区間の上限値との差で示される。 超過死亡が存在するということは、何らかの感染症の流行がなければ、死亡者の増加を説明できないことを意味する。 この方法が新型コロナウイルスに応用されている。 米エール大学公衆衛生大学院の研究者たちが、米疾病対策センター(CDC)の統計データを基に超過死亡を推計したところ、3月1日から4月4日の間に約1万5000人が新型コロナウイルス感染とは診断されずに亡くなっていたことが分かった。 この期間に新型コロナウイルスによる死者は約8000人だから、約2倍に相当する。 特に感染が深刻だったニューヨーク州とニュージャージー州で顕著だった。 表には、超過死亡の存在が確認されている地域を示している。 流行が確認されている地域では、基本的に超過死亡が確認されている。 日本も例外ではない。 国立感染症研究所によると、第8~13週にかけて東京都ではベースラインと比較して1週間当たり50~60人程度の超過死亡が確認されている。 これは2月16~22日の週から3月22~28日の週に相当する。 図2は国立感染症研究所のホームページから引用したものだ。 実は、この時期に韓国も台湾も感染のピークを迎えていた。 ところが厚労省は、この時期は感染を完全に抑え込むことに成功していたと説明している。 現在もこの主張を変えていない。 前述したように、日本では3月24日に東京五輪の延期が決まり、それ以降、PCR検査数が増加し、それに伴い患者数が増えている。 4月7日に東京など7都府県に緊急事態宣言が発令されるが、3月29日~4月4日の週には超過死亡は消滅している。 国立感染症研究所は、それ以降の超過死亡についてのデータを公表していないが、ここまではPCR検査数が示す感染者数の動向と全く違う。 ストックホルムで春の陽気を楽しむスウェーデンの人々=4月22日【AFP時事】 実際の死亡者数と、氷山の一角でしかないPCR検査数のいずれが判断基準にふさわしいかは議論の余地はない。 世界では超過死亡を毎週リアルタイムに公開することが議論されている。 一方、日本の状況はお粗末だ。 大阪、神戸の超過死亡の有無については、現時点では評価不能だ。 大阪は第9週までのデータしか公開されていないし、神戸に至ってはデータが開示されていない。 東京のように、開示されても1カ月遅れだ。 残念なことだが、日本のメディアはこのことを報じない。 問題は、これだけではない。 先ほど、エール大学公衆衛生大学院の研究者たちがCDCのデータを用いて超過死亡を推定したことをご紹介した。 日本でCDCの役割を担うのは国立感染症研究所だが、データ開示については消極的だ。 知人の公衆衛生学の専門家が、国立感染症研究所に基になるデータの提供を求めたところ、「手続きなどで数カ月かかる」と言われたという。 これでは健全な議論は期待できない。 新型コロナウイルスの流行は長期化するだろう。 米ミネソタ大学の研究者たちは、流行は1年半から2年間は続くと予想している。 第1波では多くの国が都市を封鎖(ロックダウン)した。 現在、その効果について検証が進んでいる。 米『ウォール・ストリート・ジャーナル』は4月27日に「都市封鎖の効果、データは否定的」という寄稿記事を掲載した。 この記事では、人口当たりの死者数と都市封鎖の関係を調べたが、明らかな相関はなかったという。 死亡率と最も相関したのは人口密度で、ニューヨーク州は都市封鎖から恩恵を受けたかもしれないが、ウィスコンシン州は影響はなかったとしている。 最も安全なのはワクチンを接種することだ。 しかしながら、ワクチン開発には時間がかかる。 第2波対策では、ワクチン開発を急ぎながら、集団免疫戦略を推し進めることになる。 そして、都市封鎖は必要最小限にとどめることになるだろう。 実は、これは第1波でのスウェーデンのやり方に近い。 スウェーデンでは高齢者にのみ自宅待機を要請し、それ以外の制限は課さなかった。 一時期、高校・大学を休校としたが、小中学校は閉校しなかった。 50人以上の集会禁止、不要不急の旅行の禁止、小売店やショッピングモールへの入店者数の制限を課したものの、多くの店舗やレストランは閉鎖しなかった。 ボルボの自動車工場は一時期閉鎖されたが、その後再開された。 5月6日現在、スウェーデンで新型コロナウイルスと診断された感染者の死亡率は12. 厳しい都市封鎖を実施したフランス(19. 今後、超過死亡のデータを用いた再検証が必要だが、同日現在の抗体保有率が25%に到達していることは注目に値する。 第1波の経験を踏まえ、もっとメリハリの利いた対応が必要ではないか。 超過死亡や抗体検査の結果も踏まえ、日本の流行状況を再評価し、いかに経済活動を継続させながら死者を減らすか、戦略を見直すべき時期にきている【「厚生福祉」6月5日号より】。

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世界中で日本だけ「コロナ感染のグラフがおかしい」という不気味 絶対的な死者数は少ないのだが…

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PCR検査で感染を確認されていない死亡者が潜む可能性がある(愛知県豊明市の検査デモ) 新型コロナウイルスの感染が拡大した2月中旬から3月までに肺炎などの死亡者が東京23区内で200人以上増えた可能性がある。 同じ期間に感染確認された死亡数は都全体で計16人。 PCR検査で感染を確認されていないケースが潜み、把握漏れの恐れがある。 こうした「超過死亡」の分析に必要な政府月報の公表は2カ月遅れで、欧米の対応と差が出ている。 肺炎などの死亡数は、国立感染症研究所が「インフルエンザ関連死亡迅速把握システム」に基づき、公表している。 集計では各保健所が死亡診断書の死因のうち、インフルエンザか肺炎を含む死亡数を入力する。 感染研が過去の流行状況から推定した「流行なしの死者数」と比較し、統計的な誤差を超えた場合に超過死亡と判断する。 インフルエンザの流行を評価するために開発された。 肺炎など直接関連する死因で比べると、持病で死亡して医師が感染を疑わずに検査していないケースも含め流行の影響を推定できる。 すべての死因で比較すると、外出自粛などの対策による交通事故死や自殺の増減を含め、流行と対策が社会に与えた影響を総合的に推定できる。 国際比較の指標にもなる。 現時点の公表データによると、超過死亡は2月17日の週から3月下旬まで5週連続で発生。 流行がなかった場合を50~60人上回り、計200人を超える。 感染研が定義する「統計的な誤差を上回った死者数」という超過死亡数でも5週連続で20~30人程度に上る。 実数は公表していない。 超過死亡は19年後半も発生。 インフルエンザの流行が早く、東京都で12月上旬に流行が拡大した影響とみられる。 年明けには終息しており、再び超過死亡が発生した2月中旬以降は新型コロナが影響した可能性がある。 感染研は「集計は例年、インフルエンザの流行が終わる3月末の死亡日までが対象。 入力期限の5月末以降でないと今シーズン全体の分析はできない」としている。 世界保健機関(WHO)は感染症の影響を分析する指標として超過死亡を推奨している。 肺炎以外を含む総死亡数は厚生労働省が人口動態調査で死亡数などを毎月集計。 都道府県からの報告は省令で「翌々月の5日まで」と定められ、公表は約2カ月後だ。 検査未確認の死亡数が増えたとみられる4月分の公表は6月下旬になる。 集計が遅いのは、届け出の電子化が進んでいないこともある。 手書きの死亡届を受けた市区町村は電子システムに入力して保健所に送付するのに「一定の期間が必要」(同省)なためだ。 【関連記事】• 欧米では迅速な死亡数の集計・公開が進む。 3月以降、感染が急拡大した米ニューヨーク市は、死亡数をリアルタイムで把握する電子統計報告システムを開発した。 市保健当局によると、WHOがパンデミックを宣言した3月11日から5月2日までの全死亡数は3万2107人。 過去5年と比較し、2万4172人を超過死亡と推定。 欧米メディアは公開データに基づき、死亡数は新型コロナで死亡したと報告された数より5~6割程度多く、超過死亡があると分析している。 英医学誌ランセットは「週単位で超過死亡を把握することがパンデミックの規模を評価して適切な対策を打ち出すために最も必要」と指摘する。 第2波に備え、検査の拡充や感染症に応じた医療態勢の強化だけでなく、データの公開が不可欠。 横浜市立大学の五十嵐中・准教授(医療経済)は「迅速にデータを収集・公開し、民間とも連携し対策に役立ててほしい」と訴える。 (社会保障エディター 前村聡、高橋そら).

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