気狂いピエロ 解説。 ゴダールとは

「ハンターハンター」カイトの念能力。気狂いピエロ(クレイジースロット)について一挙ご紹介‼︎ 憎めない具現化ピエロ、その能力など情報盛りだくさん‼︎

気狂いピエロ 解説

「気狂いピエロ」や「勝手にしやがれ」などで知られるジャン=リュック・ゴダール監督は、フランス映画界を代表する巨匠です。 ジャン=リュック・ゴダール監督は、1930年12月3日にフランスのパリで生まれました。 子供時代をスイスで過ごした後にパリへ戻り、ソルボンヌ大学に進学します。 大学時代にフランソワ・トリュフォー監督やジャック・リヴェット監督と出会い、この頃から俳優として活動を始めます。 次第に脚本や製作にも携わるようになり、1959年に「勝手にしやがれ」で長編映画監督デビューを果たしました。 ジャン=リュック・ゴダール監督の作品は、デビュー当初から自由奔放な作風で多くの映画ファンや批評家たちから愛されてきました。 映画界に革命を起こし続けてきたジャン=リュック・ゴダール監督は、年代ごとに作風や映画のテーマを変えています。 そんなジャン=リュック・ゴダール監督の作品を、公開年順に紹介していきます! ジャン=リュック・ゴダール監督の「勝手にしやがれ」撮影裏話! ・「勝手にしやがれ」は、それまでの映画の既成概念をひっくり返した作品と言われています。 ・当時はほとんど行われていなかった手持ちカメラでの撮影や、隠し撮り風の撮影、唐突なクローズアップ、画面の続きを考えずにショットを繋ぎ合わせていくジャンプカットという技法を使うなど、フランスだけでなくアメリカ全土の映画界にも多大なる影響を与えました。 ジャン=リュック・ゴダール監督「勝手にしやがれ」のみどころ! フランスで1950年代末に始まった映画運動である「ヌーベルバーグ」の中でも代表作と言われている、記念碑的な作品です。 ジャン=リュック・ゴダール監督の作品の中でも特に有名で、あっと驚くような展開がみどころです。 「三つ数えろ」や「散り行く花」などの名作映画から演出を引用している部分があり、それらの作品を観ておくと更に楽しめます。 基本情報 上映時間:90分 監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演者:ジャン=ポール・ベルモンド、ジーン・セバーグ、ダニエル・ブーランジェ 受賞歴:第10回ベルリン国際映画祭銀熊賞 第4回ジャン・ヴィゴ賞 1961年フランス批評家連盟批評家賞 公開日:1960年3月26日 2. 女は女である あらすじ パリの書店で働く青年エミール(ジャン=クロード・ブリアリ)は、コペンハーゲンからやってきたばかりでストリップダンサーとして働くアンジェラ(アンナ・カリーナ)と暮らしている。 ある日、アンジェラはエミールに24時間以内に赤ちゃんが欲しいと告げる。 意見が合わない2人だったが、アンジェラの「無理ならば他の男に頼む」という言葉に対して、エミールは「勝手にしろ」と答えてしまう。 怒ったアンジェラは、アパートの下の階に住んでいて自分に何かとちょっかいをかけてくる男、アルフレード(ジャン=ポール・ベルモンド)に頼むと宣言する。 そして、アンジェラはついにアルフレードと関係を持ってしまう。 ジャン=リュック・ゴダール監督の「女は女である」撮影裏話! ・ヒロインのアンナ・カリーナは、「女は女である」の撮影前にジャン=リュック・ゴダール監督と結婚しています。 後に2人は離婚してしまいますが、夫婦ならではの息のあった芝居と演出で名作を生み出しています。 ・「女は女である」は、ジャン=リュック・ゴダール監督が手掛ける初めてのカラー映画で、映画の舞台となった美しい街並みはフランスのパリ市内で撮影されました。 ジャン=リュック・ゴダール監督「女は女である」のみどころ! 「女は女である」のみどころは、何と言ってもヒロインのアンジェラを演じたアンナ・カリーナの可愛らしさを堪能できる点です。 アンジェラは突然恋人に赤ちゃんが欲しいと言い出す奔放な女性ですが、アンナ・カリーナの天真爛漫な可愛さが光っています。 「女は女である」はミュージカルコメディなので、所々で笑える所もあり、ストーリーも秀逸です。 基本情報 上映時間:84分 監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演者:ジャン=クロード・ブリアリ、アンナ・カリーナ、ジャン=ポール・ベルモンド 受賞歴:第11回ベルリン国際映画祭銀熊賞最優秀女優賞、銀熊賞特別賞 公開日:1961年12月23日 3. 気狂いピエロ 出典:『 あらすじ 「気狂いピエロ」と呼ばれているフェルディナン(ジャン=ポール・ベルモンド)は、金持ちの妻との結婚生活に退屈し、逃げ出したいという衝動に駆られていた。 ある日フェルディナンは、昔馴染みのマリアンヌ(アンナ・カリーナ)と再会し、一夜を共にする。 翌朝目覚めたフェルディナンは、マリアンヌの部屋で見知らぬ男の死体を発見するが、マリアンヌは何事もなかったかのように朝食を作っていた。 初めは面倒なことに巻き込まれてしまったと思っていたフェルディナンだったが、マリアンヌと行動を共にするうちに2人でパリから逃げ出すことを決心する。 ギャングに追われながらも充実した日々を過ごしていた2人だったが、平凡なフェルディナンに嫌気がさしたマリアンヌは、ギャングと手を組んでフェルディナンを裏切ってしまう。 ジャン=リュック・ゴダール監督の「気狂いピエロ」撮影裏話! ・「気狂いピエロ」は、ライオネル・ホワイトの「十一時の悪魔」が原作になっています。 ストーリーは原作が元になっていますが、映画には脚本がなく、ほとんどのシーンが即興で演出されて撮影されました。 ・マリアンヌの奥に秘めた恐ろしさがこの映画の重要な役割を担っていますが、ジャン=リュック・ゴダール監督は、当初マリアンヌ役をシルヴィ・ヴァルタンにオファーしていたそうです。 しかし、シルヴィ・ヴァルタンのエージェントがこのオファーを断り、アンナ・カリーナが起用されました。 ・当時まだ駆け出しの女優だったアンナ・カリーナでしたが、本作への出演で一躍有名になりました。 ジャン=リュック・ゴダール監督「気狂いピエロ」のみどころ! 「気狂いピエロ」のみどころは、主人公のフェルディナンが破滅に向かっていく過程の過激さです。 平穏で退屈な生活を送っていたフェルディナンは、危ない香りのするマリアンヌという女性と行動を共にすることによって徐々に破滅していきます。 特に中盤からラストにかけては更に過激さが増していて、フェルディナンが顔に爆弾を巻きつけて自爆するシーンは圧巻です。 ジャン=リュック・ゴダール監督の作品の中でも、特に破天荒で伝説的な作品です。 基本情報 上映時間:110分 監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演者:アンナ・カリーナ、ジャン=ポール・ベルモンド 受賞歴:なし 公開日:1967年7月7日 4. カルメンという名の女 あらすじ 元映画監督のジャン(ジャン=リュック・ゴダール)は、パリの精神病院で異常なしと診断されたが、なかなか病院を出たがらない。 そこへ彼の姪のカルメン(マルーシュカ・デートメルス)が、ジャンが持っている海辺のアパートを映画撮影のために貸して欲しいと頼みにやってきた。 しかし映画撮影というのは嘘で、カルメンはジャンのアパートを、銀行強盗をした後の逃げ場にしようと考えていたのだった。 カルメンが強盗に入った銀行では、ジョゼフ(ジャック・ボナフェ)が警備員として働いていて、強盗一味を捕らえようとしていた。 しかしカルメンとジョゼフは、揉み合っているうちに心を通わせ合い、互いに惹かれあってしまう。 ジャン=リュック・ゴダール監督の「カルメンという名の女」撮影裏話! ・当初はカルメン役をスター女優だったイザベル・アジャーニにオファーし、2週間ほど撮影をしていましたが、監督とイザベルとの間に演出の相違があったために途中で降板しました。 ・当時マルーシュカ・デートメルスは無名で、映画に出演したこともありませんでしたが、ジャン=リュック・ゴダール監督は彼女をヒロインに抜擢し、一躍スター女優へと押し上げました。 ジャン=リュック・ゴダール監督「カルメンという名の女」のみどころ! 「カルメンという名の女」では、銀行強盗を目論み実行した女と、カルメンを捕らえようとするものの恋に落ちてしまう警備員の男の、恋と逃避行を描いています。 最初は強盗であるカルメンと銃を突き合わせ、捕らえようとしたジョゼフでしたが、次第にカルメンに惹かれていきます。 禁断の愛に走ってしまうのも無理がないほど魅力的なカルメンの奔放な美しさもみどころです。 基本情報 上映時間:85分 監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演者:マルーシュカ・デートメルス、ジャック・ボナフェ、ミリアム・ルーセル 受賞歴:第40回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞、 特別賞 公開日:1984年6月23日 5. ゴダールのリア王 あらすじ ウィリアム・シェークスピア五世(ピーター・セラーズ)は、プラッギーという教授(ジャン=リュック・ゴダール)に魔術を聞き出すために、レマン湖の街ニヨンにやって来た。 ある日、ウィリアムが宿泊先のホテルで食事をしていると、地元マフィアのボスであるドン・レアーロ(バージェス・メレディス)と、娘のコーディリア(モリー・リングウォルド)の会話を聞いてしまう。 その会話の内容は、祖先であるシェークスピア・シニアの「リア王」のストーリーそのままの、出来すぎた話であった。 ジャン=リュック・ゴダール監督の「ゴダールのリア王」撮影裏話! ・「ゴダールのリア王」は、シェイクスピアの四大悲劇の1つである「リア王」を1980年代風に再構築した作品です。 ・当時大手の映画会社だったキャノングループの映画プロデューサー、メナヘム・ゴーランとヨーラム・グローバスが、ジャン=リュック・ゴダール監督に発注して本作が制作されました。 ジャン=リュック・ゴダール監督「ゴダールのリア王」のみどころ! 「ゴダールのリア王」のみどころは、本家シェークスピアの「リア王」に出てくるようなキャラクターが登場している点です。 シェークスピア五世を名乗る青年や、年老いた父親とその娘などが登場します。 シェークスピアの「リア王」のストーリーを知っていると、更に「ゴダールのリア王」を楽しむことができます。 基本情報 上映時間:90分 監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演者:ウディ・アレン、バージェス・メレディス、モリー・リングウォルド 受賞歴:なし 公開日:1998年8月10日 6. 右側に気をつけろ あらすじ 「本日の夕刻までに映画を作って首都に届ければ、過去の罪を全て見ずに流す」との電話を受けた公爵殿下(ジャン=リュック・ゴダール)は、フィルム缶を抱えて空港へと向かっていた。 途中で車を降ろされた公爵殿下は、フィルム缶に気を取られる提督夫人(ドミニク・ラヴァナン)から逃げ去る。 一方でフレッド・シシャン(本人)と、カトリーヌ・ランジェ(本人)は音を探し求め、レコーディングスタジオで演奏を繰り返し、人(フランソワ・ペリエ)と、男(ジャック・ヴィルレ)との対決を繰り広げていた。 ジャン=リュック・ゴダール監督の「右側に気をつけろ」撮影裏話! ・「右側に気をつけろ」でジャン=リュック・ゴダール監督が演じる公爵殿下は、同じく彼が監督を務めた映画「子どもたちはロシア風に遊ぶ」でも登場しています。 ・公爵殿下はどちらの映画でもジャン=リュック・ゴダール監督が演じていて、フョードル・ドストエフスキーの「白痴」に登場する、主人公のムイシュキン公爵がモデルになっているそうです。 ・ジャン・ラシーヌの「ベレニス」や、ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの「寓話」など、様々な戯曲や文学から歌詞や台詞を引用しています。 ジャン=リュック・ゴダール監督「右側に気をつけろ」のみどころ! ジャン=リュック・ゴダール監督は本作について、「俳優とカメラと録音機のための17もしくは18景のファンタジー」と称していて、空や街など日常の風景をいちいち理解しようとするのでなく、ただ感じるだけなのと同じように、この映画を観るべきだと語っています。 ストーリーや演出を深く考えることなく、映画全体を感じながら観ると、ジャン=リュック・ゴダール監督の意図が見えて、より深く映画を感じることができます。 基本情報 上映時間:81分 監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演者:ジェーン・バーキン、ジャック・ヴィルレ、ジャン=リュック・ゴダール 受賞歴:1987年ルイ・デリュック賞 公開日:1989年1月28日 7. ヌーヴェルヴァーグ あらすじ 大財閥の当主であるエレナ・トルラート=ファヴリーニ(ドミツィアーナ・ジョルダーノ)はある日、交通事故に遭った男ロジェ・レノックス(アラン・ドロン)を救う。 放浪者だったロジェはそのままエレナの家に住み着く。 ある日、エレナとロジェが湖でボートを漕いでいると、ロジェが湖の中に落ちてしまったが、エレナは手を差し伸べなかった。 そしてちょうど1年後の春、エレナの前にロジェと瓜二つの男リシャール(アラン・ドロン)が現れる。 エレナはロジェとは全く反対で行動的なリシャールに惹かれていき、次第にリシャールがエレナの会社の実権を握っていく。 ジャン=リュック・ゴダール監督の「ヌーヴェルヴァーグ」撮影裏話! ・ジャン=リュック・ゴダール監督は、本作で初めてアラン・ドロンを主役として起用しました。 ・ジャン=リュック・ゴダール監督は、アラン・ドロンとの撮影を終えて「生まれながらにして固有の悲劇を抱えている人物」と評したそうです。 ・映画の中で大きな役割を持つ湖でのシーンは、スイスのレマン湖で撮影されました。 ジャン=リュック・ゴダール監督「ヌーヴェルヴァーグ」のみどころ! 「ヌーヴェルヴァーグ」のみどころは、名優アラン・ドロンの一人二役です。 顔は全く同じだが中身が全く違うロジェとリシャールという2人の男を演じています。 ロジェは負け組とも言えるボロボロの放浪者、リシャールは活気にあふれバイタリティに満ちた実業家ですが、アラン・ドロンは真逆の2人を秀逸に演じ分けています。 映画界の発展に長年貢献してきた名優アラン・ドロンの、年を取っても変わらない演技に脱帽です。 基本情報 上映時間:90分 監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演者:アラン・ドロン、ドミツィアーナ・ジョルダーノ 受賞歴:なし 公開日:1991年11月11日 まとめ フランス映画の巨匠ジャン=リュック・ゴダール監督の作品を公開年順に紹介しました。 おしゃれで独特な雰囲気が人気のフランス映画ですが、その先駆けとなったのがジャン=リュック・ゴダール監督の作品と言っても過言ではありません。 この先もずっと映画史に残り続けるであろうジャン=リュック・ゴダール監督の作品たちを、ぜひ鑑賞してみてください!.

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気狂いピエロ : 作品情報

気狂いピエロ 解説

「気狂いピエロ」や「勝手にしやがれ」などで知られるジャン=リュック・ゴダール監督は、フランス映画界を代表する巨匠です。 ジャン=リュック・ゴダール監督は、1930年12月3日にフランスのパリで生まれました。 子供時代をスイスで過ごした後にパリへ戻り、ソルボンヌ大学に進学します。 大学時代にフランソワ・トリュフォー監督やジャック・リヴェット監督と出会い、この頃から俳優として活動を始めます。 次第に脚本や製作にも携わるようになり、1959年に「勝手にしやがれ」で長編映画監督デビューを果たしました。 ジャン=リュック・ゴダール監督の作品は、デビュー当初から自由奔放な作風で多くの映画ファンや批評家たちから愛されてきました。 映画界に革命を起こし続けてきたジャン=リュック・ゴダール監督は、年代ごとに作風や映画のテーマを変えています。 そんなジャン=リュック・ゴダール監督の作品を、公開年順に紹介していきます! ジャン=リュック・ゴダール監督の「勝手にしやがれ」撮影裏話! ・「勝手にしやがれ」は、それまでの映画の既成概念をひっくり返した作品と言われています。 ・当時はほとんど行われていなかった手持ちカメラでの撮影や、隠し撮り風の撮影、唐突なクローズアップ、画面の続きを考えずにショットを繋ぎ合わせていくジャンプカットという技法を使うなど、フランスだけでなくアメリカ全土の映画界にも多大なる影響を与えました。 ジャン=リュック・ゴダール監督「勝手にしやがれ」のみどころ! フランスで1950年代末に始まった映画運動である「ヌーベルバーグ」の中でも代表作と言われている、記念碑的な作品です。 ジャン=リュック・ゴダール監督の作品の中でも特に有名で、あっと驚くような展開がみどころです。 「三つ数えろ」や「散り行く花」などの名作映画から演出を引用している部分があり、それらの作品を観ておくと更に楽しめます。 基本情報 上映時間:90分 監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演者:ジャン=ポール・ベルモンド、ジーン・セバーグ、ダニエル・ブーランジェ 受賞歴:第10回ベルリン国際映画祭銀熊賞 第4回ジャン・ヴィゴ賞 1961年フランス批評家連盟批評家賞 公開日:1960年3月26日 2. 女は女である あらすじ パリの書店で働く青年エミール(ジャン=クロード・ブリアリ)は、コペンハーゲンからやってきたばかりでストリップダンサーとして働くアンジェラ(アンナ・カリーナ)と暮らしている。 ある日、アンジェラはエミールに24時間以内に赤ちゃんが欲しいと告げる。 意見が合わない2人だったが、アンジェラの「無理ならば他の男に頼む」という言葉に対して、エミールは「勝手にしろ」と答えてしまう。 怒ったアンジェラは、アパートの下の階に住んでいて自分に何かとちょっかいをかけてくる男、アルフレード(ジャン=ポール・ベルモンド)に頼むと宣言する。 そして、アンジェラはついにアルフレードと関係を持ってしまう。 ジャン=リュック・ゴダール監督の「女は女である」撮影裏話! ・ヒロインのアンナ・カリーナは、「女は女である」の撮影前にジャン=リュック・ゴダール監督と結婚しています。 後に2人は離婚してしまいますが、夫婦ならではの息のあった芝居と演出で名作を生み出しています。 ・「女は女である」は、ジャン=リュック・ゴダール監督が手掛ける初めてのカラー映画で、映画の舞台となった美しい街並みはフランスのパリ市内で撮影されました。 ジャン=リュック・ゴダール監督「女は女である」のみどころ! 「女は女である」のみどころは、何と言ってもヒロインのアンジェラを演じたアンナ・カリーナの可愛らしさを堪能できる点です。 アンジェラは突然恋人に赤ちゃんが欲しいと言い出す奔放な女性ですが、アンナ・カリーナの天真爛漫な可愛さが光っています。 「女は女である」はミュージカルコメディなので、所々で笑える所もあり、ストーリーも秀逸です。 基本情報 上映時間:84分 監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演者:ジャン=クロード・ブリアリ、アンナ・カリーナ、ジャン=ポール・ベルモンド 受賞歴:第11回ベルリン国際映画祭銀熊賞最優秀女優賞、銀熊賞特別賞 公開日:1961年12月23日 3. 気狂いピエロ 出典:『 あらすじ 「気狂いピエロ」と呼ばれているフェルディナン(ジャン=ポール・ベルモンド)は、金持ちの妻との結婚生活に退屈し、逃げ出したいという衝動に駆られていた。 ある日フェルディナンは、昔馴染みのマリアンヌ(アンナ・カリーナ)と再会し、一夜を共にする。 翌朝目覚めたフェルディナンは、マリアンヌの部屋で見知らぬ男の死体を発見するが、マリアンヌは何事もなかったかのように朝食を作っていた。 初めは面倒なことに巻き込まれてしまったと思っていたフェルディナンだったが、マリアンヌと行動を共にするうちに2人でパリから逃げ出すことを決心する。 ギャングに追われながらも充実した日々を過ごしていた2人だったが、平凡なフェルディナンに嫌気がさしたマリアンヌは、ギャングと手を組んでフェルディナンを裏切ってしまう。 ジャン=リュック・ゴダール監督の「気狂いピエロ」撮影裏話! ・「気狂いピエロ」は、ライオネル・ホワイトの「十一時の悪魔」が原作になっています。 ストーリーは原作が元になっていますが、映画には脚本がなく、ほとんどのシーンが即興で演出されて撮影されました。 ・マリアンヌの奥に秘めた恐ろしさがこの映画の重要な役割を担っていますが、ジャン=リュック・ゴダール監督は、当初マリアンヌ役をシルヴィ・ヴァルタンにオファーしていたそうです。 しかし、シルヴィ・ヴァルタンのエージェントがこのオファーを断り、アンナ・カリーナが起用されました。 ・当時まだ駆け出しの女優だったアンナ・カリーナでしたが、本作への出演で一躍有名になりました。 ジャン=リュック・ゴダール監督「気狂いピエロ」のみどころ! 「気狂いピエロ」のみどころは、主人公のフェルディナンが破滅に向かっていく過程の過激さです。 平穏で退屈な生活を送っていたフェルディナンは、危ない香りのするマリアンヌという女性と行動を共にすることによって徐々に破滅していきます。 特に中盤からラストにかけては更に過激さが増していて、フェルディナンが顔に爆弾を巻きつけて自爆するシーンは圧巻です。 ジャン=リュック・ゴダール監督の作品の中でも、特に破天荒で伝説的な作品です。 基本情報 上映時間:110分 監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演者:アンナ・カリーナ、ジャン=ポール・ベルモンド 受賞歴:なし 公開日:1967年7月7日 4. カルメンという名の女 あらすじ 元映画監督のジャン(ジャン=リュック・ゴダール)は、パリの精神病院で異常なしと診断されたが、なかなか病院を出たがらない。 そこへ彼の姪のカルメン(マルーシュカ・デートメルス)が、ジャンが持っている海辺のアパートを映画撮影のために貸して欲しいと頼みにやってきた。 しかし映画撮影というのは嘘で、カルメンはジャンのアパートを、銀行強盗をした後の逃げ場にしようと考えていたのだった。 カルメンが強盗に入った銀行では、ジョゼフ(ジャック・ボナフェ)が警備員として働いていて、強盗一味を捕らえようとしていた。 しかしカルメンとジョゼフは、揉み合っているうちに心を通わせ合い、互いに惹かれあってしまう。 ジャン=リュック・ゴダール監督の「カルメンという名の女」撮影裏話! ・当初はカルメン役をスター女優だったイザベル・アジャーニにオファーし、2週間ほど撮影をしていましたが、監督とイザベルとの間に演出の相違があったために途中で降板しました。 ・当時マルーシュカ・デートメルスは無名で、映画に出演したこともありませんでしたが、ジャン=リュック・ゴダール監督は彼女をヒロインに抜擢し、一躍スター女優へと押し上げました。 ジャン=リュック・ゴダール監督「カルメンという名の女」のみどころ! 「カルメンという名の女」では、銀行強盗を目論み実行した女と、カルメンを捕らえようとするものの恋に落ちてしまう警備員の男の、恋と逃避行を描いています。 最初は強盗であるカルメンと銃を突き合わせ、捕らえようとしたジョゼフでしたが、次第にカルメンに惹かれていきます。 禁断の愛に走ってしまうのも無理がないほど魅力的なカルメンの奔放な美しさもみどころです。 基本情報 上映時間:85分 監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演者:マルーシュカ・デートメルス、ジャック・ボナフェ、ミリアム・ルーセル 受賞歴:第40回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞、 特別賞 公開日:1984年6月23日 5. ゴダールのリア王 あらすじ ウィリアム・シェークスピア五世(ピーター・セラーズ)は、プラッギーという教授(ジャン=リュック・ゴダール)に魔術を聞き出すために、レマン湖の街ニヨンにやって来た。 ある日、ウィリアムが宿泊先のホテルで食事をしていると、地元マフィアのボスであるドン・レアーロ(バージェス・メレディス)と、娘のコーディリア(モリー・リングウォルド)の会話を聞いてしまう。 その会話の内容は、祖先であるシェークスピア・シニアの「リア王」のストーリーそのままの、出来すぎた話であった。 ジャン=リュック・ゴダール監督の「ゴダールのリア王」撮影裏話! ・「ゴダールのリア王」は、シェイクスピアの四大悲劇の1つである「リア王」を1980年代風に再構築した作品です。 ・当時大手の映画会社だったキャノングループの映画プロデューサー、メナヘム・ゴーランとヨーラム・グローバスが、ジャン=リュック・ゴダール監督に発注して本作が制作されました。 ジャン=リュック・ゴダール監督「ゴダールのリア王」のみどころ! 「ゴダールのリア王」のみどころは、本家シェークスピアの「リア王」に出てくるようなキャラクターが登場している点です。 シェークスピア五世を名乗る青年や、年老いた父親とその娘などが登場します。 シェークスピアの「リア王」のストーリーを知っていると、更に「ゴダールのリア王」を楽しむことができます。 基本情報 上映時間:90分 監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演者:ウディ・アレン、バージェス・メレディス、モリー・リングウォルド 受賞歴:なし 公開日:1998年8月10日 6. 右側に気をつけろ あらすじ 「本日の夕刻までに映画を作って首都に届ければ、過去の罪を全て見ずに流す」との電話を受けた公爵殿下(ジャン=リュック・ゴダール)は、フィルム缶を抱えて空港へと向かっていた。 途中で車を降ろされた公爵殿下は、フィルム缶に気を取られる提督夫人(ドミニク・ラヴァナン)から逃げ去る。 一方でフレッド・シシャン(本人)と、カトリーヌ・ランジェ(本人)は音を探し求め、レコーディングスタジオで演奏を繰り返し、人(フランソワ・ペリエ)と、男(ジャック・ヴィルレ)との対決を繰り広げていた。 ジャン=リュック・ゴダール監督の「右側に気をつけろ」撮影裏話! ・「右側に気をつけろ」でジャン=リュック・ゴダール監督が演じる公爵殿下は、同じく彼が監督を務めた映画「子どもたちはロシア風に遊ぶ」でも登場しています。 ・公爵殿下はどちらの映画でもジャン=リュック・ゴダール監督が演じていて、フョードル・ドストエフスキーの「白痴」に登場する、主人公のムイシュキン公爵がモデルになっているそうです。 ・ジャン・ラシーヌの「ベレニス」や、ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの「寓話」など、様々な戯曲や文学から歌詞や台詞を引用しています。 ジャン=リュック・ゴダール監督「右側に気をつけろ」のみどころ! ジャン=リュック・ゴダール監督は本作について、「俳優とカメラと録音機のための17もしくは18景のファンタジー」と称していて、空や街など日常の風景をいちいち理解しようとするのでなく、ただ感じるだけなのと同じように、この映画を観るべきだと語っています。 ストーリーや演出を深く考えることなく、映画全体を感じながら観ると、ジャン=リュック・ゴダール監督の意図が見えて、より深く映画を感じることができます。 基本情報 上映時間:81分 監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演者:ジェーン・バーキン、ジャック・ヴィルレ、ジャン=リュック・ゴダール 受賞歴:1987年ルイ・デリュック賞 公開日:1989年1月28日 7. ヌーヴェルヴァーグ あらすじ 大財閥の当主であるエレナ・トルラート=ファヴリーニ(ドミツィアーナ・ジョルダーノ)はある日、交通事故に遭った男ロジェ・レノックス(アラン・ドロン)を救う。 放浪者だったロジェはそのままエレナの家に住み着く。 ある日、エレナとロジェが湖でボートを漕いでいると、ロジェが湖の中に落ちてしまったが、エレナは手を差し伸べなかった。 そしてちょうど1年後の春、エレナの前にロジェと瓜二つの男リシャール(アラン・ドロン)が現れる。 エレナはロジェとは全く反対で行動的なリシャールに惹かれていき、次第にリシャールがエレナの会社の実権を握っていく。 ジャン=リュック・ゴダール監督の「ヌーヴェルヴァーグ」撮影裏話! ・ジャン=リュック・ゴダール監督は、本作で初めてアラン・ドロンを主役として起用しました。 ・ジャン=リュック・ゴダール監督は、アラン・ドロンとの撮影を終えて「生まれながらにして固有の悲劇を抱えている人物」と評したそうです。 ・映画の中で大きな役割を持つ湖でのシーンは、スイスのレマン湖で撮影されました。 ジャン=リュック・ゴダール監督「ヌーヴェルヴァーグ」のみどころ! 「ヌーヴェルヴァーグ」のみどころは、名優アラン・ドロンの一人二役です。 顔は全く同じだが中身が全く違うロジェとリシャールという2人の男を演じています。 ロジェは負け組とも言えるボロボロの放浪者、リシャールは活気にあふれバイタリティに満ちた実業家ですが、アラン・ドロンは真逆の2人を秀逸に演じ分けています。 映画界の発展に長年貢献してきた名優アラン・ドロンの、年を取っても変わらない演技に脱帽です。 基本情報 上映時間:90分 監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演者:アラン・ドロン、ドミツィアーナ・ジョルダーノ 受賞歴:なし 公開日:1991年11月11日 まとめ フランス映画の巨匠ジャン=リュック・ゴダール監督の作品を公開年順に紹介しました。 おしゃれで独特な雰囲気が人気のフランス映画ですが、その先駆けとなったのがジャン=リュック・ゴダール監督の作品と言っても過言ではありません。 この先もずっと映画史に残り続けるであろうジャン=リュック・ゴダール監督の作品たちを、ぜひ鑑賞してみてください!.

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気狂いピエロとは

気狂いピエロ 解説

CONTENTS• 映画『気狂いピエロ』あらすじ C StudioCanall フェルディナンがとある本屋の店先に現れます。 その後、彼はアパートでお湯の入っていない湯船に入り、娘にエリー・フォールの美術史を朗読して聞かせるフェルディナン。 フェルディナンは不幸な結婚生活を送っていました。 妻から夜はパーティーに行くわよと言われ、彼は家に残りたいと言いますが、友達の姪がベビーシッターとして家に来るから娘は大丈夫だと返されてしまい、結局ついて行くことになります。 赤、青、白など画面は単一の色彩で占められ、金持ちのパーティーでフェルディナンがうんざりする様子が映されます。 そこで一人の老紳士に出会うフェルディナン。 紳士の名前はアメリカの映画監督サミュエル・フラー。 フェルディナンは彼に映画とは何か、と尋ねます。 「映画は戦場のようだ。 愛だ、憎しみだ、行動だ、暴力だ、死だ、つまり感動だ。 」そう答えるフラー。 フェルディナンがパーティーを出ると花火が打ち上がり、ナレーションが入り、「絶望」「記憶と自由」「失望 希望」「失われた時を求めて」「マリアンヌ・ルノワール」。 家に戻るとそこにいたのは、ベビーシッターとして来ていたマリアンヌ。 フェルディナンは終電車を逃したマリアンヌを車で自宅まで送ります。 マリアンヌはフェルディナンのかつての愛人でした。 一夜をそのまま過ごしたと思われる彼ら、次のシーンでマリアンヌは水色のバスローブ姿です。 「一生愛し続けるって言っただろう」そう言うフェルディナンにマリアンヌは、「ずっと愛し続けるなんて言ったことない」とミュージカルのように歌に乗せて返します。 その歌が終わるとカメラは、ピカソやマティス、ルノワール、とのナレーションと絵画を映し、部屋でうつぶせに横たわる男の死体を捉えます。 死体の周りには幾つかの武器があります。 マリアンヌはフランクという男の愛人でした。 マリアンヌはフランクを酒瓶で殴って殺し、フェルディナント2人逃避行を始めます。 彼らは川を抜け森を超え、マリアンヌの兄がいるという南仏へたどり着きました。 自然に囲まれて書きものに耽るフェルディナン。 マリアンヌは退屈した様子です。 「あなたは言葉で語る」「きみには思想がない、感情だけだ」「違うわ、思想は感情にあるのよ」そんな会話を繰り返し、ここを離れたいというマリアンヌにフェルディナンも渋々ながら従い2人は街へ向かいます。 フェルディナンはアメリカ人に、マリアンヌは化粧でベトナムの娘に扮して寸劇を演じ、観光客のアメリカ兵から金を巻き上げることに成功しました。 2人は船でさらに移動します。 ところがその後ギャングの争いに巻き込まれ、ギャングを殺して逃げたマリアンヌと捕まって拷問を受けたフェルディナンははなればなれになりました。 それから時は過ぎ、フェルディナンは軍港で働いていました。 そこへ突然現れるマリアンヌ。 彼女はあの時ギャングを殺したのは自分ではない、フェルディナンは殺されたと思っていた、 そして兄フレッドに会ったと告げます。 海辺で女性たちにミュージカルを指導しているのはギャングの男。 フェルディナンはギャングの手助けをすることになりなります。 網で車を捕まえたり、相手側のギャングを撃ち殺して嬉しそうに微笑むマリアンヌ。 フェルディナンは金をマリアンヌに渡し、遅れて波止場に向かいますが、マリアンヌはすでに他の男と出港したところでした。 がっくりしたフェルディナンはマリアンヌと男が隠れている島を見つけ、2人を撃ち殺し、自身は顔を真っ青に塗りたくります。 自死を決意しダイナマイトを顔に巻きつけスイッチを入れますが、途中でやっぱり嫌だとあたふた。 しかし時すでに遅く、ダイナマイトは爆発してしまいました。 カメラは穏やかな海を映します。 最後に流れるのはアルチュール・ランボーの詩『永遠』の朗読。 「見つかった。 何を?太陽と海が1つになる、永遠が」。 C StudioCanall 主人公フェルディナンを演じるのは、『勝手にしやがれ』 1959 主演、ヌーヴェルバーグ時代の寵児ジャン=ポール・ベルモンド。 マリアンヌを演じるのは当時ゴダールの妻であり、『女は女である』 1961 『女と男のいる舗道』 1962 など多くのゴダール作品で主演を務めたミューズ、アンナ・カリーナ。 また『大人は判ってくれない』 1959 や『夜霧の恋人たち』 1968 と同じく、ヌーヴェルバーグを代表するフランソワ・トリュフォー監督作品に欠かせない俳優ジャン=ピエール・レオも映画館の若い客役で出演、また本作の助監督を務めています。 ゴダールとアメリカ C StudioCanall 『気狂いピエロ』の1つのテーマは、アメリカへの反旗と言えます。 ゴダールはフランソワ・トリュフォー、アラン・レネ、ジャック・ドゥミらと並ぶヌーヴェルバーグを代表する映画監督です。 ヌーヴェルバーグ時代の映像作家たちは、皆アルフレッド・ヒッチコック、ジョン・フォード、オーソン・ウェルズといった当時のアメリカの監督たち、映画に強い憧れと敬意を抱いていました。 ゴダールの『勝手にしやがれ』の主人公は、アメリカ映画のギャングに憧れる青年。 また『暗黒街の顔役』 1932 のオマージュを捧げています。 ゴダール初期の映画群、『勝手にしやがれ』から1965年あたりの作品は、アメリカ映画からの影響が多く、オマージュを捧げているのが特徴。 ところが1966年から数年ほどの作品は、より政治的な思想を取り入れたものが多くなり、『男性・女性』 1966 など日々の日常生活をドキュメンタリータッチに切り取りつつ、資本主義から生まれる悪への反抗を強く描くようになります。 そして後期の作品は独善的な作品、よりプロパガンダ的な作品を創るようになり、カメラワークや画面作りも初期の頃とはかなり離れたものとなりました。 アメリカへの批判が読める要素 C StudioCanall なぜアメリカへ反旗を翻す作品と『気狂いピエロ』は言えるのか。 「私は物語を語る事が嫌いです。 アイデアを刺繍して、タペストリーのように表す方が良い」そう発言していたゴダールは、スクリプトをいつも作らず、即興性を重視して映画作りをしていました。 本作もぶつ切りの様々なシーンがつなぎ合わされて1つの作品を構成しています。 注目したいのは画面にある色。 オープニング、フェルディナンは本屋の軒先で物色しています。 垂れ下がる幕は赤と白、並べられた本は青色がすぐ目に飛び込んできます。 富裕層が集まるパーティーは赤や青、白のモノクロームで映され、その後部屋で謎の男が死んでいるシーンもマットレスの色は青、床は白、そして血の赤と3つの色が強調されています。 そしてマリアンヌとフェルディナンが乗っている車のラジオから流れるニュースで、本作がアメリカに対するメッセージを持っていることが示されます。 C StudioCanall そのニュースとはベトナム戦争のこと。 アメリカ兵におちょくったような芝居をするシーン、死体のカットの後にアメリカ軍のピストルのカットが挟まれるなど、これらの符号からゴダールは本作にベトナム戦争、アメリカに対する批判を込めていることが分かります。 ファシズムに脅かされた戦時中のフランス。 フランスの映画、芸術はヌーヴェルバーグ時代まで陰りを見せていました。 正義だと信じたアメリカが今やベトナムで暴挙を振るっている、それに対して何も言うことのできないフランスの富裕層 保守層 と、あんなに敬愛していた国に裏切られたと感じるゴダール。 しかしマリアンヌのような若い世代はそのような憂いを感じることがなく、アメリカと共に自分達から去って行ってしまう。 途中マリアンヌが画面に向かい腕を伸ばし、大きく見せたハサミをまるで画面を分断するかのように動かすシーンがあります。 フランスの中年層と若年層の間の違い、アメリカに裏切られたと感じ行き場をなくしたフェルディナン=ゴダールたちとの別離を象徴するかのような表現です。 そうしてアメリカに憧れ続けたにも関わらず裏切られる形になってしまった、ピエロと呼ばれ続け気づいた頃には本当に道化者だった。 そんな自嘲を込めてラスト、フェルディナンは爆薬で自死を図ります。 しかし死ぬ前にあたふた、ピエロの彼は自らの死さえも端から見たらお笑い草となってしまうのです。 そして『気狂いピエロ』を撮り終えたゴダールは、ブルジョワとしてのアメリカ映画に、彼の作品で反撃を仕掛けるようになります。 ゴダールと言葉 C StudioCanall 『気狂いピエロ』に含まれるテーマは、アメリカ社会とフランスの立ち位置ついて、それからゴダール自身の映画に対する考え方と、彼の恋愛ついて。 本作は詩や絵画、文学からの引用を用いてゴダールの心情が吐露されています。 パーティーのシーンでは「僕には見るための目と聞くための耳、話すための口がある。 全部バラバラだ、繋がっていない。 ひとつながりのはずなのに」。 恋人と南仏へ逃げてもフェルディナンは書きものに熱中するばかり。 マリアンヌには「あなたは言葉で語る、私は感情で見つめているのに」と言われてしまい、そんな彼女に対してフェルディナンは「君とは会話にならない」と返します。 また彼はこうも言います。 「人と人の間に存在するものや空間、音や色を書く。 そこへ到達すべきだ」「僕らは夢でできている、夢は僕らが作った。 そう、美しい。 夢や言葉や死は美しい。 愛する人よ、人生は美しい。 しかし言葉と向き合ったフェルディナンは、愛するマリアンヌに裏切られ、ピエロとして死んでしまうのです。 ゴダールはマルクス主義と関わりのあるドイツの劇作家、詩人のベルトルト・ブレヒトに影響を受けていました。 視覚的な手段、もしくは俳優が役を離れて批判を行い、観客は舞台や映画の出来事に対して感情的に離れることができ、知的な理解をするようになるという手段です。 ゴダールは本作で物語の中の出来事から距離をとり、自らの芸術、社会に対する思想、歴史的な文脈でフェルディナンにコメントをさせていると言えます。 スクリプトが用意しておらず、突発的に様々な出来事が起こる本作は、一見ぶつ切りの物事が結い合わされているように感じられますが、ひとつの時代、ゴダールというひとりの人間をコラージュした芸術として完成されているのです。 C StudioCanall マリアンヌを演じたのはゴダールのミューズであり、最初の妻であったアンナ・カリーナ。 ともに独立プロダクションを作り、映画を製作してきた2人ですがこの『気狂いピエロ』が発表された1965年、同じ年に離婚してしまいます。 一緒に歩んできたにもかかわらず決別してしまった2人、フェルディナンの爆破は恋人にピエロと呼ばれ、愛に裏切られ本物のピエロになってしまった、1人の失恋した男の哀しい自嘲的笑いともとれます。 しかし最後に引用されるのはランボーの詩『永遠』。 社会の混乱、1人の男と1人の女の愛の終り、すべての紛争が終わった時に広がるのは永遠。

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