ハロー ワールド ラスト。 映画【ハローワールド】の最後のオチをネタバレ解説!ラスト1秒に何がひっくり返るか結末についても

映画 HELLO WORLD(ハロー・ワールド)に出てくる京都の場所はどこ?

ハロー ワールド ラスト

出典: 私が映画を観て感じた疑問として大きなものは以下のようなものでした。 そもそもハローワールドの世界構造全体が理解しきれない• 直実と一行さんが最後に着いた世界はどこ?• ラストシーンで目覚めた堅書直実は「直実」?「ナオミ」?• 未来の一行さんの目的はなんだったのか• そもそも最後の世界はどこ?なんであんな状況になってるの? それぞれの疑問について原作小説を読んで裏設定を理解した上で、詳しく考察してみました。 物語全体を俯瞰 まず結論を先に言ってしまうと、物語全体を俯瞰すると以下の図のようなことが行われていました。 (上が物語内での各人物の動きで、下は物語終了後の各世界の状態です) まとめると上記のような展開が行われていたということが分かりました。 次の章から1つ1つ具体的に疑問を解説していきます。 ハローワールドでの世界の構造を整理 「ハローワールドの世界構造って結局どうなってんの?」 まずここがハローワールド全体の理解に関わってくる部分だと思います。 たくさん世界を移動しすぎて結局何がなんだか・・・ってなりますよね。 私はなりました(笑) そこで図を作ってみました。 以下のような感じです。 左が「アルタラの修復機能停止前の世界」、右が「修復機能停止後の世界」です。 まずは左側から。 直実の世界:2027年• ナオミの世界:2037年• 左の図の色付きの世界は全て、 現実世界(ラストの月面世界)のアルタラに記録されたデータの世界です。 左の特徴は「現実世界は1つだけであること」ですね。 しかし直実とナオミによって、ビッグバン(世界の始まり)が起こりました。 直実とナオミが歴史改変したことによって、修復機能が暴走しましたよね。 今まで修復機能のおかげで各世界の歴史が完全一致していたのに、それを 停止したからそれぞれの世界が独立した別の歴史を歩めるようになった。 つまり今までデータ世界と呼ばれていた直実やナオミの世界も【上の世界に左右されることのない未来】を手に入れた。 これは実質、どの世界も現実世界と呼んでいいものに変化したわけです。 今までは縦の上下関係にあった世界達が、完全に横並びの平行世界(パラレルワールド)となった。 この関係も親切には説明してくれないので少し分かりづらかったですよね。 直実と一行さんが最後に行き着いた世界はどこなのか そして世界構造を理解した上で考察するに、直実と一行さんが最後に行き着いた世界は、「現実世界として独立した 元・直実の世界」です。 これは原作小説でも明言されていたので確定です。 しかし、直実はこの後 「きっとここは、まだ誰も知らない、新しい世界なんです」 と言います。 この意味を考察するに、今までは未来が決まっていた世界だったけど、一行さんが生き残った今、この世界の未来は誰にも分からなくなった。 どんな未来も描けるようになった。 「元の世界かもしれないしそうじゃないかもしれない、でも1つ確かなことは今までとは違う好きな未来を歩める世界に来たんだよ。 」 これを言いたかったんだろうなと。 最後の結末の意味!目覚めたのは大きい方のナオミだった 出典: 最後に月面の未来世界にて、一行さんによってナオミが目覚めさせられた件の考察に入りましょう。 まず私は、この堅書直実は「直実の方?」「ナオミの方?」と混乱したので原作小説で確認したんです。 すると原作小説ではナオミと表記されていました。 加えて、ナオミは心の声で 「あいつは幸せになっただろうか」 出典 ハローワールド原作小説 と呟くんですよね。 このセリフが出てくるのは死ぬ寸前に「幸せになれよ」と言ったナオミ以外ありえないでしょう。 死んだと思われたナオミは、別の世界で幸せになれたということですね。 カラスの正体は未来の一行さんで最初からナオミが目的だった それともう一つ、これも見逃せない考察ですが、 カラス(神の手)の中身は、喋るようになった地点から、ラストに出てくる未来の一行(以降ルリ)さんが入り込んでいました。 現実世界(2047年)ではルリではなく堅書直実のほうが脳死状態になってしまっています。 ルリは脳死状態の堅書直実に対して、中身と器の同調による意識の回復をしたかった。 ルリ「あなたは大切な人のために動いた。 貴方の精神は今、ようやく『器』と同調したんです」 ルリは劇中で上記のようなセリフを発しましたが、これは【ナオミが直実のために自己犠牲を図ったこと】を言っています。 ナオミはそれまでは精神が同調できる状態になかったんです。 わかりやすく言うと 「人を不幸にしても構うものか。 」 という考え方は本来の堅書直実のパーソナリティからかけ離れた精神状態だったんですね。 (ナオミはそれほど狂ってしまっていた) だから未来世界の【器の堅書直実】と精神が同調せず、未来の一行さんはずっと四苦八苦していたんです。 2047年の美鈴「堅書ナオミの心は今、壊れている。 執念に憑りつかれ、狂気の瀬戸際にあるの。 このままではガイドとして正常に機能しない。 自分を守ろうとする、生物としてごく当たり前の意識さえろくに持っていないの。 そんな心のままではとても使えない。 」 小説「HELLO WORLF IF 勘解由小路美鈴は世界で最初の失恋をする」 しかしナオミは、自分のしたことを悔い改め、最後には直実を救うために自分の命をも犠牲にした。 この 瞬間の精神状態は元々心優しい心を持った堅書直実の生来のパーソナリティそのものでした。 この瞬間に現実世界 2047年 への精神の同調の準備が整い、ナオミは2047年で目を覚ますことができたわけです。 あのカラス(未来の一行さん)は最初から【直実ではなくナオミの精神の成長が目的】だったということですね。 なんとなくあのカラスは『ナオミ』ではなく『直実』の味方、みたいな雰囲気を醸し出してましたけど、実はナオミのために動いていたなんて驚きの伏線ですよね。 ラストの未来世界は元・現実世界 ラストの月面の未来世界が2047年にあたり「元・現実世界」にあることは確定しています。 これはスピンオフ小説の『HELLO WORLD IF 勘解由小路美鈴は世界で最初の失恋をする』にて描かれていたので間違いないです。 しかし『ラストの月面世界の状況は何?なんでこの世界はこんなことになってんの?』と思いますよね・・・笑 まず原作小説にて、今回の映画で扱われている世界(2027年と2037年)が「 脳死状態にある堅書直美を治療するための蘇生プログラムの世界」であるとも言われているんです。 この『蘇生プログラム』の解釈次第ではありますが、 2027年と2037年のアルタラの世界は、全てナオミ蘇生のために架空の事実に基づいて作られたデータ世界であったと考えることができます。 現実世界では本当は一行さんは一度も脳死になっておらず、一行さんが落雷に打たれる2027年と2037年の世界は、全てナオミの精神の成長のために作られたデータ世界であったということです。 こう考えると2037年と2047年の脳死状態がナオミとルリで逆転しているといった事実の違いも説明が付きます。 さらに今作のキャッチコピーとして『この物語は、ラスト1秒でひっくり返る』と言われていますよね。 これは今まで見てきた物語は、【 少年直実が 少女瑠璃を救う物語】だと思って見ていたけど、実は本質は現実世界の【 大人ルリが 大人ナオミを救う物語】だったんだという解釈をするとシックリと来ますね。 (ショートカットの明るい人気者の女の子のサブキャラです) この子にも実は 2047年(現実世界)からきた未来の勘解由小路美鈴がついていて、堅書直実と一行瑠璃のために暗躍していたんです。 この 美鈴は2047年の現実世界(未来)では一行さんと親友になっているんです。 そして堅書直実の精神をサルベージするために一行さんに協力しています。 その協力の一貫として未来世界の美鈴(以降ミスズ)は、過去の美鈴に接触することで間接的にナオミに手を貸し、そして最終的には【ナオミの精神の成長によってサルベージを成功させること】を目的として2027年に入り込みます。 (ちなみに2027年の美鈴は直実の努力をずっと影から見ていて好きになってしまいます) そして未来世界のルリ(一行さん)とミスズは、落雷に打たれるあのシーンまでにナオミが改心して【現実世界の器の堅書直実】と精神が同調してくれることを望んでいました。 しかし結果として改心はされず、ナオミは直実から一行さんを奪ってしまう。 これは 何度もトライしてきては繰り返されてきた失敗パターンだとミスズは語っていました。 しかし映画の回では遂にその後、ナオミが改心して直実を助けるという今までにない展開が起こります。 これによりナオミを現実世界へと精神サルベージすることがようやく成功した。 という裏設定だったんですね。 いやーこれは映画観ただけでは絶対分からない(笑) スピンオフ小説を読んでようやく理解しました。 図書室で直実と一行さんが栞を渡して仲良くなるシーンで、後ろでこの子が覗いているシーンがあったり意味深だなーとは思ってたんです。 しかし映画では尺の問題かスポットが当たらなかっただけで重要キャラクターだったんですね。 この小説を読むと一気にハローワールドへの理解が深まるので興味ある方はぜひ読んでみてください。 2047年のルリとミスズの会話や、2人の苦悩もけっこう描かれています。 ゆいさん、コメントいただきありがとうございます! カラスの声、もしかしたらルリと書いてあったの間違いとかではないでしょうか? というのも小説版では以下のような描写があるのでカラス=ルリ(2047年の一行瑠璃)なのは間違いないんです。 」 電話の自動音声案内のような、女性の声がした。 聞き覚えがあった。 それは直美の手袋の声だった。 そして『直実の手袋=カラス』ですね。 サルベージされたルリは勘解由小路さんらスタッフと共に安全な方法でナオミのサルベージを試みる。 そのために仮想世界その二2037からナオミをサルベージするべく、(仮想世界その二2037の中の)仮想世界その一2027に介入していた。 仮想世界その一2027はアルタラの暴走により独立した現実世界となったが、仮想世界その二2037は特に必要ないので消滅した(瑠璃も直美もナオミもいないから)。 仮想世界その二2037の二十代ルリは仮想世界その一2027に戻る時に十代瑠璃にコンバートしたらしい。 と、考えましたが。

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映画『HELLO WORLD ハローワールド』評価は?ネタバレ感想考察/世界の真相と訪問者の目的は?

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ハローワールドのあらすじ 京都に住む、大人しめの男子高校生の直実くん 直実は、彼女が欲しかった! そんな時に現れたのが、10年後の自分、ナオミ ナオミ「お前は今日から3ヶ月後、一行瑠璃と恋人同士になる」 はて、一行さんと? いやいやいや、無いって〜〜〜〜〜〜 だってだって、一行さんって、 近づくだけで噛まれそうだし、 孤高の狼みたいでちょっと〜〜〜〜〜、、、 僕の好みは、もっと、かわいい系な感じでして… ナオミ「お前、今、かわいくないっつったな!?」 10年後曰く、一行さんはめっちゃ可愛いらしい。 ナオミ「お前、誰か他のヤツと間違えてるんじゃないのか!?」 というわけで、ちょっと図書館に行って一行さん合わせをしてきた。 直実「ほら、一行さんでしょ」 彼女を指差し、尋ねる直実。 ナオミ「・・・・・。 」 えっ・・・ ナオミは、一行さんを見て、涙を流していた。 どういうこと…? ナオミ「彼女はお前と結ばれたあと、事故によって命を落とす。 頼む、力を貸してくれ。 ハローワールドの映画原作の小説 映画公開に先駆けて、映画の脚本担当の野崎まどさんが、 映画原作の小説版『HELLO WORLD』を2019年6月に発売 小説版の方は、キャラクターの心情が繊細に書かれている• ハローワールドの漫画 ウルトラジャンプと少年ジャンプ+で、 映画のコミカライズ版『HELLO WORLD』が連載中だよ! ハローワールドのアニメ 10年後のナオミ視点で、スピンオフ作品『ANOTHER WORLD』がアニメで見れるよ! 全3話で、ひかりTVで配信中 ハローワールドの意味とは 映画を見終わったあとに、タイトルの意味が分かるんだけど、 実はこれ、映画とは全く関係無いんだけど、別の意味があるんだ それは、プログラミングを初心者に紹介するために使われる言葉 英語で言うと、 「This is a pen」とか、「Hello」 中国語で言うと、 「你好」 プログラミングで言うと、 「Hello World」 つまり、言葉を一番最初に理解するために使う言葉。 あとヒロインの一行さんがカワイイです。 しかしラストのこれでもかと言わんばかりの高カロリー展開はついていけず?

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映画『HELLO WORLD』ネタバレ感想・解説・考察!ラスト1秒の結末で思考停止する

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』によってアニメ映画を取り巻く状況が変わってしまった、 東宝社内で求められる企画の種類も変わってしまったとはっきり明言されているんですよ。 そして実際に出来上がった映画は… …超絶テンポの良い展開、少年少女の恋心、挿入歌で気持ちを持っていく演出などなど……間違いなく『君の名は。 』のフォロワーだろうなと、良くも悪くも思える内容になっていました。 しかしながら、 決して『君の名は。 』の「二番煎じ」「パクリ」などではなく、しっかり独自の魅力があるのがこの『HELLO WORLD』の偉いところだったりもするのです。 ありとあらゆるSF作品からの影響があった! では『HELLO WORLD』独自の魅力が何か?と問われれば、 ありとあらゆるSF作品の要素をぶち込んでいることでしょう。 例えば劇中には「っぽいなあ」というセリフがあったりするんですよね。 伊藤智彦監督は、グレッグ・イーガンの『順列都市』や、映画『マトリックス』なども思い切り意識して、この設定を考えていたと語っているのです。 そのほかにも、パンフレットには膨大な数の影響を受けた(SF)作品が挙げられています。 「その要素も確かにあるなあ」と思える作品ばかりなので、我こそはSFや映画好きだと言う方はぜひパンフを買って読んでみてほしいですね。 作り手のあまりのオタクっぷりに嬉しくなりますから。 あと、この『HELLO WORLD』がメインターゲットにしているのは『君の名は。 』に熱狂した中高生など若い世代だと思うんですが、 実は30代以上のSF作品や映画のファンが歓喜できる内容というのも面白いですね。 そんなわけで、本作はいい歳をしたおじさんにこそオススメできるのです。 気になるのはテンポが早すぎること? この『HELLO WORLD』で気になってしまうことは、明らかに 詰め込みすぎな印象があるということでしょうか。 そこそこに複雑な世界観の設定は矢継ぎ早に説明され、ストーリーは二転三転し、テレビアニメであれば2クールくらいやりそうな内容を98分の中に詰め込んでいるため、 テンポが早すぎて理解がギリギリ追いつくか追いつかないレベルになっているんですよね。 また、サブキャラクターにぶりっ子一歩手前くらいの可愛い女の子がいるのですが、劇中ではちょっと中途半端な扱いであることも否めませんね。 スピンオフ小説で初めてわかることも多いようなのですが、もう少し本編だけでも納得できるようにして欲しかったというのが正直なところです。 また、これまた 『君の名は。 』よろしく挿入歌に乗せてダイジェストで物語を紡いでいくシーンがあるんですが、そちらに比べると編集も画も高揚感に欠けているというのも正直なところです。 あの『君の名は。 』および『天気の子』のミュージックビデオ的な快感は、新海誠監督の画の美しさと編集の妙によるところが大きいと感じた次第……その作家性は安易にマネできるものではないのですね。 それぞれ映画の内容および劇中のシーンにマッチしていて、楽曲そのものも素晴らしいクオリティでした。 ぜひサントラを視聴してみてはいかがでしょうか。 ネタバレなしで魅力のまとめ この『HELLO WORLD』はスクリーン映えする大胆な演出や、ドラッギーにも思えるダイナミックな構図のアクションがあるのも嬉しいところですね。 また、伊藤智彦監督は『ソード・アート・オンライン』や『僕だけがいない街』などテレビアニメで高い評価を得ている方で、武井克弘プロデューサーはその2つを掛け合わせた作品にしたいという狙いもあったそう。 確かに、『ソード・アート・オンライン』は仮想世界で自分の目的を達成しようとする作劇、『僕だけがいない街』はタイムトラベル要素や子供が大人と協力(または対決する)物語と、『HELLO WORLD』と通じているところがありますね。 また、北村匠海の内気な少年、松坂桃李のイケボぶり、浜辺美波のクールさと、主要ボイスキャストもとても上手くて良かったですね。 北村匠海と浜辺美波が図書委員というのは実写映画版『君の膵臓をたべたい』まんまで笑ってしまいましたが、2人がそちらとは全く違うキャラを演じていることにも注目です。 さらには大人気声優と釘宮理恵と子安武人が、めっちゃ特徴のあるキャラを演じているのも見どころですね。 あと『けいおん』の堀口悠紀子が担当したキャラデザイン、というか ヒロインが超可愛い。 むしろちょっと可愛すぎて(萌えっぽくて)苦手に思う方もいるかもしれませんが、実際の本編を観れば誰もが好きになれるんじゃないでしょうか。 そして本作で何より好きだったのは、現在公開中の 『天気の子』に似た価値観を訴えていながら、異なる感動を用意していることですね。 これはセカイ系の作品としても1つのアンサーであり、『君の名は。 』と『天気の子』にモヤっとした方にもオススメできるのです。 その SFへのむせかえるような愛や、詰め込みまくりの作劇など、正直に言って観る人を選ぶところがあるのも否定はできませんが、初めに掲げた通り「また『君の名は。 』みたいなやつか」と思って観ないのはあまりにもったいないです。 興行収入は現時点では決して芳しくないようなので、応援するためにもぜひ劇場へ。 鑑賞後にお読みください。 解説 ネタバレ を表示する 解説 ネタバレ を閉じる その他にも、製作当時に『ドクター・ストレンジ』の予告編を観て「先にやられた」「でも我々だったらどこまでできるか」と思ったとか 、「キン肉マン」の超人オリンピックの予選で超人たちがふるいにかけられて落とされる話をイメージしていたとか、伊藤監督の影響を受けた作品の多さは枚挙にいとまがないことになっていますね。 さらには、中盤から 敵として迫ってくる狐面には『マトリックス』のエージェント・スミスのイメージが入ってたらしい。 確かにあの増殖っぷりはエージェント・スミスだ! さらに、「離れた時間にいる者同士が出会う」という根本のアイデアは『オーロラの彼方へ』を参考にしたものであり、伊藤監督はアドバイザーの役割の人から「『13F』を観ていたほうがいいですよ」と言われたりもしたのだとか。 そちらのネタバレになるので詳しくは書きませんが、確かに『オーロラの彼方へ』も『13F』も、この『HELLO WORLD』の物語に通じていますね。 ネタバレ解説:エゴでも、それが愛だと肯定する 本作で何よりも感動したのは、 大人のナオミがやったエゴイズムに満ちた行動を、瑠璃が「あなたは私を愛してくれたのですね」と、抱擁しながら肯定してくれることでした。 ナオミは過去の自分(直美)から強制的に瑠璃の意識を奪って、現代で脳死状態になっている瑠璃に移し変えて自分のものにしようとした。 それは間違いなくエゴゆえの行動でしょう……だけど、瑠璃は彼のことを責めない。 「愛してくれた」という事実だけを讃えてくれるのです。 そして、ナオミはいなくなくる瑠璃に向けて、涙ながらに「僕は君が好きだったんだ」と告白します。 序盤では、直美は「過去のデータである瑠璃を助けても、現実の彼女は戻らない。 それって意味があるんですか?」と聞き、大人のナオミは 「幸せになった彼女の笑顔が欲しい。 その記録が欲しい。 思い出が欲しい。 たとえそれが、現実じゃないとしても、たとえそれが俺のものじゃないとしてもだ」と答えていました。 でも中盤でナオミは瑠璃を自分のものにしようとしていたので、なんだ嘘だったんじゃないか…と思うところですが…… この涙ながらの告白、その後に「僕はただのエキストラさ」と自己卑下すること、そして自己犠牲的に命を捧げるため、実はこの 「笑顔と思い出が欲しかった。 自分のものじゃなくてもいい」というのも、ナオミの本心だったということがわかるようになっているんですよね。 間違ったエゴで行動してしまったはずのナオミを、瑠璃はその本心まで理解し、「あなたは私を愛してくれたのですね」と言ったのではないでしょうか。 究極的な愛を描いた、作中屈指の名場面であったと思います。 また、高校生の直美も大人のナオミも、自分を「ただのエキストラですけど」と自己卑下していましたが、 この物語の中では主人公であったと、メタフィクション的に肯定することができるんですよね。 君たちは自己啓発本に踊らされるマニュアル人間じゃない、エキストラでもない、主人公なんだ、と……。 ネタバレ解説:ラストの解釈、そしてメタフィクション的構造 ラスト……大人のナオミが目覚め、そこにはメガネをかけた、さらに成長した瑠璃の姿がいました。 彼女は「やってやりました」と、過去に古本市の企画で本を集める時に言っていた「やってやりましょう」を反芻した言葉を涙ながら口にし、そしてナオミを抱きしめます。 そして、ラストシーン、 月面には施設が建てられ、そこに未来の瑠璃とナオミがいることが示されているのです。 つまりは、この世界は3重の入れ子構造になっていたのです。 その理由はたとえば、 「終盤で大人のナオミが高校生の直美の幸せを願う姿は、映画の観客が登場人物に感情移入する姿にそのまま重なる」から。 そして武井プロデューサー自身が「直美のように物語にドップリ浸かって育ってきたので、 虚構とわかってながらキャラクターの幸せを願ってやまない感情を、美しいと思うタイプの人間であるから」……と。 本作のキモは、 この仮想世界の登場人物=物語の中のキャラクターの幸せを願いたくなるという、フィクションの物語にある美しさそのものを、この3重の入れ子構造で肯定していることにあるとも言えるかもしれません。 ネタバレ解説:冒険小説とSFの素晴らしさ 瑠璃と直美は、中盤にそれぞれが好きな冒険物語とSFについて、以下のような会話をしていました。 「私は、冒険小説が好きなんです。 冒険小説の主人公は、冒険へと向かいます。 自ら険しきに挑み、諦めずに最後までやり遂げる。 そんな姿に私は、憧れているんです」 「SFって、新しい世界を見せてくれるんです。 それは、すごく素敵で、遠い世界で。 けど、でも、それは夢物語じゃないんです。 1550-1554 より引用。 『HELLO WORLD』の小説版には、直美の一人称で「子供の時、空の月を見て、手を伸ばした。 たとえば京都タワーの上まで行ったら、指先くらいは届く気がした。 でも子供の頃は月が38万キロも離れていることを知らなかった」と、語られています。 「すごく素敵で、遠い世界で、現実と繋がっている」というSFの素晴らしさ……それが最後の月面世界で示されているのです。 さらに、瑠璃は冒険小説が好きな理由は「冒険小説の主人公は冒険へと向かう。 自ら険しきに挑み、諦めずに最後までやり遂げる」ことだと言っていました。 瑠璃は、まさに冒険物語の主人公のような直美をカラスの姿になって見届けて応援し、ついには自分の力でナオミを蘇生し「やってやりました」と…… 自身も守られるだけの存在じゃない、まさに冒険小説の主人公となったのです。 「この物語(セカイ)は、ラスト1秒でひっくり返る」というキャッチコピーは伊達ではありませんでした。 このラスト1秒(実際はもう少し長いのですが)で見せられた「月世界」は、直美が好きなSFが「現実と繋がっている」という素晴らしさを、瑠璃が好きな冒険小説の「自ら険しきに挑み、諦めずに最後までやり遂げる」という信念を、何よりも虚構の物語を美しく思う観客の気持ちにシンクロしている結末なのですから。 この『HELLO WOLRD』でSFを、そして物語そのものがもっと大好きになりました。 メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。 このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。。 movieこちらの記事もおすすめです 今までに書いた映画レビューの中から、この記事を読んでいただいたあなたにおすすめの記事をピックアップしています。 ネタバレ前の感想をまずは読んで下さい。 映画を見終わった後、ネタバレを含む解説を読んでいただけると1記事で2度楽しんでいただけるのではないかと思います。 カゲヒナタ映画レビューが少しでもあなたのお役に立てれば幸いです!あなたが良い映画と出会えますように: done SF.

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