色あせる意味。 【わび・さび】の意味を説明できる?理解しておきたい日本独特の美意識|IKITOKI

「きらびやか」の意味と使い方、例文、類語、対義語、英語

色あせる意味

講武殿の広場の入口で、欽宗は声をかけられた。 声の主は八十歳にもなろうかという老人で、色あせた袍をまとっている。 老い衰えた身体を、二本の肢でようやくささえているといった印象だ。 … 田中芳樹『紅塵』 より引用• そなたが愛したいかなる者とて、わたしの前には色あせることだろう。 かくてそなたはわたしだけを愛するようになるのだ。 … エディングス『ベルガリアード物語5 勝負の終り』 より引用• そのドアのかぎ穴の上のほうに五シリング銀貨ほどの大きさの赤ろうの封印がしてあった。 ひどく汚れて色あせているところからみて、よほど前につけたものらしい。 そうやってなお見つめて、このドアはいったい何をかくしているのだろうと怪しんでいると、うしろのほうで私を呼ぶ声が聞こえた。 … ドイル/延原謙訳『ドイル傑作集 冒険編』 より引用• 多くの近代的な建物で周辺が色あせたが、駅そのもは昔からの特徴を残した。 プラットホームは2つの鉄骨の屋根で覆われている。 この映画のフィルムは保存状態の悪さのため、非常に傷み色あせていた。 これを危惧したジェームズ・C・カッツ、ロバート・A・ハリスらの手によってネガは2年かけて修復され、1996年に公開された。 おれたちはちょっとしたトラブルで誰かと結びつき、忘れられない輝きをあげたり、もらったりする。 おれは店のまえの色あせた日よけのすきまから、池袋の夕空を見あげた。 星の数は断然すくない。 … 石田衣良『骨音 池袋ウエストゲートパーク3』 より引用• 二十七年前の高校サッカー全国大会の記念品が、壁やガラスケースの中に展示されていた。 色あせた当時の平義のカラー写真が、一番光の当たる場所に掲げられている。 雪の降りしきる泥だらけのグラウンドで渾身のシュートを放った瞬間を、望遠レンズが捉えた。 赤ら顔の太った男が招じ入れられた。 髪も額ひげも赤っ茶け、着古して色あせた青色のビロード服を着ている。 男はすっかり堅くなった様子で手紙を差し出した。 … ガボリオ/松村喜雄訳『ルコック探偵(下)』 より引用• レベロは、座席から半ば立ち上がった。 太陽灯の下にいるにもかかわらず、その頬は老人じみて色あせていた。 … 田中芳樹『銀河英雄伝説 01 黎明篇』 より引用• もみじはもうおしまいになっていた。 ほとんど落葉しているし、木の枝に残っている葉もすっかり色あせていた。 宿の玄関にあったようなあざやかな色彩を放つものはなかった。 … 新田次郎『昭和新山』 より引用• まえよりもっと色あせて、影のような女にもどっているのであった。 山田風太郎『妖異金瓶梅』 より引用• 二等航海士はあわてて目をそらすと、不自然な声で「じゃあ」と言い、残りの言葉を口の中でぶつぶつつぶやくようにした。 彼は急に威厳がなくなってしまい、制服の金モールさえ色あせて見えた。 子どもたちは顔を見あわせた。 … 加藤幸子『夢の壁・北京海棠の街』 より引用• けれどもいま、ふたりの死者がそれを揺り動かしている。 たしかに、あの色あせた時代から私たちは生まれたようにも思える。 「一九六九年のことだ」と私はいった。 … 藤原伊織『テロリストのパラソル』 より引用• 大好きだった散歩にもボール遊びにも関心を示さず、ただひたすら眠っている。 庭の小さな陽だまりでうずくまっていると、色あせた古い 絨毯 じゆうたんのようだ。 暑くなってからは、食欲も極端に落ちた。 … あさのあつこ『ガールズ・ブルー』 より引用• ところが、この女が入るとほとんど同時に、おなじように荷物をかかえた、もう一人の女が入ってきた。 するとそのあとにすぐつづいて、色あせた黒い服を着た男が、また入ってきた。 二人の女は、顔を見あわせて驚いたが、それとおなじく男もびっくりした。 … ディケンズ/安藤一郎訳『クリスマス・カロル』 より引用• 戸外では、雨まじりの冷たい風があらしとなって吹き荒れ、窓のそばのポプラの木が、突風にたわんだり、また幹をもたげたりしていた。 濡れた色あせた葉が、ときどき窓ガラスにぴたりと貼りついたりしていた。 まだ七時の鐘も鳴っていないのに、まるで真夜中のように暗かったが、すでに秋の気配は深まり、日足は短くなっていた。 … レアージュ/鈴木豊訳『O嬢の物語』 より引用• そんな、琥珀さんらしくない誤魔化し方をされて、鈍感な自分でもようやく悟った。 この色あせた写真が、琥珀さんがずっと探していたものなんだって。 … 奈須きのこ『歌月十夜 01 本編』 より引用• ヤマモモからもとれるけれども、それもきれいな緑ではなくて、ちょうどワサビのような黒っぽい感じの色になってしまう。 しかも、何日ももたずに色あせてしまうといったことを教えて下さいました。 こういう事実は、逆に、緑という色の大いなる貴重さを示しているのではないか。 … 大岡信『名句歌ごよみ[恋]』 より引用• 空地を出たときは、もう遅くなっていた。 どぎついほど青かった空も色あせ、東の空には白い月がかかっていた。 たそがれが、通りにそった家々の輪郭をやわらげている。 … マッカラーズ/河野一郎訳『心は孤独な狩人』 より引用• 楊過は「小龍女と一緒に死ぬ」と主張し、自身の治療を拒否していたが、小龍女は16年も経てば楊過も自分を追って自殺したりしなくなるだろうと考え、「16年後に再会しましょう」と書き残して姿を消した。 しかし、楊過の小龍女への気持ちが16年で色あせることは全くなかった。 後に楊過と再会を果たして抱擁しあい、お互いに歓喜した。

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パワーストーンの変色、色あせの意味とは?

色あせる意味

日本庭園や茶器などに触れた際、「わびさび」を感じたことはあるだろう。 「わびさび」…日本独特の「美意識」を表す言葉だというのは、何となく分かる。 だが、それを、はっきりと説明できるだろうか? 古くから伝わる日本独特の美意識と言われるが、西洋思考の感性とどう違うのか? 概念的とも思える「わび・さび」とは、一体何なんだろう。 わび・さびとは? 「わびさび」を、一つの言葉として認識している方は少なくないだろう。 本来、「わび」と「さび」それぞれ言葉の意味は大きく異なる。 わびは「侘しさ」、さびは「寂しさ」から来た言葉。 どちらも一見、ネガティブな意味に感じる。 だが、ともすると高尚なイメージが、しないだろうか。 日本人が、「わびさびとは?」と聞かれ、口ごもり、 明確に言語化できないのは、そもそも知的な言葉で教えてもらっていないからだ。 外からWabi・Sabiを説いた わびさびを、明確な言葉にした外国人がいた。 米国人編集者「レナード・コーレン」は、海外向けに本を書き、日本人にも説明できなかった「わび・さび」を説いて見せた。 実は20年の時を経て、翻訳版が出版されている。 日本語に編訳されており、非常にWabi・Sabiが明確化されている。 侘びと寂びの違いから、わびさびを知る。 日本人は、侘びと言えば寂びの意味も含まれ、逆も同様とし、単に「わびさび」と言う。 何となくの感性や心は、確かに言語化は難しい。 コーレン氏は、「侘び」と「寂び」は別々のものと示したうえで理解を説く。 まず、わびさびの「物質的な特徴」を示した。 「自然なゆらぎ、イレギュラー、親密、飾り気がない、現実的で素朴」などを挙げている。 だが、単に素朴でシンプルなことが、わびさびということではない。 むしろ、不格好であり、色はくすみ、汚れや傷を持つなど、醜いものであるかもしれない。 「わびさびの心」の1つは、「不可避の受容」だと説いている。 この世のものは、時間の経過とともに劣化していくもの。 それは避けられないこと。 時の流れを思わせるものを、単に劣化したものとして見るか、そこに美しさを感じるか。 「さび」は、簡素や粗末になったもの。 「わび」は、さびの美しさを見出す心。 両者が溶けあって、はじめて【わびさび】なのである。 わびさびと西洋哲学との違い もっと具体化するために、何が「わびさび」で、何がそうでないかを理解するためのヒントも与えてくれた。 わびさびは、モダニズムと比較すると分かりやすいかもしれないと言う。 「差異」として説いた一部を抜粋する。 モダニズム わびさび ・論理的、合理的 ・直感の世界 ・大量生産 ・一点もの ・未来志向 ・即今志向 ・テクノロジーを美化 ・自然を美化 ・人工素材 ・天然素材 ・鋭く正確で一定 ・ソフトで曖昧 ・行き届いた管理 ・劣化や消耗を受け入れる ・恒久的 ・あらゆるものに季節感がある モダニズムとの比較より わびさびが、西洋思考と対局化した美意識だということに、あらためて気づく。 なぜ、【わびさび】が必要なのか? 自然が織りなす「寂れたもの」と「それを美しいと思う心」 この両者による「わびさびの世界」は、決してデジタルでは表現できない、また感じることができないと言う。 デジタル形式では、わびさびが必要とする無限大の繊細さに応えることができない。 何かがデジタル化されるためには、事象の分析と「0」と「1」からなるバイナリコードへの変換という 2段階の手続きを必要とする。 繊細さの度合いは、バイナリコードの記述量によって決まる。 (中略) デジタル形式でコード化するには、無限の検出感度が必要となるだろう。 どんどん、暮らしがデジタル領域に染まっていくが、わびさびを教えてはくれない。 コーレン氏は、日本のみならず、未来を危惧して本書を書いた。 一定の色、形、肌触りに慣れてしまえば、微妙な変化やゆらぎに、どんどん鈍感になっていくだろう。 刺激の多い現代、簡素なものや、何気ない自然の風情を、美しいと感じることがどれほどあるだろう? 意識して見ないと目にも入らなくなる。 わびさびとモダニズム、どちらが良い、悪いということではないだろう。 だが、「繊細さ」「微妙さ」を察知する感性は、失いたくないものだ。 おわりに はかないもの、簡素なものが放つ美しさを、見直すキッカケを本書は教えてくれる。 【わびさび】は、古さや極端な質素さを強要するものではない。 ハレとケを意識する暮らしの中で、いかに、ケ(普段)の中に心の充足を見出せるか。 時には、足すことではなく、引くことで豊かさを得ること。 外から「わびさび」を教えてもらうことで、本来、我々日本人が持っていた感性・美意識がよく分かる。 手に取り、読んでみてはいかがだろうか。 きっと、日々の暮らしのヒントになるはずだ。

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「愛しい」の意味・「恋しい」「愛おしい」との違い|例文6選

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今季、メジャー2年目のダルビッシュ有は驚異的なペースで三振を積み上げた。 そして、試合で奪三振ショーを披露する度に、先人の名前がクローズアップされた。 今季の奪三振数はメジャー断トツとなる277。 これまでの日本人記録で、野茂氏がメジャー1年目にマークした236奪三振を上回った。 デビューからの三振数でも、昨年から36試合目の5月5日・レッドソックス戦で293Kとし、歴代2位だった野茂氏(288K)のペースを初めて抜いた。 数字上では、ダルビッシュは確かに野茂氏を上回った。 ただ、パイオニアの記録は、日本人先発投手の実績が全くなかった時代に残されてきたもの。 そこに飛び込み、メジャーの猛者をなぎ倒してきた男には、ダルビッシュも素直に脱帽する。 日本人歴代最多となるシーズン237個目の三振を奪った9月5日のアスレチックス戦後には、敬意を表してコメントを残している。 「野茂さんとは、まだ僕は全然比べられるような位置にも行けてないです。 数字的には確かに超えたかもしれないですけど、やっぱり時代も違いますし、野茂さんは真っすぐとフォークだけで、それだけやっていますので。 さっきも言ったように、比べられるような選手でもないです。 でも、並べたり、超えられたりっていうことは光栄ですし、いずれは比べられるような選手になれるようにとは思います」 同じように海を渡り、メジャーでマウンドに上がり続けたからこそ、言葉には実感がこもっていた。

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