ダム 放流 すると。 ダムの事前放流について

ダムの緊急放流はなぜ?川が氾濫間際に放流する理由を調査!│地球の裏側からご近所まで

ダム 放流 すると

台風19号の豪雨では、関東地方などのいくつかのダムで緊急放流が予告されましたが、実際に緊急放流が行われたのは、県が管理する大北川・水沼ダム(茨城県北茨城市)、久慈川・竜神ダム(茨城県常陸太田市)、那珂川・塩原ダム(栃木県那須塩原市)、相模川・城山ダム(神奈川県相模原市)、鮫川・高柴ダム(福島県いわき市)と国が管理する天竜川・美和ダム(長野県伊那市)の合わせて6ダムでした。 いずれも台風が通り過ぎつつある状況での緊急放流でしたので、大規模な被害は確認されていないということですが、雨が降り続けていればどうなっていたかわかりません。 愛媛県の肱川流域では、昨年7月の西日本豪雨の際、国直轄の二つのダムが緊急放流を実施。 基準の6倍を超える水量を放流し、ダム下流では河川の氾濫で死者8名という大きな被害となりました。 下流域の住民は、このほど大規模な浸水被害の損害賠償を国などに求める訴訟を起こす方針を決めたとのことです。 肱川のダムの緊急放流をめぐっては、国交省が検証委員会を開き、洪水調節や住民への連絡についての改善点を探ってきたということですすが、台風19号の緊急放流でも、神奈川県の城山ダムなどでは問題が浮かび上がっています。 城山ダムのように下流に大都市があるダムでは、自治体も避難住民の人口も多く、避難連絡、避難そのものが大きな困難を伴います。 緊急放流は正式には「異常洪水時防災操作」といいます。 ダムが計画洪水を越えて満水になり、これ以上持ちこたえられないとなった時に、流入量と同量の流量を放流する操作のことです。 緊急放流が実施されると、ダムは凶器になりえると言われますが、これに対して、ネット上では「流入量と放流量が同量であれば、ダムがないのと同じ」、「ダムがギリギリまで洪水を貯めることで、河川の氾濫を遅らせ、避難する時間が稼げる」などの意見が発信されています。 これらの意見は一見もっともですが、緊急放流を体験したダム下流の住民の実感とはかけ離れたものです。 緊急放流の情報が出された時は、一刻も早く身の安全を守らなければなりません。 緊急放流には次のような問題があります。 〇ダム下流でダムに比較的近いところでは、ダムの洪水調節を前提とした河川整備しか行われていないので、ダムが調節機能を失って緊急放流を行えば、氾濫の危険性が高まる。 〇ダムの緊急放流後は、ダムがない状態とくらべ、急激に水位が上がるので、住民は不意を突かれ、逃げ遅れることが多い。 〇緊急放流では、河床より高いダムの放流口から鉄砲水のような状態で放流されるので、同じ流量でも下流への衝撃はより大きい。 緊急放流についてのニュースを以下にまとめました。 緊急放流は異常洪水時防災操作と呼ばれ、通常の放流と異なって、これ以上ダムに水をためられないと想定される際に、ダムに流れこんでくる大量の水を下流に流す操作です。 関東甲信越では12日夜以降、緊急放流を行っていた長野県伊那市にある美和ダム、茨城県常陸太田市にある竜神ダムと、北茨城市の水沼ダム、それに神奈川県相模原市の城山ダムと栃木県那須塩原市の塩原ダムの5つのダムはダムへの流入量が減ったことなどからいずれも緊急放流を終了しました。 一方、栃木県は緊急放流を行う可能性があるとしていた日光市の中禅寺ダムについて、水位の上昇ペースが予想を下回ったとして、緊急放流を行わないことを決めました。 放流に伴う下流域での大規模水害は起きなかったが、課題も浮かんだ。 県は気象庁の雨量データなどを踏まえ、11日の段階で下流域の自治体に緊急放流実施の可能性を示唆。 12日も午後1時過ぎに「午後5時開始」と知らせたうえで、それを公表した。 下流域の多くの住民に避難を促すのは影響が大きい。 県の担当者は「難しい判断を迫られたが、最後は『(緊急放流を)やろう』とまとまった」と語った。 ダムの下流の厚木市は緊急放流による水害を懸念し、緊迫した対応を続けた。 県のウェブサイトで相模川の水位予測を確認した同市の担当者は驚いた。 午後10時時点の情報として、堤防の高さが約10メートルの同市上依知の水位観測地点で、同10時半に12・15メートル、同11時20分には13・85メートルに達すると予測されていたからだ。 市が独自に相模川の岸に派遣していた職員が水位を監視し続けた。 市は12日午後1時半に、相模川の近くに住む市民に避難指示を発令していた。 同9時前に「10時に緊急放流」の情報が入ると、職員が川沿いの家々を回り、避難を呼びかけた。 放流が30分繰り上がって始まったのは、そのさなかだった。 緊迫度を高める別の要因もあった。 市中心部付近で相模川に合流する中津川の上流にある国管理の宮ケ瀬ダム(愛川町など)でも緊急放流するという情報が12日午後9時ごろ入ったからだ。 結局、実施されなかったが、緊急放流が重なれば危険はさらに増していた。 小林常良市長は取材に「ダム管理者と下流域の自治体間には、もっと密接な事前調整が必要だ」と語った。 黒岩祐治知事は13日、記者団に「(当初予定時刻の)4時間近く前に(関係)市町村に連絡するよう動いた」と述べ、対応は適切だったと強調した。 相模川最下流部の茅ケ崎市中島に住む40代男性は市内の避難先で、放流の影響を心配しながら過ごした。 「(当初開始予定だった)夕方は満潮だったので、河口近くはやばいんじゃないかと緊張した。 遅らせると聞き、少し安心した」 平塚市災害対策課の担当者は「緊急放流をしなければならないときは、タイミングと方法を慎重に検討し適切に行ってほしい、というしかない」と話した。 国土交通省は決壊を防ぐためやむを得なかったとの見解だが、昨年の西日本豪雨の教訓として有識者から提言されていた事前の水位調節は、6ダムとも実施していなかった。 同省は対応が適切だったかどうか調べる方針だ。 6ダムは、国が管理する美和ダム(長野県)、県が管理する高柴ダム(福島県)、水沼ダム、竜神ダム(ともに茨城県)、塩原ダム(栃木県)、城山ダム(相模原市緑区)。 国交省はいずれも規則に基づき、自治体や警察、消防などに通知したとしている。 緊急放流は流入量と同量を放流する操作だ。 昨年の西日本豪雨では愛媛県のダムが緊急放流をした後、下流で犠牲者が出た。 再発防止に向け、国交省の有識者検討会が提言した対策の一つが、大雨の前に、工業、農業用水としてためている水を放出し、水位を低くしておく事前放流だった。 同省担当者は、「雨が少なく、もともと水位が下がっているケースもある。 水利者との調整も必要だ」とし、事前放流をしなかったのが妥当だったか否かは「現時点では答えられない」と話す。 今回、神奈川県では城山ダムがある相模川の支流で母子が亡くなったが、県担当者は「放流と事故が因果関係があるとは思っていない」としている。 関係機関に緊急放流の通知を前倒ししたのも、緊急放流の教訓だ。 国交省は従来、放流の1時間前までとしていたが、高齢者らが逃げられる時間を確保できるよう改め、美和ダムの放流は約4時間前に通知した。 ただ、通知を巡っても課題が残った。 神奈川県は当初、城山ダムの緊急放流を12日午後5時に実施すると発表、その後同10時に変更し、最終的には30分早め同9時半に放流した。 県は「雨量を見極めながら判断した」と説明する。 しかし相模川下流域にある同県座間市の担当者は、県からの時間変更の連絡が約10分前だったとして、「急な話に驚き、少し慌てた。 市民への連絡でばたばたした」と明かす。 鹿野川ダムは昨年7月7日、満水に近づいたため緊急放流を実施。 その後、肱(ひじ)川流域の大洲市で約3千戸が浸水し、5人(災害関連死1人含む)が死亡した。 奥島代表は「なぜ事前放流をしっかりして大量の放流を避けようとしなかったのか。 放流や浸水範囲についての情報提供は十分だったかなどを問いたい」としている。 現在、原告予定者は奥島代表ら5人。 今後、肱川の流域住民に訴訟への参加を呼びかけ、年内に第1次訴訟を起こすという。 国土交通省四国地方整備局の担当者は「緊急放流は規則に基づいて行った。 当時の操作について、これからも住民に丁寧に説明していきたい」としている。 ダムの決壊を防ぐ最終手段だが、下流の増水につながる恐れもあり、管理者は難しい判断を迫られた。 2018年の西日本豪雨の際には、緊急放流したダムの下流で浸水が発生。 これを受けて専門家からは降雨前の「事前放流」によって水位を減らしておくべきとの提言もあったが、4カ所では実施していなかった。 背景にはダムには住民の生活用水などとして、一定の水位を確保しておく必要に迫られている事情がある。 国土交通省によると今回の緊急放流による大規模な被害は確認されていないが、ダム運用の課題が映し出された形だ。 緊急放流は流入量と同量を下流に流す措置。 台風が上陸した12日夜~13日朝に城山ダム(神奈川県)、美和ダム(長野県)、塩原ダム(栃木県)、高柴ダム(福島県)などで行われた。 事前放流したのは美和ダムと高柴ダムの2カ所だった。 国土交通省によると、ダム建設時に建設費用を負担する自治体や電力会社など利水権者との間で、生活用水や農業用水として利用するため最低限の水位を確保するよう取り決めるケースが多い。 事前放流には利水権者全員の合意が必要。 放流後結果的に雨が降らなければ、渇水の危険が生じるため、権利者から合意を得るのが困難な場合もあるという。 18年7月の西日本豪雨では緊急放流が6府県8カ所で行われ、愛媛県の2カ所のダムでは下流の計約3500棟が浸水し、8人が死亡した。 国交省の検証会議では事前放流の活用が提言されたが、利水権者の合意を得る方法や渇水防止策が課題として残っていた。 治水に詳しい中央大の山田正教授は「現在の予測精度ではたとえ前日でも、台風が確実に直撃するとは断定できない。 渇水リスクがある以上、事前放流の許可は容易ではない」と指摘。 事前放流で渇水が起きた場合、ダム管理者が損害賠償請求の対象となる可能性もあるといい、「事前放流なしの緊急放流はやむを得ない面がある」と話す。 国交省河川環境課の担当者は「今回、緊急放流による大規模な浸水被害はなかったが、利水権者側との事前協議など柔軟な対応ができるようにしたい。 緊急放流の周知や住民避難の方法も検討課題だ」と話す。 県内も西部を中心に記録的大雨に見舞われ、城山ダム(相模原市緑区)は一九六五年の運用開始以来、初めて流入する水をためずに流す緊急放流をした。 県は事前に慎重に準備を整えてきたが、最後になって実施時間を前倒しして、流域自治体への連絡も放流とほぼ同時刻となるなど、課題を残した。 (志村彰太) 城山ダムは、洪水を防ぐ「治水」と、農業や工業用水をためる「利水」の機能を持つ多目的ダム。 大雨の前にあらかじめ放水し、水位を最高水位(標高一二五・五メートル)から一二・五メートル下げる「予備放流」が操作規則で許されている。 県は台風の接近前、水位計の誤差を考慮し水位をさらに一メートル低い標高一一二メートルに下げていた。 それでも県は「緊急放流もあり得る」とし、十、十一日、相模原市など流域の自治体に緊急放流の可能性を通知。 十二日午後二時半には午後五時の実施を公表した。 その後、雨量が想定を下回ったため「放流開始の一時間前に通知する」として延期し、午後八時五十分に「午後十時に実施」を通知した。 ところが、流入量が急増して同九時半に前倒し。 市町への通知は放流開始とほぼ同時になった。 県河川課の藤崎伸二郎課長は「初めてのことで、水位上昇の想定を当てるのは難しかった」と釈明する。 しかし、二転三転した県の姿勢に流域の市町は翻弄(ほんろう)された。 最初の告知を受け、防災行政無線や防災メール、消防の巡回などで住民に避難を促していたが、最終的に放流開始と同時に報せが来たため、避難所に誘導せず自宅二階に行くよう促した自治体もあった。 県と自治体の連携を巡る問題は、もう一つあった。 県は「緊急放流すれば沿岸の洪水は避けられない」との考えから、市町に通知した時点で「考え得る最悪の浸水被害」を示したハザードマップを基に避難指示を出すべきだという立場だった。 延期も住民の避難時間を稼ぐためで、「いつ放流してもおかしくない」と考えていた、とする。 しかし、県ホームページにあるダムの水位計や河川の流量計のデータなどを見て避難方針を決めていた座間市や寒川町は、避難勧告にとどめていた。 そのデータも機器の故障により、緊急放流が始まった頃、ダムへの流入量が異常に跳ね上がった数値を示したままデータの更新が滞っていた。 緊急放流は開始から約四時間後の十三日午前一時十五分に終了。 護岸の一部破損があったものの、浸水被害は出なかった。 「放流時刻を直前に早め、市町の対応が混乱した」「午後五時から延期したことで『まだ安全』と認識した住民がいた」などの厳しい声が委員から出た。 県には市町からも苦情が来ているという。 上前行男・県土整備局長は「情報が混乱した点、市町との連携の点は反省として受け止めている。 改善に向けて速やかに検討する」と答弁した。 平塚市の相模川沿いに住む主婦(40)はスマートフォンで避難指示の緊急メールを見て、十二日午後五時ごろ、家族四人で避難所へ向かった。 「緊急放流すると聞いて驚いた。 心配だった」と振り返った。 放流が延期になり、家に戻った。 「でも、またやるかもしれないというし、どうなるかなと」。 再び避難指示が出て、避難所へ。 「読み切れないのは仕方ないとも思うけど」と話した。 同じく近くに住む自動車内装業の星野武士さん(40)は午後五時ごろ、市内の兄の家に家族で一緒に移動した。 「何せ初めての緊急放流なので、これはやばいなと」 ずっと定点カメラがとらえる相模川の様子をスマホで見ていた。 「夜間の放流は怖いので、やるなら明るいうちにと思った」。 母の寿子(ひさこ)さんは「かつて床上浸水も経験したことがあるけど、今回はほんとに怖かった」ともらした。 懸念された川の氾濫は起きなかったものの、県が発表する放流予定時間が二転三転したり、川の水位が急上昇する誤った水位予測が示されたりして、流域自治体の現場は混乱した。 情報の伝達や共有のあり方が問われそうだ。 【樋口淳也、木下翔太郎、松本惇】 城山ダムは総貯水容量6230万立方メートル、常時満水位は標高124メートルとされる。 上水道用水と工業用水の供給や発電事業の他、洪水調節機能を強化するために同県などが建設し、1965年に完成した。 相模湾に流れ込む下流には平塚、茅 ケ崎など8市町があり、流域には数十万人が暮らす。 緊急放流は正式には「異常洪水時防災操作」と呼ばれ、ダムに水をためる限界を超えることが想定される場合に、流れ込む量の水をそのまま川に流す。 同ダムで実施されたのは今回が初めてで、下流が氾濫する恐れがあるため、避難を促す事前連絡は欠かせない。 流域8市町への取材によると、県は12日午前、緊急放流を実施する可能性を8市町に伝え、午後1時15分ごろには「午後5時から実施見込み」と発表した。 8市町も流域住民に避難指示・勧告を出し、氾濫の可能性があると呼びかけた。 ところが、事態は曲折をたどる。 降雨量は当初の予想より少なく、午後5時の放流は延期された。 雨脚が強まるのに伴い、県は午後9時に「午後10時から放流する」と発表。 しかし、すぐ後の同9時10~20分ごろには8市町に「降雨が予測を超えたため、9時半に放流する」と通知した。 突然の前倒しに流域自治体は混乱する。 海老名市がこの連絡を受けたのは午後9時 20分。 「午後10時から放流」とエリアメールなどを流したところだった。 厚木市は午後9時、防災無線やエリアメールで「午後10時から放流」と知らせた。 消防車が浸水想定区域を回って避難を呼びかける放送を流し、地元消防団も電気がついた住戸の呼び鈴を押して「避難を」と促した。 その直後、県から「早まるかもしれない」との連絡が入り、住民への呼びかけを一時中断して状況を確認せざるを得なくなった。 同市が時間を尋ねても県からは「今すぐかもしれない。 もう流れているかもしれない」と煮え切らない答えが続いたという。 午後9時20分に「午後9時半から放流」と連絡を受け、午後9時半に「緊急放流が早まる可能性がある」と広報するのが精いっぱいだった。 県は取材に対し「放流の時間は降雨状況に左右された。 県民の命を救うために全力を尽くした」と説明する。 流域自治体の幹部は「10分後に流すと言われても対応できない。 県が現場の感覚を分かっているなら、突然の方針転換は避けるべきだ」と苦言を呈する。 「堤防の高さを突き抜けてしまっている」。 緊急放流から約30分後の午後10時ごろ、厚木市の幹部は水位の予測データを見て非常事態になると肝をつぶした。 データが示されたのは県が提供する「洪水予測」のホームページ。 厚木市内にある「上依知(かみえち)観測所」の水位状況と予測が掲載され、誰でもアクセスできた。 午後10時時点で上依知の実測水位は8・21メートル。 すでに氾濫危険水位(7・3メートル)を超えていたが、およそ10メートルの堤防を上回る高さではない。 ところが、30分後の同10時半には12・15メートルに急上昇し、同11時半には13・85メートルに達して堤防を越えることが予測された。 厚木市の佐藤登・危機管理課長は「みんなびっくりした。 現場に職員を行かせるしかない、となった」。 危険がある中、職員が川で確認すると予測する水位に達することはなく、データは後に誤りと判明する。 一方、自治体の担当者らが注視していた城山ダムの水位や流入量、放流量を示す数値にも異変が起きていた。 午後4時以降は毎秒3000~4000立方メートル台で推移していた流入量が、午後10時に突然、毎秒8864立方メートルと急増した。 「毎秒5000、6000立方メートルならあるかもしれないが、8000立方メートルはいくらなんでもおかしい」。 海老名市の担当者が数値の誤りを疑った。 県の城山ダムの管理事務所に問いあわせると「機器が故障している」と知らされた。 管理事務所は取材に、機器が故障して一時的に異常なデータが提供されたことを認めた。 水位計が流木に当たるなどして故障したことが異常の原因とみられる。 同事務所は「午後10時ぐらいにおかしいと気づいた。 水位計は二つあり、もう一つの水位計に切り替えてデータに反映させ、職員が実際の水位と合っているか確認した」と説明する。 だが、同事務所から流域自治体に機器故障とデータの異常が伝えられることはなかった。 同事務所の担当者は「すぐに正しい数値に修正した。 緊迫した状態で余裕もなかった」と弁解。 上依知観測所の水位予測の誤データも、ダム水位の計測機器の故障によって起きた可能性があるという。 「利水」「治水」担い、事前対応難しく 台風前に貯水量を減らしておく事前放流などで、緊急放流を避けることはできなかったのか。 昨年7月に8ダムで緊急放流に踏み切り、愛媛県の肱川(ひじかわ)が氾濫して8人が犠牲になった西日本豪雨でも同じ指摘があり、改めて議論を呼びそうだ。 ダムは通常、水道用水や農業用水、工業用水を供給するための「利水」と、河川に流れる水の一部をためることで氾濫させない「治水」の役割を担う。 平常時は事前に決められた「利水容量」までしか水をためない。 大雨ではこの容量とは別にある治水の「洪水調節容量」に流入した一部をためることができる。 だが、今回の雨量は想定を上回り、城山ダムを含む6ダムが緊急放流に追い込まれた。 批判対象にもなる緊急放流を行う理由について、京都大防災研究所の角哲也教授(河川工学)は「ダム上部には制御機器などがあり、水が越流した場合、機器が水をかぶってダムが制御不能になることも想定されるため」と解説する。 国土交通省によると、6ダムのうち元々水位が低かった1ダムを除く5ダムが台風前に利水用の水も流す事前放流などをして、流入量の増加に備えた。 それでも対応は十分ではなかった。 担当者は「利水者との関係や、渇水リスクもあり、事前にどこまで水位を下げるかは難しい」と話す。 全国の562ダムのうち、あらかじめ利水者と協議して事前放流時の水量などを実施要領で定めるのは51ダムにとどまり、同省はこうした体制強化を進める方針だ。 大量の水放出に伴い相模川下流域で大規模水害が危ぶまれる中、県が開始時刻を二転三転させたことが沿岸市町の混乱に拍車を掛けた。 「命を守る行動を」-。 緊迫した約4時間の放流は氾濫など大きな被害を招くことはなかったが、自治体間の情報伝達に多くの課題を残した。 12日午後9時15分ごろ、県庁で県土整備局の電話が鳴った。 「もう持たない」。 切迫した声の相手は、城山ダム管理事務所に詰めていた幹部職員。 ダムの水位はこの時点で、緊急放流の基準まで1メートルに迫っていた。 ダム建造以来初となる緊急放流が始まったのは、その約15分後だった。 台風接近に備え、県は10日から相模川流域の8市町に緊急放流の可能性を伝えていた。 11日午後2時からは、事前に貯水量を減らす「予備放流」を実施。 水位を4・5メートル下げてゲートから放流できる下限まで減らし、大量の水を受け入れる容量を確保した。 しかし、城山ダム上流部の雨量は観測史上最多の800ミリに達した。 県は12日午後1時ごろ「午後5時に放流開始」と発表したが、上流部の雨量が予測を下回ったことを受けて延期。 午後8時47分に改めて「午後10時開始」と伝達したものの、雨量が増えて急激な水位上昇がみられ、急きょ午後9時半に前倒して実施した。 一部自治体への連絡は放流後となった。 放流は翌13日の午前1時15分まで続き、開始から約45分後には上限の1・5倍に当たる毎秒4500トンを記録。 県は「下流域に重大な影響が生じる可能性のある緊急放流をできるだけ避けるため、ぎりぎりの対応をした」と振り返った。 「命に関わる、強制的にでも2階へ上げろ」「1階に人がいないか確認を」 緊急放流の開始直前、厚木市役所。 浸水想定区域内にある避難所と連絡を取り合う職員の怒号に近い指示が飛び交った。 県から情報が届いたのは放流開始の2分前。 「命を守る行動をとってください」。 午後9時半の緊急速報で「早まる可能性がある」とも伝えたが、ほぼ同時刻にダムのゲートは開いていた。 緊迫の数時間。 同様の混乱は、ほかの自治体でもみられた。 平塚市では福祉施設に消防車8台が駆け付けて高齢者約50人を避難させるなど、職員らが対応に追われた。 茅ケ崎市には国管理の宮ケ瀬ダム(愛川町など)でも「緊急放流の可能性がある」との情報が入り、城山ダムの放流に大量の水が加わることによる不測の事態に警戒を強めた。 「住民に避難を促すのは市町村。 県にはもっと早く、正確な情報を出してほしかった」。 県央地域の市幹部は苦言を呈した。 2018年の西日本豪雨では、8人が死亡し、約3千棟が浸水するなど被害が広がった緊急放流。 城山ダムでは実施の3時間前と1時間前に予告すると定めているが、下流域の自治体は情報に振り回された。 17日に城山ダムを視察した黒岩祐治知事は「新たな被害を生んだら大変な問題だが、氾濫にはつながらなかった」と職員のオペレーションをねぎらった上で、課題を口にした。 神奈川県は今月12日、台風19号により水位の上昇が予想された相模原市の城山ダムで、流入する水をそのまま下流に流す「緊急放流」を行い、下流で大きな水害が発生するおそれがあるとして、流域の8つの市と町に警戒を呼びかけました。 その際、県が午後10時の放流を発表したあと、想定以上の雨が降ったとして急きょ午後9時半に前倒しして緊急放流が行われ、放流とほぼ同時に自治体への連絡や県民への発表を行う事態となりました。 これを受け23日、県内の市長会と町村会の代表が県庁を訪れ、黒岩知事に対し人命に関わる事案に迅速に対応するための連絡体制の構築や、氾濫などの危険性を早急に把握するための情報提供や監視カメラの増設などを求める要望書を提出しました。 市長会の会長を務める小林常良厚木市長は「放流の情報は事前に伝えてもらえたが、より細かな情報のやり取りをさせてほしい」と伝え、黒岩知事は「最後の連絡が放流の直前や直後になったことは申し訳ない」と応じ、情報の開示や共有の在り方を改めて検討していく考えを示しました。 ダム底の土砂を掘り出してダムの貯水容量を確保したり、下流河川の堤防かさ上げ整備を進めたりすることを要望したほか、災害時に備えた細かな河川の情報提供を求めた。 市長会会長の小林常良厚木市長は緊急放流に備えて県管理河川の危険箇所や、放流量がどの程度河川水量に影響するのかなどの情報を事前に共有する仕組みの必要性を強調。 「情報を細かくやり取りさせてほしい」と訴えた。 城山ダムの緊急放流時刻は数回変更となった。 黒岩知事は最終的な緊急放流時刻の伝達が直前になったことについて「本当に申し訳ない。 2度とないよう、しっかりと仕切り直ししていきたい」と述べた。

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ダムが水害を引き起こす?想定超える豪雨で緊急放流―下流の街や村を濁流が直撃: J

ダム 放流 すると

台風19号の豪雨では、関東地方などのいくつかのダムで緊急放流が予告されましたが、実際に緊急放流が行われたのは、県が管理する大北川・水沼ダム(茨城県北茨城市)、久慈川・竜神ダム(茨城県常陸太田市)、那珂川・塩原ダム(栃木県那須塩原市)、相模川・城山ダム(神奈川県相模原市)、鮫川・高柴ダム(福島県いわき市)と国が管理する天竜川・美和ダム(長野県伊那市)の合わせて6ダムでした。 いずれも台風が通り過ぎつつある状況での緊急放流でしたので、大規模な被害は確認されていないということですが、雨が降り続けていればどうなっていたかわかりません。 愛媛県の肱川流域では、昨年7月の西日本豪雨の際、国直轄の二つのダムが緊急放流を実施。 基準の6倍を超える水量を放流し、ダム下流では河川の氾濫で死者8名という大きな被害となりました。 下流域の住民は、このほど大規模な浸水被害の損害賠償を国などに求める訴訟を起こす方針を決めたとのことです。 肱川のダムの緊急放流をめぐっては、国交省が検証委員会を開き、洪水調節や住民への連絡についての改善点を探ってきたということですすが、台風19号の緊急放流でも、神奈川県の城山ダムなどでは問題が浮かび上がっています。 城山ダムのように下流に大都市があるダムでは、自治体も避難住民の人口も多く、避難連絡、避難そのものが大きな困難を伴います。 緊急放流は正式には「異常洪水時防災操作」といいます。 ダムが計画洪水を越えて満水になり、これ以上持ちこたえられないとなった時に、流入量と同量の流量を放流する操作のことです。 緊急放流が実施されると、ダムは凶器になりえると言われますが、これに対して、ネット上では「流入量と放流量が同量であれば、ダムがないのと同じ」、「ダムがギリギリまで洪水を貯めることで、河川の氾濫を遅らせ、避難する時間が稼げる」などの意見が発信されています。 これらの意見は一見もっともですが、緊急放流を体験したダム下流の住民の実感とはかけ離れたものです。 緊急放流の情報が出された時は、一刻も早く身の安全を守らなければなりません。 緊急放流には次のような問題があります。 〇ダム下流でダムに比較的近いところでは、ダムの洪水調節を前提とした河川整備しか行われていないので、ダムが調節機能を失って緊急放流を行えば、氾濫の危険性が高まる。 〇ダムの緊急放流後は、ダムがない状態とくらべ、急激に水位が上がるので、住民は不意を突かれ、逃げ遅れることが多い。 〇緊急放流では、河床より高いダムの放流口から鉄砲水のような状態で放流されるので、同じ流量でも下流への衝撃はより大きい。 緊急放流についてのニュースを以下にまとめました。 緊急放流は異常洪水時防災操作と呼ばれ、通常の放流と異なって、これ以上ダムに水をためられないと想定される際に、ダムに流れこんでくる大量の水を下流に流す操作です。 関東甲信越では12日夜以降、緊急放流を行っていた長野県伊那市にある美和ダム、茨城県常陸太田市にある竜神ダムと、北茨城市の水沼ダム、それに神奈川県相模原市の城山ダムと栃木県那須塩原市の塩原ダムの5つのダムはダムへの流入量が減ったことなどからいずれも緊急放流を終了しました。 一方、栃木県は緊急放流を行う可能性があるとしていた日光市の中禅寺ダムについて、水位の上昇ペースが予想を下回ったとして、緊急放流を行わないことを決めました。 放流に伴う下流域での大規模水害は起きなかったが、課題も浮かんだ。 県は気象庁の雨量データなどを踏まえ、11日の段階で下流域の自治体に緊急放流実施の可能性を示唆。 12日も午後1時過ぎに「午後5時開始」と知らせたうえで、それを公表した。 下流域の多くの住民に避難を促すのは影響が大きい。 県の担当者は「難しい判断を迫られたが、最後は『(緊急放流を)やろう』とまとまった」と語った。 ダムの下流の厚木市は緊急放流による水害を懸念し、緊迫した対応を続けた。 県のウェブサイトで相模川の水位予測を確認した同市の担当者は驚いた。 午後10時時点の情報として、堤防の高さが約10メートルの同市上依知の水位観測地点で、同10時半に12・15メートル、同11時20分には13・85メートルに達すると予測されていたからだ。 市が独自に相模川の岸に派遣していた職員が水位を監視し続けた。 市は12日午後1時半に、相模川の近くに住む市民に避難指示を発令していた。 同9時前に「10時に緊急放流」の情報が入ると、職員が川沿いの家々を回り、避難を呼びかけた。 放流が30分繰り上がって始まったのは、そのさなかだった。 緊迫度を高める別の要因もあった。 市中心部付近で相模川に合流する中津川の上流にある国管理の宮ケ瀬ダム(愛川町など)でも緊急放流するという情報が12日午後9時ごろ入ったからだ。 結局、実施されなかったが、緊急放流が重なれば危険はさらに増していた。 小林常良市長は取材に「ダム管理者と下流域の自治体間には、もっと密接な事前調整が必要だ」と語った。 黒岩祐治知事は13日、記者団に「(当初予定時刻の)4時間近く前に(関係)市町村に連絡するよう動いた」と述べ、対応は適切だったと強調した。 相模川最下流部の茅ケ崎市中島に住む40代男性は市内の避難先で、放流の影響を心配しながら過ごした。 「(当初開始予定だった)夕方は満潮だったので、河口近くはやばいんじゃないかと緊張した。 遅らせると聞き、少し安心した」 平塚市災害対策課の担当者は「緊急放流をしなければならないときは、タイミングと方法を慎重に検討し適切に行ってほしい、というしかない」と話した。 国土交通省は決壊を防ぐためやむを得なかったとの見解だが、昨年の西日本豪雨の教訓として有識者から提言されていた事前の水位調節は、6ダムとも実施していなかった。 同省は対応が適切だったかどうか調べる方針だ。 6ダムは、国が管理する美和ダム(長野県)、県が管理する高柴ダム(福島県)、水沼ダム、竜神ダム(ともに茨城県)、塩原ダム(栃木県)、城山ダム(相模原市緑区)。 国交省はいずれも規則に基づき、自治体や警察、消防などに通知したとしている。 緊急放流は流入量と同量を放流する操作だ。 昨年の西日本豪雨では愛媛県のダムが緊急放流をした後、下流で犠牲者が出た。 再発防止に向け、国交省の有識者検討会が提言した対策の一つが、大雨の前に、工業、農業用水としてためている水を放出し、水位を低くしておく事前放流だった。 同省担当者は、「雨が少なく、もともと水位が下がっているケースもある。 水利者との調整も必要だ」とし、事前放流をしなかったのが妥当だったか否かは「現時点では答えられない」と話す。 今回、神奈川県では城山ダムがある相模川の支流で母子が亡くなったが、県担当者は「放流と事故が因果関係があるとは思っていない」としている。 関係機関に緊急放流の通知を前倒ししたのも、緊急放流の教訓だ。 国交省は従来、放流の1時間前までとしていたが、高齢者らが逃げられる時間を確保できるよう改め、美和ダムの放流は約4時間前に通知した。 ただ、通知を巡っても課題が残った。 神奈川県は当初、城山ダムの緊急放流を12日午後5時に実施すると発表、その後同10時に変更し、最終的には30分早め同9時半に放流した。 県は「雨量を見極めながら判断した」と説明する。 しかし相模川下流域にある同県座間市の担当者は、県からの時間変更の連絡が約10分前だったとして、「急な話に驚き、少し慌てた。 市民への連絡でばたばたした」と明かす。 鹿野川ダムは昨年7月7日、満水に近づいたため緊急放流を実施。 その後、肱(ひじ)川流域の大洲市で約3千戸が浸水し、5人(災害関連死1人含む)が死亡した。 奥島代表は「なぜ事前放流をしっかりして大量の放流を避けようとしなかったのか。 放流や浸水範囲についての情報提供は十分だったかなどを問いたい」としている。 現在、原告予定者は奥島代表ら5人。 今後、肱川の流域住民に訴訟への参加を呼びかけ、年内に第1次訴訟を起こすという。 国土交通省四国地方整備局の担当者は「緊急放流は規則に基づいて行った。 当時の操作について、これからも住民に丁寧に説明していきたい」としている。 ダムの決壊を防ぐ最終手段だが、下流の増水につながる恐れもあり、管理者は難しい判断を迫られた。 2018年の西日本豪雨の際には、緊急放流したダムの下流で浸水が発生。 これを受けて専門家からは降雨前の「事前放流」によって水位を減らしておくべきとの提言もあったが、4カ所では実施していなかった。 背景にはダムには住民の生活用水などとして、一定の水位を確保しておく必要に迫られている事情がある。 国土交通省によると今回の緊急放流による大規模な被害は確認されていないが、ダム運用の課題が映し出された形だ。 緊急放流は流入量と同量を下流に流す措置。 台風が上陸した12日夜~13日朝に城山ダム(神奈川県)、美和ダム(長野県)、塩原ダム(栃木県)、高柴ダム(福島県)などで行われた。 事前放流したのは美和ダムと高柴ダムの2カ所だった。 国土交通省によると、ダム建設時に建設費用を負担する自治体や電力会社など利水権者との間で、生活用水や農業用水として利用するため最低限の水位を確保するよう取り決めるケースが多い。 事前放流には利水権者全員の合意が必要。 放流後結果的に雨が降らなければ、渇水の危険が生じるため、権利者から合意を得るのが困難な場合もあるという。 18年7月の西日本豪雨では緊急放流が6府県8カ所で行われ、愛媛県の2カ所のダムでは下流の計約3500棟が浸水し、8人が死亡した。 国交省の検証会議では事前放流の活用が提言されたが、利水権者の合意を得る方法や渇水防止策が課題として残っていた。 治水に詳しい中央大の山田正教授は「現在の予測精度ではたとえ前日でも、台風が確実に直撃するとは断定できない。 渇水リスクがある以上、事前放流の許可は容易ではない」と指摘。 事前放流で渇水が起きた場合、ダム管理者が損害賠償請求の対象となる可能性もあるといい、「事前放流なしの緊急放流はやむを得ない面がある」と話す。 国交省河川環境課の担当者は「今回、緊急放流による大規模な浸水被害はなかったが、利水権者側との事前協議など柔軟な対応ができるようにしたい。 緊急放流の周知や住民避難の方法も検討課題だ」と話す。 県内も西部を中心に記録的大雨に見舞われ、城山ダム(相模原市緑区)は一九六五年の運用開始以来、初めて流入する水をためずに流す緊急放流をした。 県は事前に慎重に準備を整えてきたが、最後になって実施時間を前倒しして、流域自治体への連絡も放流とほぼ同時刻となるなど、課題を残した。 (志村彰太) 城山ダムは、洪水を防ぐ「治水」と、農業や工業用水をためる「利水」の機能を持つ多目的ダム。 大雨の前にあらかじめ放水し、水位を最高水位(標高一二五・五メートル)から一二・五メートル下げる「予備放流」が操作規則で許されている。 県は台風の接近前、水位計の誤差を考慮し水位をさらに一メートル低い標高一一二メートルに下げていた。 それでも県は「緊急放流もあり得る」とし、十、十一日、相模原市など流域の自治体に緊急放流の可能性を通知。 十二日午後二時半には午後五時の実施を公表した。 その後、雨量が想定を下回ったため「放流開始の一時間前に通知する」として延期し、午後八時五十分に「午後十時に実施」を通知した。 ところが、流入量が急増して同九時半に前倒し。 市町への通知は放流開始とほぼ同時になった。 県河川課の藤崎伸二郎課長は「初めてのことで、水位上昇の想定を当てるのは難しかった」と釈明する。 しかし、二転三転した県の姿勢に流域の市町は翻弄(ほんろう)された。 最初の告知を受け、防災行政無線や防災メール、消防の巡回などで住民に避難を促していたが、最終的に放流開始と同時に報せが来たため、避難所に誘導せず自宅二階に行くよう促した自治体もあった。 県と自治体の連携を巡る問題は、もう一つあった。 県は「緊急放流すれば沿岸の洪水は避けられない」との考えから、市町に通知した時点で「考え得る最悪の浸水被害」を示したハザードマップを基に避難指示を出すべきだという立場だった。 延期も住民の避難時間を稼ぐためで、「いつ放流してもおかしくない」と考えていた、とする。 しかし、県ホームページにあるダムの水位計や河川の流量計のデータなどを見て避難方針を決めていた座間市や寒川町は、避難勧告にとどめていた。 そのデータも機器の故障により、緊急放流が始まった頃、ダムへの流入量が異常に跳ね上がった数値を示したままデータの更新が滞っていた。 緊急放流は開始から約四時間後の十三日午前一時十五分に終了。 護岸の一部破損があったものの、浸水被害は出なかった。 「放流時刻を直前に早め、市町の対応が混乱した」「午後五時から延期したことで『まだ安全』と認識した住民がいた」などの厳しい声が委員から出た。 県には市町からも苦情が来ているという。 上前行男・県土整備局長は「情報が混乱した点、市町との連携の点は反省として受け止めている。 改善に向けて速やかに検討する」と答弁した。 平塚市の相模川沿いに住む主婦(40)はスマートフォンで避難指示の緊急メールを見て、十二日午後五時ごろ、家族四人で避難所へ向かった。 「緊急放流すると聞いて驚いた。 心配だった」と振り返った。 放流が延期になり、家に戻った。 「でも、またやるかもしれないというし、どうなるかなと」。 再び避難指示が出て、避難所へ。 「読み切れないのは仕方ないとも思うけど」と話した。 同じく近くに住む自動車内装業の星野武士さん(40)は午後五時ごろ、市内の兄の家に家族で一緒に移動した。 「何せ初めての緊急放流なので、これはやばいなと」 ずっと定点カメラがとらえる相模川の様子をスマホで見ていた。 「夜間の放流は怖いので、やるなら明るいうちにと思った」。 母の寿子(ひさこ)さんは「かつて床上浸水も経験したことがあるけど、今回はほんとに怖かった」ともらした。 懸念された川の氾濫は起きなかったものの、県が発表する放流予定時間が二転三転したり、川の水位が急上昇する誤った水位予測が示されたりして、流域自治体の現場は混乱した。 情報の伝達や共有のあり方が問われそうだ。 【樋口淳也、木下翔太郎、松本惇】 城山ダムは総貯水容量6230万立方メートル、常時満水位は標高124メートルとされる。 上水道用水と工業用水の供給や発電事業の他、洪水調節機能を強化するために同県などが建設し、1965年に完成した。 相模湾に流れ込む下流には平塚、茅 ケ崎など8市町があり、流域には数十万人が暮らす。 緊急放流は正式には「異常洪水時防災操作」と呼ばれ、ダムに水をためる限界を超えることが想定される場合に、流れ込む量の水をそのまま川に流す。 同ダムで実施されたのは今回が初めてで、下流が氾濫する恐れがあるため、避難を促す事前連絡は欠かせない。 流域8市町への取材によると、県は12日午前、緊急放流を実施する可能性を8市町に伝え、午後1時15分ごろには「午後5時から実施見込み」と発表した。 8市町も流域住民に避難指示・勧告を出し、氾濫の可能性があると呼びかけた。 ところが、事態は曲折をたどる。 降雨量は当初の予想より少なく、午後5時の放流は延期された。 雨脚が強まるのに伴い、県は午後9時に「午後10時から放流する」と発表。 しかし、すぐ後の同9時10~20分ごろには8市町に「降雨が予測を超えたため、9時半に放流する」と通知した。 突然の前倒しに流域自治体は混乱する。 海老名市がこの連絡を受けたのは午後9時 20分。 「午後10時から放流」とエリアメールなどを流したところだった。 厚木市は午後9時、防災無線やエリアメールで「午後10時から放流」と知らせた。 消防車が浸水想定区域を回って避難を呼びかける放送を流し、地元消防団も電気がついた住戸の呼び鈴を押して「避難を」と促した。 その直後、県から「早まるかもしれない」との連絡が入り、住民への呼びかけを一時中断して状況を確認せざるを得なくなった。 同市が時間を尋ねても県からは「今すぐかもしれない。 もう流れているかもしれない」と煮え切らない答えが続いたという。 午後9時20分に「午後9時半から放流」と連絡を受け、午後9時半に「緊急放流が早まる可能性がある」と広報するのが精いっぱいだった。 県は取材に対し「放流の時間は降雨状況に左右された。 県民の命を救うために全力を尽くした」と説明する。 流域自治体の幹部は「10分後に流すと言われても対応できない。 県が現場の感覚を分かっているなら、突然の方針転換は避けるべきだ」と苦言を呈する。 「堤防の高さを突き抜けてしまっている」。 緊急放流から約30分後の午後10時ごろ、厚木市の幹部は水位の予測データを見て非常事態になると肝をつぶした。 データが示されたのは県が提供する「洪水予測」のホームページ。 厚木市内にある「上依知(かみえち)観測所」の水位状況と予測が掲載され、誰でもアクセスできた。 午後10時時点で上依知の実測水位は8・21メートル。 すでに氾濫危険水位(7・3メートル)を超えていたが、およそ10メートルの堤防を上回る高さではない。 ところが、30分後の同10時半には12・15メートルに急上昇し、同11時半には13・85メートルに達して堤防を越えることが予測された。 厚木市の佐藤登・危機管理課長は「みんなびっくりした。 現場に職員を行かせるしかない、となった」。 危険がある中、職員が川で確認すると予測する水位に達することはなく、データは後に誤りと判明する。 一方、自治体の担当者らが注視していた城山ダムの水位や流入量、放流量を示す数値にも異変が起きていた。 午後4時以降は毎秒3000~4000立方メートル台で推移していた流入量が、午後10時に突然、毎秒8864立方メートルと急増した。 「毎秒5000、6000立方メートルならあるかもしれないが、8000立方メートルはいくらなんでもおかしい」。 海老名市の担当者が数値の誤りを疑った。 県の城山ダムの管理事務所に問いあわせると「機器が故障している」と知らされた。 管理事務所は取材に、機器が故障して一時的に異常なデータが提供されたことを認めた。 水位計が流木に当たるなどして故障したことが異常の原因とみられる。 同事務所は「午後10時ぐらいにおかしいと気づいた。 水位計は二つあり、もう一つの水位計に切り替えてデータに反映させ、職員が実際の水位と合っているか確認した」と説明する。 だが、同事務所から流域自治体に機器故障とデータの異常が伝えられることはなかった。 同事務所の担当者は「すぐに正しい数値に修正した。 緊迫した状態で余裕もなかった」と弁解。 上依知観測所の水位予測の誤データも、ダム水位の計測機器の故障によって起きた可能性があるという。 「利水」「治水」担い、事前対応難しく 台風前に貯水量を減らしておく事前放流などで、緊急放流を避けることはできなかったのか。 昨年7月に8ダムで緊急放流に踏み切り、愛媛県の肱川(ひじかわ)が氾濫して8人が犠牲になった西日本豪雨でも同じ指摘があり、改めて議論を呼びそうだ。 ダムは通常、水道用水や農業用水、工業用水を供給するための「利水」と、河川に流れる水の一部をためることで氾濫させない「治水」の役割を担う。 平常時は事前に決められた「利水容量」までしか水をためない。 大雨ではこの容量とは別にある治水の「洪水調節容量」に流入した一部をためることができる。 だが、今回の雨量は想定を上回り、城山ダムを含む6ダムが緊急放流に追い込まれた。 批判対象にもなる緊急放流を行う理由について、京都大防災研究所の角哲也教授(河川工学)は「ダム上部には制御機器などがあり、水が越流した場合、機器が水をかぶってダムが制御不能になることも想定されるため」と解説する。 国土交通省によると、6ダムのうち元々水位が低かった1ダムを除く5ダムが台風前に利水用の水も流す事前放流などをして、流入量の増加に備えた。 それでも対応は十分ではなかった。 担当者は「利水者との関係や、渇水リスクもあり、事前にどこまで水位を下げるかは難しい」と話す。 全国の562ダムのうち、あらかじめ利水者と協議して事前放流時の水量などを実施要領で定めるのは51ダムにとどまり、同省はこうした体制強化を進める方針だ。 大量の水放出に伴い相模川下流域で大規模水害が危ぶまれる中、県が開始時刻を二転三転させたことが沿岸市町の混乱に拍車を掛けた。 「命を守る行動を」-。 緊迫した約4時間の放流は氾濫など大きな被害を招くことはなかったが、自治体間の情報伝達に多くの課題を残した。 12日午後9時15分ごろ、県庁で県土整備局の電話が鳴った。 「もう持たない」。 切迫した声の相手は、城山ダム管理事務所に詰めていた幹部職員。 ダムの水位はこの時点で、緊急放流の基準まで1メートルに迫っていた。 ダム建造以来初となる緊急放流が始まったのは、その約15分後だった。 台風接近に備え、県は10日から相模川流域の8市町に緊急放流の可能性を伝えていた。 11日午後2時からは、事前に貯水量を減らす「予備放流」を実施。 水位を4・5メートル下げてゲートから放流できる下限まで減らし、大量の水を受け入れる容量を確保した。 しかし、城山ダム上流部の雨量は観測史上最多の800ミリに達した。 県は12日午後1時ごろ「午後5時に放流開始」と発表したが、上流部の雨量が予測を下回ったことを受けて延期。 午後8時47分に改めて「午後10時開始」と伝達したものの、雨量が増えて急激な水位上昇がみられ、急きょ午後9時半に前倒して実施した。 一部自治体への連絡は放流後となった。 放流は翌13日の午前1時15分まで続き、開始から約45分後には上限の1・5倍に当たる毎秒4500トンを記録。 県は「下流域に重大な影響が生じる可能性のある緊急放流をできるだけ避けるため、ぎりぎりの対応をした」と振り返った。 「命に関わる、強制的にでも2階へ上げろ」「1階に人がいないか確認を」 緊急放流の開始直前、厚木市役所。 浸水想定区域内にある避難所と連絡を取り合う職員の怒号に近い指示が飛び交った。 県から情報が届いたのは放流開始の2分前。 「命を守る行動をとってください」。 午後9時半の緊急速報で「早まる可能性がある」とも伝えたが、ほぼ同時刻にダムのゲートは開いていた。 緊迫の数時間。 同様の混乱は、ほかの自治体でもみられた。 平塚市では福祉施設に消防車8台が駆け付けて高齢者約50人を避難させるなど、職員らが対応に追われた。 茅ケ崎市には国管理の宮ケ瀬ダム(愛川町など)でも「緊急放流の可能性がある」との情報が入り、城山ダムの放流に大量の水が加わることによる不測の事態に警戒を強めた。 「住民に避難を促すのは市町村。 県にはもっと早く、正確な情報を出してほしかった」。 県央地域の市幹部は苦言を呈した。 2018年の西日本豪雨では、8人が死亡し、約3千棟が浸水するなど被害が広がった緊急放流。 城山ダムでは実施の3時間前と1時間前に予告すると定めているが、下流域の自治体は情報に振り回された。 17日に城山ダムを視察した黒岩祐治知事は「新たな被害を生んだら大変な問題だが、氾濫にはつながらなかった」と職員のオペレーションをねぎらった上で、課題を口にした。 神奈川県は今月12日、台風19号により水位の上昇が予想された相模原市の城山ダムで、流入する水をそのまま下流に流す「緊急放流」を行い、下流で大きな水害が発生するおそれがあるとして、流域の8つの市と町に警戒を呼びかけました。 その際、県が午後10時の放流を発表したあと、想定以上の雨が降ったとして急きょ午後9時半に前倒しして緊急放流が行われ、放流とほぼ同時に自治体への連絡や県民への発表を行う事態となりました。 これを受け23日、県内の市長会と町村会の代表が県庁を訪れ、黒岩知事に対し人命に関わる事案に迅速に対応するための連絡体制の構築や、氾濫などの危険性を早急に把握するための情報提供や監視カメラの増設などを求める要望書を提出しました。 市長会の会長を務める小林常良厚木市長は「放流の情報は事前に伝えてもらえたが、より細かな情報のやり取りをさせてほしい」と伝え、黒岩知事は「最後の連絡が放流の直前や直後になったことは申し訳ない」と応じ、情報の開示や共有の在り方を改めて検討していく考えを示しました。 ダム底の土砂を掘り出してダムの貯水容量を確保したり、下流河川の堤防かさ上げ整備を進めたりすることを要望したほか、災害時に備えた細かな河川の情報提供を求めた。 市長会会長の小林常良厚木市長は緊急放流に備えて県管理河川の危険箇所や、放流量がどの程度河川水量に影響するのかなどの情報を事前に共有する仕組みの必要性を強調。 「情報を細かくやり取りさせてほしい」と訴えた。 城山ダムの緊急放流時刻は数回変更となった。 黒岩知事は最終的な緊急放流時刻の伝達が直前になったことについて「本当に申し訳ない。 2度とないよう、しっかりと仕切り直ししていきたい」と述べた。

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ダム放流するとどうなるのか?氾濫や影響/サイレン状況まとめ

ダム 放流 すると

利水のための貯水容量を治水に活用するダムの事前放流について、国土交通省がガイドラインを策定しました。 国土交通省の発表は下記の通りです。 その記事も掲載します。 総理官邸に「既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議」 が設置され、昨年11月26日、12月12日、昨日(4月22日)会議が開かれ、事前放流ガイドラインが策定されました。 記事にある「(事前放流によって)貯水量が不足した場合の(利水事業者への)補填」は、ガイドラインに次のように書かれています。 以下同じ。 )が協議の上、必要な費用を堰堤維持費又は水資源開発事業交付金により負担するものである。 」 記事に書かれている通り、自治体が管理する河川に設置しているダムは補填の対象外です。 すなわち、補填の対象は一級水系の国の直轄区間にあるダムであって、一級水系の指定区間(都道府県管理区間)および二級水系にあるダムは補填の対象になりません(国土交通省水管理・国土保全局河川環境課水利係に確認)。 事前放流をするためはダム集水域の雨量を予測することが必要ですが、実際には量的にきちんと予測することが結構難しく、事前放流が空振りになることが少なくありません。 また、事前放流さえすれば、緊急放流を回避できるというものではありません。 2018年7月の西日本豪雨において愛媛県・肱川の野村ダムと鹿野川ダムはそれなりの事前放流をしていましたが、それでも凄まじい緊急放流を行ってダム下流域の大氾濫を引き起こしました。 国土交通省 「事前放流ガイドラインの策定について」 令和2年4月22日 水害の激甚化等を踏まえ、ダムによる洪水調節機能の早期の強化に向け、関係行政機関の緊密な連携の下、総合的な検討を行うため、令和元年11月、「既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議」が設置され、令和元年12月に同会議で策定された「既存ダムの洪水調節機能の強化に向けた基本方針」に基づき、関係省庁が連携して取り組みを進めてきています。 今般、同基本方針に基づき、国土交通省において、ダムの事前放流の実施にあたっての基本的事項を定める事前放流ガイドラインを策定しました。 本ガイドラインは、本日開催された「第3回既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議」において確認され、策定したものです。 どれほどの雨が降れば下流で洪水が起こるかをあらかじめ算出しておき、気象庁の予報雨量がその基準を上回る場合、3日前から放流を始めることを基本とした。 予報より雨が少なく利用できる水が足りなくなった場合、火力発電を増やしたり、給水車を出動させたりするための費用を国が補填することも明記した。 多くのダムの空き容量を増やしておけば洪水予防に役立つため、政府は昨年の台風被害を踏まえ、国や自治体、電力会社などが管理するダムで事前放流を促進する方針を決めていた。 大雨シーズンに備え、今後、ダムごとに最低限残しておく水量などを決める。 国管理の河川では先行して利水関係者との協議が進んでおり、5月末までに全国で事前放流に関する協定を水系ごとに整える。 貯水量が不足した場合の補填は、ダム管理者が事前放流をためらうことがないようにするのが目的。 ただ自治体が自ら管理する河川に設置しているダムは対象外になる。 国交省所管ダムと河川法第26条の許可を得て設置された利水ダムを対象に、事前放流を開始する基準や貯水位低下量、最大放流量、中止基準の設定方法など、事前放流の実施に当たって基本的な事項を定めた。 事前放流後に水位が回復しなかった場合の対応も盛り込んでいる。 22日に開かれた政府の「既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議」で決定した。 洪水調節容量が設定されていない利水ダムは、発電や都市用水などの補給で貯水位を高く維持しなければならず、事前放流後に利水容量が回復しない場合に利水者が損失を被ることが、事前放流を拡大する上で課題だった。 ガイドラインは、水位が回復しないでダムからの補給による水利用が困難になる恐れが生じた場合、河川管理者がダムの貯留制限緩和の可能性や取水時期変更の可能性など必要な情報を利水者に提供し、関係者間の水利用の調整が円滑に実施されるよう努めると明記。 国交省が20年度に創設した損失補填制度の詳細も記し、必要な水量を確保できず、利水者に特別の負担が生じた場合に制度を活用できるとの見解を示している。 政府の検討会議は、既存ダムの洪水調節機能の強化に向けた基本方針を2019年12月に決定。 19年の台風19号を踏まえ、緊急時に既存ダムの有効貯水容量を洪水調節に最大限活用できるよう、国交省を中心に関係省庁が密接に連携して速やかに必要な措置を講じることを決めた。 事前放流ガイドラインは取り組みの1つと位置付けている。 2019年にはたくさんの川で洪水(こうずい)が起きたから、ダムの機能が強化されるって聞いたよ。 記者 日本には1500基(き)近くのダムがありますが、洪水を防ぐ「治水(ちすい)」機能を持つのは全体の4割にとどまります。 6割は上水道や発電、農業用といった「利水(りすい)」目的のみで水をためているダムです。 そこで国はこの夏から、利水ダムにも治水の役割(やくわり)を担(にな)ってもらおうとしています。 Q どういうことをするの? A 利水ダムに「事前放流(じぜんほうりゅう)」をしてもらうのです。 事前放流とは、大雨が降る前に利水用の水をダムの外に流すことです。 ダムの空き容量(ようりょう)を増やして水をためられるようにし、下流の川で洪水が起きるのを防ぎます。 これまで、事前放流に応じる利水ダムは限られてきました。 そこで国土交通省(こくどこうつうしょう)は4月、多くの利水ダムに協力してもらおうと、事前放流に関するガイドラインを初めて作ったのです。 Q どういう内容なの? A まずは各ダムで、どれくらいの雨が降れば下流の川で洪水が起きるのかという基準降雨量(きじゅんこううりょう)を設定しておきます。 気象庁(きしょうちょう)の予報雨量がそれを上回った時、早ければ3日前から放流の判断を始めましょうという内容です。 国は5月末までに、特に重要な川である「1級水系」のダムを管理する電力会社や土地改良区(とちかいりょうく)、自治体と治水協定を結ぶ予定です。 Q でも予報通りに雨が降らないと、利水用の水がなくなって困るんじゃないかな。 A ガイドラインでは貯水量(ちょすいりょう)が不足した場合の補塡(ほてん)策も示しています。 水力発電の代わりに火力発電を増やしたり、取水制限(しゅすいせいげん)で給水車を出動(しゅつどう)させたりした時の費用について、国が補います。 既存(きぞん)のダムをフル活用し、洪水対策にあたる構えです。 (社会部).

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