結論:ラスト10分が完全にウテナ。 2005年 日本 監督:細田守 とあるボトルメッセージを拾った麦わら海賊団。 そこには、 オマツリ島への地図とエターナルポース、そして「海賊ならば、仲間を連れて来るがいい」と書かれた手紙が入っていた。 だが終盤の妖怪人間ベムみたいな姿は子供絶対泣くと思う。 「ストロングワールド」のドレスコードもいいが、この時の黒ドレス姿も結構可愛い。 まだこの頃はノリがいい。 時かけの津田くんっぽく見えるのは気のせいなのか。 クソイケボ。 彼のみ画面に向かってツッコむ。 今作では幼女を全力で守ったりと、一人で頑張る場面が多い。 そしてなぜか カワウソに間違えられる。 地図に描かれていた花が島になかったことを疑問に思い、ムチゴロウを酔わせ、島の頂上に 「リリー・カーネーション」という花があることを聞き出した。 オマツリ男爵(演:大塚明夫) オマツリ島でルフィたちを出迎えた男。 『地獄の試練』と称し出店のようなゲームで勝負をしかけてくる。 ニコニコ顔のてるてる坊主みたいなお花を肩に乗せているが、これは飾りではなく イキモノで、ちゃんとしゃべる。 武器は弓矢。 彼から放たれた弓は敵を自動追尾し、地面すらえぐるなどかなりの破壊力を持つ。 が、悪魔の実の能力者ではないらしい。 部下からは慕われており、よくいる悪役とは違って部下をコケにされて本気で怒るなど、心底仲間を大切に思っている。 一方で結束の固い海賊を憎み、わざと仲間をバラバラにさせて、仲間割れを楽しむという一面も。 男爵の部下たち オマツリ男爵につかえる部下。 大量にいるモブキャラから主要なキャラまで、全員例外なく 頭に 双葉が生えている。 サンジにとってはまさに地獄。 熱い鉄板の上に牛脂(?)のクツを履き、まるでスケートの如く滑りながら油をひくという芸当をこなす。 焼きそばを作ろうとするが、嫉妬に燃えたサンジによってモダン焼きにされてしまった。 ちなみに中の人は OZMA・・・ではなく翔やん。 つまりゲスト声優なのだが、 違和感が仕事してない・・・だと!? ムチゴロウ(演:草尾毅) 男爵の部下。 どうみてもカッパだが人間。 「~っプ」と語尾にプをつける。 どういうキャラ付けだよ。 ゲスト声優その2で、この人は 違和感が仕事してる。 第三の試練で登場。 遠隔操作も可能な頭のお皿を武器に戦う。 ゾロと1対1になるが、なんと鬼斬りを真正面から受けても 無傷だった。 島にはバカンス気分でやってきたが、金魚すくいをクリアできず逃げ出した。 弱っちぃのに子供の前では見栄を張らずにはいられないダメ親父。 妻の形見であろう結婚指輪をネックレスにしている。 (小説版では映画とは設定が変わっており、妻は男爵に殺されている) 中の人は「にほんごであそぼ」などで有名な浪曲師の国本さん。 母親と似て非常に 耳がいい。 ・・・というか、声にならない声が聴こえているような描写があるので、見聞色の持ち主ではないかと思われる。 オマツリ男爵を倒す為、島にこっそりと抜け穴を作りまくり機を伺っていたが、ルフィたちの力を見込んで「仲間にならないか」と勧誘してくる。 実は男爵に大勢いた仲間を全て奪われており、仲間を失ったルフィを助け、最後まで力になってくれる今作の立役者。 細田監督の自己投影キャラのような気がしなくもない。 あらすじを表示 秘密 ゾロ、サンジ、ナミ、ウソップ。 仲間たちが地獄の試練を受けている最中の出来事。 一人外へ散歩にいったチョッパーは、ずらりと並んだお墓を見つけ、そこで お茶の間海賊団のパパと出会い、オマツリ男爵とその部下が、かつて「レッドアローズ海賊団」という海賊だったことを知る。 パパが見つけたという手配書には、大勢の仲間に囲まれて幸せそうに笑う男爵の姿があった。 だが、なぜか 男爵だけが妙に若い。 周りの部下たちは、今と変わらない姿をしているのに・・・? 一方。 ヒマを持て余していたルフィの元に、チョビヒゲ海賊団の船長を名乗る謎の男・ブリーフが現れる。 オレの仲間にならないか?と勧誘してきた彼は、 「オマツリ男爵は仲間をバラバラにする」と忠告する。 その言葉どおり、徐々にギクシャクしだす仲間たち。 ナミはウソップと離れ、なぜか敵であるムチゴロウと酒を飲み交わす。 昼間ロビンにたらふく飲まされ、あっという間に酔っ払うムッチーは、男爵がいかに強いか熱弁をふるいだし、「男爵様ならあのロジャーにだって負けない!」という。 ロジャーは20年以上前に処刑されている、というナミ。 だが、そんなことあるわけがないというムッチー。 「だってオラ、この間ゴールドロジャーに会ったぞ?」 第三の試練 ロジャーにあの嵐の夜の前に会った・・・というムチゴロウは、ナミの目の前で変わり果てた姿になってしまった。 一方、島の秘密を知ったロビンも、チョッパーと同じく男爵の手にかかってしまう。 チョッパー、ロビン、そしてウソップと次々と仲間がいなくなり、バラバラになってしまうルフィたち。 そこへ 「第三の試練・射的」がはじまる。 一人残ったルフィは男爵と戦うも、どこまでも追いかけてくる弓矢に大苦戦。 だが、抜け穴から現れたブリーフに助けられる。 しかし男爵の部下である100人の狙撃手に追われたナミとサンジは捕まり、DJカッパと戦ったゾロも、なぜか鬼斬りが通用せず、男爵の矢を受け捕らえられてしまう。 なぜ撃たれても切られても平気なのかわからない、というDJカッパに、「それはおまえが強いからだよ」と優しく言い聞かせる男爵。 だが、ケロじい、コテツ・・・男爵の仲間たちはみんな、次々に枯れていく・・・。 『花』 島の頂上で目を覚ましたチョッパー。 巨大な植物に襲われ、捕食されそうになっていたデイジーを助けるも、逆に捕まってしまう。 チョッパーを助けようとする子供たちを無理やり引き離し、チョッパーを見捨てて逃げるパパ。 チョッパーの悲鳴が響き渡った瞬間、元の姿に戻り、目覚めるムチゴロウ。 長い夢を見ていたという彼の肩を抱き、笑顔をみせる男爵。 だが、再び一人で男爵と戦いに向かう。 しかし既にリリーに捕らわれていた仲間は、一人、また一人と餌食となっていく。 男爵の弓矢に四肢を射ぬかれるも、首だけになっても仲間を助けようとしたが、仲間は一人残らずリリーに喰われてしまう。 打ちのめされたルフィを救ったのは、またもやブリーフだった。 彼はまだ 「仲間は生きている」という。 なぜならデイジーが、チョッパーたちが「ルフィ」の名前をずっと呼んでいる声を聞いているからだ。 今度はみんなの力をあわせ、男爵と戦うルフィ。 結末 ブリーフの助けもあって、男爵に一発喰らわせることができたルフィは、そのまま巨大植物を破壊。 しかし、その中身は無数の矢の集合体だった。 それは、あの嵐の夜に、愛する仲間を全て失った男爵の孤独と後悔の数だという。 リリーの本体は、男爵の肩の花だった。 飲み込まれた仲間たちを生やしながら、おぞましい姿へと変貌を遂げたリリーとともに、トドメを刺そうとする男爵。 しかし、ルフィは無数の矢に串刺しにされても、歩みを止めない・・・。 そんな中、娘の言葉に勇気付けられたお茶の間パパが、決死の覚悟で矢を放つ。 その矢は、見事にリリーの本体を射抜いた! バラバラになってしまったリリーの贓物を、泣きながら掻き集める男爵。 絶望に吠える男爵に、全力で拳をぶつけるルフィ。 薄れゆく意識の中で、男爵は部下の声を聞く。 ずっと想っていてくれてありがとう。 けど、忘れてもよかったんだよ。 新しい仲間を求めても、よかったんだよ。 目覚めたルフィの元へ駆け寄る仲間たち。 ロビンは、足元に咲く小さな花に気付く。 リリー・カーネーション(演:渡辺美佐) 今作のラスボスにして みんなのトラウマ。 島の頂上に鎮座した巨大なモニュメントのような姿だが、植物である。 茎(?)から針金のような触手を伸ばして獲物を捕食する。 その正体は、 他者の命を奪うことで、死んだ人間を植物人間として再生することができる 「死と再生の花」。 オマツリ男爵はリリーに生贄を捧げることで、嵐で死んだ仲間を生き返らせている。 だが再生した人間はリリーがお腹がすくと枯れてしまうため、エサにするために海賊をおびき寄せていた。 男爵の肩に乗っている方が本体で、茎が破壊された時は本性を現したのか、とんでもなくグロテスクなヴィジュアルとなった。 でもニコニコ顔でもぐもぐしてるシーンも結構怖い。 てるてる坊主に見える白い布は、お食事用のナプキンだったりして・・・。 名前の由来は、英語で『転生』や『生まれ変わり』を意味する リーンカーネーション(Reincarnation)から。 この言葉を聴いて真っ先に奥井雅美さんのテッカマンブレードの曲が流れた人は年がバレるね! オマツリ男爵の考察 リリーの再生能力について チョッパーが見つけた墓石は、一つ一つに花が供えてあったことから、おそらくレッドアローズ海賊団のものだと思われる。 リリーが生き返らせた死人は、地中から生気(?)を循環させているっぽいので、死人を生き返らせるには、遺体をこの島に埋める必要があるのかも・・・? 弓の能力について 元々男爵は弓の名手だったようだが、悪魔の実の能力者に驚いていたことから、 男爵自身は能力者ではない。 作中では追尾能力を持った矢を男爵が自ら生みだしていたが、その瞬間、肩にいるリリーの表情が変貌するので、矢はリリーが男爵の感情を利用して具現化させたもののように思える。 さらにこの矢は、無機物は破壊しても実際には誰も殺せていない。 矢を受けたチョッパーは傷もなく、無数の矢を受けたルフィも血は流れていなかった。 肌色が悪くなる描写があったので、生者には毒を与えて気絶させるか、生気を奪うぐらいのことしかできないのかもしれない。 リリーと同化していたのか? 一人だけ年をとっていたことから、部下とは違い死人ではなかった男爵。 だが、彼もまた枯れかかったDJと同様、 瞳が緑色になる場面がある。 (ロビンとリリーについて話すシーン) リリーがダメージを受けた時、男爵も死人のような顔色になっていたこと、リリーの枝部分が男爵の矢で出来ていたことを考えると、男爵もリリーに寄生されていて、ほぼ一心同体に近い状態になっていたのではないだろうか? タンポポの花の謎 ラストでロビンが、男爵がいつもつけているゴーグル(?)のそばで、たんぽぽの花が咲いているのを見つける。 たんぽぽの花言葉には 「別離」という意味があり、死んだ仲間との別離を男爵が受けいれ、旅立った・・・という意味にも受け取れるし、現実と別れ、仲間と共に眠りについた、ともとれる。 花が3本あることにも何か意味がありそうだが・・・。 ルフィたちの仲間にまだ完全になっていないロビンだけが気付くというのも、含みがあるような気がする。 独特の作画と細田節全開の作風 細田監督による、異色中の異色作! アニメのワンピースとは全く違う、監督お馴染みの「人物の影を描かない」作画や、TVシリーズと全っっく違うルフィたちの会話のテンポやギャグの間の取り方、そしてワンピースらしからぬ 暗さに、従来のファンは相当面食らったのではないだろうか。 聞き取れないような囁き声を多用するとか、よくやったな・・・。 ただ、 オマツリ島の美術や、よく動くキャラ、大胆なカメラワーク。 テンポのよい台詞回しに合わせたカットといった映像演出は、ストロングワールド以降の作品に次ぐクオリティの高さで、一つのアニメーション作品としてみれば個人的には好きな作品。 特に、ナミがムチゴロウと会話している時に、ちょっとずつ何かがおかしくなっていく・・・というホラーな会話劇は、色々とたまらないものがある。 でも終盤の矢のシーンは、あまりにも「百万本の剣」まんま過ぎじゃないですかね監督ぅ! 納得できない点も多い エンディング曲があってねぇ!というのも不満の一つだが、脚本を途中で監督が変えたっぽいので、氣志団は多分悪くない。 きっと最初はこのEDにピッタリなお気楽映画だったんだろう・・・。 最たる不満は、「新しい仲間を創ればいい」という、ワンピースでこれやる必要ある?なテーマ性と、ナミとサンジの仲違いの描写! 特に原作では絶対にやらないであろう、 「サンジがナミにも怒る」という描写には違和感しかない。 (もしかしたら、第二の試練で輪投げをうけて「負けた」サンジとナミだけがおかしくなるので、ケロジイたちに何かされていた可能性もあるが・・・) また、 「失った仲間と生き続ける男爵」と、 「同じように仲間を失いながらも、新たに仲間を作ることにしたブリーフ」という対比も、そもそも仲間を殺され、復讐の対象がいたブリーフと、恨む対象もなく仲間を失った男爵とを同様に語ることはできないように思う。 ルフィもブリーフを仲間とは呼んでも、彼をメリー号には乗せることはないだろう。 「唯一無二の仲間を失った時、ルフィはどうなるのか?」というテーマは面白いが、着地点が「新たに創れば~」になるのは、納得できない部分だった。 関連商品 映画ではなぜ 「オマツリ男爵」という名前なのか、結構重大なことが一切語られていない。 が、これは小説版では説明されている。 映画に納得できなかった人は、小説版を一度読んでみた方がいいかも。 ただ叫ぶだけ)「オレがワンピースに求めてるのはそういうのじゃねぇ!」という人にはオススメできない。 最後に! 男爵をぶっ飛ばして終わりではなく、替えがきくような存在ではなかった仲間への思いとか、その辺りをもう少し掘り下げて欲しかったと思います。 個人的には普段は強くて渋い男を演じることが多い 大塚明夫さんが、精神的に弱い・・・というより弱くなった男を演じていた、というのもポイント高かったです。 こんなにボロボロ泣く演技、あまり聞いた事が無いような・・・?ある意味見所の一つかもしれません。 明夫さんの演技もあって、ラストのオマツリ男爵は本当に可愛そうで可愛そうで・・・。 部下もいい子達で、ルフィと同じくらい仲間を大切にしていた人だったろうに、たくさんの人を殺めているとはいえ、もうちょい救いが欲しかったですね・・・。
次のワンピース一のトラウマな映画 この全体的な感想としては、「 明るいワンピースの映画としては、超絶に暗すぎてトラウマになるほどの衝撃的な作品」。 「オマツリ男爵と秘密の島」と楽しそうな題名ですが、中身は全く逆で陰鬱としたものです。 確かに 前半は明るいですが、後半になってくるにつれ徐々に鬱展開に。 前半で感じた違和感が後半の衝撃的事実につながるのはトラウマ映画の醍醐味です。 ここまでタイトルと内容にギャップのある作品はどこぞのがっこうぐらしを連想させるます。 大事なことなので、 もう一度言いますが見たら必ずトラウマになります! 明るいワンピースが好きな人は、覚悟を決めて観ることおすすめします。 作画からスタッフの本気を感じられる トラウマ描写ばかりに捉えられがちな「オマツリ男爵と秘密の島」ですが、背景作画は気合が入っていました。 特に リゾートの風景やホテルの建物、森林風景は「まるで今時のアニメに出ても違和感ない」出来上がりぶり。 これが10年前以上に作られた事実には驚きを隠せません。 それだけ 映画製作にスタッフさんの多大な熱意と努力が込められていたのです。 キャラクターの作画も他の劇場版と比較して「 いつものワンピースと違う感」があり、背景とは違う意味で新鮮です。 悪役オマツリ男爵の悲しき過去 今回オマツリ男爵というオリジナルの悪役が登場しますが、 明るい名前とは裏腹に想像を絶する重たい過去を持っていました。 それがどういうものかは終盤になってから判明しましたが、それがトラウマとなって今の彼自身を作り出したのです。 そのため、 仲間の結束を嫌いチームをバラバラにすべく策略を立てています。 彼の底知れない闇と結束を憎む心がルフィ達に立ちふさがることに。 ある意味、 ワンピース映画の敵キャラでトップクラスに闇の深いキャラです。 リリーの正体が超トラウマ級だった オマツリ男爵の肩に常についているリリー。 なんとも可愛らしい姿をした リリーカーネションですが、 その正体が超トラウマ級で恐ろしいです。 その姿はネタバレになるので述べませんが、どれくらいかというと「 B級ホラー映画に出てきそうな化け物で子供はおろか大人でも怖がってしまう」ほど。 見た目の怖さでは、ワンピースの中でトップクラスでしょう。 可愛い見た目とは裏腹に怖い真の姿を持ったリリーは海賊漫画では斬新なキャラです。 サブキャラが主人公並みに輝いていた 今作はトラウマ級描写だけでなく、 サブキャラがけっこう活躍しているところも見どころ。 映画にはサブキャラが例外なく登場しますが、彼らの活躍の場が今まで以上に与えられている点も異例でした。 具体的に言うと、「 いつもならゾロ等の仲間がやるサポート的役割を果たしてくれる」点。 仲間以外が活躍するシーンはけっこう新鮮ですね。 そんな彼らの活躍がオマツリ男爵との戦いにおいて最後まで貢献してくれるのです。 絶望感は頂上戦争並みか? 後半が絶望的な「オマツリ男爵と秘密の島」ですが、 どれくらいかというと「頂上戦争でエースを失った」シーンくらい。 ワンピースでここまでファンに絶望感を与えた与えたシーンは少ないでしょう。 その絶望は「 普段は明るく能天気なルフィを復讐の鬼に変えてしまうほど」。 正直、 前述のサブキャラの支えがないと立ち上がっていけないほど絶望感に溢れたものでした。 ここまで鬱になってしまう映画はこれから先出会えませんね。 まさに戦慄そのものです。 まとめ ここまで「オマツリ男爵と秘密の島」のネタバレなし感想をまとめました。
次の結論:ラスト10分が完全にウテナ。 2005年 日本 監督:細田守 とあるボトルメッセージを拾った麦わら海賊団。 そこには、 オマツリ島への地図とエターナルポース、そして「海賊ならば、仲間を連れて来るがいい」と書かれた手紙が入っていた。 だが終盤の妖怪人間ベムみたいな姿は子供絶対泣くと思う。 「ストロングワールド」のドレスコードもいいが、この時の黒ドレス姿も結構可愛い。 まだこの頃はノリがいい。 時かけの津田くんっぽく見えるのは気のせいなのか。 クソイケボ。 彼のみ画面に向かってツッコむ。 今作では幼女を全力で守ったりと、一人で頑張る場面が多い。 そしてなぜか カワウソに間違えられる。 地図に描かれていた花が島になかったことを疑問に思い、ムチゴロウを酔わせ、島の頂上に 「リリー・カーネーション」という花があることを聞き出した。 オマツリ男爵(演:大塚明夫) オマツリ島でルフィたちを出迎えた男。 『地獄の試練』と称し出店のようなゲームで勝負をしかけてくる。 ニコニコ顔のてるてる坊主みたいなお花を肩に乗せているが、これは飾りではなく イキモノで、ちゃんとしゃべる。 武器は弓矢。 彼から放たれた弓は敵を自動追尾し、地面すらえぐるなどかなりの破壊力を持つ。 が、悪魔の実の能力者ではないらしい。 部下からは慕われており、よくいる悪役とは違って部下をコケにされて本気で怒るなど、心底仲間を大切に思っている。 一方で結束の固い海賊を憎み、わざと仲間をバラバラにさせて、仲間割れを楽しむという一面も。 男爵の部下たち オマツリ男爵につかえる部下。 大量にいるモブキャラから主要なキャラまで、全員例外なく 頭に 双葉が生えている。 サンジにとってはまさに地獄。 熱い鉄板の上に牛脂(?)のクツを履き、まるでスケートの如く滑りながら油をひくという芸当をこなす。 焼きそばを作ろうとするが、嫉妬に燃えたサンジによってモダン焼きにされてしまった。 ちなみに中の人は OZMA・・・ではなく翔やん。 つまりゲスト声優なのだが、 違和感が仕事してない・・・だと!? ムチゴロウ(演:草尾毅) 男爵の部下。 どうみてもカッパだが人間。 「~っプ」と語尾にプをつける。 どういうキャラ付けだよ。 ゲスト声優その2で、この人は 違和感が仕事してる。 第三の試練で登場。 遠隔操作も可能な頭のお皿を武器に戦う。 ゾロと1対1になるが、なんと鬼斬りを真正面から受けても 無傷だった。 島にはバカンス気分でやってきたが、金魚すくいをクリアできず逃げ出した。 弱っちぃのに子供の前では見栄を張らずにはいられないダメ親父。 妻の形見であろう結婚指輪をネックレスにしている。 (小説版では映画とは設定が変わっており、妻は男爵に殺されている) 中の人は「にほんごであそぼ」などで有名な浪曲師の国本さん。 母親と似て非常に 耳がいい。 ・・・というか、声にならない声が聴こえているような描写があるので、見聞色の持ち主ではないかと思われる。 オマツリ男爵を倒す為、島にこっそりと抜け穴を作りまくり機を伺っていたが、ルフィたちの力を見込んで「仲間にならないか」と勧誘してくる。 実は男爵に大勢いた仲間を全て奪われており、仲間を失ったルフィを助け、最後まで力になってくれる今作の立役者。 細田監督の自己投影キャラのような気がしなくもない。 あらすじを表示 秘密 ゾロ、サンジ、ナミ、ウソップ。 仲間たちが地獄の試練を受けている最中の出来事。 一人外へ散歩にいったチョッパーは、ずらりと並んだお墓を見つけ、そこで お茶の間海賊団のパパと出会い、オマツリ男爵とその部下が、かつて「レッドアローズ海賊団」という海賊だったことを知る。 パパが見つけたという手配書には、大勢の仲間に囲まれて幸せそうに笑う男爵の姿があった。 だが、なぜか 男爵だけが妙に若い。 周りの部下たちは、今と変わらない姿をしているのに・・・? 一方。 ヒマを持て余していたルフィの元に、チョビヒゲ海賊団の船長を名乗る謎の男・ブリーフが現れる。 オレの仲間にならないか?と勧誘してきた彼は、 「オマツリ男爵は仲間をバラバラにする」と忠告する。 その言葉どおり、徐々にギクシャクしだす仲間たち。 ナミはウソップと離れ、なぜか敵であるムチゴロウと酒を飲み交わす。 昼間ロビンにたらふく飲まされ、あっという間に酔っ払うムッチーは、男爵がいかに強いか熱弁をふるいだし、「男爵様ならあのロジャーにだって負けない!」という。 ロジャーは20年以上前に処刑されている、というナミ。 だが、そんなことあるわけがないというムッチー。 「だってオラ、この間ゴールドロジャーに会ったぞ?」 第三の試練 ロジャーにあの嵐の夜の前に会った・・・というムチゴロウは、ナミの目の前で変わり果てた姿になってしまった。 一方、島の秘密を知ったロビンも、チョッパーと同じく男爵の手にかかってしまう。 チョッパー、ロビン、そしてウソップと次々と仲間がいなくなり、バラバラになってしまうルフィたち。 そこへ 「第三の試練・射的」がはじまる。 一人残ったルフィは男爵と戦うも、どこまでも追いかけてくる弓矢に大苦戦。 だが、抜け穴から現れたブリーフに助けられる。 しかし男爵の部下である100人の狙撃手に追われたナミとサンジは捕まり、DJカッパと戦ったゾロも、なぜか鬼斬りが通用せず、男爵の矢を受け捕らえられてしまう。 なぜ撃たれても切られても平気なのかわからない、というDJカッパに、「それはおまえが強いからだよ」と優しく言い聞かせる男爵。 だが、ケロじい、コテツ・・・男爵の仲間たちはみんな、次々に枯れていく・・・。 『花』 島の頂上で目を覚ましたチョッパー。 巨大な植物に襲われ、捕食されそうになっていたデイジーを助けるも、逆に捕まってしまう。 チョッパーを助けようとする子供たちを無理やり引き離し、チョッパーを見捨てて逃げるパパ。 チョッパーの悲鳴が響き渡った瞬間、元の姿に戻り、目覚めるムチゴロウ。 長い夢を見ていたという彼の肩を抱き、笑顔をみせる男爵。 だが、再び一人で男爵と戦いに向かう。 しかし既にリリーに捕らわれていた仲間は、一人、また一人と餌食となっていく。 男爵の弓矢に四肢を射ぬかれるも、首だけになっても仲間を助けようとしたが、仲間は一人残らずリリーに喰われてしまう。 打ちのめされたルフィを救ったのは、またもやブリーフだった。 彼はまだ 「仲間は生きている」という。 なぜならデイジーが、チョッパーたちが「ルフィ」の名前をずっと呼んでいる声を聞いているからだ。 今度はみんなの力をあわせ、男爵と戦うルフィ。 結末 ブリーフの助けもあって、男爵に一発喰らわせることができたルフィは、そのまま巨大植物を破壊。 しかし、その中身は無数の矢の集合体だった。 それは、あの嵐の夜に、愛する仲間を全て失った男爵の孤独と後悔の数だという。 リリーの本体は、男爵の肩の花だった。 飲み込まれた仲間たちを生やしながら、おぞましい姿へと変貌を遂げたリリーとともに、トドメを刺そうとする男爵。 しかし、ルフィは無数の矢に串刺しにされても、歩みを止めない・・・。 そんな中、娘の言葉に勇気付けられたお茶の間パパが、決死の覚悟で矢を放つ。 その矢は、見事にリリーの本体を射抜いた! バラバラになってしまったリリーの贓物を、泣きながら掻き集める男爵。 絶望に吠える男爵に、全力で拳をぶつけるルフィ。 薄れゆく意識の中で、男爵は部下の声を聞く。 ずっと想っていてくれてありがとう。 けど、忘れてもよかったんだよ。 新しい仲間を求めても、よかったんだよ。 目覚めたルフィの元へ駆け寄る仲間たち。 ロビンは、足元に咲く小さな花に気付く。 リリー・カーネーション(演:渡辺美佐) 今作のラスボスにして みんなのトラウマ。 島の頂上に鎮座した巨大なモニュメントのような姿だが、植物である。 茎(?)から針金のような触手を伸ばして獲物を捕食する。 その正体は、 他者の命を奪うことで、死んだ人間を植物人間として再生することができる 「死と再生の花」。 オマツリ男爵はリリーに生贄を捧げることで、嵐で死んだ仲間を生き返らせている。 だが再生した人間はリリーがお腹がすくと枯れてしまうため、エサにするために海賊をおびき寄せていた。 男爵の肩に乗っている方が本体で、茎が破壊された時は本性を現したのか、とんでもなくグロテスクなヴィジュアルとなった。 でもニコニコ顔でもぐもぐしてるシーンも結構怖い。 てるてる坊主に見える白い布は、お食事用のナプキンだったりして・・・。 名前の由来は、英語で『転生』や『生まれ変わり』を意味する リーンカーネーション(Reincarnation)から。 この言葉を聴いて真っ先に奥井雅美さんのテッカマンブレードの曲が流れた人は年がバレるね! オマツリ男爵の考察 リリーの再生能力について チョッパーが見つけた墓石は、一つ一つに花が供えてあったことから、おそらくレッドアローズ海賊団のものだと思われる。 リリーが生き返らせた死人は、地中から生気(?)を循環させているっぽいので、死人を生き返らせるには、遺体をこの島に埋める必要があるのかも・・・? 弓の能力について 元々男爵は弓の名手だったようだが、悪魔の実の能力者に驚いていたことから、 男爵自身は能力者ではない。 作中では追尾能力を持った矢を男爵が自ら生みだしていたが、その瞬間、肩にいるリリーの表情が変貌するので、矢はリリーが男爵の感情を利用して具現化させたもののように思える。 さらにこの矢は、無機物は破壊しても実際には誰も殺せていない。 矢を受けたチョッパーは傷もなく、無数の矢を受けたルフィも血は流れていなかった。 肌色が悪くなる描写があったので、生者には毒を与えて気絶させるか、生気を奪うぐらいのことしかできないのかもしれない。 リリーと同化していたのか? 一人だけ年をとっていたことから、部下とは違い死人ではなかった男爵。 だが、彼もまた枯れかかったDJと同様、 瞳が緑色になる場面がある。 (ロビンとリリーについて話すシーン) リリーがダメージを受けた時、男爵も死人のような顔色になっていたこと、リリーの枝部分が男爵の矢で出来ていたことを考えると、男爵もリリーに寄生されていて、ほぼ一心同体に近い状態になっていたのではないだろうか? タンポポの花の謎 ラストでロビンが、男爵がいつもつけているゴーグル(?)のそばで、たんぽぽの花が咲いているのを見つける。 たんぽぽの花言葉には 「別離」という意味があり、死んだ仲間との別離を男爵が受けいれ、旅立った・・・という意味にも受け取れるし、現実と別れ、仲間と共に眠りについた、ともとれる。 花が3本あることにも何か意味がありそうだが・・・。 ルフィたちの仲間にまだ完全になっていないロビンだけが気付くというのも、含みがあるような気がする。 独特の作画と細田節全開の作風 細田監督による、異色中の異色作! アニメのワンピースとは全く違う、監督お馴染みの「人物の影を描かない」作画や、TVシリーズと全っっく違うルフィたちの会話のテンポやギャグの間の取り方、そしてワンピースらしからぬ 暗さに、従来のファンは相当面食らったのではないだろうか。 聞き取れないような囁き声を多用するとか、よくやったな・・・。 ただ、 オマツリ島の美術や、よく動くキャラ、大胆なカメラワーク。 テンポのよい台詞回しに合わせたカットといった映像演出は、ストロングワールド以降の作品に次ぐクオリティの高さで、一つのアニメーション作品としてみれば個人的には好きな作品。 特に、ナミがムチゴロウと会話している時に、ちょっとずつ何かがおかしくなっていく・・・というホラーな会話劇は、色々とたまらないものがある。 でも終盤の矢のシーンは、あまりにも「百万本の剣」まんま過ぎじゃないですかね監督ぅ! 納得できない点も多い エンディング曲があってねぇ!というのも不満の一つだが、脚本を途中で監督が変えたっぽいので、氣志団は多分悪くない。 きっと最初はこのEDにピッタリなお気楽映画だったんだろう・・・。 最たる不満は、「新しい仲間を創ればいい」という、ワンピースでこれやる必要ある?なテーマ性と、ナミとサンジの仲違いの描写! 特に原作では絶対にやらないであろう、 「サンジがナミにも怒る」という描写には違和感しかない。 (もしかしたら、第二の試練で輪投げをうけて「負けた」サンジとナミだけがおかしくなるので、ケロジイたちに何かされていた可能性もあるが・・・) また、 「失った仲間と生き続ける男爵」と、 「同じように仲間を失いながらも、新たに仲間を作ることにしたブリーフ」という対比も、そもそも仲間を殺され、復讐の対象がいたブリーフと、恨む対象もなく仲間を失った男爵とを同様に語ることはできないように思う。 ルフィもブリーフを仲間とは呼んでも、彼をメリー号には乗せることはないだろう。 「唯一無二の仲間を失った時、ルフィはどうなるのか?」というテーマは面白いが、着地点が「新たに創れば~」になるのは、納得できない部分だった。 関連商品 映画ではなぜ 「オマツリ男爵」という名前なのか、結構重大なことが一切語られていない。 が、これは小説版では説明されている。 映画に納得できなかった人は、小説版を一度読んでみた方がいいかも。 ただ叫ぶだけ)「オレがワンピースに求めてるのはそういうのじゃねぇ!」という人にはオススメできない。 最後に! 男爵をぶっ飛ばして終わりではなく、替えがきくような存在ではなかった仲間への思いとか、その辺りをもう少し掘り下げて欲しかったと思います。 個人的には普段は強くて渋い男を演じることが多い 大塚明夫さんが、精神的に弱い・・・というより弱くなった男を演じていた、というのもポイント高かったです。 こんなにボロボロ泣く演技、あまり聞いた事が無いような・・・?ある意味見所の一つかもしれません。 明夫さんの演技もあって、ラストのオマツリ男爵は本当に可愛そうで可愛そうで・・・。 部下もいい子達で、ルフィと同じくらい仲間を大切にしていた人だったろうに、たくさんの人を殺めているとはいえ、もうちょい救いが欲しかったですね・・・。
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