新型コロナウイルスへの対応は、これまで多額の赤字を出してきた公立病院の改革論議にも影響を及ぼしている。 感染者の減少を受け、医療機関が確保している病床の一部を一般の患者用に戻す検討も進むが、川崎市は「最後まで役割を担うのは市立病院」(病院局)として、当面はコロナ患者用に現在確保している病床数をできるだけ維持し、再び感染が拡大する「第2波」の際に速やかに対応できるようにしたい考えだ。 これまでにダイヤモンド・プリンセス号の乗船者をはじめ、中等症を中心に患者のべ36人を、40床ある結核患者用の病棟で受け入れている川崎市立井田病院(中原区)。 曜日の関係もあるが、5月の減少幅は、速報値で前年比4割近くに拡大している。 コロナ患者を受けいれているため、その他の患者用の病床数が減ったり、一般の患者が感染を恐れて受診を控えたりしたことが影響している。 やはりコロナの患者を受け入れている市立川崎、市立多摩の2病院も同様の落ち込みを見せる。 今後、コロナ病床を維持すれば、「通常診療の逼迫(ひっぱく)を招きかねない」(病院局経営企画室)といい、2015年に全面開業した新棟の設備負担などで185億円の累積欠損(2018年度決算)を抱える井田病院の経営がさらに悪化するのは避けられない。 国は、団塊の世代が75歳以上になる25年度に向けて、病気が発症した直後の「急性期」病床を減らし、高齢の患者などが自宅に戻るためのリハビリなどを行う「回復期」病床への転換を促す「地域医療構想」を進める。 病床の削減・転換が思うように進まないことから、厚生労働省は昨年9月、高度な医療の診療実績が少なかったり、機能を代替できる民間病院が近くにあったりして再編・統合が必要な公立・公的病院を名指しした。 そのなかに、川崎市内の医療機関では井田病院も入っていた。 地域がん診療連携拠点病院として緩和ケアにも対応する井田病院だが、急性期の心血管疾患や脳卒中、小児などで「診療実績が少ない」と判断されたのだ。 「今回の事態を踏まえると、見直せという指示はあり得ないと思っている」 5月半ば、川崎市議会の健康福祉委員会。 議員からの質問に病院局長はこう答弁した。 そんな思いがうかがえる答弁だった。 だからといって、改革を迫る圧力が雲散霧消したわけではない。 加藤勝信厚労相は4月の国会答弁で「地域医療構想を進めていく必要性は何にも変わっていない」と答弁している。 川崎市はコロナが市立病院などにもたらした収支の悪化について「国に補償を求めていく」(福田紀彦市長)としているが、どこまで埋め合わせられるかは不透明だ。 ニッセイ基礎研究所の三原岳主任研究員は「地域医療構想をめぐる議論は、今回のコロナのような大規模感染症に対する医療提供態勢の確保という視点が欠落している」と指摘したうえで、「今後は、大規模感染症への備えとして病床や機器、人材をどう確保するかという視点が不可欠になってくる。 病床の稼働率などにも一定の余裕を持たせ、その分のコストをどうまかなっていくか。 そうした議論を自治体側から提起していくことも大事だ」と指摘する。 (鈴木淑子).
次の病院長コメント 病院長の中島です。 川崎市立井田病院は、公立病院としての責務を果たすべく、2月初旬から新型コロナウイルス感染症に対応してまいりました。 当初は神奈川県の要請を受け、ダイヤモンドプリンセス号で発生した患者の受け入れ、県のコロナ対策の一環としての結核患者の受け入れを行いました。 そしてコロナ感染症の拡大に伴い、結核病棟のコロナ専用病棟化を推し進め、神奈川モデルにおける重点医療機関として、これまで多くの患者さんを受け入れて現在に至ります。 コロナ対応については、他の患者さんのためにも職員のためにも「院内感染を決して起こさない」ことをミッションとしてまいりましたが、お陰様で現在まで一度もコロナ院内感染は発生しておりません。 これは当院が川崎市唯一の結核病棟を運営してきた経験と、職員の努力の賜物と誇りに思っております。 さて、幸いなことにコロナ感染症も減少傾向となり、国の緊急事態宣言が解除されました。 そこで今後はコロナの第二波発生に注意しつつ、外来、入院、手術機能を復活させて通常診療に戻すことが当院の公立病院、地域の中核病院の使命と考えております。 これからは当院の運営の要であるがん診療、緩和ケア、在宅療養支援、高齢者医療、救急医療などの機能を徐々に復旧させて参ります。 皆様のご協力をよろしくお願い致します。
次の【川崎協同病院】病院からの説明 新型コロナウイルスの院内感染か?と報じられている 川崎協同病院ですが、病院からの説明はどのようなものだったのでしょうか? 現在までに第8報まで「新型コロナウイルス感染症患者の発生のご報告」として、 川崎協同病院のホームページに掲載されています。 4月29日付第1報 <第一報>入院していた患者が他の病院に転院してから新型コロナウイルスに感染していたことがわかり、 大部屋の同じ病室で入院していた他の2名の感染が確認されました。 新型コロナウイルス感染症患者の発生のご報告 当院における新型コロナウイルス感染症発生の経過をご報告いたします。 2020年4月16日、当院救急外来へ肺炎の診断で他診療所より紹介入院した患者様に、新型コロナウイルスPCR検査を実施いたしました。 結果は陰性だったため、病歴を踏まえ間質性肺炎と判断し、治療を行いました。 その後、状態が悪化したため4月24日に 他病院に紹介・転院し、転院先の病院で 行われたPCR検査(2回目)が25日に陽性と判明したと保健所よりご報告をいただきました。 当院入院中、 上記患者様は4月20日から24日まで4床部屋におられたため、同室患者様のPCR検査を実施したところ、4月28日に2名の感染を確認いたしました。 同2名は他院(感染症指定医療機関)へ転院し、治療を継続しております。 現在、所轄保健所の指導の下、関係スタッフの健康チェックとPCR検査を行い、感染拡大防止に全力で努めております。 また、当該の一般病棟での入退院の制限を設けております。 患者様・ご家族の方には、ご不安とご心配をお掛けし申し訳なく存じます。 今後も感染拡大防止に全力を尽くして参りますので、よろしくお願い申し上げます。 5月1日付第2報 <第2報>さらに 患者3名の新型コロナウイルス感染が確認されました。 5月3日付第4報 さらに 2名の職員の感染が報告されました。 当院における新型コロナウイルス感染症発生のその後の経過をご報告いたします。 本ホームページ上で 第3報までに11名の患者様の新型コロナウイルス感染及び職員1名の新型コロナウイルス感染を発表しております。 その後、本日までに職員2名の陽性を確認しております。 患者様からの陽性はありませんでした。 陽性者は感染症指定医療機関等に転院し療養を行っております。 5月4日付第5報 さらに 患者1名、職員1名の感染が報告されました。 当院における新型コロナウイルス感染症発生のその後の経過をご報告いたします。 その後、本日までに患者様から1名の陽性を確認し、職員から1名の陽性を確認しております。 陽性の患者様は感染症指定医療機関等に転院し療養を行っております。 5月5日付第6報 前回の5報以降はコロナ患者は出ていないということです。 当院における新型コロナウイルス感染症発生のその後の経過をご報告いたします。 その後の新型コロナウイルス感染は確認されておりません。 5月6日付第7報 他院に転院した 患者一人から新型コロナウイルスの感染が報告されました。 その後の経過をご報告いたします。 当院から他院(感染症指定医療機関)に転院された患者様の新型コロナウイルスPCR検査が陽性と判明したと、保健所よりご報告をいただきました。 本患者様は、既報でご報告したPCR検査陽性の患者様と同室だったため、当院で2回PCR検査行い、いずれも陰性でした。 接触状況と病状から新型コロナウイルス感染症を否定しきれなかったため、転院されるまで個室で対応させていただきました。 その他、当院での新たな新型コロナウイルス罹患者は確認されておりません。 5月8日付第8報 さらに 患者2人の感染が報告されました。 その後の経過をご報告いたします。 5月7日、 新たに2名の入院患者様が新型コロナウイルスPCR検査陽性と判明しました。 うち1名は、新型コロナウイルス感染が発生した病棟に入院中の方です。 もう1名は、同病棟から別病棟に4月24日に転棟していた方です。 転棟前におられた病棟で新型コロナウイルス感染症が確認されたため、念のため、PCR検査を行なう傍ら、隔離対応し経過をみていました。 2回目までのPCR検査は陰性でしたが、3回目で初めて陽性が確認されたため、ここにご報告申し上げます。 5月13日付第9報 さらに 患者1名の感染が報告されました。 その後の経過をご報告いたします。 5月12日、 新たに1名の入院患者様が新型コロナウイルスPCR検査陽性と判明しました。 本患者様は、新型コロナウイルス感染症の患者様が14名発生した病棟に入院中でした。 現在は、感染症指定医療機関に転院されています。 院内感染で死亡した方 川崎協同病院の入院患者の90代女性が亡くなったと報道されています。 川崎市では感染が判明していた90代女性が死亡した。 死亡した女性は、患者や看護師ら関係者計19人に感染が広がっている川崎協同病院(同市川崎区)の入院患者で、7日に陽性が判明していた。 さらに、 川崎協同病院で陽性患者と同じ部屋に一時期入院していた 70代男性が亡くなったと報道されています。 新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、川崎市は12日、感染が判明していた高津区の70代男性が死亡した、と発表した。 市内の死亡は17人目。 院内感染が発生した川崎協同病院(川崎区)で一時期、陽性患者と同じ部屋に入院していた。 川崎協同病院コロナ院内感染に関わる問い合わせ先 新型コロナウイルス院内感染に関わる問い合わせに関して、川崎協同病院は専用問い合わせ先を用意しています。
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