俺ガイル ss 退学。 雪ノ下「もしかして……比企谷くん?」

やはり俺の人生はまちがっている。

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『〜行き、電車が発車します』 そんなアナウンスを聞き流し、駅構内を進む。 休日の割に人が少ないのは、多分現在時刻が早いからだろう。 午前6:00。 普段ならまだ自室のベッドで眠りについている頃だ。 『ーー大変お兄ちゃんっ!お父さんとお母さんが!!』 「…………」 「…どうしたの、お兄ちゃん」 小町が心配そうに顔を覗き込んできていた。 自分がいつの間にか立ち止まっていたことに気づく。 「…………いや、なんでもない」 「そっか」 ボストンバッグを肩に掛け直し、歩きだす。 その斜め後ろに小町が着いて来る。 いつもならこういう場面ではしつこくまとわりついてくる小町だが、今日は歯切れが悪い。 ひまわりみたいな笑みもなりを潜めている。 それを知らされたのは、あの日の夕飯時だった。 小町が受験生だったこともあって二人きりで結婚記念日の旅行に行っていた、両親の死を知らされたのは。 始めは詐欺だと思った。 もしくは誰かが仕掛けたドッキリ。 夢なのかとも。 それほどまでに現実みがなかった。 なのに何度寝ても、何度目を覚ましても、その夢は覚めなかった。 特段辛かった訳では無い。 ただ思考が停止したような状態になっただけ。 親がいなくなったという事実が、実のところほとんど生活に影響しなかったからかもしれない。 学校を堂々とサボる理由ができた。 本当にそれくらいだった。 停滞した俺たちをよそに、周囲だけがどんどんと変化していく。 葬式があって、それから親戚内で会議があった。 そこで俺と小町は母方の叔父さんに引き取られることにきまった。 今向かっているのは、その人の住む町。 八十稲羽という、ローカル線を何本も乗り継いでやっとたどり着ける田舎の町だ。 「…………」 俺たちの向かうホームにちかづくにつれて、どんどん人の気配がなくなってくる。 本来の俺ならそのことを喜ぶだろうに、今日は何故だか無性に不安になった。 「…ん?」 ホームへと続く階段を登るところで、小町に袖を引っ張られた。 「どした」 「うん…………」 俯いたまま立ち止まってしまった小町のほうに、体を向ける。 言葉を待っていると、小町は意を決したように、少し顔を上げた。 「お兄ちゃん、よかったの……? 」 「何がだ」 「結衣さんと、雪乃さんのこと………」 補足された主語に息がつまる。 「…………昨日も言ったろ。 時間も早いし、無理に起こして見送ってもらう必要はない」 「そうじゃないよ! ちゃんと引越しのこと、言ったの?」 「………言ったよ」 「それがホントなら、きっと二人はっ……」 「小町」 名前を呼んで言葉を遮る。 納得がいかないという表情の小町に背を向け、この話は終わりだとばかりに階段を登りはじめる。 実のところ、二人とはあの日以来一度も会っていなかった。 家のゴタゴタやらなんやらで学校に行けていないから。 それはきっと言い訳なのだろう。 感情に疎い俺にも分かる感情くらいある。 俺は多分怖いのだ。 今二人に会うのが、怖い。 ホームに出るとうららかな陽射しが差し込んできた。 キャリーケースに入ったカマクラがふすん、と鼻を鳴らす。 小町と二人で突っ立って電車をまっていると、ふるりとケータイが揺れた。 取り出して確認すると雪ノ下からのメールだった。 こんな時間に珍しいな、と思いつつも中身は見ずにポケットにしまう。 どうせいつもの生存確認メールだろう。 学校を休むようになって二日三日は、由比ヶ浜と合わせてウンザリするほどの数が来ていたが、先生が事情を話したのか、今はそれほどでもない。 それでも一日一通は必ず送られてくる。 つーか俺雪ノ下にアドレス教えたっけ? まあ、あれだろう。 由比ヶ浜あたりから教えてもらったのだろう。 女子の情報網って恐ろしいしな。 特にキモい男子の悪口とか。 あれは一瞬で学校中に広まるからな。 え? 何か妙に実感こもってるって? 嫌だなぁ。 俺はそもそも存在を認知されていないから関係ないよ。 うん、ホント。 『5番線、電車が参ります。 白線の内側でお待ちください』 俺たちのホームにアナウンスが流れた。 この電車に乗れば、俺は千葉の比企谷八幡ではなくなる。 さらば、千葉。 愛しのマイホームタウン。 そんな千葉愛に満ちた俺にとっては当然の感慨を抱いていると。 小町が今度は俺の前にまわりこみ、強い視線を向けてきた。 「ーーお兄ちゃん、結衣さんと雪乃さんを呼ぼう」 「お前、まだーー」 言葉は最後まで続けさせてもらえなかった。 「やっぱりダメだよ、こんな別れ方」 「別に誰に迷惑をかけてるわけでもないだろ。 むしろ今から二人を呼び出すほうが迷惑だ」 二人をこんな時間に外に連れ出すのも迷惑だし、俺たちが遅れれば、向こうで迎えにきてくれる叔父さんにも迷惑がかかる。 「そんなの言い訳だよ。 叔父さんには遅れるって連絡入れれば良いだけだし」 「……………」 「それに」 小町はそこで言葉を区切り。 「それに、結衣さんだって雪乃さんだって、お兄ちゃんに呼び出されたんなら絶対来てくれるよ」 確信に満ちた目が俺に、分かっているだろう、と無言のうちに問うてくる。 「…………知ってる」 ああ、知っている。 そんなことは、ずっと前から。 「だったらちゃんと。 ちゃんとお別れしようよ、お兄ちゃん」 小町の、俺とは違って真摯な目に見つめられ、俺はーーー 騒音とともに列車がホームにやってくる。 間からドライアイスでも漏れてきそうな音がし、その扉が開く。 千葉から八十稲羽は遠い。 そう簡単には行き来できない程度には。 遠距離恋愛は長続きする、などとよくいうが、それはあくまでお互いの間に恋人という明確な繋がりがあるからだ。 では、俺たちにはーー 俺たちには部活仲間という以外の明確な繋がりはない。 だから、きっと俺と彼女たちは疎遠になって行くのだろう。 どれだけ心の距離を縮めようが、結局人間は物理的な距離には敵わない。 だからこそ、きちんと別れを告げることが大切だと、小町は言うのだろう。 それは本当に正しい。 更には元いた場所での関係に区切りをつけ、新しい場所での新しい関係の障害にならないようにできるというのだ。 正しくて合理的。 何とも俺好みの選択肢ではないか。 選択肢に絞りはついた。 では問おう。 比企谷八幡。 お前の選択はーーーーーーー 「ーーー行くぞ、小町」 「お兄、ちゃん…………」 途端にくしゃりと歪んだ小町の顔を直視できず、俺はその肩を押して扉へと向かわせる。 「そっか…………」 発車ベルの合間、俯き加減にポツリと呟かれた言葉がやけに頭に残った。 「そうだよね、お兄ちゃんはそういう人だもん…………仕方、ないよね…………」 ベルはなり終わった。 時間だ。 あちらとこちらを分ける扉が閉まる。 閉まってしまう。 その時。 「比企谷くん!」 「ヒッキー!」 それは現実か、それともただの幻聴か。 たった何日か聞かなかっただけなのに、妙に懐かしい声が。 雪ノ下雪乃と、由比ヶ浜結衣の声が聞こえた。 そんな気がした。 既に列車を三つ乗り換え、後は八十稲羽までは振動に身を任せるだけでいい。 年季を感じさせる客車に他の客の姿はなかった。 「お兄ちゃん、せんべい、いる?」 「…………ああ」 小町が差し出してきた個包装のパックを受け取る。 こうしていつも通りを演じようとして、こちらも気遣ってくれる小町だがやはり表情には生気を感じない。 どこか惚けた印象を受ける。 間が悪くなって パリポリとせんべいを齧っていると、MAXコーヒーが飲みたくなった。 せんべいにはMAXコーヒー、何なら味噌ピーにもMAXコーヒー。 千葉県民の常識である。 嘘です。 調子にのりました。 今更ながらに後悔が渦巻いてきた。 何故俺はMAXコーヒーを事前に叔父さんの家に送っておかなかったのだろう。 今の残金なら、少なくとも1ダースくらいは送れたというのに。 寂しい右手で暇つぶし付き時計ならぬスマホをいじる。 無料のソーシャルゲームは似たようなものばかりで飽きてしまった。 なので、今まで開封するのが面倒で溜めていた二人からの生存確認メールを開いてみることにした。 雪ノ下のものは奉仕部の依頼が今日はなかっただの財津くんが来て面倒だっただの、由比ヶ浜のものは大抵がクラスや授業のものだったが、要するに結論は全て『返信しろ』で、苦笑してしまう。 マジで生存確認メールじゃねぇか。 最後に、さっき来たばかりの雪ノ下のメールを開いた。 『 from雪ノ下 比企谷くん、五分で着くわ。 電車には乗らずに待ってなさい』 「…………ははっ」 最低限の内容しか書かれていない簡素なメール。 思わず乾いた笑いがもれた。 「…………ホント、バカだろ」 電源を切ってポケットにしまう。 小町がちらりとこちらを見た。 「……どうしたの?」 「なんでもねぇよ」 他に答えようなどないだろう? 「そっか」 それっきり会話は無くなった。 『続いては議員秘書生田目太郎の不倫問題についてのニュースです。 生田目氏の山野アナとの不倫について、正妻である演歌歌手、柊みすずは…………』 八十稲羽に到着した俺たちは今、迎えに来てくれた叔父である堂島さんの車に揺られている。 誰も喋ろうとしない車内にノイズ混じりのラジオの音声が響く。 初対面ではその強面から雑破そうな印象を受けた堂島さんだが、意外にも『この度はお悔やみ〜』から始まる定型文を口に出すことはなかった。 それが気遣いからくるものなのか単純に何を言えばいいのか分からないからなのかは判別がつかないが、どちらにせよ俺にとっては好都合だ。 それは今の車内の沈黙然り。 無料に話しかけようとしない、もしくは必要以上に干渉しないその姿勢には好感がもてる。 この人となら上手くやっていけるかもしれない。 そんな風に期待してしまっている自分に気づき、少し口の中に苦いものを感じた。 …………まあいい。 時間ならたくたんある。 この人のことを知るための時間は。 これから、それこそ家族のように暮らしていくことになるのだから。 「すまん、ちょっと寄らせてもらうぞ」 そんな言葉とともに、車はガソリンスタンドに入った。 堂島さんに続いて車を降りると、店員が駆け寄ってきた。 「らっしゃーせー」 …………うん、田舎だな。 ガソリンスタンドに店員を常備してる時点で田舎。 今時都会じゃセルフサービスが多いってのに。 「今日はどうされたんで?」 「ああ、こいつらが都会から越してきてな。 その迎えの帰りだ」 「へえ、都会すか」 「ああ…………満タンで頼む」 「かしこまりましたー」 堂島さんは車から離れて一服しだす。 様になってんなー、なんて思っていると店員がこっちに寄ってきた。 「君、都会から来たんだって?」 「…………あ、俺っすか」 一瞬小町に話しかけてるのかと思ったよ。 見ると小町は通り沿いの商店街をうろうろしていた。 「うん、君だよ。 都会からくると、ホントなんにもないとこでしょ」 「はぁ……まあ、そうですね」 ああ、出来事の端々から田舎を感じる…………何で仕事中に世間話しちゃってんの?そりゃお客様とのコミュニケーションは大事だけどさ。 「もしヒマだったら、ウチでバイトするといいよ。 ウチ、高校生もオッケーだしさ」 かと思ったら勧誘でした。 仕事してんねー、店員さん。 「まあ、考えときますよ」 こんな眼の腐った男に接客させていいならね。 「うん、頼むよー」 そんな風に言って、店員は手を差し出してくる。 ……………………? ………………ああ、握手か。 あんまりナチュラルに手を出してくるから、何かとおもった。 別に殴られるのかと思ってビビってなんかいない。 変に間が空いてしまったが、とりあえずこちらも手を出しておく。 「じゃあ、そういうことでよろしく」 「はあ…………」 「おっと、仕事に戻らないと」 そう言って店員は車の方へ戻って行った。 …………あれ、さっきのって実は俺の人生初の握手だったんじゃね? 物心ついてから他人と握手した記憶ないし。 そんなことを思っていたときだった。 「…………っ」 突然の頭痛に、俺は思わず頭を抱えた。 間違いなく人生初めてのレベルの痛みだ。 インフルエンザで四十度の熱を出した時でもここまでではなかった。 「…………キミ、大丈夫?」 気付くと、目の前に少女が立っていた。 …………何か、パンク? ですね。 少女のまとう不思議な雰囲気に、思わずまじまじと見つめてしまう。 「調子、悪そう」 面倒くさそうな口調からは分かりづらいが、どうにもこちらを気遣ってくれているらしい。 「…………いや、大丈夫だ」 事実、痛みはいつの間にか引いていた。 心の中に、目立つ感じの人とは極力関わりたくないという気持ちがあることは否定しないが。 何ならどんな人間とも関わりたくない。 「そっか、ならいい」 それだけ言って、拍子抜けするほどアッサリと少女は去っていった。 いや、ラブコメ展開なんて期待してなかったけどね。 単純に、知らない人間にまでお節介をやくような人にしては珍しいと思っただけだ。 「おい、そろそろ出るぞ」 堂島さんの呼びかけに、小町がこちらへ戻ってくる。 俺も車に入ることにした。

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【俺ガイル】比企谷八幡(ヒッキー)の名言・セリフ集│名言格言.NET

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よう実 10巻のあらすじ 季節は春、3月を迎えた高度育成高校の1年生。 だが3学期末試験時点で歴史上初めて退学者を出さなかった結果、1年の全クラスに追加の特別試験『クラス内投票』が実施されることとなった。 それは生徒自身が退学者を選ぶ非情な試験。 誰かが退学しなければならない。 その現実を前に冷静な平田の声も届かずCクラスは分裂。 疑心暗鬼が広がる中、裏切り者も現れ最大の危機を迎える。 一方他クラスの状況はAクラスが早々と退学者を決め、Dクラスは龍園が退学濃厚。 そんな状況の中、Bクラス一之瀬はクラスメイトを救うため南雲生徒会長とある取引をしようとしていた。 10巻の話は クラス内での退学者を投票で決める特別試験。 各クラス誰が退学するのか?• ここからはネタバレあるので注意! 感想・ネタバレあり クラス内投票 10巻の特別試験は クラス内投票。 歴史上初めて一人も退学者を出さずに学年末試験を終えた1年の生徒たち。 特例措置として追加の特別試験が行われることに。 クラスの中で投票を行い退学者を一人決める残酷なものでした。 そして新たなポイント「 プロテクトポイント」の登場にはビックリ! プロテクトポイントは1度だけ退学を免れることができる、ドラクエでいうせかいじゅの葉的なやつ。 この免罪符が今後物語にどう影響するかも楽しみですね。 試験内容 賞賛票、批判票が各自に3票ずつ与えられる。 最も批判票を集めた 結果が小さい 生徒が退学。 役に立たない、人気のない人が退学になる、いたってシンプルなルール。 ルール• 自分自身に投票不可能• 同一人物、無記入は不可能• 首位と最下位が決まるまで何度も行う• 他クラスの生徒への賞賛票を1票各自持つ これまでの試験は他クラスとの対抗戦か他クラスと協力する試験だった。 が今回のクラス内投票はクラス内メイトを陥れる試験。 高1なのになんともえげつないことをするな。 クラスの誰かが犠牲になると思っているなか、綾小路と高円寺はチャンスと捉えていた。 クラス内投票での退学時にはクラスポイントを支払うペナルティは発生しない。 つまり今までは切り捨てれなかった邪魔者 足を引っ張るやつ を切り捨てるチャンスでもある。 そうとも考えることができますね。 なんというか綾小路を退学させようとする陰謀がありますよね。 この特別試験は急遽決まった。 茶柱や真嶋先生からは動揺が見られた。 教師は重くとらえているが学校側はそうではない。 何よりこれまで読んだ感想として坂柳理事長がこのような非常な試験をとるような人ではなさそう。 そういえばいつの間にか茶柱先生から茶柱と地の文での呼び方が変わっていました。 綾小路内での茶柱の立場の変化が見られました。 坂柳理事長は停職 9巻で、坂柳理事長は綾小路父に劣らない権力者だと書かれていたもののあっさり停職されたのは意外だった。 何者かによって陥れられた。 そして今回のクラス内投票が行われた。 誰かを退学させるために。 綾小路父は綾小路を退学させたかったのでしょう。 かなり綾小路はマズイ状況になったのでは? 揺れるCクラス 一番私が驚いたのはCクラスのクラス内投票。 櫛田が堀北を退学にさせようと堀北の悪い噂を流しつつグループを形成。 堀北に批判票を投票しようぜ!的な流れ。 で最後は綾小路の策略で櫛田が退学。 さらば櫛田!を期待というか予想していた。 しかし全くそんなシナリオではなかった。 綾小路は綾小路グループでおとなしく試験を迎える予定。 5人で賞賛票を入れ合おう、そして目立たないようにしよう!的な流れだった。 しかし、軽井沢から衝撃的な事実が!! 「 お前、ターゲットにされてるぞ」と まじびっくりした。 まさか綾小路が狙われているとはね、思いもしなかった。 だって綾小路は言うて成績は普通で足が速い、イケメンだと少しの女子から思われている、股間に巨大な武器を隠しもっているくらいの地味な生徒だと思われている。 いや、考えなおしたらけっこう目立つ生徒じゃね笑 ちょっと目立つ生徒だとしても批判票を入れられる生徒ではないはず。 クラスに嫌われてもない。 綾小路を吊ろうとする計画の首謀者はあいつだと私は思っていた。 そう、櫛田さん。 綾小路が櫛田に直接電話したのはびっくりした。 いきなり首謀者に電話するもんなのか。 でも首謀者は櫛田ではないらしい。 そして櫛田の口から 「 山内」と聞きなれない単語が。 一瞬??誰だっけと思ってしまった。 そして分かった!坂柳の色仕掛けにホイホイついていったやつね。 エースで4番でインターハイにもいったというほら吹きやろう。 衝撃だった。 意外だった。 そもそも山内にクラスの半数くらいの生徒をまとめる力があるとは思えない。 実は裏で坂柳に操られていた。 半数もの生徒をまとめれたのは坂柳のアイデアにより櫛田を一番最初に取り入れることができたから。 なんかうさんくさいやつだと思っていたがついに本性を出してきやがったな。 かなりピンチとなった綾小路。 ここで主人公の脱落も少しは思ったがやはり彼には作戦があった。 正々堂々と立ち向かった堀北 10巻では覚醒した堀北が見られた。 これまでの試験はどちらかというと小手先だけの方法で何とかなるものが多かった。 今回のクラス内投票はグループを作って裏で工作すれば自分が退学になるのは免れる。 ただこれだと本来残るべき優秀な生徒が退学になってしまう可能性もある。 退学すべき人をはっきりと決めるべきだと主張した堀北。 誰を残しどいつを切り捨てるのか。 感情ではなく論理的に決めるべきと。 そして山内がクラスの足を引っ張っているそしてAクラスとつながりがあるとクラス全員の前で暴露する。 堀北は堀北兄、そして綾小路の背中を追っていた。 それが今回は自分の意志でAクラスに上がるために誰を残すべきかそして誰が要らないのか冷静に決断した。 それが今回の裏切りもの山内の暴露だった。 堀北にそうし向かせたのはすべて綾小路の作戦だった。 堀北兄に山内が坂柳と裏でつながっていると堀北に告げさせるように計画していた。 結局は綾小路の手中でした。 崩壊した平田 10巻の独白は平田。 中学で親しかった友達の自殺未遂から仲のいいクラスを大切にしてきた平田が壊れた。 堀北の山内の暴露によりばらばらになったCクラス。 平田は堀北に強い口調であたってしまう。 クラスのまとめ役としてこれまで元不良品の集まるDクラスを統率してきた。 全員が納得する方法を探す、仲間を切り捨てれない平田の欠点が今回の試験では目立ってしまった。 俺ガイルの葉山的な立ち位置に似ています。 他のキャラにも焦点があてられていて平田について細かく書かれていなかったので少し残念。 一度壊れた方が平田にとっては良かったと思う。 今後彼がどのように活躍するのか期待しています。 山内退場 そして投票当日。 最下位は山内。 そして 1位の賞賛者はなんと綾小路になった。 ここも驚いた。 平田か櫛田になりそうと思っていました。 最下位は山内になりそうな気がしていたがやはりそうだった。 しかし1位の賞賛者が綾小路なのは意外だった。 またもなにかトリックでもしたのかと思ったが今回は特になにもしていなかった。 綾小路が賞賛者になったのはAクラスのおかげだった。 坂柳一強のAクラス 山内と裏でつながっていた坂柳。 Cクラスのだれかを退学させるために山内をスパイとして送り込んだ。 彼にはAクラスの生徒の賞賛票を入れるから大丈夫と保険をつけて。 でもこの保険が嘘だった。 実際は Aクラスの生徒は綾小路に入れていた。 綾小路とは正々堂々と勝負したい坂柳が綾小路を退学にさせるわけがなかった。 はなから綾小路が退学になる心配をしなくてもよかった。 AクラスはCクラスと違いすぐに退学者は決まった。 Aクラスのもう一人のリーダー葛城だった。 これまでの葛城の試験の失態から坂柳に従う生徒がほとんどのAクラス。 しかし、 投票結果は葛城に従えていた戸塚弥彦が退学になった。 表では葛城を退学、裏では弥彦が退学になるよう仕組まれていた。 葛城に従う者は容赦しないという見せしめだった。 葛城はAクラスで優秀な生徒だったから坂柳は残した。 でも葛城は龍園と無人島サバイバル試験の時に契約を結んだ。 葛城を退学にさせて契約をなかったものにすればよかったはずに思う。 ただ坂柳は龍園が退学になると思っていたはず。 だから葛城を退学にはしなかったかもしれない。 あるいは山内が退学になったときのあれの影響を知りたかったから。 しかし 龍園は退学にならなかった。 利害の一致したBクラスとDクラス Bクラスはみんな仲良しの一之瀬のクラス。 退学者を2000万プライベートポイントで救済するつもりだった。 しかしクラス全員のポイントを集めても2000万には届かない。 あと400万ポイントくらい必要だった。 で 一之瀬は生徒会長の南雲に頼った。 ポイントを借りる代わりに交際する条件付きで。 どうして南雲がこのような条件をだしたかは不明。 綾小路が気になる恋する女子一之瀬。 読者的には付き合って欲しくないのが本心。 私もどうか付き合わないでと願っていた。 あんなゲスそうなやつとは付き合って欲しくない。 Dクラスは当然のごとく龍園が退学者になる雰囲気。 まあ当たり前ですね。 私も龍園みたいなやつがいたら龍園に投票したはず。 しかし龍園には無人島サバイバル試験のときにAクラスとの契約でためた500万くらいのプライベートポイントがあった。 Bクラスと龍園の取り巻きたちの利害は一致。 プライベートポイントを渡す代わりに龍園に賞賛票を投票という契約をした。 これは中盤くらいから予想していたのでだろうなでした。 ここからは今回の試験について クラスによって様々な方法で乗り越えたクラス内投票だった。 Aクラスは強力な坂柳の支配下のもとで退学者を決めた• Bクラスは全員が助かる選択をした• CクラスはAクラスに上がるために必要な人材を残した• Dクラスはお金の力で解決した クラス内投票は理不尽な試験でした。 Bクラスのようにみんなで協力すればいいというものではなかった。 誰かを切り捨てる勇気も時には必要なのでしょう。 あるいは役立たずを切り捨てるチャンスでもあった。 いつまでも仲良しごっこでは成長はしない。 なるべくしてなった山内の退学 山内の退学について色々の意見があるのでは? 私はなるべくしてなったと思っています。 山内には実力がなかった、だから退学になっただけ。 試験の成績もほぼどべ。 授業態度もひどい。 そして坂柳の色仕掛けにまんまとはまった。 なにより坂柳との賞賛票を入れてもらうという契約を口約束で済ませた。 彼自身が甘かったから退学になった。 最低限の努力はしないといけませんね。 やっぱり実力至上主義の教室だと改めて思いました。 作者の誘導 坂柳との密会で綾小路を退学させようとなったとき山内は「そりゃ、全然!ただのクラスメイト!」246Pと言っています。 初期の頃は仲良くしていたのに綾小路を退学させることに全く罪悪感を感じていないように見えた。 コメントで頂いたのですが作者が読者を誘導していた。 山内にヘイトを集めることで退学になっても心残りにならない、むしろスッキリする。 ただ不自然にならない程度にしなければならないので難しい。 作者の構成力がすごかったですね。 余談 ここまでは試験についての話。 ここからはどうでもいい話。 10巻、私の好きな軽井沢の登場が少なかった。 ほんと少なかった。 綾小路が退学させられようとしていると教えてくれただけなのでは? そして何よりも軽井沢の挿絵がなかった。 ほんと悲しい……今回は男が多かった。 綾小路に一番似合っているパートナーは軽井沢だと私は思っています。 一之瀬については 一之瀬の初めてを阻止できた!!これはほんとに大きい。 234Pで一之瀬は恋愛経験が一度もないと語っています。 南雲は私個人として嫌いなので奪われなくてよかった気持ちでいっぱいです。 アレとはなんだ? 267pと268pでの坂柳と真嶋先生のやり取りで登場した「アレ」。 誰が退学になろうと、影響はない。 『アレ』はそういうものではない。 もし影響があるようなら、お前も安易に誰かを退学になど追い込めないだろう 最初は龍園と葛城が結んだ契約と思いましたが違いますね。 後半箇所の「坂柳が誰かを退学に追い込めない」とは全く関係ないことなので契約についてではなさそう。 真嶋先生が言っているのは誰かを退学にさせると坂柳にも影響が及ぶということ。 うーん?見当がつきません。 その結果 他クラスの退学者 次第では葛城くんには影響がでる恐れはないのですか?と坂柳は聞いています。 つまり 他クラスの生徒が退学になると坂柳や葛城、もしかしたらAクラスの生徒に影響があることっぽい。 それを葛城と坂柳は知っている。 Aクラスの生徒全員が知っているかもしれません。 さっぱりピーマン。 お手上げです。 あっと驚くような アレなのでしょう。 アレを楽しみにして待っています。 退学者を決める試験。 これまでの試験はクラスメイトを助けることが出来る試験だったがクラスメイトを見捨てなければならない厳しいものだった。 試験のルールの裏をつく小細工も通用しない試験。 最後の綾小路父の刺客月城の登場も気になるところ。 次巻では坂柳との決着が見られそうです。 坂柳はただ単純に綾小路との勝負を楽しんでいるだけっぽいので安心して読めそうです。 弥彦や山内の退学は残念だった。 葛城と龍園を残したのは今後、活躍があるということなのでしょう。 葛城は妹思いのいい奴、龍園も好きなキャラなので是非とも綾小路側として登場してほしい。 Dクラスの退学者真鍋はどうでもいいです。 これまでとは違った試験で非常に楽しく読めた10巻だった。

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俺ガイル SS 雪乃 退学

俺ガイル ss 退学

スリッパに履き替えて靴をしまう。 こんなものは一年以上も同じことをしているのだから,ごくごく簡単な無意識で行う動作だ。 こんなくだらない動作でさえ,今はくだらないとは思えなくなっている。 「はぁ」 ため息と覚悟を決める動作を同時に行い,先に進む。 目的地は,校長室だ。 かばんから昨日渡された紙を取り出してドアの前に立つ。 自分でもわかる。 手が震えている。 いや,それだけではない。 体じゅうが震えているのだ。 それでも,震える自分を,押し殺し,ドアをノックする。 コンコン 「------どうぞ」 ドアを開け,ここからの動作は単調なものだ。 「失礼します。 昨日いただいたプリントを提出しにきました」 「ここまで持ってきて」 その言葉に従い,紙を校長の前の前の机に置く。 校長は紙をしばらく見つめた 書くべきところが書いてあるかの確認だろう 後,こちらを見た。 「では,明日より比企谷八幡を本校,総武高校より退学とする。 今日は本校の生徒として扱うから自由に見て回るといい。 お大事に」 「-------失礼します」 そう言い,校長室を出た。 ここで改めて自分の行動がわかった。 -----俺は-----退学届けを出したのか---- 声に出すつもりはなかったが,おそらくは呟くくらいの声量はあったと思う。 そして,校長に言われたとおり,自由に歩き回るとしよう。 教室は,授業中か。 なら,あそこに行こう。 長い長い階段を昇り,着いたところは屋上だ。 ドアを開け,手すりを見る。 相模が触っていたところだ。 ここで葉山を利用して相模を体育館に移動させた。 そこで,俺は相模に言葉を浴びせ,泣かせ,そしてこの退学につながった。 だが,後悔はない。 俺のとったその行動を,理解してくれる人達がいたのだ。 正直,嬉しがった。 屋上をあとにして,次の場所に向かおうとした時にチャイムが鳴った。 おそらく放課の合図だろう。 生徒との接触は避けたいから次のチャイムまでここにいるとしよう。 キーンコーンカーンコーン チャイムが鳴り響き,俺は立ち上がり屋上を出た。 次に行くのは,ずっとお世話になったベストプレイスだ。 今は昼休みの時間じゃないから少し風の角度が違う。 できれば昼休みの時間にここに来たかったが,仕方ないだろう。 ここで天使と出会ったなー。 いやー,天使だった。 あそこのテニスコートで試合をしたな。 中二病が俺のキャッチャーフライに名前とかつけてたな。 さぁ,最後は----- とある教室の前に立ち,あることを思い出す。 鍵,いるよな。 しかし,ドアは開いていた。 「なんで開いてんだ」 中に人はいない。 少し進むと長机に紙があった。

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