デジタル 人民 元。 【日本の解き方】「デジタル人民元」の発行はドルの基軸通貨体制に脅威 FBと米政府は手を組むか (1/2ページ)

アングル:日本で「デジタル人民元」警戒論、ドル基軸揺らぐ恐れ

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人民銀行総裁の易綱は9月2日、深圳市で記者会見を行い、世界で初の法定デジタル通貨テストを深圳で行うと発表しており、おそらくはフェイスブックの暗号通貨リブラよりも先に実用化を目指すつもりだろう。 デジタル人民元は、中国の金融を新たなステージに押し上げるものなのか。 フェイスブックの「リブラ」に対抗か まずフォーブスの特ダネを簡単に紹介しよう。 米フォーブス誌は、2人の関係者からの情報として、中国が11月11日に独自の暗号通貨を発行すると報じた。 人民銀行が2014年から法定デジタル通貨の可能性を検討していたことは知られているし、「その準備ができた」と当局者が漏らしていることも知られていたが、日付まで報じられたのは始めてだ。 しかも、人民銀行の計画としては初期段階では少なくとも7つの機構と四大銀行が自己のデジタル通貨を発行するという。 その7つの機構にはアリババ、テンセント、銀聯カードでおなじみの中国銀聯が含まれるという。 フォーブスのネタ元2人のうち1人は人民銀行内部でデジタル通貨・暗号通貨の研究開発に従事している人間で、もう1人はデジタル通貨発行元の7機構のうちのどこかの元関係者で、現在フリーの研究者ということなので、かなり信頼できる情報といえる。 このタイミングでのリークは、おそらくフェイスブックが6月に1年以内に発行すると発表した暗号通貨「リブラ」への対抗意識と、中国の法定デジタル通貨への国際世論の反応温度を見ようという観測気球ではないかと思われる。 11月11日という時期とアリババやテンセントなど7機関が発行できるといった情報については「信用できない」という人民銀行筋のコメントを中国の一部メディアが報じている。 フォーブスによれば、人民銀行は法定デジタル通貨を西側国家との銀行の間でも取り引きし、最終的には米国や他の地域でも使用できるようにしたい、といっているという。

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【中国を読む】デジタル人民元導入実験の行方 日本企業の対応は (1/2ページ)

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日本の政府・与党で中国政府が開発を進めるデジタル人民元への警戒感が高まっている。 中国がデジタル人民元を実際に発行すれば、伝統的な金融サービスの恩恵から遠く、中国の影響力が強いアフリカ諸国で急速に広まり、米ドル基軸体制が揺らぐ可能性があるとみるからだ。 写真は人民元と米ドル紙幣。 新年を祝う席では冗談を交えながらにこやかに話すことが多い麻生財務相が、メモを手に真剣に語ったことで、銀行関係者に驚きの声が上がった。 自民党内でも、デジタル人民元の可能性を探る動きが本格化した。 同党議員で作る「ルール形成戦略議員連盟」(会長=甘利明・元経済再生相)は、デジタル人民元が金融面で覇権を握る可能性を見越して勉強会を始めた。 <2月にもデジタル円で提言> 同議連の事務局長、中山展宏外務政務官はロイターの取材に応じ、「デジタル円」の発行を視野に早期に官民で検討を始めるよう提言をまとめ、2月にも政府に提出する方針を明らかにした。 中山氏は、デジタル人民元が発行された場合にアフリカ諸国で急速に普及する可能性に警戒感を示す。 アフリカ諸国の人々は伝統的な金融サービスから距離が遠い。 中山氏は「自国通貨よりもデジタル人民元が安定した通貨で決済しやすいとなれば、そちらに流れていく。 そうなると中国の影響力が非常に強くなる」と話す。 中山氏はまた、デジタル通貨は金融政策のツールとしても有効だとみている。 「日本はマイナス金利なので、デジタルにしていくことの意義が大きい」と指摘する。 <中国の狙いは「人民元の国際化」> デジタル人民元の開発を進める中国について、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミスト(元日銀審議委員)は「最大の狙いは人民元の国際化だろう」と指摘する。 将来的に米中の対立が激しくなって金融制裁を受けたときに、中国の経済が成り立たなくなってしまうとの危機感が背景にあるとみている。 米国が金融制裁をする場合、米ドルの流れを封じることになるが、もしデジタル人民元が力を持てば米国一国では制裁が利かなくなる。 <中央銀行は「研究競争」> 中央銀行はデジタル通貨の研究競争の様相を強めている。 21日には、日銀、欧州中央銀行など6中銀が中銀デジタル通貨の共同研究チームを発足させると発表したばかりだ。 日銀は現時点でデジタル通貨の発行には消極的だ。 木内氏は、仮に日銀が中銀デジタル通貨を発行する場合、運営・発行は民間、課題への対応は日銀という「官民分業」で行うのが望ましいと話す。 「日銀としては、民間のイノベーションを圧迫するのは避けたい」(木内氏)ため、民間のイノベーションによるメリットは消費者にきちんと還元される形にしながら、金融政策・金融システム上の課題、マネーロンダリング防止対策、個人情報管理といった諸課題は日銀が対応していくのが望ましいと指摘した。 0 : 0• narrow-browser-and-phone• medium-browser-and-portrait-tablet• landscape-tablet• medium-wide-browser• wide-browser-and-larger• medium-browser-and-landscape-tablet• medium-wide-browser-and-larger• above-phone• portrait-tablet-and-above• above-portrait-tablet• landscape-tablet-and-above• landscape-tablet-and-medium-wide-browser• portrait-tablet-and-below• landscape-tablet-and-below.

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デジタル人民元はいつから?買い方は?一体どうなる?

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4月6日、中国がデジタル人民元の発行を計画していることに対し、これを通貨主権や安全保障上の脅威とする見方がある。 国際通貨基金(IMF)によれば、世界の外貨準備に占める人民元のウエートは2%に過ぎない(2019年9月末)。 米ドルは61.8%、ユーロは20.1%、円は5.6%である。 どんな強権国家であろうとも、自国通貨の幅広い国際取引を強要することはできない。 一国の通貨が国際的に広く使われる通貨になるかどうかは、その国の意図や野心によってではなく、国際金融市場における選択によって決まる。 その選択において重要な条件は次の3つである。 第1に、その通貨の発行国が、世界経済において重要な存在であることである。 第2に、国際通貨としての信頼性を備えていることである。 具体的には、透明性の高い法治主義的な政府、整備された金融市場、自由な資本移動や為替変動などが求められる。 第3に、ネットワーク外部性である。 国内通貨であれ国際通貨であれ、ある通貨が使われる最も根源的な理由は、「既にそれが広く使われているから」なのである。 第1の経済規模の点では、人民元は全く問題ない。 中国の経済規模が日本を抜いて世界第2位になったのは、もう10年も前のことだ。 中国の国内総生産(GDP)は今や世界の16%を占めるまでになっており、現在24%で第1位の米国を2030年までには抜くとの予測もある。 しかし、第2の信頼性の条件を満たすには、人民元はほど遠い状態にある。 リーマン・ショック後、中国が人民元の国際化を視野に、金融自由化などの改革を徐々に進めてきたのは事実である。 だが、2015年に為替変動の柔軟化に踏み切ったところ、人民元の下落と資本の流出が止まらなくなり、クロスボーダーの資本取引を大幅に規制せざるをえなくなった。 人民元は2016年に特別引出権(SDR)の通貨バスケット入りを果たすなど、国際通貨に徐々に近づいているかの印象を与えるが、実態としては現在も、資本取引に厳しい制約が課されている。 資本取引を自由化しても資本流出などの問題が起きない、という状態を実現するには、企業の過剰債務や金融システムの脆弱性など、長く懸案となっている構造的な課題を克服する必要がある。 これは不可能ではないが容易でもなく、実現できるとしてもなお、相当の年数を要する。 さらに、中国が構造改革に成功し、資本取引や為替変動の完全自由化が果たされたとしても、最後の壁として立ちはだかるのが、米ドルの有するネットワーク外部性である。 流動性や開放性の高い金融市場など、一度確立された米ドル中心の国際決済インフラは、その優位性が簡単に揺らぐものではない。 よく、国際通貨の条件として「使い勝手の良さ」という言葉が使われる。 この「使い勝手の良さ」の実質的な意味として一番大きいのは「皆が使っている」という単純な先行者の優位性である。 国際通貨体制における米ドルの地位は、「現職」の国際通貨のみが持つ慣性の法則により、よほどのことがなければ今後も崩れることはない。 少なくとも、デジタル人民元が発行される程度のことで、変わるような性格のものでは全くない。 <中銀デジタル通貨の研究はあくまで王道で> もちろん、日本が他国とともに中銀デジタル通貨の可能性について研究を進めることは、デジタル人民元が発行されるかどうかにかかわりなく有意義である。 国民が広く使う通貨には、預金と現金がある。 このうち預金は、民間銀行により供給される。 預金を用いた決済は、手数料を課すことができるし、貸出や資産運用などとのシナジーが働くため、信頼性・安全性を確保するコストをかけてもビジネスとして成立する。 一方、現金の信頼性・安全性の確保を商業ベースに乗せるのは難しく、中央銀行がその供給を担う。 こうした分業が合理的だった世界に、技術革新が一石を投じている。 デジタル通貨は、データビジネスとのシナジーが強いことなどから、預金・現金よりも低コストで利便性の高い通貨になりうる。 だたし、それが広く使われるためには、預金・現金と同等の信頼性・安全性を確保するためのコストをかけなければならない。 誰もが使える包摂的な通貨の供給は、やはり中央銀行が担うべきという視点もある。 これらのバランスは微妙だ。 預金、現金、民間デジタル通貨、中銀デジタル通貨の4種類の通貨をどのように組み合わせれば、決済システム全体にとってベストなのか、これが各国の直面している課題の構図である。 ベストの解は、既存決済インフラの違いなどにより、国ごとに大きく異なりうる。 中銀デジタル通貨の発行の是非や、発行する場合の形態や利用限度等については、そうした国ごとの事情も踏まえて、決済システムの最適化という観点から検討を進めるのが基本である。 もう1つの視点は、国際決済システムの改善に資する可能性である。 現行の国際決済、とりわけ小口決済は、コストや利便性の面で問題があることが広く指摘されている。 そこにビジネスチャンスを見出したのが、昨年夏に浮上したリブラ構想である。 そうした民間の創意工夫を適切な規制・監督の下で促していくのが良いのか、あるいは中銀デジタル通貨を用いた各国の協力体制でより望ましいソリューションを構築できるのか、様々な可能性について研究が進むことは歓迎したい。 <米ドル基軸通貨体制は問わなくてよいのか> カーニー元英中銀総裁は昨年8月、米国ジャクソンホールで基調講演を行い、その内容が波紋を呼んだ。 米ドルが世界で広く使われていることが、国際金融システムを不安定化させていると言うのだ。 例えば、米ドル建て債務の多い新興国は、ドル金利が上昇すると、自国通貨が下落し、金利・為替の両面で債務返済コストが急増する。 また、12年前のリーマン・ショックや今回のコロナ・ショックでも明らかなように、グローバル金融市場が極端なリスクオフになると、米ドルの流動性がひっ迫し、それが信用収縮を通じて世界経済をさらに悪化させる。 カーニー氏は、こうした欠陥を持つ米ドル基軸通貨体制に代えて、主要国の中銀デジタル通貨で「合成覇権通貨(Synthetic Hegemonic Currency)」を作り、国際通貨体制の中心に据えてはどうか、というアイデアを提案している。 先ほど、米ドル中心の国際通貨体制には、それ自体の慣性があるので崩れにくいと述べたが、カーニー氏は、そうであるからこそ意識的な国際協力によって、現行体制の改革を図るべきだというのである。 現時点では空想のような話ではあるが、問題意識としてはもっともな面がある。 「合成覇権通貨」がそのベストの答えかどうかはともかく、米ドルに偏った国際通貨体制を改革すべきという問題意識は、もともと欧州には根強く存在する。 本年1月、日銀をはじめ、カナダ、英国、欧州、スウェーデン、スイスの6つの中央銀行と国際決済銀行(BIS)は、中銀デジタル通貨に関する知見を共有し、国際決済面も含めた活用の可能性等について研究するグループを設立した。 まずは、日進月歩の技術革新を、国内および国際的な決済システムの改善にどう生かせるのか、偏りのない議論を尽すことが先決である。 そうした地に足の着いた議論の先に、デジタル人民元への対抗という政治的視点は別に、国際通貨体制のあり方を巡る考察の地平が開けてくると考えられる。 (本コラムは、向けに執筆されたものです。 筆者の個人的見解に基づいて書かれています) 門間氏 *門間一夫氏は、みずほ総合研究所のエグゼクティブエコノミスト。 1981年に東京大学経済学部を卒業後、日本銀行に入行。 86年に米ウォートンビジネススクール留学。 調査統計局長、企画局長を経て、12年に日銀理事(13年3月まで金融政策担当、以降、国際担当)を歴任。 16年に日銀を退職し現職。 *このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。 このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。 当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。 このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。 ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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