【払い戻しのお知らせ】東京凱旋 ミュージカル『刀剣乱舞』 〜静かの海のパライソ〜
初日観劇してきたので書き殴ります。 とにかく初日終わった感想としては「幕が開いて良かった」という一点に尽きます。 正直４日前に公演実施の知らせがきたとしても、直前まで何がひっくり返るかわからず銀河劇場に向かう道すがらでさえ恐怖で震えていました。 色々な意見があろうとは思いますが、対策をできる限りとった上で実施に踏み切ってくれた公式に感謝しています。 ありがとうございました。 そしてこれは推しによる偏った感想なので、もしかしたら他の刀の推しの方が見たら全然違う感想かもしれません。 徹頭徹尾国永に主眼を置いて物語を見ていますし、説明しています。 どうかご理解ください。 あとネタバレガンガンするので見たくない人は避けてください。 面子的にもまあそうなるよなという話で、やはりの話でした。 史実のことを踏まえてもどうにも救いのなさそうなテーマです。 はによると以下のように説明されています。 は、が領するのあると、が領するの・肥後の領民が、百姓の酷使や過重な年貢負担に窮し、これに藩による（信徒）の迫害、更に飢饉の被害まで加わり、両藩に対して起こした反乱である。 なお、ここでの「百姓」とは百姓身分のことであり、貧窮零細農民だけではなく隷属民を擁した農業、漁業、手工業、商業など諸産業の大規模経営者をも包括して指している。 毎回議論になる「予習は必要か問題」ですが、正直ストーリーの理解に覚えておくべきことは「がメインとなって百姓といった一般の人々が戦ったこと」そして「37000人集まった勢は、以外皆殺しにあった」ということだけで十分だと思います。 で、結論からいうとパライソは国永推しとしてはもうこれ以上ないほどの「救い」の物語でした。 ただ、パライソという凄惨な地獄の広がる話を見て「救いである」という意見を言ったところでどこが？？となると思うので、まずは前作のあおさくでの国永がどうあったかの挙動を振り返ります。 さて、あおさくの国永は厄介な任務の途中で投下された助太刀のようなポジションでした。 あおさくは実は国永推しが見るとなかなか拍子抜けする話です。 メインの先輩の因縁には一ミリも関わらないので。 一度しか見てない人はおそらく先輩が帰っていくシーンに国永がいないことさえ覚えてない可能性があります。 国永はたった一人で誰も敵わなかった圧倒的な実力差のある「」を一人で引き受け、全ての因縁が解消されたところを見計らって、全身を真っ赤に染めながらを連れて戻ってきます。 国永は要するに外野だったのです、あおさくという話の中でずっと。 むしろ国永は「因縁を持っている刀たち」とその「因縁の相手」が誰であるか、解決にはどのようなものが必要なのか、的確に見抜いた上で、「自分がを引き取るのが明らかにベストである」と規定し、そうなるように采配しています。 国永はあおさくの最中ずっと、視座が一つ上のところにいるわけです。 そしてそれはずっと国永が一人であることを指しています。 ミュ本丸の国永はあまりにも経験値が高すぎて、洞察が鋭すぎて、「対等」に話ができる存在はいませんでした。 「対等」な位置になりそうなのは唯一ですが、むしろの意図を読み取って、いい塩梅になるように振舞っていたと見えます。 わたしはあおさくの国永を見れば見るほど不安になりました。 この刀はどこまでも「一人である」と。 そのことが怖かった。 ミュ本丸は比較的どの話であっても「支え合う」「関わりあう」話です。 それにも関わらず、こんな６作目にして「ただ一人高みにいる」刀は存在しなかった。 つはものの三日月でさえ、途中髭切に思惑をうっすらとは気付かれています。 それが本当に震えるほど怖かった。 誰が国永に寄り添ってくれるんだ、と。 数えれば刀ステの独眼竜の時も活劇の時も同じことを思って泣きました。 国永は他者を慮って他者のために自分が一番危険になる道を選ぶけど、国永を慮ってくれる人は、果たしているのだろうかと。 国永に寄り添おうとしてくれる人は、いったいどこにいる？と。 三日月と同程度には古強者でありながら、三日月のように「謎めいた存在」ではなく、いつだって味方としてそこにあり、「最後の砦」として機能していました。 最後の最後の支えだった。 じゃあその「最後の砦」になったを支えてくれる人はいったいどこにいるんだろう。 わたしはずっとそのことが気がかりでなりませんでした。 徹頭徹尾国永のことしか見えてないので、わたしは国永がしあわせであること、少なくとも「対等な存在がいること」が彼の救いになり、彼のいう「驚きのある」生活に繋がるだろうと思っていたので、国永が「対等に仲間と思える人がいる」地平がほしかった。 それでパライソの話に移りますが、パライソは結局時間遡行軍にを殺され、と日向と浦島がに成り替わることで、を成立させて終わるという話でした。 彼らは「37000人」が幕府に皆殺しにされるという「史実」を再現するため「に成り代わり」民衆を集め、そして殺されていく人々を見つめます。 おおよそ最後まで彼の思惑通りに話が進みました。 彼は歴史を守るため、史実と同じ事象を起こそうと「最終的に殺される人を集わせ」「人間を殺し」て行きます。 本質的に国永は「人が善ではなく悪にもなり得る」ことを理解しているでしょう、彼自身が墓から掘り返されたことは言外に「そこまでしなくても」という口調で語ります。 彼は「戦争を選んだ時点でお前は間違ったんだ」と主導者としてのに語り、「長生きして一生自分が何をしたのかを考え続けろ」と突きつける。 そして、物部を通してに「無理をするな」と言われても「しゃらくせえ」と返し、「救えなかった名前のない歴史の裏側にいた人たちを救えなくて何が救いだ」と叫ぶ。 とてつもなく激しく、苛烈なかみさまがそこにいた。 一人で全てを采配して、その結末に自分で持っていくことができた。 でも、今回傍には大がいたんです。 大は本来「視座の高さ」の話をするなら、それほど多くの物事を見通すタイプではないでしょう。 そもそもからも「伽羅坊」などと呼ばれて可愛がられているので、やはり対等ではないのです。 それでもこの大は「国永と対等に話す」ことができた。 それは「みほとせ」を通過しているからに他なりません。 みほとせで無理をした石切丸をそばで見ていたから、見ているだけで何もできないことを悔やんだから、その経験があってこそ初めて彼は今回国永のそばで「対等」に存在することができた。 わたしはとても嬉しかった。 これこそが国永に与えられた「ほんの少しの救い」であり「助け」だと。 たとえ限定的な状況であっても、そうあろうとした大の気持ちをないがしろにする人ではないですし。 そして、それで終わっても良かったけど、パライソは最後にちゃんと浦島と松井が「国永が強い理由は何だろう、聞きに行こう」と言って終わるんですよ。 浦島や松井は国永に手を差し伸べた。 あなたを理解したい、と。 あおさくで理解できそうもないほど「怖い」と遠ざけた明石国行の判断自体はおおよそ正常の範囲だったと思います。 自分が理解できないほど高い視座から物事を見下ろしている本心を見せない男、普通に考えて対等に接するのは恐れ多いし怖いはず。 それでもパライソのみんなは「国永を理解したい」と手を伸ばしてくれた。 国永を一人にはしないでいてくれた。 こんなにもあたたかな救いを描いてもらえるとは思ってもみなかった。 一番泣いたシーンでした。 わたしはあのシーンはこれ以上ない国永への救いだと思ったし、支えてくれる人がいるからこそ、国永は最後の最後、崩れずに済んだのだと信じたくなってしまう。 以上、わたしはパライソを国永の救いの物語だと思って見ていました。 おそらく松井視点から話を見た人、浦島視点から話を見た人がいると思うので、大きく感想としては異なっているかもしれません。 正直まだ深掘りできてないところも見逃しもたくさんあると思いますが、現時点ではわたしは本当に安心しました。 パライソを見ることができて良かったです。 choronao.
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