前田徹哉。 前田徹哉 (甲州市|果樹園,キウイフルーツ園など

広がる「店頭受取」、良品計画、7&iHD、タワレコなどが手掛ける通販とリアルの融合事例

前田徹哉

東京・平和島にあるタワーレコード本社 同社がオンライン事業に乗り出したのは1997年。 Eコマースサイト「@TOWER.JP」をオープンした。 その後、2001年に音楽情報サイト「bounce. com」を、2002年には総合音楽情報携帯サイト「TOWER MOBILE」を相次いで開設し、2010年には@TOWER.JPとTOWER MOBILEを「TOWER RECORDS ONLINE/タワーレコード・オンライン」に統合するなど、着実にオンラインビジネスの強化を図ってきた。 しかし一方で、「Amazon. jp」や「HMV ONLINE」といった競合他社のECサイトに対して後塵を拝しているという危機意識もあったという。 そうした中、タワーレコードではさらなる利益創出に向けてデジタルマーケティングの抜本的な改革に取り組み始めた。 その1つが昨年秋に構築した新たな顧客管理システムである。 商品の仕入れと売り上げを処理する「商品勘定」に加えて、顧客ごとの売り上げを処理する「顧客勘定」の概念を取り入れたシステムを作り上げることで、顧客をセグメント別、ステータス別にアプローチできるようにした。 その狙いについて、同社 オンライン事業本部 本部長の前田徹哉氏は、「手当たり次第にキャンペーンメールを打つのではなく、ターゲットとする顧客のセグメントやステータスを絞り込み、よりOne to Oneマーケティングに近づけるべく、商品勘定と顧客勘定の両面で売り上げを管理していく必要があった」と話す。 「商品情報だけを見ていてもなかなか売り上げは伸びない。 アクティブユーザーがどのくらい存在しているのか、顧客単価をどれだけ上げるべきなのかなど、顧客ベースで管理することで新たな一手を模索できるようになる」(前田氏) 1カ月半で採用決定、2カ月で構築完遂 タワーレコード オンライン事業本部 本部長の前田徹哉氏 では、具体的にどのような顧客管理システムを構築したのか。 商品情報や顧客情報などに分散している既存のデータベース(DB)から対象となるデータを抽出し、中継となる管理システム上の統合DBに集約。 そこから新たに導入したキャンペーンマネジメントシステム「IBM Unica Campaign」につなげて、キャンペーンメールなどを配信できるようにした。 中継システムは、データベース管理システム「IBM DB2」とx86サーバ「IBM System X3650」を活用している。 「顧客の購買行動に基づいた、一貫した施策を展開できるようになった」と前田氏は述べる。 Unicaを採用した理由について、ZOZOTOWNやHMVなど既に多くの導入実績があり、キャンペーンマネジメントツールとして使い勝手が良かったことに加えて、タワーレコードが目指すビジネスゴールを理解した提案内容だったからだという。 前田氏は「われわれは製品を買うことが目的ではなく、それを使ってビジネスを大きくすることが目的である。 選定に上ったベンダーの多くが製品ありきの提案だったのに対し、IBMはタワーレコードがUnicaを活用していかにビジネスを創造できるのか、投資対効果がいかに高まるのかという説明が極めて明快だった」と振り返る。 そうしたことも相まって、製品検討からわずか1カ月半という短期間での採用決定となった。 さらに、通常であれば半年間かかるシステム構築も2カ月というスピードで実現した。 その要因について、前田氏は「事前にクラスター分析を行っていたほか、こうしたセグメントやステータスに分けたいという明確な目的があった。 このように構想策定ができていたため、あとはIT要件定義やデータ要件定義というシステムの設計開発フェーズに限りなく近いところからスタートできた」と力を込める。 また、プロジェクトを進める上でIT部門と密に連携がとれていたのも大きかったという。 「例えば、システム保守・運用の定例会議に出席するなど、日ごろからIT部門とコミュニケーションをとっている。 顧客に対して最適なサービスを提供するという共通の意識を持っていることがスピーディーな対応につながったのだ」と前田氏は胸を張る。

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SGラボ

前田徹哉

(左)青山学院大学 経営学部 マーケティング学科教授 小野譲司氏 (右)電通 CDC プロジェクトプロデューサーズルーム専任部長 森 直樹氏 第1部 「個客マーケティングが注目される背景」 青山学院大学 経営学部 教授 小野譲司 氏 セミナーは青山学院大学の小野譲司教授の講演から始まった。 小野教授は「本日のテーマである『個客』マーケティングの元となった考え方であるワントゥワンマーケティングは、実は90年代からあった言葉。 テクノロジーが進化したことで商品・サービス、価格のカスタマイズ化や顧客別の企業との接点のシームレス化など、真の個客対応、ワントゥワンマーケティングが実現できる環境が整ったことで、改めて注目を集めるようになっている」と説明した。 一方で小野教授は「従来の延長で今の個客マーケティングを考えると、意思決定を誤ることもある」とも指摘。 具体的には、ソーシャルメディアによってお客様同士がつながっている、現在の環境を踏まえた個客マーケティングが必要だという主張だ。 CRMに取り組む企業の多くが、顧客の価値をLTV(ライフタイムバリュー)で評価しているが、どれだけ企業の売上に貢献してくれるかでなく、他の消費者の購買行動に与える影響も含めた個客価値の可視化が重要になってくると小野教授は指摘した。 さらに「企業の人は、よくロイヤルカスタマーという言葉を使うが、聞いてみると、その定義はあいまいなケースが多い。 これはファンであるという心理面のロイヤルティと、商品を買っているという行動面でのロイヤルティの2つを区別して考えられていないため。 この2つを分けて考えることで、今の時代に合った個客価値の可視化ができるはず」と続けた。 その後、小野教授からは専門的な知識を持っていて、企業の商品開発にも活かせるようなヒントを提供してくれる「リードユーザー」や、「他の消費者に商品をリコメンドしてくれる、リファーラル(友人紹介)バリューの高い消費者など、LTVを見ているだけでは分からない、企業に貢献してくれている消費者の具体的な例を挙げながら、お客様の価値を可視化し、分類して考えるためのヒントが提示された。 「実際にデータを分析すると、商品の良い口コミを発信してくれるインフルエンサーは、行動面でのロイヤルティは低いケースが多い。 これはロイヤルユーザーよりも様々なブランドを試し、比較している消費者のほうが実はインフルエンサーになりやすいため。 データを分析することで新たな事実が見つかることもある」と小野教授。 個客マーケティングを考える上では、LTV一辺倒ではない視座が必要と講演を締めくくった。 第2部 「『個客』で考えるコミュニケーションとは?」 電通 CDC 森 直樹 氏 デジタル接点での体験価値向上が、企業のブランド価値に大きな影響を与えるという考えのもと、第2部にはアプリなど企業と消費者が接するデジタルチャネルのインターフェースデザインに多く関わってきた電通の森直樹氏が登壇。 森氏は「個客への対応」というテーマについて、テクノロジーを活用して「個々の生活者に対応する」という視点と、個客から発想するコミュニケーションデザインの考え方=「ユーザビリティ視点のUI・UX」という2つの視点から、海外の事例を交えて講演を行った。 自身が『モバイルシフト』という著書も刊行している森氏だけに、特にスマートフォン領域のジオフェンシング、iBeacon、LivePersonといったテクノロジーについて、その活用事例が紹介された。 また数々の企業のスマートフォンアプリ開発に関わってきた森氏は、個客と向き合うデジタルチャネルのインターフェース開発に、個客の視点から発想するアプローチが有効とも指摘。 ある航空会社のアプリ開発のケースをもとに「コンテンツやUX開発の前段階で、戦略顧客を設定し、ペルソナを描くことが大事」と解説。 「企業がアプリを開発する際は、より多くのお客様にとって使いやすいものを目指しがちだが、スマホアプリの場合は特に、ターゲットを絞り込み、さらには具体的な個人を戦略顧客として想定しながらカスタマージャーニーを設計することが、質の高い体験価値の創造につながる」と講演を締めくくった。 特別鼎談 いま実践すべき個客起点のマーケティングとは セミナーの最後には、デジタル領域のマーケティングに精通する、スターバックス コーヒー ジャパンの長見明氏、タワーレコードの前田徹哉氏と、ハイブリスジャパンの堀裕氏によるパネルディスカッションを開催。 ディスカッションでは最近、関心が高まる「オムニチャネル基盤構築」についても各社の取り組みが話された。 売上に対する責任まで含め、統括しています。 商品が売れたというのは、所有権が企業から顧客に移ったということなので、顧客勘定を使いながら、お客様ごとに販売目標を決め、それに合わせたプロモーションを行っています。 最近はシステム価格が下がってきているので、環境は整ってきました。 「スターバックスカード」利用者のデータ分析はすでに行っていて、任意で属性登録もしていただけるようにしたところ、すでに約40万人の方に登録いただいています。 この会員データベースをO2Oおよびリサーチのプラットフォームとして活用を始めています。 グローバルでオムニチャネル基盤構築を支援する堀さんから、最近の動向を説明いただけますか。 オムニチャネル・コマースのためのソリューションを提供する会社なので、最近は基盤構築の相談を受ける機会が増えています。 お客様が様々なデバイスを自由に使い、能動的に行動する流れは、もはや誰にも止められないこと。 だからこそ個客単位でシームレスな体験を実現するオムニ基盤が注目されていますが、フォレスター・リサーチ社の調査によると「オムニ基盤を構築できている」と回答した企業は全体の約5割という結果に。 オムニ基盤とは商品在庫、顧客データの統合というバックエンドの部分、さらに顧客接点におけるコンテンツ配信というフロントエンドの部分の統合だけでなく、その間をつなぐシステムが必要となるのですが、今その重要性に気づく企業が増えている状況と言えます。 ドリンクの引換券をプレゼントする「e-Gift」など、店舗の補完としてECチャネルを活用するほうが合っているかもしれません。 グローバルでは欧州ファストファッション大手が当社のソリューションを導入していますが、国によってはECは行わず、あくまで商品やキャンペーンなどの情報提供しかしていないケースもあります。 それでも個客別の適切なコンテンツ配信のために活用されていて、販売に関わらなくてもオムニ基盤は有効だと感じています。 宣伝部のような組織だと、売上は見ていてもシステム投資効果については弱かったり、前田さんのように総合的に見る人がいないこともあります。 オムニ基盤構築も、それ自体が目的ではなく、お客様の満足を高めることを考えた結果、実現しうるもの。 長見さん、前田さんのように、顧客視点、さらに個客視点を持つことが今の時代のマーケティング戦略に大切だと感じました。

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アフターデジタル時代のUXを起点とした顧客育成 ~小売り業界の伝説のマーケター、前田徹哉は何故ビービットへ?|ビービット(beBit)

前田徹哉

こんな方におススメ• ECサイト担当者様• CVR改善に向けての次の施策にお困りの方• サイト上の売上を伸ばすのに、どのようなデータを見たら良いのかお困りの方• 「ロイヤル顧客の育成」の具体的施策や、そのKPI設計を知りたい方• その後プライスウォーターハウスコンサルタント(現日本IBM)にて小売業や製造業のマーケティング戦略立案や顧客情報活用支援に向けた業務設計、IT要件定義などのコンサルティングに従事した後、スクウェア・エニックスに入社。 学習研究社との合弁企業である株式会社SGラボにて代表取締役社長を務めた後、スクウェア・エニックスのオンライン事業部長としてECやコミュニティの統括に従事。 2011年10月にタワーレコード入社。 オンライン事業本部 本部長としてタワーレコード オンラインショップの統括の任に従事。 2019年4月にビービットに入社。 中小企業診断士。

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