本川裕。 なぜ、男子は突然、草食化したのか 統計データが解き明かす日本の変化

世界中で日本だけ「コロナ感染のグラフがおかしい」という不気味 絶対的な死者数は少ないのだが…

本川裕

昔、景気探偵を名乗る執筆者がいたが。 ポオの探偵デュパンが狂言まわし役となる統計探偵の登場である。 データ分析を生業にしてきた作者の力作である。 前作の多くは、図表と解説のペアで見やすさが強調されていた。 今回はストーリーの中にデータが埋め込まれ、読みやすさが強調されている。 細かいことを言えば、その因果関係はとか隠れた第3の変数がありそうではとキリがない。 しかし、データリテラシーという点からみて好著である。 ちまたにあふれる、現実データを分析しない統計学者、データの質に関係なく高度な分析手法を使いがちな計量経済学者、データはきちんと取るが手法がいまいちなXX学者、データを拷問しがちなデータサイエンティストが書いた著作を読む前に、データ観察・データ鑑賞の技法を習得しておくための必読書となるだろう。 ただし、シャーロックによると、「君は褒めるつもりで僕をデュパンになぞらえたのだろうが、まあ僕にしてみれば、デュパンなぞひどく劣等な男だ。 」とのことである。 データ間で相関が見られる場合、因果関係か、擬似相関か、偶然かのどれかですが、この本では、紹介しているデータの関係がそれのどれなのかについて曖昧に書かれているという印象です(それを識別するのは、より詳細なデータが必要なため、困難であるという理由かもしれませんが)。 そのため、これが因果関係であれば〜、という結論になりがちな印象を受けます。 社会現象のメカニズムを解明することは、その現象を構成する要素間の因果関係を明らかにすることです。 この因果関係の集まりが社会科学の理論であり、それを確かめるのが実証(データ分析など)だと思います。 また、因果関係を明らかにすることで、将来なんらかの施策を行ったときの結果を予測することができるようになります。 この本は、データから発見された関係が因果関係なのかどうかというとても大事なところが曖昧な印象です。 したがってそこから導かれる結論も曖昧になってしまっているという印象です。 ただ、厳密さはともかく、データ分析って面白いということを感じるためならよいと思います。 世界からみて日本はどんな国なのか 令和になった今改めて見つめ直すいい機会になった本です.

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本川裕

統計データ分析家 1951年生まれ。 東京大学農学部農業経済学科卒業。 国民経済研究協会常務理事研究部長、立教大学兼任講師を経て、アルファ社会科学㈱主席研究員。 ネット上の統計グラフ・サイト「社会実情データ図録」を主宰。 主な著作:『統計データはおもしろい! 』 2010年 『統計データはためになる! 』 2012年 いずれも技術評論社 『統計データが語る日本人の大きな誤解』 日経プレミア、2013年 「2019年 『なぜ、男子は突然、草食化したのか』 で使われていた紹介文から引用しています。 」 本川裕のおすすめランキングのアイテム一覧 本川裕のおすすめ作品のランキングです。 ブクログユーザが本棚登録している件数が多い順で並んでいます。 『統計データはおもしろい! -相関図でわかる経済・文化・世相・社会情勢のウラ側-』や『統計データが語る日本人の大きな誤解 日経プレミアシリーズ』や『なぜ、男子は突然、草食化したのか 統計データが解き明かす日本の変化』など本川裕の全10作品から、ブクログユーザおすすめの作品がチェックできます。

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4つの「つまずき」に要注意、統計は疑うことから始めよう

本川裕

本川 裕 [統計データ分析家] 統計データ分析家。 元立教大学大学院ビジネスデザイン研究科兼任講師。 1951年生まれ。 東京大学農学部農業経済学科卒業。 同大学院単位取得済修了。 財 国民経済研究協会研究部長、常務理事を歴任。 現在、アルファ社会科学 株 主席研究員。 インターネット上でサイトを主宰。 本川裕の社会実情データ・エッセイ 本連載では、統計データの動きを独自に整理、グラフ化することによって、意外な社会の動きやわが国の状況を追って行きたいと考えている。 もっとも堅苦しいものではなく、趣味的な個人の嗜好も含めたざっくばらんなものとしたい。 体系的な思想というよりエッセイ形式で人間習俗(モラル)を観察したモラリストの伝統に連なれればと考え、連載タイトルにエッセイという用語を含めた。 国民からの評価が 「最低」に近い日本の政治家 なぜ、我々は政治家をこんなに信頼していないのであろうか。 自分たちで選んだ人々であるのに不思議といえば不思議である。 これは、我が国特有の現象なのであろうか。 それともどの国でも同じなのだろうか。 そこで、今回は、政治家に対して国民はどう思っているかについての国際比較データを取り上げてみよう。 図1は、世界価値観調査と並んで有名な国際共同意識調査であるISSP(International Social Survey Program)調査における政治家への評価に関する2つの設問について、世界40ヵ国の国民の回答結果を散布図グラフにしたものである。

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