口腔 ケア 誤 嚥 性 肺炎。 誤嚥性肺炎を口腔ケアで予防!高齢者が快適に生活するために役立つ知識

誤嚥性肺炎ゼロプロジェクト

口腔 ケア 誤 嚥 性 肺炎

誤嚥性肺炎の看護問題 誤嚥性肺炎から考えられる看護問題は、大きくわけて以下のようなものが考えられます。 呼吸機能低下に伴う呼吸苦• 誤嚥による窒息のリスク• 発熱による体力の消耗 誤嚥性肺炎のポイントは、一般的な肺炎とは違い、「 誤嚥」によるものであること。 誤嚥で肺炎になるということは、誤嚥するリスクを秘めているので、すなわち痰も多ければ食べ物や飲み物を誤嚥してしまう可能性があるわけです。 つまり、急に窒息してしまう可能性もあるってことです。 また、発熱によってふらつきや体力・筋力の低下があるときは、転倒転落のリスクも高くなります。 患者の状態によっては転倒転落の看護計画も必要になります。 転倒転落・およびセルフケア不足の看護計画は以下を参照にしてください。 この記事では、病棟でよくある患者の看護問題「転倒転落に関連した身体損傷リスク状態」における看護計画(OP・TP・EP)と転倒転落の原因について、また転倒転落のアセスメントシートの紹 誤嚥性肺炎の看護目標 誤嚥性肺炎の看護目標は、長期目標と短期目標において以下のような目標があげられます。 長期目標 肺炎から回復することができる• 短期目標• 呼吸症状による苦痛がない• 痰をスムーズに出すことが出来る• 発熱による体力消耗を最小限にできる 回復過程に応じ食形態を変え、元の食事形態で食事摂取できるようになる• 短期目標• 食事する力を維持できる• 脱水・低栄養にならない 活動と休息のバランスを保ち、活動性を維持できる• 短期目標• 負担にならない範囲の活動ができる• 回復期に積極的なリハビリテーションができる 誤嚥性肺炎の看護計画OP 観察項目 誤嚥性肺炎の観察項目のポイントは、 呼吸状態の変化はどうか、呼吸状態を悪化させる要因はないか、嚥下や食思に関するようなことはないかなどがあげられます。 呼吸とは関係のない便秘も、便秘が増悪すれば食思が低下し、食事摂取量が減ったり、咀嚼機能が低下したりします。 認知症があったりすると知らない間に酸素チューブを抜いていたりすることもあるので、要注意です。 酸素投与しているなら、しっかり酸素が正しく投与されているかも観察するようにしましょう。 SPO2の変動や発熱の有無等、バイタルサインの変化• 咽頭部貯留音の有無• 両肺の呼吸音• 嚥下障害の有無と程度• 食事摂取量• 嚥下障害の原因• 咳嗽の有無と程度• 喀痰の色、性状• (酸素投与中であれば)酸素投与量• 排便量・頻度• 血液データ、画像データ等の結果 誤嚥性肺炎の看護計画TP ケア項目 誤嚥性肺炎のケアでフォーカスしたいのは、患者本人の安楽と、安全です。 窒息しないよう喀痰を促し、食事は見守りや必要に応じて援助を行います。 痰がでやすくするために水分摂取や室内の保湿も大切です。 経管栄養患者は、常時経鼻から胃までチューブが入っている状態であるため、不顕性誤嚥を起こす可能性が高くなってしまいます。 不顕性誤嚥を予防するためにも、注入中から注入後の体位管理をしっかりおこなってあげましょう。 安楽な呼吸の体位がとれるよう援助する• 喀痰を促すため適切な湿度・室温に調整する• ティッシュや水分を近くに置くなどの喀痰しやすい環境整備、自己去痰ができない時は定期的な吸引処置• 口腔ケアの介助• (患者の状態に応じて)食事介助 及び 見守り• 日常生活の介助• 食事時の体位の工夫• 食べやすい食器の選択• (認知があるとき)周囲に口に入る物を置かないよう環境整備する• 体力に応じて気分転換に対する援助を取り入れる• 発熱があるときは、体力消耗が最小限にできるよう援助する (経管栄養患者の場合)• 注入中はセミファーラ位及び起坐位にする• 注入後セミファーラ位及び起坐位で30分以上経過する• 注入物品の洗浄・消毒 誤嚥性肺炎の看護計画EP 教育項目 誤嚥性肺炎の教育は、肺炎の増悪や再発を予防することに着目して、患者と家族の理解力に合わせて指導を行います。 嚥下障害の有無や程度、部位について報告できるよう指導する• 自覚症状・随伴症状の有無・程度• 患者と家族に、状態によって適切な食事の選択ができるよう指導する• 嚥下訓練の方法とその必要性について説明する• 経口摂取の方法とその必要性を説明する• 経管栄養方法及び経静脈栄養法の必要性を説明する.

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誤嚥性肺炎とは|高齢者ほど死亡率が高いデータから原因や予防方法を考えよう

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不顕性誤嚥とは? 不顕性誤嚥の読み方は「ふけんせいごえん」です。 英語では「silent aspiration silent=静かな、aspiration=誤嚥)」と言います。 「不顕性」とは医学用語で「病気の過程が始まっているが症状が現れていないこと」の意味。 「誤嚥」とは本来、嚥下の道(食道)に行くべきはずの食べ物や唾液等が、呼吸の道(気道)に入ってしまうことです。 食べ物や唾液が声門を越えて、下気道に入った状態を言います。 みなさんも食べたり飲んだりしているときに、ふいにむせることありますよね? むせは誤嚥物を喀出(吐き出すこと)しようとする体の正しい防御反応です。 健康な人でも食事に集中していないときなどに誤嚥したり、誤嚥しかけたりすることがあります。 そうなんです。 普通、誤嚥をすると、むせ(咳反射)が起きるんです。 でも、誤嚥をしてもむせが起こらない場合があります。 この誤嚥をしてもむせが起こらない誤嚥を「不顕性誤嚥」と言います。 「最近、おじいちゃん、食事でむせて怖いのよね」とご家族から言われるのですが…。 本当はむせない方が怖いんですよ!! むせなければ、誤嚥したものはそのまま気管から肺へと進んでいきます。 その先は行き止まり。 誤嚥したものは一生、外には出てきません。 誤嚥性肺炎を繰り返し発症した方が亡くなられた後に、肺を解剖すると、肺に誤嚥物がたくさん詰まっていると学生時代に聞いたことがあります。 怖ろしいこと!! ちなみに不顕性誤嚥の反対語は、むせのある誤嚥は「顕性誤嚥(けんせいごえん)」です。 本などによっては、 睡眠中に唾液を誤嚥することを「不顕性誤嚥」と表記されている場合があります。 不顕性誤嚥はどちらの意味でも使われているのが実際です。 この記事内の不顕性誤嚥は「むせが起こらない誤嚥」を指します。 不顕性誤嚥の原因 不顕性誤嚥の原因は気管を含む喉頭の感覚の低下です。 喉頭(のどのずっと奥)の感覚がよくないので、入ってきてはいけない食べ物や唾液が入ってきてしまっても気がつかない状態と考えるとわかりやすいと思います。 気がつかないので、むせ(咳反射)は起こらないのは当然ですね。 喉頭の感覚が低下する原因は、脳卒中の後遺症としての感覚障害、加齢などがあります。 加齢も原因の一つなので、不顕性誤嚥は高齢者に多いのです。 不顕性誤嚥の症状と重症度 むせない誤嚥が不顕性誤嚥ですから、 不顕性誤嚥そのものの症状はありません。 発熱、痰の増加等の、誤嚥性肺炎の症状が出て初めて気づかれます。 「 あれ?いつも全然むせてないのに誤嚥性肺炎ってどういうこと?ひょっとして不顕性誤嚥?」と疑いをもつわけです。 高齢者は発熱・痰の増加のようなはっきりとした症状が出ない場合もあり、より気づかれにくいと言えます。 大事なのは、むせていないから大丈夫ではなく、 むせていけど、もしかしたら誤嚥しているかもしれないという視点をもつことです。 不顕性誤嚥があることに早く気づくことができれば、その分、早く対応することができます。 不顕性誤嚥にも重症度があります。 例えば、 軽度であれば、少量の誤嚥ならむせないが、多量に誤嚥するとむせる 重度であれば、多量に誤嚥してもむせない など、状態は重症度によって異なります。 喉頭の感覚が少しだけ下がっている軽度の場合は、多量の誤嚥でむせていることがあっても、少量の誤嚥ではむせない、検査をしてみて初めて不顕性誤嚥があったんだとわかる場合があるのです。 不顕性誤嚥はなぜ怖いの? 不顕性誤嚥は症状がないので、外から見ても、危険性が全くわかりません。 「見えない」から怖いのです。 私が病院に勤務していたとき経験した、最も印象的な不顕性誤嚥の患者さんのエピソードを紹介します。 私が担当したのは重度の不顕性誤嚥の患者さんでした。 その患者さんは、脳卒中後にけいれんを繰り返し、脳に大きなダメージを受けました。 意識状態もクリアではなく、食べようという意志も感じられません。 食べることは非常に難しい状態でした。 が、ご家族が食べさせることをあきらめきれませんでした。 胃ろうを増設したあとも、医師から禁止されているのにも関わらず、こっそり食べさせてしまい、何度も誤嚥性肺炎を繰り返していました。 主治医・看護師・ケースワーカー・ケアマネージャー等で集まって検討し、ご家族に「食べられない」ことを納得していただくことを目的として、飲み込みの検査を行うことに。 検査後、医師がご家族に検査動画をお見せしました。 動画では食べ物は食道ではなく気管へ吸い込まれました、誤嚥です。 大量に誤嚥しても咳が全くなく、誤嚥したままの状態を見たご家族はようやく食べられないことを納得されました。 この患者さんの場合、ごくんという嚥下反射は出ていました。 むせがないので、外から見ているだけでは、誤嚥しているようには見えません。 食べられているように見えてしまうのです。 「一見食べられているように見えて、実は誤嚥している」 不顕誤嚥のは怖さはここですね。 不顕性誤嚥の検査(評価) くり返しになりますが、不顕性誤嚥ではむせがないため、外から食べる様子を見ていても、誤嚥しているかどうかがわかりません。 不顕性誤嚥と診断するためには検査をして、不顕性誤嚥の有無を判定する必要があります 不顕性誤嚥の検査(評価方法)には• VF(嚥下造影検査)• VE(嚥下内視鏡検査)• 頸部聴診法 があります。 VF検査(嚥下造影検査) レントゲン室のレントゲン透視下で、バリウムやバリウムの入ったゼリーや寒天等を食べます。 その食べ物がどのように移動するか、身体の器官がどのように動くかを見る検査です。 嚥下造影検査(video-fluorography)はVF、VF検査と略して呼ばれます。 不顕性誤嚥の状態は人によって、大きく差があります。 必ず主治医の指示に従ってください。 不顕性誤嚥はむせが起きるかどうかの違いはあっても、結果として誤嚥をしています。 嚥下間接練習と言われる、食べ物を使わない練習が優先されます。 重度の場合、嚥下直接練習(食べ物を使う練習)はしない方針になる場合もあります。 口腔のマッサージ• 頸部のマッサージ• 唾液嚥下練習• 食事姿勢の調整=ギャッジアップ角度・頸部の角度・ポジショニング• 食べ方の工夫• 食事形態の調整 等 不顕性誤嚥が軽度で、食べながら進めていく方針になりそうな場合(食べる以外の栄養摂取方法がとれないような場合)、 VF・VEをしながら、できるだけ誤嚥しにくい安全な食事摂取方法を考えます。 例えば、• 車いすよりリクライニング(背もたれが倒れるタイプ)がいい。 あごはしっかりひいて、頭を右にむけた方が誤嚥が少ないね。 食事形態は、ミキサー食のみだな。 水分のとろみはやや濃い目にしよう。 自力摂取(自分で食べる)では一口量の調整ができないから、介助が必要だ。 などなど、その方の嚥下の状態に合わせた方法が選択されます。 検査で終わらず、その後も定期的に、食べる方法についての詳しい助言・指導を医師や言語聴覚士から受けること、可能な範囲で、定期的なVF・VE検査で、経過をみていくことが必要です。

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不顕性誤嚥はなぜ怖い?不顕性誤嚥の原因・症状・検査・リハビリまで

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1、誤嚥性肺炎とは 食べ物や飲み物を飲みこむ動作を生理学的に 「嚥下(えんげ)」と言い、この動作が正常に働かないことを 「嚥下障害」と言います。 食べ物や唾液というのは、口腔から咽頭と食道を経て胃へ送り込まれます。 嚥下が正常に行われない場合や、何らかの理由により、食べ物などが誤って喉頭と気管に入ってしまうことを 「誤嚥(ごえん)」と言い、気管を通って肺に入った異物に含まれる細菌が原因となって起こる肺炎のことを 「誤嚥性肺炎」と呼びます。 1-1、誤嚥性肺炎の死亡率 日本人の死亡原因として、1位の癌、2位の心疾患、3位の脳血管疾患に続き、4位に肺炎があります。 肺炎による死亡者の96. 5%が65歳以上だと言われており、高齢者であればあるほど死亡確率が高くなります。 肺炎は様々な原因により発症しますが、誤嚥が原因で起こる肺炎は全体の約70%を占めており、年齢と共に嚥下機能が低下するため、高齢者全てに起こりうる病気なのです。 1-2、誤嚥性肺炎が起こりうる病気 誤嚥性肺炎は嚥下機能の低下により起こるため、嚥下機能の低下がみられる病気を発症することで誤嚥を起こし肺炎になる可能性が高くなります。 嚥下機能低下がみられる病気としては、脳梗塞や口内出血などの脳血管障害、パーキンソン症候群、、その他にも口腔・咽頭・喉頭の疾患や食道疾患も挙げられます。 2、誤嚥性肺炎の原因 誤嚥性肺炎は飲食物を口腔から摂り入れた際、嚥下機能の低下により誤って気道を通って肺に入ることで肺の内部で炎症を起こすことが第一原因となっていますが、実はそれ以外にも誤嚥性肺炎になり得る原因が存在しています。 嫌気性菌を含んだ唾液などの分泌物を誤嚥し、肺に入ることで炎症を起こします。 虫歯や歯周病がある人ほど嫌気性菌の数が多くなるため、誤嚥性肺炎の予防として、口腔内を清潔に保つことが挙げられます。 胃内容物には酸や消化液が含まれていることから、粘膜を損傷させやすいため、ひとたび肺に到達すると瞬く間に炎症を起こします。 主に夜間睡眠中に多く、高齢者が誤嚥性肺炎を発症する多くの原因が睡眠中による胃内容物の逆流によるものです。 2-1、高齢者が誤嚥しやすい理由 誤嚥の可能性は高齢になるほど高くなります。 その理由は加齢に伴う嚥下機能または呼吸機能の低下によるもので、主に以下のような事項が関係しています。 歯牙の欠損• 嚥下反射の遅延• 嚥下関連筋群の筋力低下• 咳反射の低下• 食道入口部開大時間の短縮• 喉頭位置の低下(C7相当まで低下)• 唾液分泌量の減少 2-2、注意が必要な人とは? 高齢者になれば誰もが発症する可能性のある誤嚥性肺炎ですが、20代・30代・40代の方でも十分起こる可能性があり、現に若年層の発症率は年々高くなっています。 特に次のような方は注意が必要です。 また、肺炎に限らず、逆流により鼻や各器官に胃内容物が詰まることで窒息により死に至るケースもあります。 睡眠に対する効能が強ければ強いほど嚥下反射が低下する傾向にあるため、強い睡眠薬を常用している人は注意が必要です。 虫歯や歯周病は細菌が繁殖した状態であるため、早期治療が得策です。 また、一度の摂取が多いと、むせることにより胃内容物または摂取中の食べ物が逆流を起こすことがあります。 中でも仰向けの場合に起こりやすいと言えます。 3、誤嚥性肺炎の診断基準 誤嚥性肺炎には臨床診断基準をもって発症の有無を特定します。 その診断基準は以下の通りです。 胸部X線または胸部CT上で肺胞浸潤影を認める。 明らかな誤嚥が直接確認され(食物・吐物等)、それに引き続き肺炎を発症した例。 肺炎例で気道より誤嚥内容が吸引などで確認された例。 臨床的に飲食に伴って、むせなどの嚥下機能障害を反復して認め、肺炎の診断基準1および2を満たす例。 確実例の1または2に該当し、肺炎診断基準のいずれか一方を満たす例。 陳急性ないし急性の脳血管障害 b. 嚥下障害をきたしうる変性脳疾患または神経筋疾患 c. 意識障害や高度の認知症 d. 嘔吐や逆流性食道炎をきたしうる消化器疾患(胃切除を含む) e. 口腔咽頭、縦隔腫瘍およびその術後、気道食道ろう f. 気管切開 g. 経鼻管による経管栄養 h. その他の嚥下障害をきたす疾患 4、誤嚥性肺炎の症状 誤嚥性肺炎には大きく分けて下記の5つの症状があります。 激しい咳と膿性痰が出る• 呼吸が苦しい• 肺雑音がある• 元気がない• ぼーっとしていることが多い• 食事時間が長くなる• 食後に疲れてぐったりする• 口の中に食べ物をため込んで飲み込まない• 失禁するようになった• 体重が徐々に減ってきた• 夜間に咳込む 5、誤嚥性肺炎の予防・治療法 誤嚥性肺炎を予防するためには、 「嚥下反射の改善」、 「口腔の清潔保持」、 「胃液の逆流防止」の3つの対策があります。 これらは、日々の生活の中で少し気をつけることで多大な効果があり、特にお年寄りの方に有効な手段です。 また、治療法としては 「薬物治療」がありますが、効率的に治療していくためには3つの予防策との同時進行が不可欠です。 以下にそれぞれの予防法・治療法を詳しく紹介しますので、しっかりお読みください。 5-1、嚥下反射を向上させる 誤嚥性肺炎の大元となる原因が、食べ物を上手く飲みこめない、つまり嚥下反射が悪い場合です。 嚥下がうまくいかない状態を 「嚥下障害」と言い、加齢に伴い嚥下反射が悪くなるため、高齢者には避けては通れないものですが、食事姿勢や食事内容の改善を図ることで嚥下反射が良くなり、誤嚥性肺炎を発症する可能性が大幅に低くなります。 椅子にもたれかかった状態で飲食すると、気道の蓋が閉まる前に飲食物が滑り落ちて誤嚥する危険性があります。 正常に座るのが難しい場合には、腰元にクッションを置くなど工夫しましょう。 そのプロセスというのは 「咀 嚼 」、 「食塊形 成 」、 「嚥下」から構成されており、まずはどのプロセスが原因であるか突き止めた上で、それに応じた対処をしていかなければなりません。 しかしながら、全てのプロセスはスムーズに食事するために非常に重要であるため、特定が難しい場合には3つのプロセス全てに配慮して食事の改善を図ってください。 咀嚼に問題がある場合 咀嚼(そしゃく)というのは物を噛砕く動作のことを指し、顎の力が弱くなると咀嚼力が低下します。 咀嚼力が低下すると唾液の分泌量も低下し、さらに舌の運動機能も低下するため、物を飲む込む力が減退し誤嚥する可能性が高まります。 それゆえ、食べやすいように細かく刻んだり、柔らかくするという配慮が大切です。 食塊形成に問題がある場合 食塊形成とは、口腔内において噛んだ物を再びまとめる動作のことを指します。 舌というのは物を飲み込む前に塊にし、それを歯側から食道側へ押し出す働きがあります。 この機能が低下すると、咀嚼によってバラバラになった物が広範囲に食道を通るため、むせやすくなり、むせた際に胃内容物が逆流し肺に入ることがあります。 食塊形成を助ける方法としては、一口大に切る、軟らかい状態にする、とろみをつけるなどが有効です。 嚥下機能に問題がある場合 咀嚼や食塊形成も嚥下機能と深い関わりがありますが、身体自体が弱っている場合や脳卒中などの後遺症がある場合には、飲みこむ力そのものが低下し、特に水分摂取が上手くいかず、すぐにむせてしまいます。 水分は気道に入りやすく、また、むせることによる胃内要物の逆流により誤嚥性肺炎を発症しやすいため、お茶などの飲み物、味噌汁、スープ類はとろみをつけてあげましょう。 放送大学教材 リハビリテーション 放送大学教育振興会、2007年より出典・引用 5-2、口腔の清潔を保つ 次に、口腔内の細菌が原因で誤嚥時に肺炎を起こすこともあるため、口腔内を清潔に保つことも非常に大切です。 下図にあるように、口腔ケア実施の有無で10%以上も誤嚥性肺炎の発症率を下げることができます。 要介護高齢者に対する口腔衛生の誤嚥性肺炎予防効果に関する研究、日本歯科医師学会会報誌2001より出典・引用 口腔は肺や胃腸の入り口であり、適度な湿度と温度が保たれているため、細菌にとって非常に居心地がよい場所です。 歯磨きやうがいを怠るとすぐに細菌が繁殖し、細菌の数が多ければ多いほど、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。 専門的な口腔ケアを実施するのが最適ですが、専門的な口腔ケアを受けなくても歯磨きや義歯の手入れをしっかりすることで雑菌の繁殖が大幅に抑えられるため、出来る範囲で口腔ケアを実施するようにしてください。 また、ゲップ(げっぷ)を抑えることでも胃液・胃内要物の逆流を防ぐことができます。 ゲップというのは空気を飲み込み、胃内に溜まった空気が気道へ逆流し口腔から体外へ排出されます。 ゲップは生理現象であるため完全に防ぐことはできませんが、急いで啜り込むように食べると、空気が食べ物と一緒に飲み込まれやすくなるため、急いで食べる傾向にある人はゆっくりと食事することで当該のゲップを防ぐことが出来ます。 5-4、薬物を用いる 薬物治療には2種類あり、誤嚥性肺炎を発症する可能性のある患者さんには「嚥下機能を向上させる薬」を、肺炎が発症している患者さんには「肺炎を治療する薬」が用いられます。 ACE阻害剤 ACE阻害剤は降圧剤であるため主に高血圧の患者に用いられますが、サブスタンスPの分解を阻害する作用も持っているため、誤嚥性肺炎の防止にも有効です。 主に、タナトリル錠(5mg)が使用されます。 シロスタゾール 抗血小板薬であるシロスタゾールは、血管拡張作用を持ち、ドパミンの合成を維持します。 また、サブスタンスPの産生も維持されるため、誤嚥性肺炎の予防に効果があります。 葉酸 葉酸は神経伝達物質の合成に重要な役割を果たすことから、嚥下・咳反射の向上を促します。 葉酸は緑黄色野菜などに多く含まれており、高齢者では不足がちになるため、栄養管理の上でも葉酸は非常に大切です。 積極的に緑黄色野菜を摂取しましょう。 漢方薬 漢方薬の1つである半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、嚥下反射時間を短縮する効果があります。 また、神経障害の改善にも効果を示しているため、鬱やパニック、不眠症などにも効果的です。 経口摂取ができる場合や点滴で治療する場合、グラム陰性桿菌が原因である場合など、それぞれの状況に応じて各種抗菌薬が選択されます。 あるいはセフェピムとクリンダマイシンを用いて治療を行います。 「4、誤嚥性肺炎の予防・治療法」で述べたように、まずは初発・再発を予防することが最も大切です。 なお、患者さんの誤嚥性肺炎の発症を未然に防ぐためには、在宅におけるご家族の介護が非常に重要となります。 入院時だけでなく、患者さんがより良い生活ができるよう、ご家族に予防策をしっかりと指導していきましょう。 7、誤嚥性肺炎の観察ポイント 最後に、誤嚥性肺炎の看護における観察のポイントをご説明します。 これらは「6、誤嚥性肺炎の看護計画・目標」に通じるため、重複事項がありますが、どれも非常に大切であるため、各セクターにおける観察ポイントをしっかりと熟知しておいてください。 眠気がある中、食事するのは危険であるため、完全に覚醒しているのを確認してから食事を摂らせてください。 この状況下では嚥下機能が低下するため、安定した座位で食事が摂れているか観察してください。 また、乾燥していると舌や頬、唇が動作しにくいため誤嚥の可能性が高くなります。 この状態で息を吸うと喉に溜まった飲食物が気道に流れこみ誤嚥します。 水分が主な原因であるため、とろみをつける対応が必要です。 この鼻水が気管に入ることがあるため、水分にとろみをつけてあげましょう。 また、食事時間が長い場合には、味や風味が損なわれると共に、姿勢の維持が難しくなるため、同じく誤嚥の危険があります。 よって、患者さんに合った適度な食事時間を見極めることが大切です。 また、嚥下反射がしっかりと起こっているか、喉仏が上下する動きをよく観察してください。 嚥下反射が起こる前にむせる場合 口の中で食べ物や飲み物を保持できないと起こります。 水分にとろみをつけて誤嚥を予防してください。 嚥下反射の最中にむせる場合 嚥下の動きが不十分で喉頭蓋という気道の蓋が閉まらず、飲食物が隙間から気道に流入した場合に起こります。 嚥下機能を向上させることで誤嚥を予防することができます。 嚥下後にむせる場合 嚥下の力が弱い場合、息を吸った時に飲みこみきれなかった飲食物が気道に流入し、むせが起こります。 交互嚥下を行う、咳をさせて喀出させる、まとまりやすい食形態を選択するなどの工夫が必要です。 それゆえ、食後には入念な口腔ケアが必要になります。 胃ろうなどの経管栄養を実施している場合でも胃内要物の逆流は起こるため、食後2時間、最低でも30分~1時間は座位を保つようにしましょう。 座位が無理な場合には臥床時にヘッドアップさせた状態で安静な体勢を保つようにしましょう。 まとめ 高齢者の肺炎のほとんどは誤嚥によるものです。 特に認知症などの精神疾患を患っている方は誤嚥のリスクが高いと言えます。 それゆえ、看護師は的確かつ効率的な看護ケアが不可欠なのです。 患者さんの誤嚥の危険性を最小限に抑え、より良い生活を支援できるよう、誤嚥性肺炎に関する知識を深めて最大限の努力をもって看護ケアを行いましょう。 患者さんによって状態は様々であるため、しっかりと観察を行い、少しでも誤嚥の可能性がある場合には早急に対処できるよう努めていってください。 jdepo.

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