『若きサムライのために (文春文庫)』(三島由紀夫)の感想(142レビュー)
若きサムラヒのための精神講話 作者 国 言語 ジャンル 、 発表形態 雑誌掲載 初出 『』6月・創刊号-5月号 刊行 『若きサムラヒのために』 1969年7月10日 カバー写真撮影： 『 若きサムライのための精神講話』（わかきサムライのためのせいしんこうわ）は、の・。 初稿のでは『 若きサムラヒ…』となる。 と呼ばれた昭和40年代前半、（）が最高潮に達し、従来の日本的価値観が崩壊してゆく時代に、の男として非常時に備えるべく日常生活においての心構えなどを、、、時事など社会の様々な角度から説いた書。 三島が作家として書斎の思索者のみならず、自ら世の動乱に赴くことを急務とみなし「」を軸とした活動を行っていた中、「動中の静」ともいうべき平常心の姿勢で、若い男性読者に向けに「」の生き方の規範と指針を示した時事エッセイである。 発表経過 [ ] （昭和43年）、雑誌『』6月創刊号から翌年1969年（昭和44年）5月号に連載された。 初版単行本は1969年（昭和44年）7月10日に『若きサムラヒのために』の題名で、より刊行された。 同書には他2編の評論と3話の対談が収録され、初頭まで多数重版された。 なお、連載時と単行本の章の順配列は異なっている。 文庫版は1996年11月10日により刊行された。 翻訳版は、（伊題：Lezioni spirituali per giovani samurai）で行われている。 内容 [ ] 「1. 勇者とは」、「2. 作法とは」、「3. 信義について」、｢4. 努力について｣、｢5. 羞恥心について｣、｢7. 服装について｣、｢8. 長幼の序について｣、｢9. 快楽について｣、｢10. 肉体について｣、｢11. 文弱の徒について｣、「12. 若きサムラヒのために」の12項目に分かれ 、具体的な場面を例に挙げながら、日本男児として、また、人間としての美しい生き方についての考察が語られている。 なお、刊行の際の「あとがき」で、三島はのについて次のように語っている。 精神といふものは、あると思へばあり、ないと思へばないやうなもので、誰も現物を見た人はゐない。 その存在証明は、あくまで、見えるもの（たとへば肉体）を通じて、成就されるのであるから、見えるものを軽視して、精神を発揚するといふ方法は妥当ではない。 行為は見える。 行為を担ふものは肉体である。 従つて、精神の存在証明のためには、行為が要り、行為のためには肉体が要る。 かるがゆゑに、肉体を鍛へなければならない、といふのが、私の基本的考へである。 文字（もんじ）によつても言説によつても、もちろん精神は表現されうる。 表現されうるけれども、最終的には証明されない。 従つて、精神といふものは、文字の表現だけでは足りない。 これが私自身の、当然導かれた結論であるが、かうした結論には、戦中戦後のの言説といふものがいかにたよりなく、いかに最終的な責任をとらなかつたか、といふことを、わが目で確かめてきた私の経験が影響してゐる。 — 三島由紀夫「あとがき」 作品評価・研究 [ ] 『若きサムラヒのための精神講話』については、「惰弱な、イージーな人間社会」への「スマートな警世の書」と評し 、は、「日本人一般があしき意味の女性的感覚に毒されている」ことへの「男性的習俗の復権を説いたもの」と見ている。 高橋博史は、三島が討とうとしているのは、平和が続く中で社会が「平準化」し社会的規範が弱体化していくことだとし、その三島の主張の背後には、〈人間性の底には救ひがたいがひそんで〉おり、〈人間の自然の姿〉が〈動物〉に他ならないという認識があり、社会的規範の弱体化は、を始めとしたやの空洞化を招くため、けじめや節度の復権が説かれていると解説している。 しかし社会的階級や規範の存在のみでは、〈生の輝き〉は保証できず、死との接触により初めて〈生のかたさ、強さ〉が発見され、〈激しい純粋な行為〉こそが、人間のおぞましさを〈乗り越える〉ものだと三島が物語っていると高橋は説明しながら 、『若きサムラヒのための精神講話』には、「望ましい社会の具体像に関わるレベルと、人間の存在そのものに関わるレベルとの、次元に異なる二つの議論が含まれている」とし、その二つが三島の中で、どのように区別され、結びついているかを検討する必要があると考察している。 おもな刊行本 [ ]• 『若きサムラヒのために』（、発行日1969年7月10日）• カバー写真撮影：。 フランス装。 218頁• 収録内容：「若きサムラヒのための精神講話」「お茶漬ナショナリズム」「を動物園にしろ」、との対談「問題をどう考えたらよいか」、との対談「負けるが勝ち」、との対談「と死の哲学」、「あとがき」• 文庫版『若きサムライのために』（、1996年11月10日）• 装幀：。 カバー装画：横山明。 付録・解説：• 収録内容：単行本と同一内容。 装幀：。 カバー装画：。 カバーデザイン：• 付録・解説：「混迷の中で」• 収録内容：「新恋愛講座」「」「若きサムライのための精神講話」• 『日本人養成講座』高丘卓編（メタローグ 叢書、1999年10月8日）• 装幀・造本設計：巌谷純介。 カバー装画・ロゴマーク：多田順。 口絵写真1頁1葉（・自衛隊での三島。 提供：）• 収録内容：• ニホン人のためのニホン入門］として、「アメリカ人の日本神話」「お茶漬ナショナリズム」• ［II. 日本語練習講座］として、「」（抄）• ［III. の心得］として、「」（断片）、「若きサムライのための精神講話」（抄）• ［IV. エロスと政治について］として、「心中論」「と私」• 巻末エッセイ（）。 三島由紀夫のパサージュ（高丘卓）。 三島由紀夫略年譜（高丘卓）。 初出・所収一覧。 『終わり方の美学 戦後ニッポン論考集』高丘卓編（カレッジ、2015年10月15日）• カバーデザイン：風デザイン室。 写真撮影：• 解説：高丘卓「『人間喜劇』エピソード」• 収録内容：• ニホン人のためのニホン入門］として、「アメリカ人の日本神話」「お茶漬ナショナリズム」• ［II. 日本語練習講座］として、「文章読本」（附 質疑応答）• ［III. サムライの心得］として、「小説家の休暇」（断片）、「若きサムライのための精神講話」（抄）• ［IV. 三島由紀夫略年譜（高丘卓） 全集収録 [ ]• 『三島由紀夫全集33巻（評論IX）』（新潮社、1976年1月25日）• 装幀：。。 背革紙継ぎ装。 旧字・旧仮名遣い。 月報：「反時代的な、あまりに反時代的な…」。 《評伝・三島由紀夫33》「三島由紀夫以前（その9）」。 《三島由紀夫論8》「失楽園者の楽園」。 収録作品：昭和42年4月から昭和44年1月の評論101篇。 総革装。 緑革貼函。 段ボール夫婦外函。 A5変型版。 本文2色刷）が1,000部あり。 『決定版 三島由紀夫全集35巻・評論10』（新潮社、2003年10月10日）• 装幀：新潮社装幀室。 装画：。 四六判。 布クロス装。 箔押し2色。 旧仮名遣い。 月報：「鮮明な人物像」。 「複雑な父」。 ［思想の航海術10］田中美代子「矢は引き絞られて」• 収録作品：［評論］昭和43年5月から昭和44年12月までの評論144篇。 「」「若きサムラヒのための精神講話」「栄誉の絆でつなげ菊と刀」「私の自主防衛論」「論」「日本の歴史と文化と伝統に立つて」「東大を動物園にしろ」「自衛隊二分論」「日本文学小史」「」「日本文化の深淵について」「日本とは何か」「『』のこと」ほか 脚注 [ ] [] 注釈 [ ]• 「混迷の中で」（, pp. 307-314）• 井上隆史「作品目録」（, pp. 377-462）• 540-561）• 768）• 「あとがき」（『若きサムラヒのために』、1969年7月）。 , pp. 267-268• 「三島由紀夫著『若きサムラヒのために』」（週刊読書人 1969年9月8日号）。 , pp. 418-419• 「私の書評・三島由紀夫著『若きサムラヒのために』」（自由 1969年10月号）。 , pp. 418-419• 418-419） 参考文献 [ ]• 『決定版 三島由紀夫全集35巻 評論10』 、2003年10月。 ; ; 山中剛史編 『決定版 三島由紀夫全集42巻 年譜・書誌』 新潮社、2005年8月。 三島由紀夫 『若きサムライのために』 、1996年11月。 三島由紀夫 『新恋愛講座』 〈三島由紀夫のエッセイ2〉、1995年5月。 井上隆史; 佐藤秀明; 編 『三島由紀夫事典』 、2000年11月。 ; 編 『三島由紀夫事典』 、1976年1月。 関連項目 [ ]•
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