うつろひたる菊 単語。 粘着質なヤンデレ撃退法 更級日記解説「継母との別れ」

蜻蛉日記 「うつろひたる菊」解説

うつろひたる菊 単語

菊の花の色はこの場面において、兼家の道綱母に対する愛情を象徴していると言われています。 「うつろひたる菊」はその名の通り、色があせてしまった菊のことです。 (菊の花の色が褪せる=兼家の道綱母への愛情が薄れている、ということです。 ) 色が褪せてしまった菊を手紙に挿す…というと、現代の感覚では嫌がらせのような気さえしますが、平安時代の感覚では「うつろひたる菊」を手紙に挿すことは至って普通であったことが数々の文献から伺えます。 というのも色あせた白菊は薄く紫色を帯びるのですが、平安時代の人々は「紫」という色に特別な意識を持っていたため、この「うつろひたる菊」は貴族の間で非常に高く評価されたようです。 道綱母は本朝三美人にも数えられた、才色兼備の女性です。 既に本妻がいた兼家に半ば押し切られるようにして彼の妻の一人になったようですが、道綱を出産した辺りから兼家の訪問も途絶えてしまい、寂しい生活を送ったという話は有名ですね。 この場面でも彼女は爆発しそうな感情を抑えながら返歌をしたわけですが、書を乱すことなく、むしろいつもよりも注意を払って返歌をしています。 彼女にも譲れない部分があったのでしょう。 (女が嫉妬に狂うことは、非常に醜いとされた。 ) ここでの「うつろひたる菊」はやはり、兼家の愛情が薄れてしまったことを切に訴えるアイテムとして使われているのだと考えられますが、この複雑な感情を「うつろひたる菊」のみで表している辺り、彼女の性格を垣間見ることが出来るのではないかと思います。

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『蜻蛉日記』「うつろひたる菊」の現代語訳と重要な品詞の解説3

うつろひたる菊 単語

[うたがはしほかに渡せるふみ見れば ここやとだえにならむとすらむ] など思ふほどに、むべなう、十月つごもりがたに、三夜 みよ しきりて見えぬ時あり。 つれなうて、「しばしこころみるほどに」など、気色あり。 これより、夕さりつかた、「内裏 うち の方ふたがりけり。 」とて出づるに、心得で、人をつけて見すれば、「町の小路 こうじ なるそこそこになむ、とまり給ひぬる。 」とて来たり。 さればよと、いみじう心憂しと思へども、言はむやうも知らであるほどに、二日三日 ふつかみか ばかりありて、暁方 あかつきがた に門をたたく時あり。 さ * なめりと思ふに、憂くて、開けさせねば、例の家とおぼしきところにものしたり。 つとめて、なほもあらじと思ひて、 [嘆きつつひとり寝 ぬ る夜のあくる間は いかに久しきものとかは知る] と、例よりはひき繕ひて書きて、うつろひたる菊に挿したり。 返り言、 「あくるまでも試みむとしつれど、とみなる召し使ひの来あひたりつればなむ。 いと理 ことわり なりつるは。 [げにやげに冬の夜ならぬ真木 まき の戸も おそくあくるはわびしかりけり]」 さても、いとあやしかりつるほどに、ことなしびたり。 しばしは、忍びたるさまに、「内裏に。 」など言ひつつぞあるべきを、いとどしう心づきなく思ふことぞ、限りなきや。 「うつろひたる菊」の現代語訳 そうして、九月頃になって、 兼家が 出て 帰って しまった時に、文箱があるのを何気なく開けて見ると、他の人 =女 の所に届けようとした手紙がある。 驚きあきれて、 せめて私がその手紙を 見てしまったと いうこと だけでも知られようと思って、 余白に歌を 書きつける。 [疑わしいこと。 他 の女の方 に送ろうとする手紙を見ると、もうこちら の私の所にあなたが来るの は途絶えてしまうのでしょうか。 ] などと思っているうちに、案の定、十月の末頃に、三晩続いて姿を見せない時があった。 あの人は 平然として、「しばらく、 あなたの気持ちを 試しているうちに 三日もたってしまった。 」などと、思わせぶりな言い訳をする。 こちら =私の家 から、夕方頃、「宮中が禁忌の方角にあたっていたのだよ 方違えのために出かけよう。 」と言って出かけるので、納得しないで、召し使いに尾行させて見届けさせたところ、「町の小路にあるどこそこに、 車を お止めになりました。 」と言って 帰って 来た。 思ったとおりだと、たいそう情けないと思うけれど、どう言えばよいか方法もわからずにいるうちに、二、三日ほどたって、夜明け頃に門をたたく 音がする 時があった。 その =あの人の訪れの ようだと思うと、気が進まなくて、開けさせないでいると、例の 町の小路の女の 家と思われる所に行ってしまった。 翌朝、やはりこのままではいられまいと思って、 [嘆きながら独りで寝る夜が明けるまでの間がどんなに長 くつら いものかおわかりですか 、いえ、おわかりになりますまい。 ] と、いつもよりは体裁を整えて書いて、色変わりした菊に挿し て送っ た。 返事は、 「夜が開けるまで待って 様子を みようとしたが、急な 用件を伝える 召し使いが来合わせたので 引き返してしまいました。 あなたが怒るのも 全くもっともですよ。 [全く本当に 冬の夜はなかなか明けないが 、冬の夜でもない真木の戸でも遅く開くのはつらいことですよ。 ]」 それにしても、全く不思議なくらい、そしらぬふりをしている。 しばらくは、人目を避けている様子で、「宮中に。 」などと言いながら通うのが当然であるのに、ますます不愉快に思うこと、この上ないよ。 「うつろひたる菊」の単語・語句解説 [手まさぐりに] 何気なしに。 [遣らむと] 届けようと。 [むべなう] 「むべなく」のウ音便。 [十月つごもりがたに] 十月の末頃に。 [三夜しきりて見えぬ時あり] 三晩続けて来ない時があった。 当時は結婚する際に三晩続けて通う風習があった [夕さりつかた] 夕方頃。 [ものしたり] 行ってしまった。 [うつろひたる菊] 色変わりした菊。 [とみなる召し使ひ] 急な召し使い。 [いと理なりつるは] 全くもっともですよ。 [げにやげに] 全く本当に。 [おそくあくる] 「夜が遅く明ける」のと「戸を遅く開ける」を掛けている。 答え:兼家が訪れてきたこと。 まとめ いかがでしたでしょうか。 今回は蜻蛉日記でも有名な、「うつろひたる菊」についてご紹介しました。 (教科書によって「なげきつつひとり寝る夜」や「町の小路の女」という題名のものもあり) その他については下記の関連記事をご覧下さい。

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蜻蛉日記『町の小路の女・うつろひたる菊』(さて、九月ばかりになりて〜)の品詞分解 / 古文 by 走るメロス

うつろひたる菊 単語

スポンサーリンク 【宇治拾遺物語】児のそら寝 超現代語訳 むかーし昔、 比叡山にいる一人の児の話。 児っていうのはお寺で働く雑用係の子どもって感じかな。 修行もするけどね。 僧は大人だよ。 僧たちが夕方まったりしちゃって、 何かしようって話になって、 「じゃあ、ぼたもち作ろうよ」 って言ったのを、児はこっそり聞いちゃったんだ。 今晩はぼたもちが食べられるのか!って、期待しちゃうよね。 いつもは精進料理で、 砂糖を使った餅なんて、 本当に食べられないんだから当然だよね。 今の高校生の焼肉への期待なんてもんじゃないよ。 焼肉plus寿司plusスイーツってとこかな。 児は期待が募ったんだけど、 出来上がりを寝ないで待ってるなんてことが、 僧たちにわかったら、 とってもみっともないなって考えたんだ。 スポンサーリンク そうだ! 部屋の隅っこで、 寝たふりして待ってれば、 声かけてくれるから、 そしたら起きよう! と狸寝入りをして、待ってたんだよ。 子どもながらに考えたんだね。 しばらくしたら出来上がった感じでざわざわし始めたんだ。 児はきっと僧の誰彼が起こしてくれるだろうって思って、 耳を澄ましてじーと待ってたんだよ。 そしたら僧が 「もしもーし、お起きなさいまし」と言ったんだ。 児はやったぁって嬉しくてたまらなかったんだけど、 いや、今すぐ返事するのは卑しいや。 待ってたのかってのも見苦しいな。 もう一回呼ばれてから返事しようかな。 と、こらえてまた寝たふりしたんだ。 そしたら僧たちが言うんだよ。 「おいおい、お起こしなさるな。 子どもなんだから寝入っておられるんだよ」と。 えぇ?!?!そんな。。 辛すぎる。 と、 もう一回起こして下さいよぅ。 と思いながら横になったまま聞いてたら むしゃむしゃとぼたもちをみんなで食べる音がしたんだよ。 ひゃあ。 このままでは食べそびれちゃう! と思った児は、もう仕方なくなって、 僧たちが呼んでくれてから随分時間が経ってるのに、 はーい って返事したんだよね。 もう僧たちは大爆笑。 子どもながらに気を遣ってたなんて、かわいい奴だなって。 【豆知識】僧が児に敬語なのはなぜ? 立場は明らかに僧の方が上ですが、 立場だけで敬語を使うわけではありません。 特にここでは、僧の会話の中で使われています。 ですから、僧たちにとって、 この児は敬語の対象となる程大事にされていたのだと考えましょう。

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