双極 子 モーメント 計算。 電束密度と電気双極子モーメントについて

DFT 計算による Dipole Moment の正確性【ベンチマーク】

双極 子 モーメント 計算

概要 双極子モーメントは、極性分子の電子密度の正確性を測るためのシンプルで一般的な尺度です。 双極子モーメントは、電場と同様に分子同士の相互作用に関係します。 この新しいデータベースは、88 個のよく使われている最近開発された密度汎関数の性能を評価するために使用されました。 結果として、が最良の性能を示しました(RMS: 約 3. 6-4. 5% )。 多くのハイブリッド汎関数も良好な結果を与え、RMS は 5-6% の範囲でした。 しかし、いくつかの汎関数では大きなエラーを示し、局所密度近似汎関数は全体的にハイブリッド汎関数やよりも悪い結果でした。 計算手法 全ての計算は Q-Chem4 を用いて行われました(著者の は、 Q-Chem の founder の一人です)。 分子の座標は NIST Computational Chemistry Database から取得されており、それぞれの汎関数での最適化はされていません。 構造最適化で MP2 を利用した理由には as MP2 equilibrium geometries in general are known to be sufficiently accurate と記述し、 G3 の論文(参考文献 1) を引用しています。 G3 については、以下の記事を参照してください。 参考: また、非共有結合のある分子については、closed-shell のものは NCCE31 から open-shell のものは TA31 から座標を取得したようです。 supporting information には、全ての分子の座標と計算結果をまとめた Excel ファイルがあるため、結果を再現することができます。 結果 今回のベンチマークでは、計 152 分子がテストされました。 まずは、これらの分子郡を二つのグループに分けました。 81 個のスピン偏極の無いグループ NSP: Non Spin-Polarized と71 個のスピン偏極のあるグループ SP: Spin-Polarization です。 CCSD, MP2 または DFT では NSP 分子で極端に悪い結果を与えることはあまり無いですが、 SP 分子の双極子モーメントの計算は NSP に比べれば、まだまだ challenging らしいです。 様々なベンチマーク論文で reference として用いられている CCSD T ですが、Coulson-Fischer point 参考文献 2 では精度が落ちるそうです。 この論文では、以下のように書いてありました。 Indeed, the accuracy of CCSD T itself becomes questionable close to the Coulson-Fischer point of the FH PES due to the appearance of kinks. This led us to investigate CCSD 2 as an alternative benchmark in such situations, due to its renormalization of the one-body terms. CCSD と CCSD 2 は Coulson-Fischer point でも理にかなった挙動を示していますが、CCSD T は少しおかしな曲線を描いています(論文中 Fig. しかし、Coulson-Fischer point よりも短い距離や長い距離の場合には、いずれも同様の挙動を示しています。 そのため、問題ないとしていくつかの分子には CCSD T が使われています。 全体として、DFT は を正確に求めることができていました。 とりわけ は CCSD と同程度の正確性でした。 計算コストを小さくしたい場合は、ハイブリッド汎関数を使うのが良いかもしれません。 今回テストした 22 個のハイブリッド汎関数のうち良い結果を与えたものは、 や のように古いものでした。 新しいもので良い結果を与えたのは、 SOGGA11-X と だけでした。 また、 hybrid mGGA は hybrid GGA に比べて特に改善は見られなかったため、汎関数がきちんと進歩しているかという点にに関して疑問です。 もちろん今回最も良い結果を与えた GGA N12 と mGGA mBEEF は最近のものであり、古い PBE や TPSS などに比べて良好な結果を与えていますが、その他の汎関数に関しては LSDA と同程度または劣る結果を与えています。 DFT の電子密度計算の正確性の問題に関しては、 も以前に指摘していましたね。 参考: このようなベンチマーク測定は、自分の取り組んでいる反応系に最適な汎関数を見つける上でも重要ですが、汎関数が正しい方向に進化していることを確認する点でも有用ですね。 記事中に間違い等ある場合は、コメント欄、twitter またはメールにてお知らせいただけると幸いです。 参考文献• ; Raghavachari, K. ; Redfern, P. ; Rassolov, V. ; Pople, J. Chem. Phys. DOI:• XXXIV. Notes on the molecular orbital treatment of the hydrogen molecule. ; Fischer, Philos. Mag. DOI:• 関連する記事•

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CH3ClとCH3Fの双極子モーメント

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双極子と双極子モーメント 意味と計算方法 科学的な解析を分子レベルで行うためときの用語として「双極子」や「双極子モーメント」とよばれる用語があります。 この双極子や双極子モーメントの意味をきちんと理解していますか? ここでは、「双極子・双極子モーメント」に関する以下の内容について解説していきます。 ・双極子と双極子モーメント ・双極子モーメントの定義と計算方法 双極子モーメントの単位D(デバイ)とは? ・双極子モーメントの測定方法 誘電分極(配向分極)の使用 というテーマで解説していきます。 双極子と双極子モーメント 双極子とは分子内で起こる電荷の偏っている状態のことを指します。 分子内で電気陰性度が高い元素が電気陰性度が低い元素を引っ張り、-の電荷を帯びます。 つまり、双極子は別の言い方をすると極性を持つ分子ともいえます。 水の分子は以下のような構造をとっています。 このとき、酸素原子の方が電気陰性度が高いために、負の電荷を帯びており、極性を持ちます。 つまり、電気陰性度の差が大きいほど、極性は大きくなります。 この極性の大きさのことを、 双極子モーメントとも呼びます。 双極子には電荷の偏りがあるため、双極子ー双極子間には相互作用が働きます。 の一つです。 また、双極子が存在する中で、外部から電場をかけたときに、電極のプラス側に分子内の負電荷が向き、電極のマイナス側に分子内の正電荷が向く現象のことを、と呼びます。 分子の安定性としての分極と電池における分極では、意味が異なりますので気を付けましょう) 関連記事 双極子モーメントの定義と計算方法 双極子モーメントの単位D(デバイ)とは? このような双極子モーメントですがその大きさはどのように求められるのでしょうか。 実は双極子モーメントは、モーメントの一種であるため以下のような計算式で評価できます。 ここで、注意することは 双極子モーメントの単位にはD(デバイ)と呼ばれるものが使用されることです。 このデバイはSI単位系で書くと[C・m]であり、数値を換算したものといえます。 関連記事 双極子モーメントの測定方法 誘電分極(配向分極)の使用.

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遷移双極子モーメント

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ベクトル量であることを十分に説明しなかったのが、 よくなかったようです。 申し訳ありません。 補足させていただきます。 3つのフッ素原子は、全て同じ炭素原子に結合していますね。 そして、3つのフッ素原子は正三角形を形成しています。 C-F結合の双極子モーメントは、Cの方を向いていますので、この3つのベクトルを合成すると、C-H結合の方向で向きがHの方を向いているベクトルが得られるのです。 これは、純粋に数学のベクトルの問題と同じです。 もしも、数学でベクトルをならっていないのであれば、その旨おっしゃってください。 説明させていただきます。 もっと簡潔に理解をする方法がありますので、こちらを紹介しておきます。 CF4分子は、分子全体としての双極子モーメントは持っていません。 正四面体分子という高い対称性分子のためです。 双極子モーメントは何か?と訊かれたとすれば、0ベクトルである、と答えます。 この事実を使います。 先ほどCHF3分子を考察した時のように、分子を置きます。 CHF3分子とCF4分子で違うのは、HがFに変わっていることと、C-H結合の双極子モーメントの向きと、C-F結合の双極子モーメントの向きが逆であるということだけです。 3つのC-F結合の双極子モーメントを合成をしたベクトルは、CF4分子は全体で双極子モーメントを持っていないのですから、4番目のC-F結合 合成に使っていないC-F結合 が持っている双極子モーメントと、完全に打ち消し合わなければなりません。 数学的な言い方をすれば、逆ベクトルでなければなりません。 ということは、3つのC-F結合の双極子モーメントを合成したベクトルは、大きさが1つのC-F結合の双極子モーメントの大きさに等しく、向きが4番目のC-F結合 合成に使っていないC-F結合 の双極子モーメントの向きと逆を向いていると分かります。 3つのベクトルを合成したからといって、大きさが3倍になることは一般的にはありません。 お分かりいただけたでしょうか。 なにぶん、説明が不得手なため、分かり難いかも知れません。 何かありましたら、また遠慮なくお聞き下さい。 ご存知のように、双極子モーメントは、ベクトル量です。 故に、分子全体の双極子モーメントを求めるには、 各結合の双極子モーメントをベクトル合成すればよいことになります。 たとえにあるような分子で双極子モーメントを求める場合、を考えてみます。 二つとも四面体分子ですので、ハロゲン分子をXと表して、XからCに向かうベクトルの合成として考えます。 (有機化学では、双極子モーメントのむきを物理的な定義と逆にすることがありますが、ここでは物理的な定義に従います。 ) 分子全体の双極子モーメントは、一つ一つのベクトルを合成したものになりますので、どの方向でも構いませんが C-H結合と同じ方向で、CからHへ向かうベクトルとなります。 大きさはC-F間の双極子モーメント一つの大きさに一致します。 提示されているのは、ポーリングの電気陰性度の値であると思うのですが、ベクトルの大きさが電気陰性度の差で近似的に表現できると考えることができますので、後は、具体的な値を代入して計算すればよいと思います。 よって、 C-H間の双極子モーメントの大きさ:2. 5-2. 4 C-F間の双極子モーメントの大きさ:4. 0-2. 5 C-Cl間の双極子モーメントの大きさ:3. 0-2. 5 なので、 CHF3分子の双極子モーメントの大きさ:0. 9 CHCl3分子の双極子モーメントの大きさ:0. 9 となります。 まだ疑問点がある場合には、おっしゃって下さい。 回答できそうなものに関しては、 回答させていただきます。

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