阪急電車 小説 あらすじ。 阪急電車 片道15分の奇跡

キケン(有川浩)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

阪急電車 小説 あらすじ

タイトル:「阪急電車 片道15分の奇跡」 公開:2011年 監督:三宅喜重 出演:中谷美紀、戸田恵梨香、南果歩、谷村美月、宮本信子、有村架純、芦田愛菜、勝地涼、玉山鉄二、鈴木亮平 他 視聴したVOD:(2018年10月31日までは視聴可) 阪急電鉄が運営する兵庫県の「阪急電車」。 片道わずか15分の、そのローカル電車に乗り合わせた乗客たちの偶然の出逢いがそれぞれの運命を少しずつ変えていきます。 有川浩の人気小説の映画化。 主演の中谷美紀をはじめ、戸田恵梨香、宮本信子、と華やかな出演者が心に染みる演技を魅せてくれる心温まる物語。 出演者の多くが兵庫県出身者であり、ローカルな風景に自然に馴染んでいます。 【あらすじ】 『それぞれの日常、そして悩み』 阪急電車、片道わずか15分のローカル電車。 そこに日々乗り合わせる、一見何の繋がりもない乗客たち。 しかし、皆それぞれのやりきれない気持ちを抱えている。 そんな自分だけの日常が、些細なことで繋がると小さな奇跡が起こるのだ。 電車内で出逢うこの8人の物語は、どう繋がっていくのだろう? 高瀬翔子(中谷美紀)、32歳、OL。 西川口駅在住。 美人で頭がよく、しかしその気の強さゆえに幸せを逃しやすい。 三年付き合った婚約者を会社の後輩に寝取られてしまう。 萩原時江(宮本信子)、65歳。 逆瀬川駅在住。 伴侶に先立たれ、今は一人暮らしをしている。 度々、孫の亜美の子守りを頼まれ、犬好きの亜美と一緒に電車に乗ってドッグパークへ行く。 森岡ミサ(戸田恵梨香)、21歳、大学生。 逆瀬川駅在住。 イケメンのカッコいい彼氏が自慢だが、彼は些細なことでキレる男。 暴力的な彼に疑問を感じるも、カッコいいし、普段は優しいし…と無理やり言い聞かせている。 門田悦子(有村架純)、18歳、女子高生。 甲東園駅在住。 進路を希望しているのは、子どもの頃からの憧れの大学「関西学院」。 しかし、担任からはギリギリだと言われ、一か八か受けても滑り止めが必要だと言われていた。 伊藤康江(南果歩)、42歳、主婦。 西宮北口駅在住。 優しい旦那と素直な息子と暮らしている、平凡で庶民的な主婦。 PTAの繋がりで、派手なグループに度々高級ランチに誘われるのが悩み。 小坂圭一(勝地涼)、19歳、大学生。 甲東園駅在住。 パンクな容姿で、同級生達から完全に浮いている。 おまけにかなりの軍オタ、地元の方言もあり、学校ではいつも一人だ。 権田原美帆(谷村美月)、19歳、大学生。 甲東園在住。 地味で清純な、野草大好きの女子大生。 方言と自分の厳つい名前がコンプレックスで、派手な友人達とはいまいちしっくりこない。 樋口翔子(高須瑠香)、8歳、小学生。 小林駅在住。 学校の帰り道、憂うつそうな顔をして帰る少女。 『怒る女』 翔子は今、人生で最大に怒っていた。 同僚である彼氏と婚約をしていたが、結婚準備中のこの時期に浮気をされたのである。 しかも、相手は彼の子を妊娠中! 相手の女は職場の翔子の後輩で、いつも何かにつけ翔子を頼ってきた女だ。 彼は、翔子と別れてその女と結婚すると言う。 「俺には責任があるんや!」と妙に胸を張って言う彼。 「私が悪いんです」とわざとらしくうなだれる後輩の女。 翔子は怒りがおさまらず二人にまくしたてるが、彼に「お前は大丈夫やろ?泣かへんし。 彼女は俺がおらんとダメなんや」と言われてしまう。 結局、翔子は二人の結婚を認めるが、一つだけ条件を出した。 『お嫁さん』 ~10月、往路~ 宝塚駅から、孫の亜美を連れて時江は電車に乗ろうとしていた。 しかし、そこに騒々しく乗車しようとする派手な中年女の団体に唖然としてしまう。 その集団は電車内でもけたたましいお喋りを止めず、周囲も迷惑そうだ。 その中の一人、康江は愛想笑いをしながらも居たたまれなかった。 康江はため息をつき、ふと電車の窓の外を見ると、駅のホームに真っ白なドレスを着た美しい女性が立っていた。 その女性は、彼氏を寝取られた翔子。 裏切った二人に出した条件、それは自分を結婚式に呼ぶことだった。 結婚式に、翔子はウェディングドレスさながらの真っ白なドレスを選んだ。 頭にはティアラまで飾り、元々美しい翔子は輝くばかりの姿で結婚式に乗り込んだ。 式場では周囲からも注目、好奇心で質問してきた新婦の友人達に翔子は答えた。 「新郎、寝取られて、子供まで作られて、これくらいの嫌がらせ許されるでしょう?」 新郎新婦が入場し、笑顔の二人は翔子のテーブルで足が止まった。 「お幸せに」そう言って、美しく微笑む翔子を見つめる新郎。 引きつった顔で慌てて新郎を引っ張り歩く新婦。 私の勝ちだ、討ち入りは成功した。 帰りの電車の中、翔子は負傷兵の痛痛しさで窓際に佇んでいた。 すると、時江と一緒にやってきた亜美が翔子を見て言った。 「お嫁さんだ!綺麗だね、お婆ちゃん」 その言葉に、翔子の涙は溢れたのだった。 『討ち入りの後は』 亜美の言葉に泣き出した翔子に、時江は話しかけた。 「討ち入りの成果はどうったの?」 驚く翔子に、更に続ける時江。 「良かったら話してみない?野次馬に話したら気が楽になるかもよ」 翔子は時江に事の顛末を全て語って聞かせた。 そして、二人の結婚式を人生最高の日になんてさせない!呪われた日にしてやる!と自分が実行した黒い計画も赤裸々に話したのである。 「昔からいるのよね、そういうちゃっかり女。 でも、いい気味」と、話しを聞いた時江は笑った。 そんな時江の反応が意外だった翔子。 普通だったら、こんな話を聞いたら「そんなことしても自分が惨めになるだけだ」、とかなんとか説教されるはずなのに・・・。 しかし、時江はそうは思わないと言う。 「こういうことするのは覚悟がいるもの。 あなたは自分が傷つくことをわかった上でやったんでしょう?」 翔子は、その言葉に涙が止まらなくなり、時江は優しく慰めた。 そして、「気が済んだら会社はやめなさい、自分のためにね」と忠告をした。 さらに、次の小林駅で休んでいきなさい、あそこは良い街だから、とすすめられ、翔子は素直に従った。 『いい恋愛とは?』 同じ車両に、ミサは恋人のカツヤと一緒に乗っていた。 二人で同棲するための部屋を探しに行くこところだ。 ミサはカツヤに「さっきの女の人凄かったな」と翔子のことを言った。 意味がわかっていないカツヤに、引き出物下げていたの結婚式帰りという事、ゲストが白いドレスを着るのはタブーである、という事を説明した。 「なんでだよ?」とカツヤは不機嫌に言ったが、ミサは構わず「男の人って、ホンマそういうこと何にも知らんのやなぁ」と続けてしまった。 その言葉にカッとなったカツヤは、電車のドアを叩いてミサを大声で怒鳴りつけた。 その声に泣き出した亜美にまで「うるせぇ!」と怒鳴りつけたのだ。 頭に血が上ったカツヤは次の駅で降りてしまい、追いかけてきたミサを突き飛ばして一人で行ってしまった。 同じ駅で降りた時江は、ミサに絆創膏を差し出す。 さっきのカツヤの非礼を詫びるミサに、あなたが謝ることじゃない、と言う時江。 そして、「くだらない男ね、やめといた方がいいと思う」と言って去っていった。 カツヤは通りすがりの人から見ても、くだらない男なのか・・・。 ミサの心は揺れ、カツヤ宛のメールを打った。 「もうウンザリです。 さようなら。 」 しかし、なかなかそれを送信することが出来ない。 そこに女子高生たちが楽しそうに笑いながらやってきた。 盛り上がっている内容は、その中の一人、悦子という子の彼氏の話だ。 その彼氏は年上で社会人だが、かなりバカらしい。 夜中に「アイロンかけられへん」と電話がかかってきて、「素材は?」と聞くと「素材ってなに?」、「タグに書いとるやろ?」と聞くと「タグって何?」と、何にも知らない彼氏。 挙句、タグに書いてある「絹」の 漢字が読めず、「糸に月?」と言ってきたというオチに、聞いていたミサまで笑ってしまった。 しかし、そんなアホ彼氏だが「体の関係は悦子が大学に受かってからだ!」と律儀に宣言し待ってくれている、と嬉しそうに話している。 「私よりいい恋愛してるわ・・・」と、ミサはその悦子という女子高生を羨ましく思った。 笑いながら帰っていく彼女たちの後ろ姿に「浪人するなよ!彼氏のためにも!」と声をかけ、ミサはさっきのメールを送信した。 『恋の始まり』 甲東園駅は、悦子の憧れの「関西学院」があるので、そこに通う学生が一気に乗り込んでくる。 悦子は、そんな学生たちを羨ましそうに見ていた。 小坂圭一と権田原美帆も、その大学の学生だ。 彼らも同じ電車に乗っており、ドア近くに立っていた。 美帆はずっと上空を見上げており、後ろにいた圭一は何を見ているのか気になっていた。 するとプロペラの音がして、圭一はドアにかけより見上げる。 軍事ヘリが並列飛行しており、興奮する軍オタの圭一。 その姿を美帆はポカンと見つめ、それに気づいた圭一はそそくさと背を向けた。 「パンクで軍オタ」とまたバカにされているのだろう、と圭一は思ったが、美帆の方から「何か事件ですかね?」と聞いてきた。 報道用のヘリコプターと勘違いしているようなので、圭一は意気揚々と軍事ヘリについて説明する。 美帆は圭一の知識に素直に感動し、「今日はすごいもん見れてラッキー」と微笑む。 圭一は嬉しくなり、自分の名前を名乗って「君は?」と聞くが、美帆は表情を変えて黙ってしまった。 調子に乗ってしまった・・・そう思った圭一は美帆に謝り、また背を向けてしまった。 電車を降り、圭一が階段を登っていると、美帆が呼び止めた。 さっき答えられなかったのは、権田原という苗字を言うのが嫌でためらったのだと弁解する。 大学デビューしたかったのに、やっぱり権ちゃんって呼ばれて、田舎者だし、周りからも浮いていて・・・と懸命に自分のことを話す美帆を圭一はたまらなく可愛いと思った。 「よろしく、美帆ちゃん」 圭一にそう言われて、美帆は嬉しそうに微笑み、二人は一緒に階段を登っていった。 『ミサの恩返し』 3月~復路~ 西宮北口駅から電車に乗り込むミサの姿があった。 あの時、カツヤにメールを送信し別れる決意をしたミサだったが、カツヤはなかなか応じてくれなかった。 暴力をふるい、アパートまで押しかけ大声を出して暴れたり、どうしようもなくなったミサは幼馴染の親友、マユミに相談したのだ。 ミサとカツヤ、マユミとマユミの兄の四人で話し合いの場を持ち、マユミの兄がカツヤにきっぱり別れるように言い、マユミは最後にカツヤの携帯を真っ二つに割った。 そうして、ミサは無事にカツヤと別れることができたのだった。 その時のことを思い出して晴れやかな気分のミサの耳に、けたたましいお喋りの声が入ってきた。 派手な中年女性のグループがドヤドヤと電車に乗り込み、ミサの前の席を陣取った。 そして、ミサの隣の空いていた席に、なんと自分のバッグを放り投げて席取りをしたのだ。 ちょうど、その席に座ろうとしていた女性はビックリして立ち止まった。 その女性は翔子、呆れたようにミサと顔を合わせ、薄く微笑んで別の車両へ移った。 後からやってきた康江に、バッグを放り投げた女性が大声で言う。 「伊藤さん、席とっておいてあげたわよ!」 周囲の白い目に、康江は状況を察知して恥ずかしそうに座る。 隣のミサは聞こえるように「おばちゃんって最低!」と呟き、康江はいたたまれなくなった。 しばらくすると、隣の康江が胃をおさえて苦しんでいるのにミサが気づいた。 しかし、連れの女性たちは「これからランチやのに」と康江よりもランチの心配をしている。 ミサはそんな女性たちを睨みつつ、康江に付添って次の駅で降りた。 康江は、言葉と態度こそそっけないが、自分を気遣ってくれるミサの優しさがわかった。 「なんで親切にしてくれるん?」と聞くと「なんかこの電車に恩返ししたくて」とミサは言った。 そんなミサに、康江は本当はあのグループに居たくないこと、家族にはありあわせのチャーハンを作って、自分はあの人達と5千円のランチを食べに行くことが申し訳なくて辛いことを話した。 ミサは「価値観の違う人とは辛いと思ううちに離れた方がいいねん。 無理に合わせて一緒におったら自分もそっち側の価値観になってしまうから」と康江に言った。 「頑張ってな!」笑って帰っていくミサに「ありがとう、頑張ってみる!」と康江は勇気をもらった。 そして、家族に「今から帰る!」と電話して足取り軽く歩き出した。 『悦子のアホ彼氏』 悦子は甲東園駅に近づくといつも顔を曇らせていた。 しかし、今の悦子は関西学院の学生を見ても笑顔でいられる。 それは全部、アホ彼氏のおかげだ。 ある日のデート、悦子は彼氏に「もう、今日でいい、どこでもいい」と投げやりに言った。 二人はホテルに行ったが、悦子の態度に彼は「何があったんや?」と聞く。 悦子のことが大好きで大事にしたいから、もっと「今日がいい、ここがいい」ってそういう時にしたいんや!と言う彼に悦子は泣きながら事情を話し始めた。 進路指導の先生から「滑り止めの学校受けて、関西学院もダメ元で受けてみろ」と言われた悦子。 しかし、自分には受験を控えた弟が二人おり、滑り止めで大学受けて受験料や入学金を無駄に親に出させたくないと悦子は悩んでいたのだ。 しかし、複数の受験を迷う悦子に先生は「闘わんと逃げるか。 お前はやっぱりあかんなぁ」と言われてしまった。 泣きながら「私って間違ってる?あかん子?」と言う悦子を彼は優しく抱きしめた。 「間違うてへん!悦子はええ子や、最高や!世界一や!」と慰めてくれた。 しかし、バスタオル一枚の姿の悦子に「服きてくれたら、もっとええ子やけどな」と限界ギリギリな様子の彼に、悦子は笑顔を見せた。 自分を見失いそうだった悦子は、彼のおかげでもう大丈夫だと思えた。 『二人の翔子』 圭一と美帆の交際は順調だった。 電車の中でも、仲睦まじい二人はラブラブそのもの。 そんな二人は、12月のクリスマスに初めて結ばれたのだ。 そのクリスマスを思い出し、幸せそうににやける圭一は軍オタ改め権オタ。 権田原美帆オタになったと言う圭一に、美帆は感動してしまうのだった。 翔子は、以前時江にすすめられて降りた、小林駅の周辺に引っ越しをしていた。 時江の忠告通りに仕事も変え、新しい人生をスタートさせていたのだ。 小林駅に降りた翔子は、何やら様子のおかしい小学生の少女たちに気づいた。 どうやら、同級生の一人を仲間外れにしているようだ。 遅れてやってきた一人の少女に、わざとらしく「みどりちゃんは先に帰ったよ」と言う彼女たち。 その、みどりという女の子は影に隠れており、こっちの様子をうかがっている。 いじめられている、翔子はそう勘付いた。 しかし、その当の少女は「聞いてもいないのに、教えてくれてありがとう」と毅然と言ってホームの端まで歩いて行った。 「お見事」翔子は一人そう呟き、少女に興味を持った。 そして、少女に近づき隣に座ってもいいか?と聞く。 不審がる少女に翔子は言った。 「カッコよかったわよ、今のあなたは。 私は好きよ」 それを聞いた少女は耐えきれず涙をこぼした。 翔子は続けた。 「あなたは私に似てる。 あなたみたいな子はこれからきっと損をすると思う」 でも、この世界にはあなたのことをちゃんと見てる人もいるから、私みたいにね、とエールを送った。 少女は翔子に「お姉さんは幸せですか?」と聞いた。 翔子は、いっぱい失敗したけど、必ず幸せになる、と笑って答える。 「綺麗な女は損をするのよ、私やあなたみたいにね」と、翔子は少女の名前を確かめようと名札を探す素振りをした。 すると、少女は笑って言った。 「翔子です」 なんと、少女の名前も翔子だったのだ。 二人の翔子は一緒に頑張ろうと、肩を寄せ合って笑った。 『そして、終点』 時江と亜美が逆瀬川駅から乗り込むと、中年女性たちのグループはまだ車内で騒いでいた。 うんざりする時江に亜美が言う。 「大人やのに、なんで電車の中でうるさいの?」 幼稚園で教わった、電車はみんなのものだから静かにしなさい、って。 それを聞いて、女性の一人が「子どもにどういう教育をしているのだ!」と突っかかってきた。 時江は、今まで何度もこの女性たちに遭遇し、その度堪えてきたが、もう我慢の限界だ! ここぞとばかりに、説教を始め、女性たちや周りの乗客も時江の講釈を静かに聞き入った。 電車は終点に到着し、女性たちは逃げるように電車を降りた。 車内でその模様を見ていた圭一と美帆は、時江の雄姿を拍手で讃えた。 時江は、清々しい顔でにっこりと笑った。 小林駅で降りたミサは、翔子に再会した。 お互い、なんでまだここに?なんで一本遅い電車に?と不思議がって声を掛け合った。 ミサは笑って「人生の機微を味わってまして」と言い、翔子も「実は私も人生の機微を味わっておりました」と、二人して笑い合った。 なんだか、友達になれそう、二人はそう言い合って連れだって歩き出した。 阪急電車は、今日も沢山の人生を乗せて走っていく。 感想 原作の小説が面白くて、映画化されたものを見る、というパターンが多い私ですが、この映画はまず原作を読まずに観ました。 一見、関係のない人達が少しずつ繋がっていく物語、というものは面白いものです。 この映画も、そんな人生の不思議と人の温かさを存分に堪能できるお話でした。 映画が良かったので、後から原作を読んだのですが、映画では原作に出てくるエピソードが登場人物ごと切られています。 原作では結構キーパーソン的なのに、面白いな~と思いました。 でも、それ切って正解だと思いましたね。 カットされた登場人物の要素は、圭一と美帆にミックスされて(カップルだったので)自然に話は繋がっていました。 ただでさえ、登場人物が多いしエピソードも多いので切ることで映画として観やすくなったと思います。 悩みって、自分ではどうしようもないこと、もうどうにもならないことを、全く無関係の他人が救ってくれることってあります。 日常でも、カリカリしていたのに店員さんが感じ良く笑ってくれただけで、気持ちが軽くなることありますよね。 他人は、自分のことをよく知らないので「それはあんたの悪い癖!」なんて指摘しないし(笑) 自分の人間性を深く知られていない分、他人は客観的に意見を言ってくれます。 それが、時に人生を大きく変えることも。 「人生、捨てたもんじゃないな」って思える、素敵な出逢いの奇跡が詰まった映画でした!.

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映画『阪急電車 片道15分の奇跡』の原作小説『阪急電車』(有川浩/著)の登場人物|映画『阪急電車』ロケ地ガイドマップ

阪急電車 小説 あらすじ

広告 阪急電車は有川浩さんの小説です。 映画化もされた非常に話題の作品です。 私がこの作品に興味を持ったのは自分自身がこの映画の舞台となっている 阪急今津線沿いに住んでいるからです。 私がこの地域に住むようになって20年近くになりますが、まさか小説の舞台に なるとは思ってもいませんでした。 昔から有川浩さんの小説は読んでいましたが非常に身近な話題が多く親近感を 持つ内容が多いのが特徴です。 そんな中でまさか阪急電車と言う小説が出るとは思ってもいませんでした。 また、この小説が映画化されたときには本当に嬉しかったです。 なんといっても撮影の舞台が私の知っている場所ばかりなのですから。 実際に映画の撮影現場に出くわしたこともあります。 俳優さんが自分が住んでいる沿線で映画の撮影をしていると思うと本当に 嬉しくなりました。 さて、小説の話に戻りたいと思います。 この作品の舞台となっているのは阪急電車の中でも西宮北口から宝塚に至る沿線 になります。 そこには主人公がいるわけではなくいくつかの人間の風景が描かれることになって います。 そしてその人間模様の中に阪急沿線の駅がちりばめられているわけです。 私もいろいろな小説を読んできましたがこういった小説は初めての小説になりました。 いくつかの人間模様がありますがそれぞれに短編小説を構成していて そこに阪急の駅があるわけです。 阪急電車に登場する人物はいたって普通の人々です。 大学に入学してばかりで恋人関係に発展できるかどうかの若者。 恋人に振られてしまいこれからの人生を迷っているお姉さん。 さらには電車のマナーについてどうしても許せないと思ってしまう初老の女性。 どれをとっても、あなたの周りにいませんか。 私が有川さんの小説に魅力を感じるのは、こうした日常的な風景があるからなのです。 そしてこうした3組の若者たちのそして大人のストーリーが阪急電車を通じて 交わることになります。 まず学生の恋についてです。 不器用な男性と女性が阪急電車の中で出会い、恋に落ちるまでを描いています。 私も阪急電車にほぼ毎日乗っていますが、このような微笑ましい風景は毎日 見かけることになっています。 自分の若い頃を思い出して、阪急電車が恋の舞台になっていることを非常に 嬉しく思ってしまいます。 それも小説の中で同じように描かれると言うのは非常に嬉しいものです。 次に恋人に振られて阪急電車の中でさまよっている女性の話です。 さすがにこのような風景は私は見かける事はありませんが、この阪急電車に 乗りながらも同じような悩みを持っている女性は間違いなく存在するはずです。 そんな女性を有川さんはいい意味でも悪い意味でも生き生きと阪急電車を通じて 描いてくれました。 もちろん実在でこれほどの描写を描ききるのは非常に難しいと思います。 有川さんご本人が阪急電車に乗っていておそらくこのような苦しみを持った女性を 見かけたのではないでしょうか。 そして、最後に登場するのが孫を連れた初老の女性です。 この女性には阪急電車にマナーの悪い中年の女性たちの姿が不快に見えて仕方 ありません。 も ちろん、私も阪急電車によく乗りますがどちらかと言うと学の言い方が多いので 作品の中で描写されるような女性は少ないと考えていいと思います。 しかしこの初老の女性にとってマナーの悪い女性たちは許されるものではなかった のです。 何気なく女性たちに注意をするこの初老の女性の勇気には、小説を読みながらも 感嘆の声をあげてしまいました。 こうして3つの阪急電車にまつわる物語が描かれていますが、この3つの物語が 交錯する場面も出てきます。 本当に素朴な触れ合いになるわけですが、日常的に阪急電車を利用している 人間にとっては本当にありそうでなさそうで興味をそそられることになります。 それぞれの物語は日常のありきたりなものですが、ピックアップされることで 人間模様が非常にうまく描かれるのは有川さんの力だと思われます。 阪急電車に描かれる西宮北口から宝塚までの時間は約20分です。 この20分の間に様々な人間模様を描ききった有川さんの力は本当に感服すべき ところです。 改めて自分自身でこの沿線に乗ってみて、多くの人々がそれぞれの事情を抱えて、 人生を送っているのだなと改めてつくづく感じることになりました。 それとともに、自分だけがいろいろな悩みを抱えているのではなく、 同じ阪急電車に乗っている人々が私と同じように悩みを抱えながら人生を送っている ことを考えると少し勇気を与えられた気がします。 きっと同じような思いを持ちながら、小説を読んでいるのは私だけではないでしょう。 以上のように日常の生活の中に人間模様を描く有川さんの作品は他にもたくさん あります。 阪急電車だけではなく有川さん独特の感覚でいろいろな舞台で人間模様を描き きって欲しいと思います。 ありきたりな風景にこそ人間模様が描かれるというのが有川さんの小説を 読んでいるとよくわかります。

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阪急電車のあらすじ/作品解説

阪急電車 小説 あらすじ

隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。 片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。 乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。 ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。 【「BOOK」データベースより】 本書は、有川さんが執筆現在も住んでいる関西にある 今津線を舞台にした物語です。 停車駅ごとに章が分かれ、登場人物も数多く登場しますが、それぞれの個性、出会いや別れが強烈で、 いつもの電車から見える風景が素敵なものに変わることは間違いありません。 この記事では、そんな本書の魅力をあらすじや個人的な感想を交えながら書いていきたいと思います。 ネタバレになりますので、未読の方はご注意ください。 Contents• あらすじ ここからはあらすじで、本書は今津線の通る宝塚駅~西宮北口駅間の 駅名を章のタイトルにしています。 まずは宝塚駅~西宮北口駅までで、後半では折り返して再び西宮北口駅~宝塚駅まで描かれています。 宝塚駅 征志は、宝塚駅から隣り合わせで座った女性に見覚えがありました。 二週間に一度通う図書館に彼女も頻繁に現れ、目的の本の争奪戦に敗れたこともあります。 それ以来、その女性は征志のライバルであり、好みのタイプということもあって記憶に残っていました。 意識しているのは自分だけだろうと気にしないことにしますが、その女性の挙動が気になり、征志も高架下を見ます。 窓の外に見える川の中州には『生』の一文字が見え、驚いていると女性の方から声を掛けられます。 女性はその誰かのイタズラにワクワクし、その文字から『生ビール』を連想するような人でした。 二人の話は盛り上がりますが、女性は住んでいる逆瀬川駅で降りることになり、その際、今度会ったら一緒に飲みましょうと征志を誘います。 女性もまた、征志が図書館に通っていることに気が付いていました。 征志は女性が電車を降りるのを見送ると、飲むなら今日だと意を決して彼女を追いかけるのでした。 宝塚南口駅 翔子は美人で、会社でも仕事が出来て信頼されている女性です。 彼女は会社の同僚の結婚式に参加した帰りでしたが、その姿はまるでウェディングドレスに身を包む花嫁のようでした。 実は翔子は会社の同僚である新郎とかつて付き合っていて、彼女はそのまま結婚すると思っていました。 翔子は征志たちが『生』についてやりとりしているのを聞きながら、これまでのことを振り返ります。 結婚準備中に新郎から別れを切り出されます。 相手も翔子の会社の同僚で、この時すでに妊娠していました。 全ては新婦が計算して起こった出来事でした。 怒りに震える翔子ですが、二人の結婚式に呼ぶことを条件に別れることにします。 そして今日、ウェディングドレスのようなデザインの白いドレスを身にまとい、自分を最大限綺麗に見せるメイクをして結婚式に参加します。 会場にいる誰もが翔子に目がいってしまい、新郎新婦に恥をかかせることに成功。 翔子は目的が達成されると途中で退席し、今帰宅途中です。 逆瀬川駅で征志たちが降りると、恋の始まるタイミングを見せられていい気持ちで一杯のはずなのに、今は新郎新婦への呪いであふれていました。 その時、隣の車両から空席を探しているおばあちゃんと女の子が現れ、女の子は翔子を見て『花嫁さん』と嬉しそうに声を上げます。 その瞬間、翔子はこらえることができず、自分は花嫁さんなんかじゃないと涙を流します。 逆瀬川駅 逆瀬川駅から電車に乗ろうとする老婦人・時江と孫の亜美。 二人と入れ違うように征志が電車を降りて、女性を飲みに誘い、見事に成功します。 時江は微笑ましい気持ちになりながら電車に乗ると、結婚式帰りの翔子を見つけます。 亜美は翔子のことを『花嫁さん』と呼びますが、そうでないことぐらい時江には一目で分かります。 時江は翔子に恥をかかせないよう『討ち入りは成功したの?』とだけ聞きます。 翔子はそんなこと聞く時江に心を許し、自分のこれまでの事情、新郎新婦にとって今日が思い出したくない一日になればといいと思っていることを伝えます。 時江はその根性を気に入った上で、気が済んだら会社を辞めることを勧めます。 電車が小林駅に着くと、翔子の顔色が悪いことに気が付いた時江は、いい駅だから降りて休むことを勧めます。 翔子はその言葉に従って下車すると、時江は亜美の気を翔子から引き離すために犬を飼おうと思っていることを伝えます。 これまでは夫が、犬が苦手であるため飼えませんでしたが、その夫も数年前に他界してしまいました。 亜美とどんな犬を飼おうか話す中で、夫のトラウマの原因となった甲斐犬だけは飼わないと天国の夫に伝える時江でした。 小林駅 翔子は時江の言葉に従って小林駅で下車しましたが、いまいちその良さが分かりません。 しかし、ツバメの巣を見つけ、さらに駅員のツバメに対する温かさを感じ、改札を出てみることにします。 立ち寄ったスーパーでも人の温かみを感じ、時江の言っていたことの意味を理解します。 翔子はスーパーの婦人服売り場で無難な服を買うと着替え、ドレスをゴミ箱に捨てます。 町を歩くうちにすっかり気に入り、いつかこの町に住みたいと思うようになっていました。 駅に戻って結婚式用のメイクを落とすと、いつを潮時にしようかと考えるのでした。 仁川駅 小林駅で翔子と入れ違いで電車に乗ったのは、カツヤとミサのカップル。 二人は翔子の服装のことで結婚式のマナーなどのことで口論になり、怒ったカツヤは仁川駅で降りてしまいます。 ミサも降りますが、追いかける気力はありません。 その頃、カツヤの怒声に驚いて泣いてしまった亜美を時江はあやしていて、苦労するからやめておけとミサに忠告します。 ミサは付き合ったこれまでのことを思い出し、自分がそこまでやってやる義理などないことに思い至り、一人で帰ることにします。 別れのメールを打つと、自分の部屋で送ろうと保存し、次に来た電車に乗り込むのでした。 甲子園駅 ミサは電車の中で、女子高生たちの彼氏事情の話に聞き耳を立てます。 えっちゃんと呼ばれる少女は彼氏が社会人で、彼女の巧みな話術に思わず聞き惚れます。 えっちゃんは自分の嫌なことは嫌だとちゃんと伝えていて、彼氏もそれを分かっていてくれています。 カツヤとミサとは大違い。 ミサは決心をより一層固めるのでした。 門戸厄神駅 広島から出てきて、大阪の大学に通う小坂圭一。 電車内で近くにいた女性のかばんには圭一と同じテキストが入っていて、同じ一年生であることに気が付きます。 その女性が窓の外を眺めていると、何があるのだろうと圭一も気になり、それがきっかけで二人の会話が始まります。 女性が見ていたのはヘリコプターで、これまで軍オタと呼ばれていた圭一はそれが何なのかを言い当て、すぐに気持ち悪がられると思います。 しかし、女性は感心していて、嫌な反応はしません。 むしろ、彼女は権田原美帆という名前にコンプレックスを抱いていて、圭一はそれにかこつけて美帆ちゃんと呼ぶことにします。 美帆は長崎出身で、関西というお互い慣れない土地で知り合ったこと、それから大学デビューを狙って失敗したなどの共通点があり、仲良くなります。 そうこうしているうちに、電車は終点の西宮北口駅に到着します。 西宮北口駅 電車から人が吐き出された拍子に、翔子はホームで膝を打ち付けてしまいます。 すると、その様子を見ていた女子高生の集団が声を掛けてくれます。 先ほどの、社会人の彼氏がいるえっちゃんのいる集団です。 翔子は彼女たちと別れると、引き出物も捨て、身軽になって自宅のある茨木に向かうためにコンコースの方へ歩きます。 一方、ミサもカツヤと別れる決心を決め、歩き出します。 さらに圭一は自ら美帆に連絡先を聞き、なし崩し的に告白をします。 すると美帆も了承し、二人はそのまま帰られずに、初めてのデートをすることにします。 スポンサーリンク あらすじ(折り返し) ここからは折り返して、行きの駅とは逆の順番で物語が展開します。 西宮北口駅 宝塚方面の電車に乗り、座席に座るミサ。 同じ車両にはうるさいおばさんの集団がいて、座って友人を待っていました。 その時、ミサの横の空いている席に美人(翔子)が座ろうとしますが、次の瞬間、おばさんの一人が荷物でその席を占領。 ミサと翔子が呆気にとられていると、後から来たイトーさんという女性が申し訳なさそうに座ります。 ミサが怒ろうとすると、翔子は相手にしてはいけないと感じ、皮肉を言って別の車両へと移ります。 ミサは一言文句を言うと、自分も中学生の時、同じことをして一緒に乗り合わせたおじいちゃんに怒られたことを思い出します。 この後のミサの回想で、彼女はすでにカツヤと別れていること、そして完全に切れるまでに半年を要したことが判明します。 カツヤとの別れを決意した後、ミサは別れを切り出しましたが、カツヤの暴力にあい、警察に相談してもダメ。 結局、友人であるマユミの兄・健吾に頼ることで問題は解決しました。 それが一か月前のことです。 あれから綺麗になったミサのことを健吾は気にしていて、ミサも彼のことを考えると胸が弾みました。 門戸厄神駅 先ほど、申し訳なさそうに席に座った伊藤康江の視点から始まります。 彼女は息子の中学校時代のPTAの時からその集団と付き合いをしていましたが、考え方が合わず、今では会うたびに胃が痛むようになっていました。 一行は高級ランチを食べに宝塚駅に向かっていますが、夫と息子を家に置いてきた負い目がある康江は、門戸厄神駅に電車が着くと胃の痛みで体をくの時に折り曲げてしまいます。 そんな彼女を気にかけたのは、ミサでした。 しかし、他のおばさんたちはランチのことばかり心配し、康江のことなど心配していません。 そのことに気が付いたミサは怒りが爆発しそうでしたが、康江がそれを止め、二人は門戸厄神駅で降ります。 康江が事情を説明したことで、ミサも彼女の置かれた立場を理解し、あのおばさんたちと縁を切ることを勧めます。 康江も無理して付き合うことはないことに気が付き、ちょっとずつ距離を置くことにします。 そして、さっきみたいにミサに『サイテー』と言われない母や妻を目指すのでした。 甲子園駅 ここで、社会人の彼氏のいるえっちゃんの名前が悦子であることが分かります。 悦子はまだ彼氏とSEXをしたことがないと公言していましたが、一度だけ自棄を起こしそうになったことがあり、その時のことが語られます。 悦子は志望校にどうしても成績が足らず、下に弟が二人いることを考えると、諦めざるをえません。 それでも担任は最後までいけるかもしれないと無責任に食い下がり、最後は『やっぱりあかんかった』と悦子を容赦なく傷つけます。 クリスマスの日、彼氏とデートしますが、彼は高校生である悦子のことを大事にし、一線を越えないよういつも加減してくれていました。 しかし、悦子が自棄を起こし、彼氏に頼んでラブホテルに連れて行ってもらいます。 ここでいい、と考える悦子ですが、彼氏はそんな悦子のことを見抜いていて、何があったのかを聞いてくれます。 そして、悦子がしっかりしたいい子だと褒めてくれ、この時は何事もなく、そして互いへの愛情を深めるのでした。 電車が甲子園駅に着くと、悦子は高校に向かうために下車します。 それと入れ違いで乗車したのが、圭一と美帆でした。 仁川駅 美帆は好奇心旺盛で、線路近くの斜面に生えたワラビが採りたいと圭一にねだりますが、危ないからと圭一は一蹴します。 二人は交際して半年以上が経過し、こんなやりとりが日常と化していました。 圭一は代案として春になったらハイキングに行こうと提案し、美帆も機嫌良くします。 二人のやりとりはまだ付き合いたてのように甘く、微笑ましいものでした。 電車が仁川駅に着くと、二人は手を繋いで下車するのでした。 小林駅 討ち入りの半年後、翔子は小林駅に引っ越しました。 再就職も終え、呪いはもう引きずっていません。 住んでみると、小林駅周辺は情緒的なだけでなく、梅田にも三宮にもすぐに出られる立地にあります。 今日は半休で仕事を終えましたが、電車でミサと共にうるさいおばさんたちに遭遇し、うんざりしていました。 車両を変えると、今度は圭一と美帆が微笑ましいやりとりをしていて、それを羨ましく思い、彼らのような若い子に対してそう思うことを苦く感じていました。 圭一たちが下車すると、翔子は小林駅で降ります。 ホームで複数の女子小学生たちが内緒話をしていて、悪だくみをしていることは一目瞭然です。 翔子は自分に似て損をしやすい性格のショウコを励まし、少女たちに冷たい一瞥をくれてやります。 一団と離れると、今度はミサと会います。 二人は電車での一件もあり、意気投合。 お茶をすることになり、翔子は年の離れた友人を得るのでした。 逆瀬川駅 時江は隣の待ち位置に立つ男女に目を向けます。 それは半年前、電車で見かけた征志とあの女性で、順調に恋を育んでいるようでした。 一方、時江はケンと名付けたミニチュアダックスを飼っていて、隣では亜美が犬をいれたケージを持って立っています。 電車がきて乗り込むと、その車両は五、六人のおばさんの話し声でうるさいほどで、亜美はどうして大人なのにうるさいの?と疑問を口にします。 この集団は、康江が以前いたおばさんたちだと推測されます。 おばさんたちは見当外れたことをいって時江たちを口撃し、しまいにはケンを臭いという始末。 すると、それを聞いていた征志とその彼女が時江たちに加勢し、おばさんたちはたまらず宝塚南口駅で降りて行きます。 その後、彼女はおばさんたちの香水で酔ってしまい、車両を移ります。 宝塚南口駅 車両を移動した征志たち。 ここで彼女の名前がユキだと判明します。 この頃には、二人の話すきっかけとなった『生』の文字は消えていました。 二人は半年前の出会い以来、図書館デート、たまに食事をするような仲になり、ユキがかなりの酒豪であることが分かりました。 ある時、征志は日本酒の『桂月』が手に入るとユキに連絡し、自宅に呼びます。 それまで酔っても隙を見せなかったユキですが、その日は終電をわざと逃し、泊っていくことに。 ユキは、征志が自分とそういった関係になりたくないのではと心配していましたが、もちろん勘違いで、二人はこうして結ばれたのでした。 電車が宝塚駅に着くと、時江たちは改札に向かい、征志たちは梅田行きの電車に乗り換えます。 宝塚駅 電車内で、征志は二人で一緒に部屋を探さないかと提案。 征志は同棲して良かったら結婚すればいいと考えていて、ユキもいい部屋が見つかるといいね、といい、二人は手を繋ぐのでした。 最後に こういう作品を読んでいると、つい電車の中にいる人を見渡し、この人にはどんな人生があるのだろうと考えてしまいます。 まあ、うるさいおばさん連中みたいな人が多いのが現実で悲しいんですけどね。

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