櫻井幸雄。 「出番のないベンチ」25周年記念 櫻井 幸雄 絵画展

“減築”より満足「シニアの住み替え」後悔しない方法

櫻井幸雄

新型コロナウィルスは、感染の拡大だけでなく、感染拡大による経済や社会への影響を心配する段階に入った。 このまま自粛を続けていたのでは、経済への影響が大きくなる一方である。 住宅市況にも影を落としそうだ。 といっても、住宅にはいろいろなジャンルがある。 マンションと一戸建て、新築と中古、分譲と賃貸、実需と投資……ジャンルによって性格が異なり、利害も一致しないので、その影響を一概に語ることはできない。 影響を大きく受けそうなジャンルと、影響が小さそうなジャンルについて解説したい。 新築分譲マンションは、一部を除き影響小か まず、新築分譲マンションは、一部物件を除き、影響は小さいと考えられる。 理由は、現在、新築マンションは「ゆっくり販売」が常態化しているからだ。 2015年以降、建物が完成してもなお販売を続け、完売まで2年、3年を要するマンションが増えている。 それだけ時間をかければ、新型コロナウィルスの影響も小さくなるだろう。 影響が小さくなれば、減少した購入検討者が戻ってくると考えられる。 住宅は、人それぞれの買いどき、というものがある。 経済や社会の状況がどうあろうと、「我が家にとっては、ちょうど今が買いどき」というタイミングがあるわけだ。 今、マイホームの買いどきを迎えた家族は、新型コロナウィルスの影響で一時購入を見合わせるだろう。 しかし、感染拡大が収まり、経済と社会が安定を取り戻した後に、マイホーム購入を再開する。 この現象は、リーマンショックの後にも、東日本大震災の後にも起きた。 だから、2年とか3年がかりで、マンション分譲を行えば、売れない時期の後に、売れる時期が戻ってくる。 時間をかけて販売を行う新築マンションは市況回復を待つことができるので、影響は少ないと考えられるわけだ。 ただし、新型コロナウィルスの影響で東京五輪の開催が延期された場合、五輪選手村利用のマンション「HARUMI FLAG」には、影響が出ると考えられる。 それについては、開催延期が決まったときにレポートしたい。 短期間で売りたい中古住宅には影響大 新築分譲マンションは、長期間かけて販売が行われるため、新型コロナウィルスの影響は小さい……ということは、短期間で売りたい住宅は、影響が大きいことになる。 短期間で売りたい住宅の代表が、中古住宅である。 「マイホームを中古として売りたい」と考える人は、2年、3年かけて買い手を探そうとは思わない。 3ヶ月とか6ヶ月の短期間で売りたいと考えるので、タイミングによっては大きな影響を受けるだろう。 つまり、希望価格では買い手が付かないのだ。 だったら、今売るのを諦めればよい、といえる。 もちろん、それができる人であれば仕切り直すだろう。 市況がよくなるまで、売り控えをすればよいわけだ。 しかし、どうしても今すぐ売らなければならない、という人は買い手が少ない時期でも、売却しなければならない。 そして、買い手が少ない時期でも、思い切り値段を下げると、買い手が現れる。 というのも、投資目的で住宅を買おうとする人たちは、このような時期、「お買い得物件」が出てくるのを待っているからだ。 つまり、新型コロナウィルスの影響で、経済が低迷する時期、中古住宅を売るのは最悪のタイミングとなるのだが、一方で、買うのは最高のタイミングということになる。 新築物件が減り、賃貸が増える可能性も このほか、新型コロナウィルスの影響で、東京23区内では新築賃貸マンションが増える可能性もある。 理由は、不動産会社が新規に建設する分譲マンションの数を減らす可能性が高いからだ。 数を減らすが、入手している土地はあるので、建物は建設する。 できあがったマンションを賃貸として活用することに方向転換するわけだ。 現実的には、賃貸マンションとして適当と思われる土地の事業化を優先し、分譲マンションとして適当な土地は寝かせる。 その結果、23区内では、当面、賃貸マンションが増える状況が生まれるわけだ。 日本全体の人口が減るなか、東京23区内では人口が増えている。 その状況下、「今、マイホームを買おう」とする人が減るし、購入できる物件も減る。 となれば、賃貸需要が高まるので、新築賃貸マンションは借り手が増える。 その新築賃貸は、土地が高い時期に仕入れ、高い建設費で建てているので、家賃は高い……分譲住宅の購入者が減れば、賃貸の家賃が上がる、という現象が起きそうなのである。 今回から、不動産関係者や投資家といったプロ向けの住宅レポートを有料記事として展開。 デベロッパーや販売会社への直接取材で聞き出した開発秘話や販売の工夫などを紹介することにした。 マンションや一戸建て住宅を取材してまわっていると、工夫のほどに感心して、賞賛したくなることがある。 ただし、その工夫はプロにとって「偉大な一歩」であっても、興味の薄い人にとっては、どうでもいいことだったりする。 なかなか、記事にしにくいのだ。 そこで、プロ向けの有料記事であれば、書きたいことを思い切り書くことができると考えた。 大学を出て編集の仕事に就いてから40年以上、不特定多数の人を念頭に記事を書き続けてきた私にとって、有料記事は新しい世界に踏み出す気持ちにさせてくれる。 記事をつくる私も、新たな分野を楽しみにしている。 なお、第1回の記事は下の「サンプル記事」のリンクから全文を読むことができる。 そして、一般的な住宅関連記事は今までどおり無料記事として書いてゆく。 湾岸居住者が認める、建物の質の高さ 地上48階建て、総戸数1152戸の「ブランズタワー豊洲」(東急不動産、NIPPO、大成有楽不動産、JR西日本プロパティーズ)は、東京メトロ有楽町線の豊洲駅から徒歩4分に建設される超高層マンションだ。 豊洲エリアでも、駅に近いマンションとなるのだが、その特徴は「駅近」だけではない。 今、湾岸エリアで新規分譲マンションが出ると、真っ先に関心を示すのは、じつは、すでに湾岸に住んでいる人たち。 「新しいマンションは、どんなだろう」「良質で、価格が折り合えば、購入してもよい」とモデルルームを見に来る。 所有している湾岸のマンションを中古で売れば、購入時よりも高く売れる。 賃貸に出したときの家賃設定も高い。 だったら、買い替えても、もしくは買い足してもよいかな、と考える人が多いためだろう。 そして、湾岸在住の知り合いと、見学してきた感想で盛り上がる。 その湾外在住者の間で、すこぶる評価が高いマンションが「ブランズタワー豊洲」だ。 理由は、建物と専有部のつくりがよいと評価されているから。 まず、免震の効果が大きいとされる「中間免震構造」を採用し、非常用電源は72時間分を備える。 そして、約43平米の1LDKから約219平米の3LDKまでバリエーション豊富な住戸は、開放感が大きいことも高評価の理由だ。 実際、「ブランズタワー豊洲」のモデルルームでは大きな開放感を感じる。 それを感じさせるために、いくつかの工夫が凝らされている。 たとえば、角住戸には床面から立ち上がるコーナーサッシを配置。 このコーナーサッシは背が高いにもかかわらず、横桟を入れず、縦桟だけで構成される。 高い風圧が想定される超高層でハイサッシの横桟を無くすのは、たいへんだったろう。 一般的なハイサッシよりも高く、縦桟のみで構成されるコーナーサッシ。 モデルルームにて筆者撮影 また、万が一、ガラスにキズが入ったなどの理由でガラス交換をするとき、交換用ガラスをエレベーターで運びやすくするためには、横桟と縦桟でガラス1枚のサイズを小さくしたほうがよい。 そういった設計上の困難さ、管理上の都合を押し切って、縦桟のみのコーナーサッシをつくった努力に脱帽したい。 一方、バルコニーに設置されるガラスの手すりには、一般的な縦桟に加えて横桟が2本入れられている。 これは、手すりの高さを150センチにしているため、風圧に耐えるための補強である。 バルコニーの手すりは縦桟と横桟入り。 それでも、デザインがよいので、桟が邪魔にならない。 モデルルームにて筆者撮影 バルコニーに出たときの恐怖心を軽減させるために、手すりを高くしたのだが、高くするための補強も行ったわけだ。 ガラスの桟に関して、場所に応じた最善の方策がとられている。 「ブランズタワー豊洲」で最も注目すべき特徴は、しかしながら、ガラスの桟ではない。 私が注目するのは、以下の2点。 「隣接する小学校の校舎増築」と「1戸に1つずつ配置される大型の防災倉庫」だ。 居住者が隣接する小学校に通うことができるように ブランズタワー豊洲の敷地配置図。 住宅棟の南側に小学校の増築予定地がある。 筆者撮影 上の写真は、2019年2月、「ブランズタワー豊洲」の販売開始に先立って行われた記者発表で公開された敷地配置図。 「ブランズタワー豊洲」の住宅棟予定地の南側に「小学校増築予定地」とある。 これは、隣接する豊洲西小学校の校舎を増やす工事が行われることを示している。 校舎が増えるおかげで、「ブランズタワー豊洲」に住む児童は、豊洲西小学校に通うことができる。 校舎が増えなければ、定員一杯を理由に、入学はできなかった。 都合よく小学校が増築してくれてよかったねえ、と思う人は、まずいないだろう。 ご明察のとおり、「ブランズタワー豊洲」は、敷地の一部を使って校舎を建設し、小学校に無償譲渡するのである。 既存の豊洲西小学校。 その手前に、新しい校舎がつくられる予定だ。 筆者撮影 新たな校舎とその用地を無償譲渡することは、「ブランズタワー豊洲」の分譲価格に影響を及ぼす。 1戸あたりの価格は多少とも上昇することになる。 価格が上がるが、「隣接する小学校に子どもを通わせることができる」という長所が生まれる。 これが、もし「隣接する小学校には通えません」となったら、どうなるか。 子育てをしているファミリー世帯はガッカリして、それを理由に購入を見合わせる可能性が出てくる。 その場合、「小学校は遠くなりますが、その分、分譲価格は安くなっています」といっても、納得してくれるかどうか。 そして、「価格の安さ」でいえば、ほぼ同時期に販売を開始した「晴海フラッグ」の分譲住宅にかなわない。 「晴海フラッグ」と「ブランズタワー豊洲」では、駅からの距離、既存の商業施設への近さなど立地条件が大きく異なり、地下鉄駅と「ららぽーと豊洲」に近い「ブランズタワー豊洲」のほうが、高い価格設定となる。 だったら、価格に見合う「長所」を多くしようとする姿勢は正しい。 「長所」のひとつが、隣接する小学校に通うことができることとなる。 隣接する小学校に子どもを通わせることができれば、親の安心感は大きい。 そして、中古で売るとき、賃貸で貸し出すときの大きなアピールポイントにもなる。 大きな防災備蓄倉庫が付くという長所も 「ブランズタワー豊洲」には、1戸にひとつずつ防災備蓄倉庫が付く、という長所もある。 その防災倉庫は、サイズが大きく、玄関錠と同じキーで施錠・解錠ができるので、各住戸ごとに管理される。 各住戸に設置される防災備蓄倉庫の例。 住戸によって大きさに差があるが、かなりの大型になる。 写真は、東急不動産提供 まるでトランクルームのようだが、防災備蓄の目的でしか使えないことになっている。 これは、防災備蓄倉庫であることを理由に容積算入外となっているため、仕方のないことだろう。 それでも、これだけ大きな「各戸の防災倉庫」を容積に入れずに済んでいるとは、おそれ入る。 小学校の校舎にしろ、各戸の防災倉庫にしろ、実現させるには、行政との交渉が必要だ。 大規模マンションの場合、この「交渉力」が物件の魅力を左右する。 「ブランズタワー豊洲」は、高い交渉力で勝ち取った長所が多い。 それは、同マンションの大きな魅力になっている。

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出番のないベンチ(12枚入)ポストカード

櫻井幸雄

櫻井幸雄画伯作 ポストカード・画集・卓上カレンダー・壁掛けカレンダー・ポストカードのご紹介。 出番のないベンチ、ムニャムニャ語など櫻井幸雄 氏の代表作品をカレンダー・画集・ポストカードにて販売しています。 カテゴリー一覧 キャンバスに特殊な顔料で刷り込んだ版画に、 作家自らが絵筆を取り、加筆・彩色したオリジナル作品です。 各種展覧会や絵画展でも人気の一品となっています。 シルクスクリーンよりも原画に限りなく近い質感を持ち、 また色の経年変化もかなり少なくなっております。 版画ではありますが、加筆前の版画の仕上がりにより、 加筆箇所等が一枚一枚変わりますので、よりオリジナリティが増しています。 版画や印刷の一種です。 木・金属の枠に布 スクリーン を張って版を作り、 それを通して版の下に置いた素材にインクや絵の具を直接を刷って写します。 油絵のように重厚な感じに盛り上げることができること、 布の細かい織り目による統一感が出ることなどがあげられます。 出番のないベンチ・ムニャムニャ語・遠いゴール、全シリーズの作品を 収録した画集です。 50点以上にのぼる作品が掲載されています。 出番のないベンチシリーズの作品を絵ハガキにしました。 額装してご自宅などに飾る方も多くいらっしゃいます。 出番のないベンチ・遠いゴールシリーズを収録したカレンダーです。 壁掛けタイプと卓上タイプがあります。 櫻井幸雄作品をお得にお買い求め頂けるセット商品です。

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「出番のないベンチ」25周年記念 櫻井 幸雄 絵画展

櫻井幸雄

ランには、面倒なクセがある。 キャットフードを食べるとき、「一緒に来て」と催促する。 そして、背中をなでることを求める。 そうしないと、エサを食べないという甘えグセがあるのだ。 それは、拾ってきたばかりのころ、高カロリーの栄養食を食べていたときに身についたもの。 体重が増えないと安楽死させられるかもしれなかった(参照)ので、頑張って食べさせた。 その際、栄養食を食べるランを「いい子だねえ、もっと食べなさい」と家族が代わる代わるなでた。 それが染みついて、元気に成長してからも、キャットフードを食べるときには、いつもなでられることを求めるようになってしまった。 困ったのは、他の猫もそれを真似しだしたこと。 我が家には、先住の猫3匹がいた。 それらが「いいなあ」と思ったのか、こっちもなでて、と体をすり寄せてきた。 ちょっとしたブームになってしまったのには笑ったが、4匹もなでるのは大変だった。 今は、もう飽きたのか、ラン以外の3匹は黙々とキャットフードを食べている。 1ヶ月で受け入れられたラン ちなみに、ラン以外の3匹は、家の縁の下で生まれた兄弟。 最初はエサをあげるだけ、そのうち、昼間は家に入るようになり、雨の日は夜も家の中で過ごす。 もう、半分「家猫」になっちゃうか……で、現在に至る。 3匹は、自由に家の中と外を行き来しているので、「外に出る」のが当たり前だ。 なお、我が家が猫屋敷になるのは困るので、すべて避妊・去勢手術を受けさせた。 その3匹が居る空間に、生後1ヶ月程度のランを連れ込んだので、最初はパニックだった。 シャーだの、フーだの大ひんしゅくである。 なので、顔見せ程度から徐々に慣らしていったら、1ヶ月程度で仲よくなってくれた。 3匹のうち、ツンデレタイプのシロ(女の子)が意外に面倒見がよく、後見役になってくれたので、ランは短期間に受け入れてもらったようだ。 出入り自由の年上猫をみて…… 縁の下で生まれた3匹は、自由に家の中と外を行き来しており、「外に出る」のが当たり前だ。 これに対し、ランは基本的に「家猫」。 できれば、外に出したくないのだが、まわりの3匹が自由に出入りするのを見て、外に出たがるようになってしまった。 「猫が窓から外をみているのは、縄張りを見張っているだけ。 外に出たがっているわけではない」とされるが、ランは窓ではなく玄関ドアの前に行き、ドアをカリカリ掻いてミャウという。 「ダメだよ、外は」 ニャーウウ 「嫌なの?だけど、ノミがいるし、迷子になるかもしれないでしょ」 アーウ、ワウ 「もう、しょうがいないなあ」 で、一緒に庭に出る。 用心深い性格なので、庭から外に出ようとすることは滅多にない。 庭で何をするか、というと、しきりに虫を捕まえようとしている。 庭遊びくらいは、いいよね 蝶やガは、羽の柄が怖いのか、身構えするだけで、飛びかかりはしない。 一度、アシナガバチをうっかり拝み捕りしてしまったのだが、その際肉球を刺されたのか、慌てて家の中に戻ろうとした。 10分か20分遊ぶだけで満足し、家に入ると、夏の間は「あちーっ」とばかりに床に腹ばいになる。 後ろ足を伸ばした変な格好が、ランの得意ポーズだ。 そんな猫だから、「飼い猫は、外に出してはいけない」と言われても、たまに出してあげたい。 外に出て、夏の暑い日は強い日差しに目を細めるし、風のある日は空を見上げて風の臭いをかいでいるかのよう。 そんな様子を眺めるのが、たまらない。 常に付き添い、庭から外に出ることを防ぎながら、これくらいならいいよね、と思っている。 ペットには個性がある。 だから、楽しい だいたい、外に出さないで済むかどうかは、猫による。 外に出さなくてもストレスが溜まらない猫がいる一方、「外に出たい」と懸命に訴える猫もいる。 犬だってそうだ。 半世紀近く前に家で飼っていたマルチーズ(犬)は、家の中で暮らし続けて、まったく問題なかった。 たまには外の空気を吸いたいのではないか、と公園に連れ出し(といっても、公園まで抱っこして行った)、芝生に下ろした。 いきなり走りまわることを予想し、追いかける準備をしていたのだが、その場から動かない。 それどころか、「芝生がチクチクして気持ちわるい」とばかりに交互に足を上げて、抱っこをせがんだ。 結局、走りまわるのはおろか、歩きまわることもせず、再び抱かれて家に帰った。 一方、10年ほど前まで飼っていた猫のアビシニアンは、家のなかにおさまらず、外の生活を謳歌し、ついに帰ってこなくなった。 アウトドア派のアビシニアンと、芝生も嫌がるインドア派・マルチーズの中間に位置するのが、猫のラン。 ペットには、それぞれ個性がある。 それが愛おしくて、ペット好きは繰り返し飼ってしまうのだろう。 ランのように道端でないている子猫がいたら、また拾ってきちゃうなあ、きっと。

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