マスク 論文。 Y's Square:病院感染、院内感染対策学術情報 | 日常的なマスク着用による感染予防効果について

マスクの常着で免疫低下!効果的なマスク着用術とは?

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「飛沫感染」とは、せきやくしゃみなどによって飛び散る飛沫(直径5マイクロメートル=1千分の5ミリメートル=以上の水分)に含まれる病原体が、口や鼻などの粘膜に直接触れて感染することを言います。 飛沫は1メートルくらい飛んでから落下しますので通常は1~2メートル以内の至近距離で飛沫を浴びることで感染します。 風邪のウイルスやインフルエンザウイルスがその代表です。 ウイルスそのものは直径0・1マイクロメートルくらいで、普通のマスクの網目よりずっと小さいため、ウイルス自体をマスクで防ぐことはできません。 しかし、ウイルスを含んだ水分の「飛沫」はマスクに引っかかりますので、感染した本人が飛沫を出さないためにマスクをすることは、周囲の人たちにとって十分効果的です。 一方、外出時にマスクをしても、至近距離からせきやくしゃみを浴びることがなければ、予防策としてあまり意味はありません。 ただし、花粉は直径30マイクロメートルくらいなので花粉症対策としては効果があります。 どのくらい効果があるかは不明ですが、マスクの着用にはもう一つ「口元の加湿」という意味もあるようです。 ウイルスは細菌と違って湿度が高いと生存時間が短くなるので、口元の湿度を上げておけば、いくらか効果があると思われます。 マスクをする際は必ず鼻まで覆うように、そしてできるだけ顔とマスクとの間に隙間ができないように装着することが重要です。 しかし、残念ながら飛沫は目にも入ってきて、その粘膜から感染することも多いので、ゴーグルのようなものを着けないと本当の飛沫感染対策にはなりません。 日常生活でそこまではちょっと難しいですね。 感染した本人のマスク着用は重要ですが、周囲の予防としては前回お話しした「手洗い」の方がもっと重要です。 飛沫感染する病原体は当然、接触感染も起こすからです。 ある学生寮での研究で、「マスク着用と手洗いの両方をした群」は「両方しない群」と比べインフルエンザ様症状の人が35~51%に低下したのですが、「マスク着用のみの群」は有意な低下が認められなかったと報告されています。 手洗いとマスクの両方を実践することが重要なのですね。 一方、「うがい」については専門家の間でも賛否両論あります。 「ウイルスは目や鼻からも侵入するのでほとんど予防効果がない」という意見がある一方、水道水によるうがいは、しない場合に比べかぜの発症率を40%抑えたという研究結果もあります。 結論は出ていませんが、しないよりはした方が良いというくらいです。 私の個人的な印象ですが、ベテランの先生、とくに小児科の先生はかぜをひくことが少ないように思います。 これは数えきれないほどかぜのウイルスを浴びていて、ウイルスに対する免疫が強くなっているからかもしれません。 感染に神経質になりすぎて、病原微生物と全く接触しないのも、免疫がつかないという意味で問題があるかもしれませんね。 <アピタル:弘前大学企画・今こそ知りたい! 感染症の予防と治療> (弘前大学大学院医学研究科臨床検査医学講座准教授 齋藤紀先).

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マスク内の呼吸は酸欠状態?精神や肉体活動の低下を防ぐ方法とは

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2020年04月02日 12時30分 WHOは布マスクを非推奨、結局マスクは着用すべきなのか否かを研究論文や研究者の意見を基に解説 まだまだ日本国内で猛威を振るう新型コロナウイルスは、2020年4月1日時点で1日当たりの感染者数が過去最多となる し、これまでの合計感染者数 クルーズ船の症例を除く は2495人となりました。 日本政府は新型コロナウイルス対策に することを検討していますが、「本当にマスクを着用すべきなのか」について、海外メディアの が科学的根拠や研究者の意見を基に解説しています。 SHOULD WE WEAR MASKS? THE SCIENCE SHAPING A PIVOTAL DEBATE, EXPLAINED 新型コロナウイルス対策として多くの人々が使用している「マスク」について、 CDC は「ウイルスの感染を減らすために布マスクの導入を検討しており、アメリカ国民が布マスクを着用して外出することを推奨する可能性がある」と説明しています。 ただし、記事作成時点ではCDCが公開している「 」というページには、「病気の場合はマスクを着用し、病気でない場合は病気の人を看病していない限りマスクを着用する必要はない」と記されています。 また、 WHO が新型コロナウイルス対策に公開した には、「どんな状況であってもガーゼやコットンなどの布製マスクの使用は推奨されません」と記されています。 また、布マスクは医療用不織布マスクよりもインフルエンザ症状などが起きやすいという もあるため、「病院では絶対に使わない」という意見もあります。 布マスクは医療用不織布マスクよりもインフルエンザ症状などが起きやすいというランダム化比較試験。 我々は病院では絶対に使いません、布マスク。 — 岩田健太郎 Kentaro Iwata georgebest1969 CDCが新型コロナウイルス対策としてのマスクに関する推奨事項を更新しようとしているように、多くの公衆衛生機関が同様にマスクに関する推奨事項を更新しようとしています。 CDCでディレクターを務めるロバート・レッドフィールド氏は に対して「マスクが新型コロナウイルス感染症のまん延を防ぐかどうかに関するデータは積極的に見直されています」と語り、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・フォーチ氏は、 の中で「政府のトップレベルとマスクに関する推奨事項を変更することを検討している」と語っています。 一方で、一般の人々がマスクを着用すべきか否かについては多くの議論があります。 マサチューセッツ総合病院などの主要な医療機関では、新型コロナウイルス対策として臨床医などの医療レベルで利用されている を着用する人以外でも、病院内のすべての人がマスクの着用を義務づけられているとのこと。 カリフォルニア大学のサンフランシスコ校で働く感染症専門医のPeter Chin-Hong氏は、「マスクに関する議論は 医療用個人防護具 不足に影響を与える可能性がある」としながら、一般人であっても特定の場所・人・時間ではマスクを着用して新型コロナウイルスに備えるべきと主張しています。 Hong氏は「疾患の罹患率が低い場合、マスクを着用しているか否かは問題になりません。 しかし、罹患率が増加し、多くの人が不規則にあなたの側を通り過ぎるような場所では、マスクを着用することが重要な意味を持つようになります」と述べています。 新型コロナウイルスは感染者のせきやくしゃみを経由して他者に伝染していきます。 加えて、 に掲載された調査報告によると、無症状の新型コロナウイルス患者は、症状のある患者と同等のウイルス量を体内に保有していることが明らかになっています。 そのため、無症状の感染者がウイルスを他人に伝染させないためにもマスクの着用は重要とHong氏は語っています。 しかし、マスクの有用性に関する研究報告は「これまであまり一貫していない」とInverseは指摘しています。 2012年に行われた17件の臨床試験を分析した最新の では、マスクの使用とインフルエンザ予防に決定的な関連性を見出すことはできなかったそうです。 しかし、論文では「マスクを他の衛生週間と組み合わせることで、役立つ可能性がある」と記しています。 ただし、2011年に公開された呼吸器系ウイルスに関する67件の試験を分析した では、マスクの着用はウイルスの拡散を遅らせるための効果的な方法であるとされています。 Hong氏は人と人との距離を6フィート 約1. 8メートル 以上取ることができる農村部などでは、マスクを着用する必要がないくらいに社会的距離を置くことができると指摘。 ただし、多くの人が行き交うため人と人との間隔を6フィート以上開けることができない都心部では、マスクの着用が有効としています。 Hong氏は「誰もがマスクを着用する必要があるわけではないものの、コミュニティの人々が身を守ることこそが重要です。 そのために必要なのは派手なマスクではなく、自家製マスクやバンダナでも十分です」と語っています。 オックスフォード大学で働く疫学者のElaine Shuo Feng氏は、さらに具体的にマスクを着用すべき人として以下の3つの条件を挙げています。 1:高齢者や基礎疾患を持つ人などの発症リスクが高いグループ 2:新型コロナウイルス感染症に罹患した人 3:新型コロナウイルス感染症にさらされた可能性のある人 また、Feng氏はマスク需要が高まることでN95マスクが不足する可能性を危惧しており、一般向けのマスクに関するガイドラインの必要性を叫んでいます。 加えて、Hong氏はマスクを着用したからといって社会的距離を縮めるべきというわけではないと指摘し、推奨される新型コロナウイルス対策を取りながら、必要に応じてマスクを着用すべきとしています。 香港医師会の伝染病に関する諮問委員会で委員長を務めるChi-chiu Leung氏は、「科学的根拠からすると、マスクの着用に大きな効果はありません。 しかし、マスクは病気の伝染を減らすために少なからず有効であり、他の手段と比べると非常に安価に導入できる対処法であることから、多くの感染症患者を救うことにつながります」と語り、マスクは新型コロナウイルスに対する万能薬ではないものの、コミュニティ全体での流行を緩やかなものにするためには十分役立つとしています。 過去の研究論文ではマスク着用の科学的根拠は一貫性がなく、マスクを信じる人を不安にさせるものかもしれません。 しかし、多くの研究者がマスク着用を推奨しており、それにより新型コロナウイルスの感染拡大を緩やかなものにできると主張していることから、パンデミックが継続している間は「屋外でマスクを着用することは、検討に値する」とInverseは記しています。 ・2020年04月08日 11時20分 更新 WHOは2020年4月6日に「マスク利用に関するガイドライン」を更新し、「非医療用マスクとして知られる布マスクなどを地域社会で使用することは、十分に評価されていません。 現状ではマスクの使用を推奨あるいは否定するに足る証拠はありません」と記し、非医療用マスクが感染を予防できるという根拠はないとしています。 一方で、すでに感染している人が他人にウイルスを感染させないために着用するには一定の効果があるという見解も示しています。 また、医療用マスクは新型コロナウイルス感染症の予防に一定の効果が見込めるものの、適切なレベルで人体を守るには「マスクだけの使用では不十分であり、他の対策 手洗いなど を採用する必要がある」とWHOは主張しています。 なお、WHOは関係機関と協力して非医療用マスクの効果を測定しており、新しい調査結果などが公表され次第、ガイドラインを更新するとしています。

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新型インフルエンザ対策に関するエビデンスのまとめ 個人防御

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中島こうやクリニック院長 中島孝哉先生(以下、中島先生)は、日本抗加齢医学会認定医療施設の院長として予防医学に力を入れておられます。 感染症専門医でもあり、大学在籍中は 「肝炎ウイルス」「HIV」「HTLV-I」などの 血液由来ウイルスの感染対策に取り組んでおられました。 健康な人のマスクの着用に関して否定的であったアメリカのCDCも、4月3日に健康な国民にもマスクの着用を推奨すると発表し、すでに世界中でマスクの争奪戦が始まっています。 日本でも国民の全世帯に布マスクを2枚ずつ配布するという政策が発表されていますが、 今回は 「布マスクや医療用マスク(不織布マスク)の感染症予防効果」について前回に続き、中島先生にインタビューをさせていただきましたのでご紹介します。 過去のインタビュー記事につきましては「」「」をご覧ください。 中島先生より 新型コロナウイルスの主な感染経路は 飛沫感染と 接触感染で、 『飛沫感染防止にはマスクの着用』 『接触感染防止には手洗い』が推奨されています。 このような 飛沫感染を防ぐために必須なのがマスクですが、 マスクの種類によって、飛沫、細菌、およびウイルスに対する防御効果は異なります。 布マスクは素材によって効果が異なり、どれくらいの大きさの粒子を防ぐことができるかというデータはありませんが、布マスクをしてくしゃみをすると中に唾液や鼻水が付くことより、大きな飛沫は防ぐことができると思われます。 ボールで的を射抜くゲームがありますが、枠内に入る大きさのボールでも枠に当たると跳ね返されてしまいますし、ボールの大きさが枠よりも大きければ、枠内を通過することはできません。 そのようなものだと理解しています。 1~0. 目の粗さだけでなく、静電気による吸着作用も効果に影響しているようです。 N95マスクは、細菌や0. ただし、遮断効果は、マスクと顔の間にすき間があると大幅に低下してしまいますので、自分の顔に合ったマスクを正しく付ける必要があります。 論文の紹介 医療用マスクと布マスクの効果の違いを検討したランダム化比較試験) 布マスクに果たして呼吸器感染防止効果があるのかどうか興味が持たれますが、医療用マスクと布マスクの効果の違いを検討したランダム化比較試験が報告されていますのでご紹介します。 感染リスクの高い病棟で働く1607名の医療従事者を,布マスク着用群と医療用マスク着用群とコントロール群(マスクを着用するかどうかとマスクの選択は自由)の3群に分け、4週間勤務した結果、どれだけ呼吸器感染が起こったかを検討した論文です。 コントロールには、布マスク着用者と医療用マスク着用者が含まれますので、 それらを加えてワクチン・手洗いなどの影響因子を補正して布マスクと医療用マスクの効果を比較した結果、 布マスク着用群の症状出現リスクは、医療用マスク着用群に比べて、 CRI 1. 51倍、ILI 6. 64倍、Virus 1. 72倍で、ILIとVirusにおいて有意差が認められました。 このように、医療従事者が感染者に接する場合、布マスクは医療用マスクに比べて、明らかに感染予防効果が劣ることが証明されており、医療従事者が医療用マスクを装着すべきなことは明らかです。 しかし、これをもって布マスクには効果がないと言い切ることはできません! 布マスクは、給食マスクとも言われており、自分の唾液が食事に飛び散らないために用いられてきました。 まとめると、次のようになります。 1.布マスクは大きな飛沫を防ぐことができる。 感染者が他人にうつさないために使用する。 2.医療用マスクは飛沫や細菌を防ぐことができる。 医療や介護の現場で、医療従事者への感染、医療従事者からの感染を防ぐために使用する。 医療従事者以外でも、感染者と接触する機会がある人が使用する。 3.N95マスクは飛沫、細菌、ウイルスを防ぐことができる。 医療現場で感染者と濃厚接触する際に使用する。 マスクの供給が十分であれば、誰もが使い捨ての医療用マスクをつけた方が良いのは当然です。 しかし、世界でのマスクの供給には限りがあり、新型コロナウイルスの世界的な蔓延に伴い、医療現場でのマスク不足は逼迫した状態です。 リスクに応じて必要なところに適正にマスクが配分され、医療従事者がマスク不足のために布マスクのみをせざるをえないという事態だけは避けなければなりません。 (2020年4月5日 中島孝哉) 中島こうやクリニックのもクリニックにおける感染症対策としてご一読ください。 また、ヘルシーパスの公式サイトにもクリニックにおける感染症対策の情報提供を目的としたまとめページをご用意しております。 こちらもご覧ください。 関連するキーワード• 関連記事もご覧ください•

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