近鉄 特急 ひ の とり。 近鉄 名阪特急 ひのとり 運転本数拡大(2020年6月13日~)

【保存版】新型名阪特急「ひのとり」は機器のメーカーの違いにより3形式に分かれる 編成について違いも解説

近鉄 特急 ひ の とり

(2019年9月5日作成、2020年2月8日更新) 先日発表された近鉄の新型名阪特急「ひのとり」の概要や車内、設備、料金などを解説します。 以前から発表されていた斬新なデザインに加え、ロゴマークや車内の様子などが公開されました。 運行開始日も決まり、運賃や時刻も一部公開されています。 またプレミアムシートの体験イベントも実施しています。 今までの近鉄特急とは違う斬新な「ひのとり」の世界を一足先に感じてください。 近鉄名阪特急ひのとりの概要 近鉄名阪特急「ひのとり」は2020年(令和2年)3月14日にデビューする近鉄の新型特急です。 アーバンライナーよりもさらに磨きのかかった鋭いスピード感あふれるデザインと、高級感あふれるメタリックレッドの塗色が特徴です。 「ひのとり」の愛称は、この先進的かつ高級感あふれる車体外観に加え、ゆったりした空間や上質なサービスを提供する車両のイメージを、翼を大きく広げて飛翔する「ひのとり」に合わせて命名されています。 ロゴマークも近鉄の新たなシンボル特急として大きく羽ばたく「ひのとり」をイメージしています。 運行区間は主に大阪難波~近鉄名古屋間の速達型特急(停車駅が少ない特急)で運行されます。 現在のアーバンライナーを置き換えることになります。 運行開始時は6往復からスタートし、2020年度中には大阪難波と近鉄名古屋を毎時00分に発車する速達型の特急はすべて「ひのとり」になります。 ダイヤは公表はないですが、アーバンライナーが大阪難波〜近鉄名古屋まで最速2時間5分で運行されているのでもしかしたら数分早くなるかもしれません。 「ひのとり」は大阪難波〜近鉄奈良の特急としても運行する予定です。 ひのとりの車両と編成 使用車両 特急「ひのとり」は専用の80000系車両で運行されます。 深い艶感のあるメタリックレッドの塗色と鋭いスピード感ある先頭部は今までの近鉄車両にはない斬新さです。 製作中の先頭車プレミアム車両です。 窓が高い位置にあることがわかります。 プレミアム車両は床が高いハイデッカー構造と大きな窓で見晴らしのよい車両となるでしょう。 ひのとりの編成 「ひのとり」の編成はレギュラー車両、快適な3列シートと高い床で車窓も楽しめるプレミアム車両で構成されています。 ひのとりには6両編成と8両編成があります。 6両編成の割合が多いので、6両編成を基本に説明します。 先頭車の1号車、6号車(8両編成時は1号車、8号車)がプレミアム車両です。 中間車はすべてレギュラー車両になります。 (8両編成の場合もありますがその場合はレギュラーカーが2両増えます) 1~3、5,6号車(8両編成時には1~3,7,8号車)にはにロッカーが設けられます。 4号車(8両編成時は6号車)と増結車にはロッカーはありませんが荷物置き場が設置されます。 多目的トイレと車いす対応座席は4号車(8両編成は6号車)に設置されます。 全席禁煙ですが、3号車には喫煙室があります。 ひのとりの車内と設備 プレミアム車両 1号車、6号車(8両編成時は8号車)の両先頭車はプレミアム車両です。 後ろの車両と比べて、大型の窓が高い位置についています。 しまかぜのプレミアム車両と同様に開放的で車内からの見晴らしがとても良いでしょう。 床は車体と同じレッドで車内に質感と高級感を与えています。 窓が手すりの下まであり非常に大きい窓で開放感があります。 全席バックシェルシートで後部座席の方に気兼ねせずにリクライニングできます。 プレミアム車両には横揺れを提言するフルアクティブサスペンションが設置されています。 運転席がガラス張りで展望を楽しめる 先頭の運転席はガラス張りになっています。 運転席のすぐ後ろの座席を確保できれば、乗って座席にいながらこの迫力ある前面の展望を楽しむことができます。 写真はしまかぜのものですが、「ひのとり」は前面に扉がなくガラス1枚なので、さらに迫力ある展望が期待できます。 一番前の座席は人気が出そうです。 日本最大級のゆったりしたプレミアムシート プレミアム車両の座席にはしまかぜと同じく電動のリクライニングやレッグレストがついています。 リズムマッサージはありませんが、ヒーターがついています。 ここからはで撮影しました。 プレミアムシートの前後感覚は130㎝あります。 島風のプレミアムシートの感覚は125㎝なのでしまかぜより広く、そして東北、北陸新幹線などの「グランクラス」が130㎝です。 日本最大級のゆとりを備えた座席です。 テーブルを出した状態です。 折り畳み式のテーブルと、窓側にはカップホルダーがあります。 これだけ間隔があると足を延ばしても余裕があります。 窓の横にはしまかぜにも設置されている伝統カーテンのスイッチがあります。 フルリクライニングした時の姿勢です。 バックシェルがついていて、リクライニング時は座面も前にスライドします。 かなりの角度で倒れるので、落ち着いたらすぐに眠りに誘われそうです。 ひじ掛けにあるコントロールパネルです。 リクライニング、レッグレストとヒーター、読書灯が操作できます。 ひじ掛けの下にはコンセントがあります。 方の上のほうに読書灯があります。 ひのとりのプレミアムシートを体験できる 「ひのとり」のプレミアムシートは展示会場に行ってそのすばらしい座り心地を試すことができます。 ぜひ、実際にシートに座ってプレミアムシートの快適さを体験してみてください。 土日祝に展示会場に行けばはシート体験とクイズ両方が楽しめ、クイズにあたれば「ひのとり」クリアファイル(数量限定、先着順)がもらえます。 大阪上本町駅や大阪阿部野橋駅、あべのハルカスなどで展示、体験が行われます。 名古屋地区でも展示、体験を実施する予定です。 「ひのとり」プレミアム座席の展示、体験日程は次のページをご覧ください。 レギュラー車両 2号車から5号車(8両編成は2号車から7号車)はレギュラー車両です。 レギュラーカーの座席は通路を挟んで2列ずつの4列です。 レギュラーカーの内装は座席、床面ともグレーのさわやかな感じです。 ガラスの荷棚と大型窓でこちらも開放感があります。 レギュラー車両のシートもバックシェルで後ろの方も気になりません。 またレギュラーシートも座席の感覚は116㎝です。 これは新幹線のグリーン車に匹敵する広さです。 レギュラーシートにおいてもコンセントは全席に設置されています。 また、パソコンの作業にも便利な大型テーブルが設置されています。 お手洗い 1,6号車(8両編成は1,4,8号車)にお手洗いがあります。 4号車(8両編成は6号車)には多目的お手洗いがあります。 男性用お手洗い以外には温水洗浄便座、ベビーチェアを設置しています。 多目的お手洗いには加えて次の設備が設置されます。 ・着替えが可能なチェンジングボード ・ベビーベッド ・オストメイト対応設備 喫煙室 ひのとりは全席禁煙です。 喫煙室は3号車に設置されています。 ロッカー 1~3、5,6号車(8両編成には1~3,7,8号車)にはエントランスににロッカーが設けられます。 ロッカーは大型の荷物も入れられるサイズです。 ロッカーのない車両には荷物置き場が設置されます。 カフェスポットと自動販売機 1号車と6号車(8両編成は1号車と8号車)にはカフェスポットが設置されます。 挽きたての豆で作るコーヒーやお菓子などを販売します。 また3号車には自動販売機があります。 ベンチスペース 座席以外でくつろげるベンチスペースが設置されます。 2号車、5号車(8両編成は2号車、5号車、7号車)に設置されます。 カラーの案内液晶ディスプレイ 客室両端には2画面の大型液晶ディスプレイが設置されています。 停車駅案内や運行情報などを4か国語で提供します。 アーバンライナーでは前面展望も映し出されていましたが、「ひのとり」ではまだ発表されていません。 その他の設備 ・無料Wi-Fiの提供 ・全客室に空気清浄機「ナノイー」を設置 ・客室、デッキ、荷物置きスペースに防犯カメラを設置 ひのとりの運行路線、停車駅、時刻等 名阪特急「ひのとり」は主に大阪難波~近鉄名古屋間の特急で運行されます。 大阪難波~近鉄奈良間の一部の特急でも運行される予定です。 「ひのとり」は名阪特急の速達型列車で運行され、停車駅は次の通りです。 <平日> 大阪難波発 8:00、10:00、13:00、14:00、16:00、20:00 近鉄名古屋発 7:00、11:00、13:00、17:00、19:00、20:00 <土休日> 大阪難波発:8:00、9:00、11:00、15:00、16:20、19:00 近鉄名古屋発:8:20、12:00、14:00、16:25、18:00、19:00 このほかにも大阪難波~近鉄奈良間でも運行されます。 2020年度中には大阪難波駅、近鉄名古屋駅を主に毎時0分に発車する速達型の停車駅の少ない名阪特急をすべて「ひのとり」で運行する予定です。 現在の近鉄特急時刻表は、次の近鉄HPにリンクしているPDFファイル時刻表から確認できます。 ひのとりの車内販売 ひのとりでは車内販売は行われません。 カフェスポットや自動販売機が設置されるのでそちらを利用しましょう。 ひのとりの運賃・料金 「ひのとり」の運賃、料金は次の通りです。 (消費税改定後の運賃、料金です) プレミアム車両の運賃、料金表です。 レギュラー車両の運賃、料金表です。 主な区間の運賃、料金の合計額は次の通りです。 (消費税改定後の運賃、料金です) 大阪難波〜近鉄名古屋:レギュラー4,540円、プレミアム5,240円 大阪難波〜津:レギュラー3,260円、デラックス3,660円 大阪難波~大和八木:レギュラー1,260円、デラックス1,460円 近鉄名古屋~津:レギュラー2,040円、デラックス2,340円 近鉄名古屋~大和八木:レギュラー3,890円、デラックス4,490円 乗車キロ別の料金は次の通りです。 1~40キロ:特急料金520円、レギュラー特別料金100円、プレミアム特別料金300円 41~80キロ:特急料金920円、レギュラー特別料金100円、プレミアム特別料金400円 81~140キロ:特急料金1,340円、レギュラー特別料金200円、プレミアム特別料金600円 141~180キロ:特急料金1,640円、レギュラー特別料金200円、プレミアム特別料金800円 181キロ~:特急料金1,930円、レギュラー特別料金200円、プレミアム特別料金900円 その他の区間等も近鉄HPの下記ページで運賃・料金検索できます。 (ひのとりの料金は検索できません) ひのとりの特急券の発売開始日、予約方法、空席照会 近鉄特急の予約は乗車1か月前の10時30分から近鉄主要駅の特急券窓口、主な旅行会社、インターネットで予約可能です。 2020年2月14日の10:30から予約開始です。 (近鉄確認済) 1か月前なので3月20日に乗車の場合は2月20日の10時半から予約開始になります。 特急券は近鉄の主な駅や旅行会社でも販売されますが、インターネット予約が手軽で便利です。 インターネットでは空席照会も可能です。 シートマップも表示されるので希望の座席を確保することも可能です。 インターネットで予約して決済すれば、決済画面からスマホでチケットレス特急券を表示できます。 駅での受け取りは必要ありません。 チケットレス特急券でない場合は前日までに受け取りが必要です。 ひのとりのお得な乗車方法 「ひのとり」のお得なきっぷなどの発表はまだありません。 現在最もお得な乗車方法は、名阪チケレス割なので「ひのとり」運行開始を記念してさらにチケレス割の割引率が高くなるかもしれません。 近鉄のチケットレス会員は普段から10%もポイントがもらえるので入らないと損ですよ。 名阪チケレス割 2020年3月13日までの期間限定で特急料金が最大300円割引になります。 チケットレスサービスの利用で割引になります。 大阪難波・大阪上本町・鶴橋〜名古屋間の区間限定で 前日までの予約で特急料金1,600円(合計3,960円) となります。 変更は3回まで可能です。 名阪チケレス割でも10%のポイントがつきます。 チケットレスの利用(インターネットでの予約と決済)が条件です。 詳しくは下記の近鉄HPのリンクをご覧ください。 10回乗車すると1回は無料で乗車できます。 詳しくは下記の近鉄HPのリンクをご覧ください。 ひのとりから乗り換えできる列車 名古屋駅 JR新幹線、特急、快速等乗り換え 新幹線「」、「ひかり」、「こだま」 特急「しなの」、特急「ひだ」、特急「南紀」、特急「しらさぎ」、快速「みえ」 ひのとりの関連商品 「ひのとり」は公表されたばかりで関連商品の情報はまだありません。 プラレールとNゲージ鉄道模型も発売されると予想しますが、わかり次第記載していきます。 まとめ 「ひのとり」は看板列車のアーバンライナーの後継列車だけあってかなり注目されていました。 概要が発表され、プレミアムシートの展示、体験もできるようになりこれからますます注目がされると思います。 斬新な外観と上質な座席とサービスを早く実車で体験したいものです。 「読者になる」をおしていただくと更新情報がチェックできます よければブックマークお願いします。

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【保存版】新型名阪特急「ひのとり」は機器のメーカーの違いにより3形式に分かれる 編成について違いも解説

近鉄 特急 ひ の とり

近鉄特急といえばオレンジと紺色の「近鉄カラー」を思い出す人も多いかと思います。 約2年前まではこの色が主流となっており、「ビスタカー」をはじめ多くの特急に採用されてきました。 しかし、現在はスナックカーを除き従来の「近鉄カラー」だったものは全て新塗装化が施されました。 白色を主体としてオレンジの帯が入った塗装が今後の近鉄特急の主力になっていきます。 スナックカーは2020年度をもって特急列車の運用から離脱することが決まっており、2020年6月現在でも既に運用離脱・廃車となっている編成が出ていて、今後も継続してスナックカーの廃車が行われる予定です。 つまり、スナックカーの引退とともに従来の「近鉄カラー」は2020年で終了となり、約60年間の歴史に幕を閉じます。 近鉄としても一般のお客さんから「特急格差」と呼ばれるほど、設備面での格差が出ていて列車によってコンセントが設置されている車両と設置されていない車両が存在しています。 同一列車なのに前の編成と後ろの編成で車両の古さが異なることがしばしばあり、お客さんとしては「どうせ同じ料金なら、新しい・コンセントがついている車両に乗りたい」という心理があると思われます。 この辺りは近鉄も対策をしていて「近鉄アプリ」では特急券の購入時に「コンセントの有無」や「2階建て席」などを選択できるようになっており、オンライン上で車種がある程度分かるようになっています。 近鉄12200系スナックカーは一般の乗客からは不評で、どれくらい不評だったかというと、特急券が無駄になっても乗車しなかった客がいたというエピソードが残っているくらいです。 近鉄としても塗装を変えることで、近鉄特急は新しい時代を迎え、サービスアップを図っていくという意味も利用客に伝えたいのではないでしょうか? 2020年でなくなってしまう「近鉄カラー」が見れるのも今年だけの魅力です。 是非今年までしか見れない「近鉄カラー」を見に旅行へ行ってみてはいかがでしょうか?.

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近鉄特急『ひのとり』の【 時刻表・料金・予約方法・お得な割引 】

近鉄 特急 ひ の とり

その間に新型コロナウイルス感染症の感染拡大があり、緊急事態宣言が全国に出されるなど、鉄道業界は苦しい状況にあった。 世情が沈静化するであろう今後は、大阪難波~近鉄名古屋間を走る名阪特急の主力車両として「ひのとり」をアピールし、利用客の獲得をめざすことになる。 2020年3月14日にデビューした近鉄の新型名阪特急「ひのとり」。 計72両の新製投入が計画されている 5月末の時点で、「ひのとり」は名阪特急のうち停車駅が少ない列車 「名阪甲特急」と通称される 6往復に充当されている。 このうち土休日の1往復が新型コロナウイルス感染症に伴う利用状況等から運休となったが、6月13日に運転再開する予定。 同日には、「アーバンライナー」からの置換えで「ひのとり」が増発され、平日10往復・土休日11往復の運転となる。 新製を予定している計72両 6両編成8本、8両編成3本 は2021年3月までに出そろい、名阪甲特急はすべてこの車両で運転する計画である。 公表されている「ひのとり」への投資額は約184億円。 1両あたり2億5,500万円強となる。 鉄道車両の価格は、一般的なもので1両あたり2億円程度と言われており、それと単純に比べれば高い。 ただ、一度に72両も発注してスケールメリットを享受することで、割安に抑えたと言えるかもしれない。 この72両、184億円という数字は、思いきった投資だ。 最近の大手私鉄における新型特急車両の例では、西武鉄道001系「ラビュー」の56両が多いほうで、小田急電鉄70000形「GSE」が14両。 東武鉄道500系「リバティ」は24両にとどまっている。 もちろん鉄道車両は、必要に応じて車両メーカーに発注されるものだが、近鉄は一気の経営改善、旅客に対するサービスアップを図ったとも言えよう。 同社の中期経営計画では、2019~2023年度の5カ年累計で、鉄道に対する投資額を1,300億円 1年平均260億円 としているから、看板車両「ひのとり」の比重の高さがわかる。 「ひのとり」は両側の先頭車が「プレミアム車両」、その他の中間車が「レギュラー車両」となっている。 6両編成の場合、編成全体の定員は239名になる。 両側の先頭車は「プレミアム車両」と称し、特別料金を必要とするアッパークラスとなった• 中間車は「レギュラー車両」と称するスタンダードなクラス。 プライバシー確保の面で、従来の特急車両より大幅に進歩した 見逃されがちだが、「ひのとり」以前の名阪甲特急の最新車両21020系「アーバンライナー next」は、6両編成で302名も定員があった。 座席間隔を広げるなど、1人あたりのスペースを拡大したためである。 「プレミアム車両」の場合、JR東日本の新幹線「はやぶさ」などに設けられた「グランクラス」と同等の1,300mm、「レギュラー車両」でもJRのグリーン車と同等の1,160mmを確保しているのだ。 さらに、座席はすべて後ろの席を気にせずにリクライニングできるバックシェルタイプで、プライバシーを重視した。 車内販売も行われず、代わりに飲み物と軽食の自動販売機を設置。 静粛性を確保るす一方、気分転換もできるように工夫されている。 「プレミアム車両」には飲み物や軽食の自動販売機を設置。 車内販売は行わない ゆったりとした空間を占有できるため、「ひのとり」の料金は他の特急列車と比べて割高に設定された。 大阪難波~近鉄名古屋間はこれまで、運賃・特急料金の合計で4,340円。 1クラス上のデラックスシートを利用した場合、これに520円が追加され、4,860円であった。 これに対し、「ひのとり」は「レギュラー車両」が4,540円、「プレミアム車両」だと5,240円である。 1人あたりの客単価をアップし、それに見合うサービスを提供して、営業上の効率も上げようとの意図と見ていいだろう。 もとより近鉄特急は東海道新幹線に対し、所要時間では対抗できない 名阪甲特急の約2時間に対し、東海道新幹線「のぞみ」は約50分。 それゆえ、ゆとりを前面に打ち出し、かつ6,680円となる新幹線の運賃・料金 「のぞみ」通常期 より割安感をアピールする戦略を昭和40年代から取っている。 それを「ひのとり」でさらに強化した形だ。 乗車する列車によって、「ひのとり」であったり従来の車両であったりすると、やはり利用者を戸惑わせる。 その一方で、一気に名阪甲特急を置き換え、捻出される特急車両を他の系統に転用し、「玉突き」で老朽化した車両を早急に取り替える意図もある。 近鉄はすでに、最も古い12200系「スナックカー」を2020年度中に全廃する計画を公表している。 この車両は1969~1976年に製造され、すでに初期の車両は廃車が進んでいるものの、いまも残る数が「ひのとり」の新製両数にほぼ等しいのだ。 老朽化した「スナックカー」は、2020年度末の引退が予定される 「スナックカー」だけでなく、通勤通学向けの一般車でも、近鉄は車齢40~50年程度の車両を多く抱えている。 しかも、そうした車両は耐久性に劣る鋼鉄製であり、抵抗器で電気を熱に変えて速度を制御する「抵抗制御」と呼ばれる走行システムを使っている。 省エネ性能では、新型車両に及ぶべくもない。 こういう状況に至ったのは、バブル崩壊後の不況期に設備投資を控え、老朽化した車両も補修や改造を加え、延命を図ってきたため。 だが、さすがに限界を迎えた状況がうかがえる。 鉄道車両の寿命は一般に30~50年程度といわれる。 さらに鋼鉄製車体、抵抗制御の車両は、日常的な補修費・電力費が新型車両と比べて大きくかさむ。 経営上からは早く淘汰すべきだが、先述したように、車両を新製するために大きな初期投資が必要になる。 それを抑制せざるをえなかった社会事情、ひいては経営状況が、これまで大手私鉄を悩ませてきた。 近鉄の代名詞ともいえる2階建て車両「ビスタカー」も、デビューから40年以上が経過している• 一般用車両にも、車齢50年前後に及ぶものが少なくない。 もうこれ以上は待てない苦衷も感じられる。 近鉄のシンボルは2階建て車両と思う向きも多かろう。 だが、30000系「ビスタカー」も営業運転開始は1978 昭和53 年。 鋼鉄製車体、抵抗制御なのだ。 「スナックカー」を淘汰できたところで、そのすぐ後にも取り替えるべき車両が控えている。 近鉄にとって、老朽化した効率の悪い車両の廃車・置換えは、経営上、突きつけられた「待ったなし」の課題といえる。 「ひのとり」ほどの派手さはないだろうが、リモートワークの普及で通勤利用者の減少も見込まれる中、車両に対してどのような投資を行うのか、注目されるところだ。 筆者プロフィール: 土屋武之 1965年、大阪府豊中市生まれ。 鉄道員だった祖父、伯父の影響や、阪急電鉄の線路近くに住んだ経験などから、幼少時より鉄道に興味を抱く。 大阪大学では演劇学を専攻し劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。 芸術や評論を学ぶ。 出版社勤務を経て1997年にフリーライターとして独立。 2004年頃から鉄道を専門とするようになり、社会派鉄道雑誌「鉄道ジャーナル」のメイン記事を担当するなど、社会の公器としての鉄道を幅広く見つめ続けている。 著書は『鉄道員になるには』 ぺりかん社 、『まるまる大阪環状線めぐり』 交通新聞社 、『きっぷのルール ハンドブック 増補改訂版』 実業之日本社 、『JR私鉄全線 地図でよくわかる 鉄道大百科』 JTBパブリッシング 、『ここがすごい! 東京メトロ - 実感できる驚きポイント』 交通新聞社 など。 予めご了承ください。 関連記事•

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