と うい めまい 症 対策。 めまいの原因と対策、あなたはどのタイプ?

めまいは予防できる!

と うい めまい 症 対策

「めまい」は、悩まされている人の多い症状の一つ。 脳の病気が原因のこともありますが、その割合はまれで、多くは、体の平衡感覚を保つ働きをする耳の奥の「内耳」の障害によるものとされます。 ただ、内耳の障害がなぜ起こるのかというメカニズムは、これまでよく分かっていませんでした。 ですが、そこには「歯ぎしり・食いしばり」という意外な要因が関係していた……。 そう指摘するのが、脳神経内科医として数千人ものめまい患者を診察してきた佐藤裕道先生。 めまい患者に共通の「ある特徴」を見出したのが、きっかけだったそうです。 佐藤先生に詳しいお話をうかがいました。 次によく疑われるのが、内耳のむくみが原因の「メニエール病」ですが、これも実は意外と少なく、めまいの患者さんの10%以下です。 残る大多数のうち、最も多いとされるのが「 良性発作性頭位めまい症」です。 長時間同じ姿勢でいた後、頭の位置を変えたときに起こりやすく、めまいが比較的、短時間で治まるのが特徴です。 良性発作性頭位めまい症は、耳の奥にある 内耳の「耳石器」からはがれ落ちた耳石(カルシウムの小さな粒)が、三半規管に入り込むことが原因とされます。 三半規管の内部は、内リンパ液という特殊な体液で満たされており、その流れ方で体の回転などの動きを知覚します。 ところが、そこに耳石が迷い込むことで通常と異なる不自然な信号が発生し、めまいが起こるのです。 ただ、なぜ耳石がはがれ落ち、三半規管に入り込むのかは、はっきりしていません。 また、頭の位置を上手に回転させる エプリー法(浮遊耳石置換法)を用いて耳石を本来の位置に戻すことで、5~6割の人のめまいはよくなりますが、効果のない人もいます。 治ったかに見えても、すぐ再発することもあります。 「なぜよくならない人がいるのか?」と思いながら診察に当たる中、とある発見から、めまいのメカニズムとして「 歯ぎしり・食いしばり」が関係していることを突き止めました。 それによって、新たな治療のポイントが見えてきたのです。 「夜中にふと目が覚めると、天井がグルグル回っていた」というのもよくあります。 そこから、寝ている間に何かが起こっているのではないかと考えていました。 あるとき、めまいの患者さんの頭のCT(コンピューター断層撮影)画像を見ていると、両側のこめかみの筋肉(側頭筋)がずいぶん厚くなっているのに気づいたのです。 そこで、「歯ぎしりはないですか?」と尋ねてみました。 軟らかい食べ物が多い現代の食生活で、咀嚼筋(かむときに使う筋肉)である側頭筋がこれほど厚くなるのは、強い力でかみしめる「 夜間の歯ぎしり」が原因ではないかとひらめいたからです。 するとやはり、その患者さんは、歯科で歯ぎしりを指摘されたことがあるとのことでした。 そこで、2000例以上のCT画像から側頭筋の厚みを計測し、平均を出した結果、めまいの患者さんたちの側頭筋は通常より厚くなっていることが分かりました。 厚みは普通でも、筋肉の密度が高くなっていて側頭筋が白っぽく写るというケースも多く見受けられました。 そこから、 難治性めまいの治療には、歯ぎしり・食いしばりの治療もあわせて行うことが重要ではないかと考えるようになったのです。 30代の女性Aさんは、4年前からほぼ毎日、めまいを自覚していました。 立ってシャワーを浴びているときなどに、グルグルと回るような回転性のめまいが2分ほど出現。 吐き気を伴ったり、目の前がチカチカとして視野が見えにくくなる症状(閃輝暗点)の後、めまいが出ることもあるそうです。 めまいのほかに、耳鳴りや頭痛もあるとのこと。 血圧は正常で、頭位眼振テスト(良性発作性頭位めまい症を診断する検査の一つ)でも、はっきりとした異常を認めませんでした。 Aさんの舌を見ると、縁に歯の当たった跡がついていました(下の写真)。 また、舌の裏側の静脈のうっ血、下あごの内側に骨が盛り上がっている部分があるといった特徴が見られました。 これは長期間の歯ぎしり・食いしばりがあることを示唆します。 症例Aさんの舌。 辺縁に歯の跡が残る [画像提供/佐藤裕道先生(べっく・メディカル・クリニック)] 皆さんも下記のリストでチェックしてみてください。 該当項目が複数ある人は、睡眠時に歯ぎしり・食いしばりをしている可能性が高いです。 また、Aさんの頭部CTを撮影すると、脳には異常ありませんでしたが、両側の側頭筋が白っぽくなり、厚みが増しているのが観察されました(前項写真左)。 右は正常な人の画像ですが、示した側頭筋の厚みや色合いが違うことが分かるはずです。 治療は、少量のクロナゼパム(神経を鎮める薬)と漢方薬(抑肝散)を処方しました。 これらは睡眠中に自律神経の交感神経が活発になってスイッチが切れない状態になっているのを抑える薬です。 また、血・水(血液や体液)の滞りを改善する目的で、桂枝茯苓丸や五苓散などの漢方薬も用いることもあります。 さらに、歯科でマウスピースを作ってもらい、就寝時や単調な仕事のときに装着してもらいました。 ご自身でもシャワーを浴びているときに無意識に歯をかみしめるくせに気づき、できるだけかみしめないように努力をされました。 治療開始から2週間ほどで、めまいと閃輝暗点はほぼ出現しなくなり、頭痛も軽くなりました。 耳鳴りは頻度は減ったものの、まだ静かなところで気づくことがあるようです。 それから、以前から鼻炎の症状があり、本人は花粉症だと思っていたそうですが、これも食いしばりによるリンパのうっ滞が原因だったようです。 今は鼻炎症状も気にならなくなったそうです。 内耳はあごの骨のすぐ上で、顎関節からの振動が伝わりやすい位置にあります。 この振動によって、耳石は本来の場所から浮き上がりやすくなると考えられます。 実は、睡眠時の歯ぎしり・食いしばりは、通常の食事の咀嚼時以上に強い力でかんでいるとされます。 なんと 100kg以上もの圧力が、歯や顎関節、咀嚼筋に持続的に加わっているのです。 食いしばりや歯ぎしりの間、数十秒~数分単位で筋肉は収縮しっぱなしになっていますから、咀嚼筋や首の筋肉に疲労物質が蓄積します。 また、歯ぎしり・食いしばりにより、首から上の静脈の血流がせき止められ、うっ血しやすくなります。 首の筋肉の下に張り巡らされているリンパ管の流れも悪くなり、首から上がむくみます。 常に首を締められている状態だと考えると、分かりやすいかもしれません。 このように血液やリンパの流れに問題があると、内耳にむくみが生じ、センサー機能に悪影響が出やすくなります。 また、耳石を支える組織がむくみ、脱落しやすい環境になることも考えられます。 めまいのほかにも、首・肩のこり、頭痛、鼻づまり、目の充血、耳鳴り、眼瞼けいれん、顎関節症、歯の摩耗によるムシ歯などにもつながります。 実際、めまいの患者さんには、頭痛や肩こりのひどい人、歯の状態が悪い人が多いのです。 パソコンやスマートフォンを見つめたり、車の運転中や単調な家事をこなしたりしているときなどに、かみしめる癖が出やすいです。 かみしめに気づいたら、口を開けたり、あごを軽く揺らしたりしましょう。 また、食事、特に夕食に注意すべきです。 夕食から寝るまでの間に糖質をとり過ぎると、そこで血糖値がグンと上がり過ぎて、就寝中に大きく下がり、夜間低血糖の原因となります。 夜間低血糖は、交感神経を緊張させるホルモンのアドレナリン分泌を誘発するため、歯ぎしり・食いしばりが起こりやすくなります。 夕食は糖質を控えめにして、 寝る5時間前から遅くとも3時間前には済ませましょう。 食後の血糖値の急上昇を防ぐため、おかずを先に、ごはんを後に食べる食べ方もお勧めです。 お酒の飲み過ぎ、過度のカフェイン摂取も控えましょう。 また、起床時に、めまいが起こりやすい人は、エプリー法を応用した起床法(下記)を取り入れてみてください。

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めまいやたちくらみによる眼前暗黒感の対策と治療

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ふとした瞬間にぐらっとする「めまい」を感じる人は多いのです。 また、めまいの症状そのものが不快で嫌な想いに無気力になってしまう人も少なくありません。 実は、病気が原因で起こっている可能性もあるのでしっかり向き合わないといけません。 回転性と不動性がある めまいはほとんどの人が経験したことのある症状で、よくある症状ですが、その原因はさまざまです。 「乗り物酔い」や「ストレス」「睡眠不足」「貧血」など、ちょっとした体調不良で起こることもあれば、「更年期障害」「突発性難聴」などの病気が原因になることもこうそくあります。 また、「脳梗塞」や「脳出血」のような、命にかかわる病気が原因で起きる場合もあります。 このようにさまざまな原因で起こるめまいですが、症状の強さと原因は必ずしも関係があるわけではありません。 そのため、めまいに悩んでいる場合には、症状の程度にかかわらず、耳鼻咽喉科、脳神経外科、神経内科を受診して原因を明らかにすることが大切です。 原因をつきとめていいるうちに症状が消えてしまって「たいしたことなかった」と通院をやめてしまって後に大きな病気で生命に関わることもあるので原因がはっきりするまでは丁寧に対応したほうがいいでしょう。 めまいのタイプ めまいは、「回転性めまい」と「浮動性めまい」の2つに大別することができます。 ただし、症状の感じ方には個人差があるため、どちらのタイプのめまいなのかはっきりと区別がつかないこともあります。 回転性のめまい自分や周囲がグルグル回っているように感じるめまいです。 「周りが一定の方向に流れるように回っている」「自分自身が回っている」などの感覚があります。 「吐き気」や「嘔吐」を伴ったり、立っていられなくなることもあります。 浮動性のめまい足もとがフワフワして雲の上を歩いているように感じるめまいです。 目の前の景色が揺れて見えることもあります。 どちらのタイプのめまいも、体のバランスを保つ「平衡機能」に関係して起こります。 平衡機能には耳と脳が関係しているため、耳や脳に異常が生じることでめまいが起こることがあります。 めまいを起こす耳の病気には、「メニュール病」や「突発性難聴」「良性発作性頭位めまい症」「前庭神経炎」などがあります。 脳の病気としては、脳梗塞や脳出血、「脳腫瘍」などのほか、「脳の変性疾患」といわれる特殊な病気があります。 ほかにも、低血圧や高血圧、更年期障害などを原因とするめまいや、「心因性のめまい」があります。 季節の変わり目などにストレスが加わることでめまいが生じるケースです。 めまいの原因(その1)耳の病気で体の動きを感じる器官に影響がでる 耳は、「外耳」「中耳」「内耳」という3つに分けられています。 鼓膜の外側の部分が外耳、「鼓膜」の内側にある部分が中耳、さらにその内側の部分が内耳です。 耳は音を感じ取る働きだけでなく、体の動きを感じる働きをしています。 その役割を担っているのが、「三半規管」や「耳石器」という器官です。 体が回転したり傾いたりすると、三半規管や耳石器が敏感に感じとり、その情報は神経を通って脳に送られます。 また、外耳と中耳を経て内耳に伝えらかぎゆうれた音の情報は、内耳にある「蛸牛」という器官が受け取って脳に送っています。 内耳の三半規管や耳石器に異常があると、脳に正しい情報を送ることができません。 そのため、体の回転や傾きなどを正しく感知することができなくなり、めまいが生じるのです。 めまいの原因(その2)脳の病気で情報処理にエラーが出る 三半規管や耳石器からの情報は、脳の中の「脳幹」を経て「小脳」に伝わります。 小脳はこの情報に応じて、体のバランスを保つ指令を全身の筋肉に送っています。 内耳に異常がなく、正しい情報が送られてきたとしても、脳出血や脳梗塞などで脳幹や小脳に異常があると、情報を正しく処理することができません。 それによって、めまいが生じることがあります。 脳に原因がある場合には、めまい以外の症状を伴うことがあります。 「激しい頭痛がある」「手足がしびれる、思うように動かない」「物が二重に見える、かすみがかかる」「ろれつが回らなくなる」「意識がなくなる」などの症状を伴う場合には、脳の病気が強く疑われます。 命にかかわる場合もあるので、すぐに医療機関を受診してください。 めまいの検査「めまいのタイプや症状を」を問診で確認 めまいが起きたときには、無理に体を動かさず静かに横になるなど、安静にすることが大事です。 10分ほどたっても強いめまいが治まらないときには、救急車を呼ぶなどして早急に対処する必要があります。 めまいの症状が短時間で落ち着くようであれば、「めまい外来」のある医療機関を受診するのもよいでしょう。 めまいの診断では、問診が重要です。 「どのようなめまいが起こったか」「どれぐらいの時間続いたか」 「めまい以外の症状は現れなかったか」などを適切に答えられるようにしておく必要があります。 受診するまでに忘れてしまうこともあるので、メモをとっておくとよいでしょう。 主要な検査 めまいで受診した場合、「平衡機能検査」が行われます。 これには、「限振検査」と「体平衡機能検査」があります。 限振検査は眼球の異常な動きを調べる検査です。 グルグル回るようなめまいを感じているときには、目が自然に動いて見えます。 体平衡機能検査は「立つ、歩く、足踏みする」などの動作を、日を開けた状態や閉じた状態で行う検査です。 これらの検査によって、どこに、どのような異常があるのかがわかります。 めまいには難聴を伴うことがあるので、「聴力検査」も行われます。 また、脳の病気の有無を調べるためには、「CT検査」や「MRI検査」などが行われます。 めまいの症状別対策 耳鳴りや難聴を伴う めまいはいろいろな病気が原因となって起こりますが、そのうちの約7割(大半)を耳に関連する病気が占めています。 耳は音を感じ取る働きをしているだけでなく、体の平衡を感知する器官でもあります。 そのため、耳の病気があると、平衡感覚が正しく働かなくなることがあり、めまいが起こるのです。 耳の病気が原因となる場合には、めまいに伴って、「耳鳴り」や「難聴」といった聴力に関係する症状が現れることがあります。 耳の病気のすべてが耳鳴りや難聴を伴うわけではありませんが、めまいに伴って耳鳴りや難聴が起こっている場合は、なるべく早く治療をしなlナればいけません。 なぜなら、耳鳴りや難聴を伴うめまいは、早く治療を始めないと聴力の回復が難しくなってしまうことが多いからです。 めまいを引き起こす耳の病気には、「メニュール病」「突発性難聴」「良性発作性頭位めまい症」「前庭神経炎」などがあります。 このうち耳鳴りや難聴を伴う代表的な病気が、メニュール病と突発性難聴です。 耳鳴りや難聴は内耳の障害が原因 メニュール痛が起こるのは、内耳を満たしている「リンパ液」が増え、三半規管や蝸牛が水ぶくれのような状態になるこれらの器官が障害されたり、感知した情報を脳に伝えている神経が障害されると、めまいに伴って、耳鳴りや難聴といった聞こえに関する症状が起こります。 突然の激しいめまい 突然、グルグルと回るような激しい「回転性めまい」が起こった場合、「良性発作性頭位めまい症」や「前庭神経炎」が疑われます。 激しいめまいを起こす病気良性発作性頭位めまい症や前庭神経炎などがある めまいの原因は耳の病気が約7割を占めており、主な病気には、「メニュール病」「突発性難聴」「良性発作性頭位めまい症」「前庭神経炎」があります。 このうち、良性発作性頭位めまい症と前庭神経炎は、「耳鳴り」や「難聴」などの聴覚の症状は伴わず、突然、激しいめまいが起こるのが特徴です。 とはいえ、どちらも命にかかわるような病気ではありません。 ただし、めまいによって体の平衡感覚が崩れるため、「転倒」などの危険があるのでめまいを起こした際の二次的なけがなどの注意が必要です。 突然起こるめまいに対処するのは難しそうに思えますが、良性発作性頭位めまい症の発症は生活習慣に深くかかわっていることがわかっています。 生活習慣を改善することで、病気を予防することが可能とされています。 良初性頭位めまい症とは? 症状は、「特定方向に頭を動かすと回転性めまいが起こる」「数秒~2分ほどで治まる」「吐き気を伴う場合も」「何度も繰り返す」 起こりやすい人の特徴 良性発作性頭位めまい症は生活習慣に関係していて、日ごろあまり頭を動かさないような生活を送っている人などに起こりやすいとされます。 日常生活で頭を動かしていると、異物は三半規管を満たすリンパ液の流れに乗って自然に排出されます。 しかし、頭をあまり動かさないと、異物がたまってしまい、突然のめまいを引き起こす原因につながるのです。 「同じ姿勢をとり続けていることが多い」「休日は寝ていることが多い」「運動不足」「中耳炎、頭部の打撲、むち打ち症の経験がある」といった項目に当てはまる人は、良性発作性頭位めまい症を起こしやすいため、適度に頭を動かすように生活の中に運動を習慣化します。 「動いたときにグラッとしたことがある」 という人は、すでにめまいの前ぶれが起こっているかもしれません。 長時問パソコンで作業をしているときなどには、時々ゆっくりと頭を動かすとよいでしょう。 また、ウォーキングのようにあまり頭を動かさない運動とは別に、ラジオ体操のように全身を動かす運動が勧められます。 治療 受診をすると、めまいについての「問診」が行われ、次に「眼振」や「体平衡機能」を調べる「平衡機能検査」が行われます。 主な治療法は以下のとおりです。 薬物療法根本的な治療法ではありませんが、「抗めまい薬」を使って症状を軽減することができます。 浮遊耳石置換法医師が患者さんの限振を見ながら東を動かすことで、半規管にたまっている異物を移動させ、排出させる方法です。 運動療法三半規管から異物を排出しやすくするために行う方法で、病気の予防にもなります。 ただし、ほかの病気でめまいが起こっている場合に行うと、病気が悪化するおそれがあります。 良性発作性頭位めまい症と診断されたうえで運動しましょう。 前庭神経炎とはウィルス感染などが原因。 入院で薬物療法 前庭神経炎とは、三半規管や耳石器で感知した情報を脳に伝える「前庭神経」に炎症が起こる病気です。 ウィルスの感染や血液循環の障害が主な原因です。 前庭神経の機能が急激に低下するため、突然激しい回転性めまいが起こります。 めまいは3日間以上続くのが特徴で、聴覚に関係する「蛸牛神経」は障害されないため、耳鳴りや難聴は伴いません。 検査では、耳に温水や冷水を入れて眼振が起こるかどうかを調べる「温度刺激検査」が行われます。 前庭神経の機能が低下していると、温度刺激を与えても、反応は現れません。 前庭神経炎は安静が必要なので、通常は入院して治療が行われます。 治療は、障害された神経を回復させるために「ステロイドホルモン薬」を点滴で使います。 めまいは日を追うごとに軽減しますが、体に「ふらつき」が残ることがあります。 これは、炎症が治まっても、神経の回復に時間がかかったり、完全に回復しなかったりすることで左右の機能のバランスが欠けるためです。 このふらつきを改善するためには、「リハビリテーション」を行う必要があります。 症状が落ち着いてきたら、できるだけ体を動かすようにすることも大切です。

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めまいの原因と対策、あなたはどのタイプ?

と うい めまい 症 対策

めまいの約半数は、良性発作性頭位めまい症によるものです。 このめまいは、自分である程度は改善できます。 良性発作性頭位めまい症では、周囲や自分がグルグル回っているように感じる回転性、もしくは、頭や体がグラグラしたりフラフラしたりする、動揺性のめまいが特徴です。 めまいは、起床時や靴ひもを結んだり洗濯物を干したりするときなど、頭の位置を変えたときに生じます。 美容院などで横になったときにめまいがした、という例も少なくありません。 通常、めまいは30秒~1分ほどで治まります。 ちなみに、メニエール病では耳鳴りや耳の聞こえの悪さなどを伴うのに対し、良性発作性頭位めまい症では、こうした症状はありません。 良性発作性頭位めまい症は、女性に多くみられます。 患者数は、女性が男性の4~5倍というデータもあります。 また、高齢者に多いのも特徴です。 だからといって、若い人に無縁の病気という訳ではありません。 サッカー女子元日本代表の、澤穂希さんがかかった病気として記憶している人も多いでしょう。 澤さんの例のように、サッカーやスケートなどの、頭部に衝撃を受けやすいスポーツで発症する例もあります。 その一方で、運動不足の人にも多い病気です。 こうした患者さんの傾向は、良性発作性頭位めまい症が起こる原因を考えれば納得できます。 耳の奥には、内耳という器官があります。 この内耳の耳石器と呼ばれる部分には、耳石(じせき)という小さな石があります。 耳石は頭部が傾くと耳石器の中で、その重みによって移動します。 耳石の動きを感覚細胞が感知して、その情報を脳へ送っています。 主成分は、骨と同じ炭酸カルシウムです。 耳石は、老化や頭部への衝撃ではがれ落ちることがあります。 このはがれ落ちた耳石が、耳石器とつながる管状の部分、三半規管に入り込んでしまうのが、良性発作性頭位めまい症の原因です。 三半規管の内部はリンパ液で満たされています。 頭が動けばこのリンパ液に流れが生じます。 その流れを三半規管の付け根にあるクプラという膜状の構造物が感知し、脳へ情報を送ることで、脳は頭の動きを判断するのです。 三半規管に耳石が入るとリンパの流れが乱れます。 頭の動きが止まっても耳石は転がり続けるため、脳へは「まだ頭は動いている」という誤った情報が送られるからです。 しかし、視覚や関節からは「頭は止まっている」という情報が送られます。 この情報の差異に脳が混乱し、めまいが生じるのです。 良性発作性頭位めまい症が中高年女性に多いのは、骨粗鬆症と同様、ホルモンのバランスの乱れによって耳石がもろく、はがれやすくなるためでしょう。 頭部への衝撃も、耳石がはがれる原因となります。 耳石は小さな粒の集まりです。 三半規管に入っても、体(頭)を動かしていれば自然と砕け散り、リンパ液の流れを大きく乱すことはありません。 ちなみに、砕けた耳石は耳石器の奥のほうで吸収されます。 しかし、運動不足では耳石が砕ける機会がありません。 また、長時間頭を動かさないでいると砕けた耳石が一ヵ所に集まり、再び大きな塊になってしまいます。 運動不足の人に良性発作性頭位めまい症が多いのは、このためです。 良性発作性頭位めまい症の治療法で有効なのは、「エプレイ法」です。 エプレイ法は、1980年代に、アメリカの開業医・エプレイ医師によって考案されました。 私も92年にエプレイ医師の講演を聞いています。 エプレイ法は、めまいのときに生じる眼振(意思とは無関係に起こる眼球の揺れ)を確認しながら、医師が患者の頭を動かすことで、三半規管に入った耳石を物理的に取り除きます。 薬物療法もありますが、これらはふらつきなどの副作用が少なくありません。 その点、エプレイ法であればその心配はなく、1回の治療で7割程度の患者さんでめまいが消失することが知られています。 ただ、エプレイ法は医師の手で頭を動かすため、患者さんの首や腰に負担がかかる場合もあります。 また、一人で行うことはできません。 そこでお勧めしたいのが、私どもが考案した「寝返り運動」です。 寝返り運動は、患者さん自身が自分で頭を動かすことで、エプレイ法と同様、三半規管に入った耳石の排除・破砕が期待できます。 首や腰に不調のある人や、運動の苦手な高齢者でも行いやすい体操です。 良性発作性頭位めまい症でお悩みの人は、ぜひお試しください。 良性発作性頭位めまい症は、再発することもありますが、寝返り運動を続けていれば再発しづらいことがわかってきました。 ただし、めまいは脳梗塞(脳の血管が詰まって起こる病気)など、他の病気が原因で生じる場合もあります。 めまいが生じたら、念のため専門医の診察を受けてください。 ちなみに、寝返り運動考案のきっかけは、長崎大学の発表した論文でした。 そこに、腰などに問題があって睡眠中に寝返りが打てない人に、良性発作性頭位めまい症が多いということが紹介されていたのです。 おそらく、睡眠中の寝返りは、三半規管に入った耳石の排除・粉砕に役立っているのでしょう。 そこで、寝返りの姿勢とエプレイ法を参考に、寝返り運動を考案しました。 2000年ごろから、良性発作性頭位めまい症の患者さんに自宅でできる治療法として勧めていますが、「自分で治せる」と好評です。 寝返り運動は、三つの動作しかないので覚えやすく、簡単で時間もかかりません。 基本は1日2回、起床時と就寝前に布団の上で行うとよいでしょう。 特に起床時の体操は、日中のめまいの予防に有効です。 めまいが消えた後も回数を減らして習慣にすれば、再発の予防になります。 首だけを左右に動かすやり方が基本ですが、腰が痛い人でもこれならできるでしょう。 もし、腰に痛みがなく、首に痛みがあれば体ごと左右に動かします。 それでも痛みが生じてつらいという人は、左右への傾きの角度を浅くして無理のない範囲で続けてください。 人によっては、寝返り運動でめまいが生じる場合もあります。 ただ、良性発作性頭位めまい症の場合、めまいが続くと脳が慣れて、つらく感じにくくなる例が少なくありません。 できる範囲でいいので続けることをお勧めします。

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